宝の地図を追っていく内にどんどん右傾化して軍事組織を立ち上げる主人公。それは彼の父が生前に仕組んだ筋書き通りだった。
父は叩き上げの将軍で、過剰なカリスマ性を危険視された排除対象だった。彼はそれを理解し各地に「種」を蒔いていた。宝の地図、未来の他人を自分の現在の思想と同期させる仕組み、そしてそれが実行しやすい人間の作成、つまり文字通りの子種。
彼はついに権威の根拠となる「玉」まで入手したが、官も民も彼の非情で合理一辺倒の手法に反発しており、掲げた権威も虚しく処刑される。処刑前夜に「玉」と「種」を逃がして宝の地図を発動させたのである。
宝の地図は「種」を芽吹かせる仕組みであり「玉」への道筋でもある。それは今世においては紛れもない王道だが、父が最後まで理解できなかった人心を欠いているのであった。