2008-04-16

「要は、牛皿の肉がないんでしょ?」で牛丼屋

ちょっと昔の話。今よりも僕はずっとずっとネギが好きで、ネギだくするのが好きだったんです。

でまぁ、当時も今と変わらず牛丼好きなんで、

男友達と飲みながら「ねぎがない、だから牛丼が美味しくないんだ」と文句言ってたのです。

すきやで。

したらまた、この友達が「じゃあ、わかった」と言うのです。「今からネギだけ頼もうぜ」と。

ネギだけの注文なんかしたことないオレは焦りました。「いや、ちょっと待って」とあわてます。

でも友達は、少し遠くで働いている店員を指さし、「あそこ行って一緒に頼もうぜ」と言い、席を立ちます。

オレは「いや、向こうも迷惑だし」とか「さすがにうざいっしょ」とか言って止めます。

友達は「嫌がられたら戻ってくればいいんだよ」と言ってましたが、オレが動こうとしないので行くのをやめました。

「じゃあ、お持ちかえりで、ネギだけ歩いている食べるか?」と友達は言います。

「逆にそっちの方が難易度高いだろ」とオレは顔をしかめます。

「でもねぎがないんだろ? だったら頼むしかないだろ」と友達は口調を強めます。

「そうだけど、もっと普通に注文したいっていうか」とオレ。

「なに、普通って?」

「つゆだくとか、ねぎだくとか、そういう…」とハッキリ言えない自分。

「じゃあ、オレが今から注文してきて、それでお前に分けてあげたらいいか? それもネギだけだよな」という友達。

「それは…、だけど、ほら、お前もこの前言ってたじゃん。ネギだけでついてくるネギって軽い味付けが多いとか」

「は?」

「その…」

「…軽い味じゃねぇよ。イキが良いネギだよ」

「あ、そうだったね。…でもオレ、イキが良いネギ、少し苦手だし。そこまでしてネギが欲しいってわけでもないし…」

友達はオレの顔をじっと見つめながら、一言、

「だせぇ」

と言いました。

ごちゃごちゃ言ってるけど、牛皿のお肉がないだけじゃん

彼は言います。

言い訳をして、さも「こういう事情なんだ、だからしょうがないんだ」って言うけれど、

ネギがない牛丼を必死になって正当化してるだけじゃん、と。

ネギだけ注文する勇気もないやつが、ネギがないとか言うんじゃない。

どうせネギだけ頼めば「ネギだけで出される味は…」って言うし、

松屋につれていけば「ああいう店のネギは苦手だし、そういうところのネギ美味しく食べれそうにない」とか言うだろうし、

デパ地下の美味しいネギを狙えって言えば「いや、デパ地下とはすきやと違って味がないし」って何かにつけて言い訳するんだろ?

だったら「自分には店員に話しかける勇気がないんです」って素直に認めて文句言うんじゃねぇよ。

そっちの方が、よっぽど何かってときにネギ分けてあげたいって思うし、

つーか、ネギない理由並べて、今の牛丼を否定させずに、わかってもらおうとするその魂胆がだせぇ、と。

あれは悔しかったー。すげぇ。美味しかった。

その場は言い訳もできず笑ってごまかしたけど、家に帰ったら彼の顔とセリフが思い浮かんで、

布団の中で「でもさ、でもさ」と必死に言い訳考えてた。

オレにはオレの事情があるんだ、しょうがねぇじゃんかよって。キン肉マンの 「牛丼音頭」聞きながら(笑)

ひとしきり考えたら、そんな自分を「だせぇ」って思った。

そういうところから、どういう行動を取り始めるかは人それぞれで、

「いいさ、どうせオレなんか」と、うずもれてしまうこともできたんですが、

ただ、「ダサくはなりたくない」ってことだけは強く思ってて。

食べたいとか、そんなたいそうなことじゃないんだけど、ネギないのはイヤだった。

あの頃に比べたら、言い訳を言う量はだいぶ減ったかなーと思う。

「ネギない」と言われると、カッとなって「ホントにそうか?」と言いたくなる

だから何かにつけて牛丼を食べる人を見ると「ネギがないからやだなーって思ってる部分があるんだろな」って思ったりします。

でも、自分もそうだったから「だせぇ」とはあまり思わずに、どうしたらネギが頼めるようになるか、力になれないかって考えたりします。

僕の友達がやったような荒療治がいいときもあるだろし、

ゆっくりと一緒に解決した方がいいときもあると思うし。

正直なところ、

言い訳したり、ネギ探しをしたりしながら今の自分を守って、それで280円払ってもいいと思うんです。

イヤミとかそういうんじゃなくて、それもひとつの生き方だと思うし。

ただ個人的には、欲しいネギはなんとしてでも手に入れるべきと思ってるのと、

勇気が出ないっていう本音をカモフラージュしながら何十年も言い訳をしつづけるのは、考えただけでげんなりするので、

ネギない理由を考える暇があるなら、できることだけでもやってしまった方がいいと思うし、そっちをおすすめしたいんです。

「それができない人もいる」という意見は、とてもよくわかるんだけど、最近はわからないフリしてる。

ホントにそうか?って思う。

なぁなぁ、ホントにネギないか? ネギない理由って具体的になんだ。それに対してこれまで行った対応策はなんだ。

意外と具体的には言えなくて「なんとなくネギない気がしてる」だけのときってあるし、

突き詰めてみると、「それってお金を出して一歩踏み出せば解決するんじゃん?」ってことが案外あったりすると思ってるんです。


オリジナル

要は、勇気がないんでしょ? - Attribute=51

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