いい人だとはとても思えなかったし、だから好きになれなかったし、適当につきあうのすらめんどうだったけど、それでも、あのときわたしがきちんと電話に出てそれなりに対応していれば、あのひとは死んだりしなかったんじゃないかって思う。思うたびにぞっとする。
あのひとが死ぬことを選んだ理由のうちの何分の一か、何十分の一か、何百分の一か、とにかく、いくらかは絶対にわたしのせいだ。
最後に電話を切ったときの声のかんじ、いまでもおぼえてる。
もっとやさしくできればよかった。
どうしてできなかったんだ。だって、思わなかった。あの日の夜に死んじゃうなんて思わなかった!!
好きじゃなくったってなんだって、きちんと話を聞くべきだった。そのくらいのこと、できたはずなのに。