紙垂(しで)の意味と由来を知りたい。また、なぜZ形なのか。
回答
(Answer)
■意味:紙垂は、「神聖・清浄」の標章。
(1)紙垂を注連縄(しめなわ)に垂らして神域や祭場に用いた場合は、聖域を示す象徴となる。
〔参考資料③p.805、④p.199、⑦p.188〕
(2)玉串(たまぐし)については、榊に紙垂を付することによって、遷霊されるものと考えられて
いる。榊だけでは神の依り代とはならない。
〔参考資料①p661、⑥p.290、⑨p.276〕
■由来:日本神話の神代天石屋戸条(しんだいあめのいわやどのじょう)に由来。紙垂の原型「丹寸手(にきて)」が出てくる。
〔参考資料①p.460、②p.200、⑤p.899〕
(原文)「・・・天の香山の五百津真賢木を根こじにこじて、上枝に八尺の勾玉の五百津の御すまるの
玉を取り著け、 中枝に八尺鏡を取り繋け、下枝には白丹寸手、青丹寸手を取り垂でて・・・」
〔参考資料⑩p.39〕
(訳)「・・・天の香具山のよく茂った榊を根こそぎ掘り取ってきて、その上方の枝に多くの勾玉を長い
緒に通した玉飾りをつけ、中ほどの枝に八咫鏡を掛け、下方の枝には楮の白い幣と麻の青い幣を下げた・・・」 〔参考資料⑩p.244〕
■形状:「無限大の神威」説と「雷」説がある。
(1)「無限大の神威」説:白い紙を交互に切り割くことによって、無限大を表わす。無限大の神威を一片の紙に
象徴するものと解される。
〔参考資料①p.661、⑥p.290、⑨p.276〕
(2)「雷」説:宮沢賢治は花巻農学校で教鞭をとっていたころ、「注連縄の本体は雲を、〆の子(細く垂れ下がっ
ている藁)は雨を、紙垂は雷(稲妻)を表わしている」と、生徒に教えていた。雲と雨と雷は、豊作のための
不可欠な要素であり、注連縄は元来、豊作を願って神社に奉納されたとされる。
〔参考資料⑧pp.23-24〕