三島由紀夫は、「三島由紀夫」という一個の作品の結末はどうあるべきかを作者として考えた結果、やはり切腹であろうという結論に達して実行した。
やたら国粋主義的なことを言ってみたり兵隊ごっこをやってみたり市ヶ谷駐屯地でファナティックな演説をして自衛隊の決起を促したりとかそういうのは全部作者が登場人物に与えるキャラ設定であって、自分の言ってることを本気で信じていたわけじゃない。
最後の小説『天人五衰』は夏ごろに書き上げていたにもかかわらず、最後のページには「昭和四五年一一月二五日」と、自決した日付が書いてある。つまり、その日に三島由紀夫という作品が完成することを知っていたから。
ではなぜ11月25日でなければならなかったのかというと、これはデビュー作の『仮面の告白』の起筆の日付でもあるから。
すべてシナリオ通り・演出通りの死であって、右翼的思想とかは一切関係ない。
平岡公威はん? そんなひと、いらっしゃいましたかなぁ・・・