第一発見者の女性は、まだ高校生だった。少女はいつものように遅刻しそうになりながら、暗いガレージで、自転車のスタンドを倒そうと手をサドルに置いたときに、その異常に気付いた。手はぬるりとすべり、少女は違和感に咄嗟に手を引っ込めた。少女はまず自分の手が濡れている事を知り、それから、同じ液体でサドルが濡れている事と、そこに人の顔が張り付いている事を知り、現実から断絶するかのように、絶叫した。
そのとき、少女は気付かなかったが、壁には血で文字が書かれていた。
もしも 生まれ 変わるなら ぼくは あの子の サドルに なりたい
そして、それに対する返答のような血の殴り書き。
よろしい ぼくが 力になろう