2009-08-25

母さん、僕のあの未来、どうしたんでしょうねえ?

ええ、一年前、ちょうど二十一世紀へ入ったところで

谷底へ突き落とされたあの未来ですよ

母さん、あれは悪くない未来でしたよ

僕はあのときずいぶんくやしかった

だけど、逆風が吹いていたもんだから

母さん、あのとき、向こうから年老いた炭鉱堀が来ましたっけね

顔にひょっとこの面をした

そして拾おうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね

けれど、とうとう駄目だった

なにしろ深い谷で、それに鳩合の群れが

谷を覆うぐらい増長していたんですもの

母さん、ほんとにあの未来どうなったでしょう?

そのとき傍らに咲いていた希望と再生の花は

もうとうに枯れちゃったでしょうね、そして

今頃は、バラ色の未来を明日に夢見て

あの空の下で毎晩人々が希望に満ち溢れてたかも知れませんよ

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは

あの谷間に、静かに雪がつもっているでしょう

昔、つやつや光った、あの日本国の未来と

その裏に僕が書いたJAPANという文字を

埋めるように、静かに、寂しく

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