秋葉通り魔について言及しているニュースやブログを見て思ったこと。
派遣者の心境をこのようにしてしまったのは…といった内容について、だ。
IT業界では派遣どころか、
A社(元請)>B社(2次)>C社(3次)>所属会社(自分の会社)
ていう多重構造になっているのは広く知られてるだろう。
派遣社員も、偽装請負の中小IT企業の正社員も人売りされている。
エンドユーザが1人月額100万円として契約して上の構造では自分の会社から、
給与として支給される額は20万くらいしかないんだ。
当然残業代なんて支給されない会社もあるし、昇給なんて1年で年収プラス1万円未満はザラ。
また、現場だと当然のように人間扱いされない。
4次請けの人間が毎日終電で帰って、土日も出社するのにも関らず、
元請けの人間は奴隷商売するだけ。あとはエクセルで線引っ張るだけ。
そして元請けの気に障る行動をすると、「使えねえ!」連発される。
気に障る=思い通りに動かない ね。兵隊以外は不要な世界だ。
うつ病で離脱者が出ても、人を入れ替えるだけ。
人が倒れて救急車で運ばれても、重要なメンバーなら出社させる。
もちろん、将来性なんてものはない。
こんなんでモチベーション上げろ、というのが無理。
もちろん、仕様にバグがあっても元請けの仕様書通り作る。
卑屈と言われようとも、責任感がないと言われても、それが仕事だから。
そして技術者の質はご察しの通り。
英語という言葉に拒絶反応を示す人、勉強は会社で業務中にしかしない人、確率すら計算できない(高校の数Aの確率)人
こんな人ばかり。
将来性のなさに影響されて、彼らのモチベーションが低空飛行なのが原因の1つなんだろう。
もっと恐ろしいのはアウトソージング。
某国に、アウトソースして失敗した事例はネットに幾つかある。
経営レベルでの話、マネージャーレベルでの話、その粒度のものが大半だから、
今まで見た、聞いた(伝言ゲームではなく、実際に会社の同期が体験した話、自分が体験したもの)ものを挙げておこう。
まず、基本情報技術者試験を持っていて、一通りJavaやCが書ける人間が、
仕様書を見て、「何も考えずに」といっていい程簡単にコーディングできるような、
詳細な仕様書を某国に投げる。
帰ってくるのは、type1, type2, type3といった連番の整数で、理解するまでに何時間もかかるソース。
当然コメントなんてない。
コンパイルは一応通る。でもセマンティクスエラーは考慮されてない。
更にはコンパイルが通らないものもある。
極めつけは、機能が丸ごと1つすっぽ抜けているもの。
そして奴隷として人身売買される、会社の同期や私自身が関ったプロジェクトは、
発電所(もちろん、メルトダウンする方)、航空、医療機器、金融、証券、交通システム
など。
アウトソースするものが大半だ。
あんなソフトウェア使ってるとか恐ろしくて考えたくない。
これらの社会インフラがクリティカルエラーで障害発生したら、
一体どれだけの人間が生命の危機に晒されるんだろう?
とまぁ、これが実情な訳。
今はまだ「致命的な」障害は出ていないかも知れない。
だけど、これからは分からないよね。
明らかに現場のソフトウェアの品質は下がり続けてるよ。
みんなが仮想世界・現実世界で啓蒙思想すること、改善活動、
業界体質の改善(のつもりのベンダ・SIの動き、法による規制)
による品質の向上は、
不人気のIT業界、次々と脱出する優秀な人材、変わらないトップの意識、
広がる格差と底辺層の意識、何が何でもコスト主義
による品質低下を上回ってるんだろうか。
(他にも要因があったり、数字を出すのが正統な論議をする為の条件なんだろうけど、
所詮匿名日記なので省略する)
最後にひとつだけ言えるのは、こう、底辺で作業していた身として感じた事は…
もう手遅れだ、という事。