2009-08-21

ただしイケメンに限るとは限らない

高校生の時、男の自分から見ても本当に整った顔立ちのヤツが同じ部活にいた。

彼は身長も高く、すらりとした体つきで、体育会系の部活なのでそこそこ筋肉質で・・・モデルとかやってても不思議じゃないような格好良い男だった。それに加えて、性格もとてもさっぱりしていて本当に「爽やか」という言葉がぴったり当てはまる男だった。

そんな彼だから当然の如く女子には大人気で、中学生の頃からファン倶楽部があったりしたが、直接告白されることは少なかったようだ。一度不思議に思って、いつもキャーキャー言って騒いでいる同じ部活の女子生徒に聞いてみたら「あまりに格好良過ぎて告白するのに気後れする子が沢山いるんだよ」・・・だと。それでもバレンタインデーなどは凄い事になってたがw

彼の性格が凄く良いヤツだったこともあって(若干シャイでもあった)、他の冴えない自分を含む(部活のメンバーの)男達からも彼への僻みや悪口などは一切無く、皆それなりに仲良く高校時代を過ごしたのだった。ちなみに彼女は高校3年になって一応できたが、大学進学と共に疎遠になったようだ・・・。

卒業後、それぞれが大学へと進み、自分は一浪して結局地方の大学へ潜り込んだが、当時の部活のメンバーの一部とはそれなりに連絡を取り合っていた。

友人:「教育実習でアイツと一緒にウチの高校にいってたんだけど、初日からアイツだけ女子生徒が押し寄せてたぜ~、なんという現実www」

そう言いながら部活のメンバーで特に仲の良かった一人が自分に連絡をしてきた。まぁアイツなら仕方ないよな、と二人で話したのを覚えてる。そういう事を言いながらもその友人は何故か自分の事のように嬉しそうだったがw

暫くしてその友人より彼が地元の母校ではないが、とある公立高校に教師として赴任したという話を聞いた。偶然にも自分の妹とその友人の妹が通っている高校だったのにはビックリしたが、「まぁアイツなら女子高生にキャーキャー言われながら授業をやってるんだろうな、くそぅ、羨ましすぎるぜ」とか二人で言い合ったものだった。

そうして一年余りが過ぎて、久しぶりに実家に帰った自分は、友人と会った時にふとその彼の事を思い出した。

自分:「そういえば最近アイツと連絡取れてないけど、元気にしてるの?」

友人:「おぅ・・・アイツなぁ・・・ちょっと色々あってな・・・」

そう言って友人は口ごもった・・・。話を詳しく聞いてみると、どうやら赴任先の高校で生徒からイジメに遭い、精神的に参って教師を辞めて、実家の農業を継いでいるらしいと・・・。その話を聞いてまず不思議に思ったのは、彼は性格も含めてそれこそ「イケメン」と呼ぶに相応しいヤツだったはず・・・なのに何故だ?と。前述の通り、妹がその高校に通っていたので彼の事について聞いたみた。

自分:「なぁ、○○って先生知ってる?」

妹:「え?、あぁ~あの辞めた先生?知ってるよ~」

自分:「なんで辞めたの?」

妹:「う~ん、あの先生、なんかいつもへらへら笑っててキモくてさ、一部の生徒達からよくからかわれてたみたいだからさ・・・」

友人によると友人の妹に聞いたところも同じような話だったらしい。曰く「キモい」と。しかも女子生徒から特に嫌われていたようだ。

自分には想像がつかなかった。あの爽やかなアイツが、顔立ちもスタイル(男に言うことじゃないかもしれんが)も抜群のアイツが、性格もさっぱりとしていて明るかったアイツが・・・。

自分:「なぁ、オマエ、想像つかないんだけど」

友人:「いや、オレも最初聞いたときはそうだったからわかるぞ」

自分:「大学でなんか激変するような事がアイツにあったのか?激太りしたとかさw」

友人:「いや、教育実習で去年逢ったときはムカつくぐらい爽やかで変わりなかったぞw」

自分:「そうだよなぁ・・・オマエ、女子生徒がアイツにだけ押し寄せて・・・ってブツブツいってたもんなw」

そんな風に冗談めかして二人で話してはいたが、自分も友人も表情は暗かった。

これまでイケメンは無条件に得だと思ってた。でも、この時、人は性格や見た目だけではどうにもならないこともあるのだとわかりたくなかったのにわかってしまった。

彼はその後、トラックの運転手などをやっていたようだが、当時の部活のメンバー達に連絡が来ることは自分も含めてなかった。勿論こっちから連絡もしづらかったので、敢えてはしなかったんだが、今頃どうしているのだろうか?元気に明るく爽やかにいる姿しか思い浮かばないので、そうであることを願うばかりだ。

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