2008-10-23

僕のクラスには「イカトウ」と呼ぶにふさわしい人が居る

「イカトウ」とは「いかにも東大生」の略で、主に秋葉系の人を形容するために、あまりポジティブで無い意味で使われることが多い言葉である。

チェックのシャツとよくわからないバッグを愛用する彼は、つねに一番前の席に陣取り、趣味は勉強と公言してはばからない、そういう男だ。

一学期15個もの優を積み上げた彼に皆は一目置きつつも、

「凄いけど、あいつみたいになりたいとは思わないよな」と、どこか見下している部分があるのだった。

そんな彼と講義がかぶる機会、それも知り合いは彼だけ、というようなことが最近何回かあって、それなりに話をした。

――凄さを知った。

彼はまじめな人間には違いないけれど、ただ与えられた課題を忠実にこなすだけの人間では無かった。

みずから学ぶことを求める主体性と、やると決めたら学びに打ち込む強い意思の力を持っていた。

経済学の授業。教授はハイエクが好みらしく、よくハイエクの名が講義中に現れていた。

ハイエクの思想について尋ねた僕に対し、彼は他の経済学者と比較しながら、簡潔でわかりやすい説明をしてくれたのだった

ハイエクの著作は読んだことがある、と言っていた。講義の内容は簡単だが、今読んでいる経済学の本について教授に質問するため、来週もその講義に出るつもりだと彼は言った。

よく見てみると、彼はちょっとした時間を見つけては本を読んでいた。

講義で一番前の席に座りながらも、教授が基本的なやや冗長とも思える話をしている間に上手く時間を活用して本から学んでいるのだった。

しかも、見るたびに彼の手にある本は違っているのだった。

現在、単位数に余裕のある彼は、単位に縛られることなく、興味のあることを扱う回だけ出席したり

まだ受講権利の無い工学部の授業を覗きにいったりしているらしい。

尊敬出来る人に出会えたということは幸せなことである。

俺のまわりにはこんな凄い人が居るんだぜ、というちょっとした自慢。

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