何事もなかったかのように私達は会話する。
私が問い詰めないからだろうか。たまには、泣いて困らせればいいんだろうか?
…いや、そんなことしても意味はない。私は、彼の大切にはなれなかったのだ。
何事もなかったかのように私達は笑いあう。
本当は、駄々をこねなくてもあの人の目に留まる女にならなければならない。
私はそういう意味で、あの人に愛されたい。貰うだけじゃなくって、与える側になりたい。
支えられるだけじゃない。支えたい。あの人が真っ直ぐ立てるその横で立っていたい。
今日、「この先暇な日はあるか?」と聞かれて、一瞬だけ淡い期待を抱いた。
単に仕事日の確認だったわけだが。でも、あの胸の高鳴りは久しぶりだった。
あの人は私の身体を熱くする。爪先から、子宮から、心臓へと、髪の毛の、本当の先っぽまで。
身体全部が欲情する。あの人を愛している。