ひょんな事から友達になった私達には嬉しくない共通点があった。
それは「家庭環境に難あり」なこと。
あるときに、本心を彼女から引き出されアドバイスしてもらった私は、この世で一番嫌いだった父親と縁を強引に、一方的に切ることができた。因みに彼女にこの事は伝えていない。
「家族」という歪な繋がりから解放されて、彼女に救われたとおもった。現に救われている。
だから彼女も、私と同じ感情を家族に抱いているんだと数年間思ってきた。
でも、それは違ったみたい。
彼女の結婚式に参加して、披露宴をみて、「ああこの子は家族が大好きなんだ」とただただ思い知った。
そう理解してからの披露宴は、画面の向こう側の物語を見ている心地だった。
私は2次元の家族愛・兄弟愛が好きで、諦めと強い憧れを抱いている。
私の今目の前で、3次元の現実で、起きている事が、その2次元と同じになった。
別に裏切られたとか嫉妬はしていないし、彼女の幸せを心から願っている。
でも、何年も同じ感情を持っていると思っていた彼女は私の近くからは居なくなった。その事が少し寂しい。
私が勝手に思い込んでいただけだけれど。
結婚式に参加して知った事は、彼女の深い家族愛と、私の捻れきった家族に纏る感情だった。その事が悲しい。
とても良い式だった。正直号泣した。でもこの涙はアニメやゲームをして流す涙と同じだったんだ。ごめんなさい。
ごめんなさい、とても良い式だった。でも私にとってはただの物語になってしまった。ごめんなさい。