Cash for clunkersが終わり、後遺症が表面化してきた。
GMとトヨタの合弁工場であるNUMMIから、GMが撤退し、残されたトヨタも、春までで撤退するという話が出ている。
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2009/08/27/MN6919EL3P.DTL
GMにしてみれば、燃費の良い小型車の生産工場運営のノウハウは全て手に入れたし、GMが単体保有している工場に生産を集約する事にためらいは無い。トヨタとの合弁による利益は、十分に確保したという判断である。
さらに、Cash for clunkersの効果は需要の先取りでしかなく、お買い得だからという理由で愛車を手放し、新車に入れ替えた人々の間で、不満が発生している。
http://content.usatoday.com/communities/driveon/post/2009/08/68497816/1
というのも、愛車はオンボロ車であり、当然、ローンの残高は存在しない。燃費が悪くてガソリンを大食らいするが、それとても、毎月のガソリン代がどんなに悪くてもせいぜい倍になる程度でしかない。新車に買い換えて、ガソリン代は半分になったとも言える。しかし、新車には、ローンの負担が発生するのである。毎月300ドル近い返済が発生している。これは、ガソリン代に換算して、125ガロン分に相当する。Cash for clunkersの適用されるボロ車は18mpg以下のもので、燃費が4mpg以上向上する場合に適用される。仮に、一日40マイルで30日間、月間1200マイル走っていた人が居るとする。ボロ車の燃費が11mpg、新車の燃費が22mpgとすると、ボロ車では110ガロン、新車では55ガロンの消費量になる。しかし、ここに、新車のローンが125ガロン分乗っかり、差し引きで、70ガロン分の負担増になっているという計算になる。
愛車をそのまま使っていれば良かったと後悔している人が多いのである。当然、この感情は、政権や自動車業界に向く事になる。道理や理性は、Cash for clunkersに乗っかって愛車を手放したのが悪いと理解していても、感情については、どうにもならない。
Cash for clunkersのディラーへの支払いは、まだ滞っており、ディラーは資金ショートしていて、在庫を置けない状況にある。アメリカのディラーは、商品を自己資本で仕入れて店頭に並べて売っているので、Cash for clunkersの支払いがこないと、新車を仕入れられないのである。このため、アメリカの自動車工場の稼動は落ち込んでいる。ローン負担の増加で消費も落ち込んでいるし、需要の先取りをしてしまった分の反動もあるという事で、当分の間自動車産業は低迷するという見通しになっているのであった。
何もしない方がマシだったという後悔が発生し、民主党オバマ政権のChangeに対して、懐疑的な印象が広まっている。