俺の母ちゃんは美人だ。
黙っていれば「おしとやかで清楚で可憐なお嬢様」である。黙っていれば。
若い時から超モテたらしい。
ある時、見知らぬ不良がもじもじと声をかけてきた。
母 「いつも偉そうなリーゼントの不良がもじもじして可愛かったわ」
俺 「ふーん?」
母 「それがいきなりごめんなさい!って謝ってきてね」
俺 「うん」
母 「 『仲間内でカノジョは誰だって話になって、つい(母)と嘘をついてしまいました!』 と」
俺 「ふむ」
母 「お願いします!どうかカノジョってことにしといて下さい!って頼まれたの」
俺 「ははあ」
母 「ま、いっか。と思っていいよ、って言ったんだけど」
俺 「え?いいの?」
母 「そしたら別の不良もやってきてね、 『すみません…(母)は俺の昔のカノジョってことにしてもいいでしょうか…』 と」
俺 「ちょっと図々しくないですか」
母 「どうしようかな、と思ったんだけど。ま、いっか。と思って、そっちもいいよって言ったの」
俺 「それもどうよ…」
母 「そしたら不良Aと不良Bが大喜びしてね、 『じゃあ俺たち兄弟だな!!』 って肩組んではしゃいでるの、フフフ」
俺 「!!!!!!??」
母 「なんで兄弟になるんだろうね?意味わからないよね(笑)?」
俺 「………」
俺 「…うん、なんのこっちゃろーね!わからないね!」
言えない俺はミジンコ魂。
このままずっと知らないままでいればいいと思う。