2009-08-21

「夏」という名前のスポーツ種目があった

かつてより日本には「夏」という名前のスポーツ種目があって、それは相当な規模の競技人口だった。

「夏」は、テニスや卓球などのようにシングルスで競技を行うことができない。

基本的には2人以上でないと競技として成立しない。

シングルスを例外的に行うこともあるが、あくまで「非公式」。正式な記録として協会に公認されることはない。

そのルールは一見、知らない人々にとっては無限大に見えるかもしれないが、実際はきわめてシンプルだ。

要するに、「如何にして試合開始以降の3ヵ月間を、自分が楽しんでいるように"見せるか"」。それに尽きる。

どんな道具を使用しようが、誰をパートナーやチームメイトにしようが構わない。

試合開始前を含めてどれほど自分たちに投資をし、犠牲を生もうが減点はされない。


しかし公式スポーツ種目であるゆえ、審査には一定の基準を設けなければならない。

競技者本人が実際どれほど満ち足りていようが不本意であろうが、それは審査に介在することは困難になる。

結局はより多くの人が楽しいと感じるような、もとい「楽しんでいるように見える」パターンを適用していくしかないのだ。

もし私自身が「3ヶ月間自宅アパートに引きこもり続けて誰にも会わず積読本を消化したり増田に糞エントリを投稿する」という「夏」が

他のどんな過ごし方よりも楽しく充実していると感じていたとしても、古典競技種目である「夏」の審査には反映されない。

海にも花火にも旅行にも行かず夏服も水着も浴衣も買わず知人友人恋人自家用車をもたず親戚を避け心霊現象にも遭遇せず投票日を忘れ

ただたんぱく質や脂肪や糖の摂取と排泄を繰り返しその合間に血が出るほど耳掃除をしたりネット上の小中学生に誤ったネチケットを説くのが

当人ひとりにとっては失禁するほど楽しいとしてもだ。

実際は糞つまらないと感じていたとしても、

友人と海に行った際に恋人をつくりおいしいパスタを作ってもらい避妊に失敗して連絡が取れなくなりもう信じられないと別れたものの2日でヨリを戻し

おいしいパスタを作り実家に連れて行き田舎へ連れて行かれ遺産相続と車の改造作業に巻き込まれる方がよほど高得点とされてしまう。

いい加減、理不尽ではないだろうか?このスポーツは。

古典競技種目発祥なのだから、もっと病める現代人にやさしいルール改定やシングルスの公式化を視野に入れるべきではないだろうか?

それらを新たに組み込み「ソフト夏」とか言って。「モダン夏」でもいいよ。おいしそうだし。

ニュースポーツ入門書の棚の隅に、そっと置いてはくれまいか。

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