お誕生日会ってのはまあ友達を自宅に呼んでケーキ食ったり野球したりするだけの事
で俺もお誕生日会を友達10人くらい呼んで開いたわけだ
うちは貧乏で豪勢な食事は用意できなかった
でもカーチャンがケーキだけは買ってあげると言ってくれたので俺は嬉しかった
よそはよそうちはうちとしつこく言われ
新しい靴や学校で流行っていたアシックスの靴下なんかもせがまず我慢していた
うちが貧しいのはよくわかっていたので親を憎むとかそんな事は全くなかった
ただこのお誕生日会のケーキだけは前々からカーチャンにお願いしてた
クラスの友達に対する見栄だったのか自己満足だったのかはわからないがとにかくケーキにこだわっていた
そして待ちに待った俺の誕生日がきた
俺はそれぞれの席にジュースを入れる紙コップと小さいラムネのお菓子をセットし
サイズは一番小さいやつを買ったが俺にはそれがとても大きく誇らしく見えた
友達も集まり準備も整ったのでまずはハピバースデイの歌をみんなで歌った
ロウソクの火を消し祝福を味わった
泣きはしなかったが本当に本当に嬉しかった
ロウソクの火が消えたのでカーチャンがケーキを切り分けようとした時ある友達がボソっと一言
「ケーキちっちゃいね」
俺はカーチャンがかわいそうでたまらなかった