今どきかざぐるまを売っている屋台なんて滅多にお目にかかれない。
久しぶりに手にしたかざぐるまは赤と青のプラスティックの羽。
ふうっと息を吹きかけると、からからと回り始める。
回り始めたのはかざぐるまだけだろうか。
いや、そうではない。
だんだんと、回りはじめたのだ。
だんだんと。
そうして私は、、、、
いや、どうかしている。
回りはじめたんじゃない。
あれは最初から回っていた。
今まで私が気付かなかっただけだ。
だとすれば、なぜ私は気付かなかったのか?
そして吸い込まれるように私は「あれ」を見つめ続ける。
「あれ」はかざぐるまよりも速く、軽快に回り続けていた。
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