2007-02-22

experiment001「ならばかなえてあげよう」

第一発見者の女性は、まだ高校生だった。少女はいつものように遅刻しそうになりながら、暗いガレージで、自転車スタンドを倒そうと手をサドルに置いたときに、その異常に気付いた。手はぬるりとすべり、少女違和感に咄嗟に手を引っ込めた。少女はまず自分の手が濡れている事を知り、それから、同じ液体でサドルが濡れている事と、そこに人の顔が張り付いている事を知り、現実から断絶するかのように、絶叫した。

そのとき、少女は気付かなかったが、壁には血で文字が書かれていた。

もしも 生まれ 変わるなら ぼくは あの子の サドルに なりたい

そして、それに対する返答のような血の殴り書き。

よろしい ぼくが 力になろう

後に6人の被害者を出した最悪の連続殺人はこうして幕を開ける。

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