2010-09-13

人には言えない恥ずかしい勘違い

会社から帰ってくるのがいつもより少し早かった俺はゆっくり風呂に入りたいと思った。

普段は湯船にお湯なんぞ張らないのに「Todayは、ぬるい温泉気分だな」と鼻歌交じり。

上機嫌でツムラの効き湯(越冬1年もの)を準備していた。

風呂釜のぞき込むと、なんだかちん毛のようなものは張り付いてるし、朝オナニーしたときの

精子が行き場をなくしてカンピンタンになってお亡くなりになった様子の物体も散見された。

『これは非常にまずい』

と判断し、お湯張りをする前に全裸風呂の清掃を開始した。

風呂場のサイドポケットから取り出した風呂洗剤Aのボトル残量がEmptyに近かったため

良好な清掃結果を得るためには追加の洗剤が必要だと判断。

種類は違ったがストックしていた風呂洗剤Bを使用し、風呂釜に追加注入して利用を開始した。

よもや頭をよぎる注意書き

 『まぜるな危険!』

ぐっ!!!しまったああああ!!!

とっさに風呂の出入り口をぶち破って

玄関先に転がり出る俺。

普段会社で「愚鈍だ」と馬鹿にされる俺でも

この時ばかりは秒速12kmの速度で移動していたと思う。

風呂の出入り口の扉は、巨体に吹き飛ばされ

だらしなく台所のシンクにもたれかかっていた。

「あっぶねーマジで風呂掃除硫化水素発生とかありえねーわ!

 死体見つかったとき全裸だず」

俺は叫んだ。

慌てて飛び出した勢いで、頭を打って背中も打った。

弱い頭がさらに弱くなったらどう生きるべきかと算段したが、そこまで期待される

人生でもないので、わりとすぐにあきらめがついた。

体と一緒に飛び出してきた風呂洗剤Aの成分表がふと目にとまった。

「液性:中性」

ゆっくりと、ボトルを拾い上げると、少しやわらかに抱いて

俺はしんしんと泣いた。

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