次の星には、引きこもりがいました。この星には、少ししかいなかったのですが、王子さまの気分はとても沈んでしまいました。
「ね、何してるの?」
王子さまは話しかけました。引きこもりは、パソコンの前に黙って座っていました。暗く、しんみりと口を開きました。
「ひきこもっているのさ」
「なんでひきこもってるの?」
王子さまはたずねました。
「忘れるためさ」
「何を忘れたいの?」
王子さまは、探りを入れました。さっきから、引きこもりがかわいそうな気がしていたのです。
「恥ずかしいことを、忘れたいのさ」
引きこもりは、頭をたれながら、悲しそうに打ち明けました。
「恥ずかしいことって、何なの?」
王子さまは、問いただしました。この人を助けてあげたいと思ったからです。
「引きこもっているのが恥ずかしいのさ」
それだけ言うと、引きこもりの話は終わりました。結局、もとのだんまりに戻ってしまいました。王子さまは、とまどったまま立ち去りました。《大人たちって、やっぱり、とてもとてもヘンだなあ》と、胸のうちで言いながら、旅を続けるのでした。
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