はてなキーワード: 減反とは
いろんな人がいろいろ、そして概ね好意的に書いてくれて面白かった。
いくつか触れておきたいトピックがあったので、農業の中の人として個人的な見解と感想を書いておこうと思う。
そういえば、一つ書き忘れたんだけど、借地料について。
ミスタイプではないです。300坪、年間で6000円。
なんで直進が必要かというと、作物を均質に作るために均等な環境を用意するため。
つまり同じ深さで耕して、同じ量の肥料を撒いて、同じだけの根圏を用意するためなんだけど、
圃場の長さが70mくらいなら目印なく直進できるけど、100m超えたあたりから絶対曲がるんだわ。
ただそんな圃場は当地にはほとんどないので、僕らの地域にはいらんけど。
水稲の農薬って剤形もいろいろあるんだけど、幅が40m超えたあたり?からどうやっても水田の中を歩かないといけなくなってくる。
水田の中なんてできれば、歩きたくないのよ。うちでも40枚くらい、ほんとの大規模なら何百枚も田んぼあるのよ。
それは違う。効率を重視しすぎた結果、人間が対応できなくなっただけ。
効率的な肉体労働は、効率的に疲労を生み出し、効率的に人間の体を壊す。
ネギを抜くにしてもそう、手で抜くのか、腰で抜くのか、足で抜くのかを変えるんだ。
一番早いやり方でやり続ければ、必ず体のどこかが痛くなる。
でも足の置き方変えたり、肘を体につけて支点を変えたり、ネギを順手で持つか逆手で持つか変えたり、
出力に使う筋肉はできるだけ大きい筋肉、例えば背筋を使うのか大臀筋を使うのか、こういうのを意識的に変えたりすれば、
少し効率は悪くなるけど、ずっと続けて(休憩はいるけど)作業できる。
こういうのを教えるのは大変なんだ。言葉が通じないと尚更。
うちは日本人。ここでいう外国人というのは、外国人技能実習生のことを指してのことだろう。
この制度に賛成か反対かは政治的な議論になってしまうから避けたいところ。
利益とリスクという観点から日本人を雇用するという選択をした理由は以下2点。
1、制度の建前と実行内容が矛盾している。突然はしごをを外される可能性がある。
研修生という名目で労働力を得ているのはよく言われる通りだと思う。
ただ、研修生も技術を持ち帰るためではなく金を稼ぐために来ているというのもあり、どっちもどっちだとも思う。
技術を持ち帰るのであれば、きちんと農学を学んだ人が来るべきだと思う。
そもそも日本の農業には参考になる点はあっても、技術をそのまま母国に持ち帰っても使えないはずだ。
日本の気候は特殊すぎる。暖かすぎず、寒すぎず、四季がある。世界で最も雪が降る。各地で気候が違いすぎる。
冬がなければ、土中の有機物が年中分解し続けてしまうので肥沃さが失われる。
寒すぎれば泥炭のように未分解の有機物が溜まりすぎてこれまた作れるものが限られる。
それに火山灰土が多い、当然だが火山がなければ火山灰土はない。
そんな絶妙なバランスの中で培われた技術が日本の農業であって、だからこそ日本各地に農業改良普及センターが存在する。
気候や土が違えば技術が変わるし、技術を選択できる領域に達するのに2-3年は短すぎる。
他業界と比較して農業の特殊性を訴えるアプローチは嫌いなのだけど、
研修という名目で人を入れているのに、どう考えても研修自体が成立しないのだ、
大体、外国で研修しなくても、モナコ・シンガポールのような都市国家は除いてどんな国にも自国に農業はある。
国際世論からバッシングを受けたら制度自体が突然なくなっても不思議ではない。
人がいなくなってどうしようもなくなったら、規模縮小せざるをえない。
規模拡大の阻害要因は農地の獲得だが、規模縮小の阻害要因は借金だ。
一度大きくするために借金してしまったら、土地を返して済む話ではなくなってしまう。
今現在、農家数が著しく減少している、それは農政が票田として魅力的ではなくなることを意味する。
はしご外しはされるべくしてされたのだ。
全然関係ないけど、ホンダのアクティがなくなったのも農家数減少のせいだと思っている。
当地は夏秋作が中心の地域だ。12月から3月までは農作物はほとんどできないし、土は凍結している。
一度、トラクターを動かそうと思って地面に置いてあったロータリー持ち上げたら爪が折れてしまった。氷は恐ろしく固い。
日本人なら年間の変形労働制で対応できるが、外国人技能実習生はそれができないはずだ。(たぶん)
農業は仕事がない時はないのだ。稼げる時にしっかり稼いで、稼げない時は充電期間だ。
強引に自然に逆らうと利益は出ない。ちょっと逆らうくらいがちょうどいい。
●個人で売って儲けてる実績はある?農協と喧嘩するとどうなる?
