どちらを見ても底まで暗い。私は手を伸ばすことができない。手を伸ばして何を掴めばいいのか分からない。どうすれば何かを掴めるのか分からないから。君は考えすぎなんだよと先輩は言う。とりあえず手を伸ばしてみればいいじゃないかと先輩は言う。手を伸ばせば分かることもある。手を伸ばさないと分からないことがある。けれど私は、手を伸ばす、という行動を取ることができない。ここが暗いからだ。原因から結果まで全ての過程が見えていないと私は動くことができない。ここは暗くて暗すぎて。結果なんて見えない、原因さえも見えない。私はなぜここにいるんだろう。どうして手を伸ばそうとしているんだろう。私は、何かを掴まなければならない気になっていたけれど、そうしなさいと誰かに言われたわけじゃない。手を伸ばす理由はない。ないのだ。とどまっている義務もない。どちらを見回しても何も見えない。完全なる闇は物質である。固形の暗黒は抵抗もなく私の視線を受け入れる。先輩はどこにいるんだろう。暗い。暗いのは怖い。光が欲しい。先を見たい。そうして私は手を伸ばす。やはり目の前は暗闇に満ち、伸ばした指の先に光はない。
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ここは底まで暗い。私は手を伸ばすことができない。手を伸ばして何を掴めばいいのか分からない。どうすれば何かを掴めるのか分からないから。君は考えすぎなんだよと先輩は言う。とりあえず手を伸ばしてみればいいじゃないかと先輩は言う。手を伸ばせば分かることもある。手を伸ばさないと分からないことがある。けれど私は、手を伸ばす、という行動を取ることができない。ここが暗いからだ。原因から結果まで全ての過程が見えていないと私は動くことができない。ここは暗くて暗すぎて。結果なんて見えない、原因さえも見えない。私はなぜここにいるんだろう。どうして手を伸ばそうとしているんだろう。私は、何かを掴まなければならない気になっていたけれど、そうしなさいと誰かに言われたわけじゃない。手を伸ばす理由はない。ないのだ。ここにいる義務もない。ここを見回しても何も見えない。完全なる闇は物質である。固形の暗黒は抵抗もなく私の視線を受け入れる。先輩はどこにいるんだろう。暗い。暗いのは怖い。光が欲しい。先を見たい。そうして私は手を伸ばす。やはりここは暗闇に満ち、伸ばした指の先に光はない。
彼は自分の顔が嫌いだ。鏡を覗き込んでは鼻がもう少しまっすぐだったら、とか、口がもう少し小さかったら、などと考えて、そして数分後には諦める。気分によってはなかなかいいじゃないか、とか満足もするのだが、もちろんそんな時はそうそうないし、数時間後にふと窓や水面に映った自分に気付いてはいつもよりも更に落胆する羽目になる。
そんなに嫌だったら顔を変えればいいじゃないか、と誰かが言った。当然彼もそう思ったことは何度もあった。しかし美容整形外科の前に行くたびに彼は迷いはじめる。
やっぱり後戻りのできないことだからな、逃げ出したような気分になるんじゃないか?
いや、もし理想の顔になれたとしても、もしかしたらただ自信がないことだけが本当の問題で、理想の顔とやらにも不満は出てくるに違いない……
いや、全てはやってみなければわからないのでは……
いや、やはりやってしまってからでは遅いだろう、それに失敗でもしたら、それこそ失敗したところについて延々悩むことになる……
こうして迷っているうちに彼は疲れてしまい、毎回何もせず家に帰るのだった。彼の不満はいつまでたっても解決しない。
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なんかのとき作った習作をいじり回してたら案外上手くいった、かも。
夕暮れ。をバックに尖ったシルエット。は少し傾いた通信塔。から黒い線が伸びて視界を上下に分断している。そして雨靴の匂い。雨靴の焦げる臭い。
すぐに夢だと気付く。自分は夢を見ていると。私の行動範囲内に、こんな場所はない。
唾液を飲み込む。咽喉が少し痛んだ。かぜを引きかけているのかもしれない。覚醒夢なんて見ているのも、体調を崩しているからか。
このまま起きようと思えば起きられるのだろうか、と考えて、ふと、起きるのが惜しいような気分になりはじめた。妙だと思いつつ、しかし一方で納得してもいた。こんな夕暮れは見たことがない。こんな見事な夕日を実物で見たことがない。否、これも実物というわけではないが。
背後で音がした。私は夕日から眼を逸らしたくなかったので振り返らなかった。しかし、その音は、弟がソレを焼いている音だと気付いた。あるいは、気付いたのではなく、知っていた。見もせずに知ることが出来た。夢の中だからだ。
二つ下の弟は、こどものころ、字を消すのに使えないくらい小さくなったソレを熱心に集めていたのだった。カスを固めて筆箱に詰め込んでいたりもした。それも、自分が出したカスを集めるだけではなく、周りの級友達からも授業が終わる度にカスを回収していたという。流石に度が過ぎているといって、担任の教師によっては親へ連絡されたこともあった。二つ上の私はいつでも真新しくて四角いのを使っていたくて、だから、買ってはある程度使うとすぐに弟へ受け渡し、新品を親に強請ったものだった。
弟はソレを集めてどうしているのか。それは一家のだれにも謎のままで、弟は決して喋ろうとしなかった。私は一人で暮らすようになるまで弟と共同で八畳間を使っていたのだが、弟の雑然とした机の周りで、ちびたねずみ色のソレは一度も見たことがなかった。
ソレは、今、私の背後で焼かれている。そうか、弟は、集めたモノをこんなところで焼いていたのか。妙なことをしていたものだ。
弟は都会に出るのを前に、死んだ。免許を取ったばかりの同級生の車に同乗したのだった。弟も運転していた同級生も見つけられたときには死んでいたという。その他の詳しい状況はよく知らない。その頃、私は国外にいた。
空はもう半分以上が藍色だった。通信塔のシルエットが闇に溶け込んでしまうのは時間の問題だと思われた。
不意に風が変わった。周囲に漂っていた臭いが薄らいだ。しかし、依然背後には弟の気配がある。きっと、彼は熱心にソレが焼けるのを眺めているのだろう。口をだらしなく開けて、眼を輝かせるその表情が目に浮かぶようだった。そんな情景を見たことはなかったが。そんな弟を実際に見たことはなかったが。否、これも実際ではないのか。
私はいよいよ、この半端な夢から起きる決心が付かなくなっていた。
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「ソレ」だけはどうしても言い換えられなかった
「通信塔」「こども」「国外」も苦しいよね
難しいな、消失
『はてなダイアリーキーワードの消失』という実験的増田小説の形式を考えてみた。
誰か書いてみない?
申し訳ないけれど
しみじみ思う。
そして、もっとはやく切ってあげなくてごめんなさい、と
本当に申し訳なくて思う。
じわじわじわじわ、時間をかけてゆっくり痛めつけていたんだね、私。
ひとおもいに、痛めつけることが怖くて
ずるずる引き延ばしていたの。
そのほうがひどいってわかっていながら。
初めて送ってもらったとき私は酔っ払っていて、
ちゅーがしたくてしちゃったんだ。
で、酔いが醒めてからガクゼンとした。
なんてことしちゃったんだろうって。
「漢語を無理矢理ひらがなにして回避」
「なげやりな会話文だけで続ける」
「数単語で終わる」
という方法で比較的簡単に、きまりごとを満たすことはできるけど、
つまらなくなりがちだと思います。
でも、ある程度やらないときついし、
会話文がつまらないという訳じゃないので、さじ加減は各自で。