たまに心が落ち着かない。そんな夜って、あるよね。
たまに、無性に、悲しい。そんな夜って、あるよね。
あきらめのつかないことばかり、あるよね。許したくないことばかり、あるよね。ぷりぷり怒ってたら、でもそれ、同族嫌悪だったって、あるよね。ね。ね。
くだらねえ。何もかも。いいや、くだらなくはない。諦めたい。何もかも。いいえ、諦めたらそこで終わり。諦めたふりばかり、何もかも分かったような顔ばかり、うまくなっていく。ひとつ、確認し、ひとつ、安心し、そうしてまたひとつ、不安を抱え込む。終わりのないいたちごっこと知りながら繰り返してしまうのは、結局そうやって、悩んだり苦しんだりすることが、気持ちいいのだろう。と、私がいった。
いつも自己分析に終始している。そうしていつも、死にたい。という、適当なことを、いっている。何もかも分かったような顔ばかり、何もかも知っていて、何もかもに退屈している、とばかりのポーズばかり、うまくなっていくが、けれど、当の本人は、本当は何にも知らない。実に、無知である。と、適当なことばかり書き連ねて、それでお茶を濁している。くだらねえ。死にたい。という、嘘ばかりついている。
要するに、暇なんだな。要するに、余裕がありすぎて、頭のなかがこんがらがってしまうのだな。要するに、お前、つまらない人間なのだな。と、私がいった。不愉快とか、くそっおもしろくもないことって、人間、たくさん、あるよね。でもその罠に引っかかったら負けなのさ。その罠に引っかかり、同じレベルで、くだらない言い合いをしだしたら、終わりなのさ。要するに、暇すぎて、死ぬる。という、嘘ばかり、ついている。
歳をとって分かったことは、どこにも正解がないということ。歳をとって分かったことは、みな不確かな道を手探りで歩いているということ。歳をとって分かったことは、誰も何も知らないってこと。苦痛を緩和する手だてはない。身を寄せるに足る性戯はない。あ、性戯はあったが、正義は、ない。正しく、大手を振って歩き、他人の頬を、その伸びきった爪で掻ききっていい正義など、ない。
歳をとって分かったことは、何でもかんでも自分で決めなくてはいけないということ。ずっとずっと、強く、大きく、確からしいものに頼ってきたから、歳をとっても、正しいことが、決められない。という、嘘ばかり、ついている。