いつ、どうして身につけたのか、あるいは生来のものなのか。場の空気を動物的に読み過ぎてしまう男がいる。彼の場合は、その場に漂う不満の感情、負のエネルギー、怒りの渦を敏感に感じ取り、彼の中で増幅し、発露してしまう。周りから見ると、彼の感情起伏はどう見てもオーバードリブンである。彼自身はいわゆる”憑依体質”なので、自分の波にはなかなか気づかない。あとで思い出したり、ほかから指摘されたりして、自分事ながら落胆することになる。
彼が周囲の良き代弁者として機能することもあるが、大抵は独り相撲に終わる。
さらに彼が厄介なのは、彼の感情を支配する対象が”生身の人間”に限らないことだ。彼はその場所やものに根付く”残留思念”のようなものを敏感に感じ取って、自分の感情としてしまう。彼に自覚はほとんどない。
空気を読むのも、ほどほどにせねば。彼を見るたび思う。
おまえらは読まなさ過ぎだけどな!