会社から帰ってくるのがいつもより少し早かった俺はゆっくりと風呂に入りたいと思った。
普段は湯船にお湯なんぞ張らないのに「Todayは、ぬるい温泉気分だな」と鼻歌交じり。
上機嫌でツムラの効き湯(越冬1年もの)を準備していた。
風呂釜をのぞき込むと、なんだかちん毛のようなものは張り付いてるし、朝オナニーしたときの
精子が行き場をなくしてカンピンタンになってお亡くなりになった様子の物体も散見された。
『これは非常にまずい』
風呂場のサイドポケットから取り出した風呂洗剤Aのボトル残量がEmptyに近かったため
良好な清掃結果を得るためには追加の洗剤が必要だと判断。
種類は違ったがストックしていた風呂洗剤Bを使用し、風呂釜に追加注入して利用を開始した。
よもや頭をよぎる注意書き
『まぜるな危険!』
玄関先に転がり出る俺。
この時ばかりは秒速12kmの速度で移動していたと思う。
だらしなく台所のシンクにもたれかかっていた。
俺は叫んだ。
慌てて飛び出した勢いで、頭を打って背中も打った。
弱い頭がさらに弱くなったらどう生きるべきかと算段したが、そこまで期待される
人生でもないので、わりとすぐにあきらめがついた。
体と一緒に飛び出してきた風呂洗剤Aの成分表がふと目にとまった。
「液性:中性」
俺はしんしんと泣いた。
終