2006-10-22

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まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき

前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたへしは

薄紅の秋の実に 人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの その髪の毛にかゝるとき

たのしき恋の盃を 君が情に酌みしかな

林檎畑の樹の下に おのづからなる細道は

誰が踏みそめしかたみぞと 問ひたまふこそこひしけれ

島崎藤村 「初恋」 『若菜集』)

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