朝、ふと起きたら失踪したくなった。
誰一人知り合いのいない街で、適当にバイトをして生きていきたい。
もちろんそんな事はできないのは分かっている。
二年ほど前、擬似失踪を試したことがあった。
ルールはこの二つ。
携帯電話の電源を切るだけで準備は整った。
何のことはない、僕にとって人間関係とはつまり、この端末なのだと思った。
この試みは三週間ほどで終わりを告げた。
さすがに携帯電話の電源が切れていたのはまずかったらしい。
いま入っている予定のうち、一番最後が三月の第一週。
これを過ぎてもまだ失踪したかったら、もう一回擬似失踪してみようと思う。
前回の反省を踏まえて、携帯電話の電源は入れておこうと思う。
そのときには、ここに「失踪日記」でも書こうかな。