解説委員室ブログ:NHKブログ
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おはようコラムです。鳩山総理大臣の元公設秘書が収支報告書にうその記載をした政治資金規正法違反の罪で起訴されました。鳩山総理大臣の責任問題をどう見るか。影山解説委員に聞きます。
Q:鳩山総理大臣は、引き続き政権を担当する中で自らの責任を果たして行きたいという考えのようですが、それで事態を乗り切れるのでしょうか?
鳩山総理大臣自身は何とか乗り切れると考えているようだ。昨日の記者会見もそうだったが、これまでの発言を聞いていると理由は2つあると思う。1つは身内のおカネであって、ゼネコンのような特定の企業との癒着や不正が疑われるような類のおカネではないということ。もう1つは、選挙で国民から圧倒的に支持されたという現実、これが支えになるのではないかということだが、これは認識としてはやや甘い。
Q:と言うと?
まず、身内のおカネであって賄賂ではないという点だが、そうだとしても、4億円という庶民には気が遠くなるような金額。身内のおカネであればなおのこと、秘書任せにしていたので自分は知らなかったという釈明が通用するのかどうか。知らなかったと言えば言うほど、ずさんな金銭感覚が批判の対象になるのは避けられない。それから、政権交代に対する圧倒的な支持だが、鳩山総理大臣の指導力に陰りが見え始めて内閣支持率はこのところ下げ足を速めている。しかも、政権交代に対する期待が強かった、だからこそ、逆に野党時代に言って来たこととの整合性が問われるという問題もある。
Q:野党時代に言って来たことというと?
鳩山総理は、「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだ」と言って、秘書給与疑惑をめぐる社民党の土井たか子党首の対応をメルマガで厳しく批判したことがあるし、自民党の加藤元幹事長の事務所の元代表が脱税で逮捕された時には、「私の秘書があんなことをしたら真っ先に議員バッジを外す」と言ったこともある。選挙で圧勝したからこそ、そういう野党時代の言動が自らに厳しく跳ね返って来ると見て置いた方がいいのではないか。
Q:とすると、政権運営はなかなか厳しくなりそうですね
そうだ。NHKの今月の世論調査では、献金問題をめぐる鳩山総理大臣のこれまでの対応に納得できないという人が7割に上っている。普天間問題や予算編成に加えて、献金問題でも曖昧な対応に終始したら、年明けの通常国会は相当厳しいものになるだろう。5割台に落ちた内閣支持率がさらに下がれば、民主党の中から、参議院選挙をどういう態勢で戦うのかという議論が出て来る可能性もないとは言えない。それ位の問題だということを鳩山総理大臣はまず認識すべきだろう。