2010-06-07

月が綺麗ですね、でも、よかったのに

 死にたい、と僕はいった。

 闇の中に同じ言葉を繰り返した。何も向こう側に通さない厚みへと。

 だったら、死ねばいい、と彼女はいった。

 死にたい、と僕はいった。

 本当は死にたいのではないと、突き放されてはじめて気づく。

 僕はただ、話を聞いてもらいたいだけなのだ。それなのに、

 話せ、といわれても言葉が何一つ出てこない。あとか、うとか、音が漏れて、続きはない。

 だから僕は「死にたい」んだ。話したいのに、話したいことがないなんて。

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