2009-01-27

大相撲に見る、繰り返しゲームにおける競争減殺

千秋楽で7勝7敗の力士に負けてあげる理由はわりと簡単に説明がつく。

既に勝ち越しor負け越しの決まった力士にとって、今場所の1勝の価値はあまり高いとは言えない。

これに対し、勝ち越し負け越しのかかった力士にとって、今場所の1勝の価値は極めて高い。

そうすると、既に勝ち越しor負け越しの決まった力士は、比較的安いコストで大きな恩を売ることができる。

相撲は繰返しゲームだから、その恩は次のゲームに持ち越される。

だから、今場所で恩を売っておくことで、自分が7勝7敗で迎えた千秋楽でリターンを得ることができる。


このシステムを更に強化しているのは、このトレードが仲間意識によって業界全体で行われている点だ。

プレイヤー間に何らの繋がりもなかったならば、この恩は特定の相手にしか売ることができない。

いざ自分が7勝7敗の時に、恩を売った相手に当たることができるとは考えにくい。するとこのシステムは機能しない。

ところがこれが業界全体で行われているならば、どのプレイヤーに売った恩であっても返って来ることが期待できるのだ。

まさにWin-Win。和を持って尊しとなす。人間かくありたいものである。


ただ、これが「他の力士を優勝争いから脱落させないため」となると、また違った説明が必要になるだろう。

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