理想は着実に前転し続けることだ。
ちょっと気取って側転するのもいいかもしれない。
宙返りなんてできたらもう恐ろしくなってしまう。
だから、前転でいい。ずっと前転し続けて、ぐるんとまわってまた手を突いて、永久機関みたいに進んでいたい。
でも、それって結構難しくて、目が回るし、方向感覚もあやふやになって、わけがわからなくなってしまうこともあると思う。
もしかすると、後ろに進んでいたりするかもしれない。
後転は前転以上に不安になるものだし、技術的にも難しいし、難しい上に進む方向が確認不可能だ。
だから前転を選ぶ。前転を始めてみようと考えている。
マットの縁に立ち尽くしたまま、となりで誰かが回り始める。