2007-08-21

増田黙示録

「おい、増田!まだ生きているか?」

番長殿の声で目が覚める。グループ同士の抗争の中、俺は橋の上から川へ落とされた。だが、その後の記憶がない。ここは病院の白いベッド。だれがここまで運んでくれたんだろう?いやいや、そんなことよりも、目の前の番長殿はそのいかつい顔に似合わず、今にも泣きだしそうな表情で俺を見ている。胸をはだけた黒い学ランは泥だらけで、ここからでもその異臭がただよってくる。消臭剤、消臭剤っと、、、辺りを見渡したがそんなものはどこにもなかった。

少し落胆しながらも、ここで番長殿に泣かれてもうるさいだけなので、とりあえず話を聞いておくことにした。

「お前がぁ、川ん中に放りこまれたのを見てなあ、居ても立ってもいられんかった。あいつらを一瞬でぼこぼこにしてさあ、、、」

嘘だ。ぼったりはれ上がった番長殿の顔や、血が浸みだしているTシャツを見ればわかる。「早く自分を手当しろよ。」と言いたいところだが、あいにく俺ももうだるい。閉じていくまぶたを止めることもできずに、ただ静かな眠りの中へ。また目を覚ましたら、いくらでも話を聞いてやるよ、番長殿。

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