これは国が助成金をもらった新規就農者にアンケートを取って調査した実績がある。
内容がネットで公開されているかは分からないし、僕も見た後に捨ててしまったのでソースを示せないのが残念。
記憶では個人販売で儲かるのはコメ。野菜は難しいという結果が出ている。
野菜はあっという間に悪くなるので在庫がほとんど持てない。取れる量も気温と日照で倍くらい余裕で変わる。
値段をつけられないが全量取ってくれる市場に出荷する方がロスが少なく圧倒的に楽。
農協の取り分は3%ほど。なお運賃・予冷代・箱代などは別でかかる。
農協は優秀よ。運賃なんて1箱数十円、個人ではトラックのチャーター便とか出せないからね。
あのインフラは生かすべき。
農協については、まず誤解を解くところから始めなければいけない。
今ここでいう農協とは単協、つまり農協組織の末端である地域の農協のみを指す。
農協解体とか言われるのは単協の上部組織の全農とか中央会とかの、つまり農協のための農協のことだ。
前提として、農協は敵対する組織ではない。言うなれば農家自身だ。
農家が集まって作った協同組合という体になっていて、農家は生産者であり出資者でもあり、顧客(肥料などの購入)でもある。
株式会社との一番の違いは、出資額や出荷額に関係なく一人一票制という民主的な組織であるという点。
意思決定において販売額が10万円でも1千万円でも権利は変わらない。
小さくても人が集まれば政治が発生する。農協がノーというのは、実は農業者の世論?がノーと言っているのである。
僕が農協と喧嘩をするということは、地域農家と喧嘩をするということであり、それは絶対に得策ではない。
ましてや僕のような移住者を支えるのは、地元出身の農業者からの信頼と必要性だ。
角界を維持し盛り上げるのに必要だから存在が許されるのであって、役割を終えたら国に帰る。理事会にまで入ることはない。
(それほど相撲に詳しいわけではないので、間違ってたらすまん。でも年寄りは相撲が好きだ。だからこの話は通じやすい。)
地域の農業には歴史がある。それをちゃんと理解し、説得し、それで初めて若者として提案ができる。
そう、若いだけで目立つ、目立ちすぎる。
なにせ60歳で「期待のルーキー」とか呼ばれる業界だ、40歳未満の若造なんてどう見られるか想像してもらいたい。
でも農協職員は農協ではないのだ。彼らは転属になって数年でいなくなる。
僕らが向き合うのは農協職員ではなく、これまで地域農業を支えてきた方々だ。
●青年就農給付金(現 農業次世代人材投資金)の効果はあったか
僕もこの制度は使わせてもらった。150万円ね。
150万の計算根拠は当時の最賃で月160時間程度働くと大体年間150万円くらいだからと理解している。
僕個人で言えば本当にありがたく有効に使わせてもらった。もらったお金は全部農機具に変わった。
ただし全体で見れば追跡調査の結果、5年後の給付金打ち切りとともに経営が成り立たなくなるケースが多かったとのこと。
この調査結果は公開されていると思うので、興味があれば調べて欲しい。
当時は制度が始まったばかりでアラが多かったけれども、今はだいぶ洗練wされて、条件が厳しくなってもらいにくくなっているはず。
当時の専門はWebプログラミング。SE続けてもそこそこ稼げたと思う。
多分生まれるのが20年早くってメインフレーム触ってるような時代だったらそのまま続けていただろうね。
そういうプログラミングは大好きだった。
ちょっと偉くなったところで社内で事業を立ち上げるようなものが求められるようになって、
僕にそういう企画力はなかった。
僕はHackしているのが好きだったのだ。
農業は実にHackしがいがある。いいところに流れ着いたものだ。
確かに稼ぎは多くない。
でも、農家が稼げる時というのは食糧危機の時だ。そんな時はもうきてはならない。
実は農業に限らず法人がもらえる補助金はとても種類が多く、給与所得者の多くは遠回りに恩恵に預かっている。
DanKogaiがツイートしていたように、雇用が社会保障のチャンネルになってしまっているからだ。
問題は農業の事業体がほとんどが個人であって、事業と個人の財布が区別されていないことにある。
だけどこれもじきに解決していくと思う。
大規模になればなるほど、個人の財産では事業の赤字・負債を処理できなくなっていく。
税務署は貸借対照表の左右が合わなくても受け取ってくれるそうだが、
(いくら儲かっていくら払ってくれるの?ってのが分かれば、税務署的には問題ない)
そんな会計していたら回らない。
農家がどうやって食っているのかという元エントリーの話に戻すと、
