ポストに手紙が入っていた。知人からのものだった。
その筆跡は私が知っているのとは似ても似つかぬものであり、私に会いたい事、現在大病を患っている事が記されていた。
私が女の子のおっぱいにタコみたいに吸い付いている時にこの知人は我が家を訪問し、ままならない右手で手紙をしたためたようだ。
故あって家族を含む知人友人その他もろもろと音信を絶って5年になる。
元の川の水は恋しいが現在の尾羽打ち枯らした姿は見せたくない。
自分は職業学歴収入美醜を問わず周囲の人間に努めて公平に接してきたつもりだったが当の本人をハブっている。
現在の知人友人は正確な私の過去を知らず、過去の知り合いはいま私がどこでどうしているかもわからない。
ぶつ切りの二つある生活をひとつにできるだろうか、そんな事を手紙を眺めながら考えた。