兼業や年金などで誤魔化していて農業では食っていないというのが、おじいちゃん農家の大多数の実情だ。
規模が小さければそれができる。プラマイゼロくらいには割と容易にできるし、それで十分だと思う。
その上食っていけているなら、それは仕事として必要十分ではないだろうか。
僕は定年後に農業を始めたいという60歳くらいの人は応援したいと思うし、ウェルカムです。
どうか、農家を生かさず殺さずにしておいてもらえればありがたい。
これは謙遜しているのではない。
金をジャブジャブ投入されたら、それは何も考えなくなる。
金がありすぎるのは、ないよりも問題だ。少し足りないくらいが一番いい。
アグリテックについて書いて欲しいと言ってくれた人、ありがとう。
今は過渡期で、ネットで言えばADSLを普及してるような段階だと思うよ。
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農地は農家でなければ借りられない。しかし農家になるには農地がなければならない。
ニワトリタマゴみたいなこの参入障壁を非農家は越えなければいけない。
どうやって超えるかは書かないので調べてね。
追記2:ネギが1本5円になったらどうすんの?ってブコメがあったので。
それはネギ作るのやめるよ。機械投資の回収も全て諦める。これまで学んで身につけた栽培技術も全て捨てる。
未練はない。埋没原価は回収できないから埋没なんだ。何をしてきたかではなく、これから何ができるかだけを考える。
借金は?ってなるけど、詳しく書かないがそれをカバーする金融スキームは存在する。大丈夫。
事業の失敗は事業で取り戻すしかないんだ。もう個人資産でカバーできる範囲は超えてるんだから。
明日から5円になったら、ネギ畑を半分潰して5年経験があるブロッコリー作るかな。
6/15播種なら9/5には採れる、めっちゃギリだけどネギ収穫開始をカバーできるな。
育苗期間が25日ほどあるので、とりあえず播種だけして、その間がネギを潰すかの検討できる猶予期間になる。
作ったことない作型ではあるけど、技術的なフォローは種苗会社・普及センターがやってくれるし、栽培している仲間もいる。
それ以外にも考えられる方法はまだいくつかある。こんな感じでオプションは存在する。
僕のネギを待っていてくれるお客さんがいて、その人が再生産価格を出してくれるのであればその分は栽培は続ける。
中国に勝てる?って言われても、僕は別に中国と勝負してるわけじゃないし、
日本のネギ栽培の運命背負ってるわけでもないので、戦わないという選択をするね。
前提を崩すようで悪いが、ネギ1本5円は産業構造上、実現しないと思われる。
輸入は青果業者がする。青果業者が全国に販売するには市場というインフラを使うわけだが、
市場は手数料を売上からパーセンテージで取る商売なので、そもそもそんな安いくせにかさばるものは取り扱いたくない。
どんなスーパー・外食チェーンであっても、市場の世話に全くならないところはないだろう。
それ故、そのネギはシェアを取ることはできない。多分市場に到達する前にどこかで、市場価格まで上がるだろう。
普通に考えれば生産業者の総取りになり、5円でネギを作れる業者はウハウハだろうけど、
大量に作りすぎても販売上不利になってしまうので、ほどほどのところでやめるのではないか。
風が吹けば桶屋が儲かるくらい遠い話のような気がするが、こう聞けば納得してもらえるだろう。
安いものは消費者は喜ぶだろう。でもそれに関わる業者は適切な利益が取れなければ、産業として成立しない。
農家はしぶといよ。じゃないとやってられない、心がもたない。
就農初年度に建てたビニールハウス、100年に1度の大雪で潰れかけて徹夜で雪下ろししてなんとか守ったのに、
それは「訴えたい相手がその思想にならっても何のメリットもない」ということ。
「差別的発言するな!」と言われて口をふさがれて何のメリットがある?相手側から言いたい放題言われるだけ。
現に慰安婦問題なんか黙ってたがゆえに取り返しのつかないまでに韓国側のデマが浸透してる。
「女性の権利守れ!男は譲れ!」ってそれ守ってなんかメリットあるか?
女性側の要求がガンガン拡大してきて男性が息苦しくなってくだけじゃん。
表現は縛られ、些細なことでびくびくして生きていかなきゃならん。
で、こういうメリットのないことを相手に押し付ける思想を守ろうというやつがどれだけいる?
いい加減反省したらどうだ。
なんでか?
土地が高い? >> そもそも減反政策をしている つまり米用の土地は余ってるし、地方の土地なんて安い。
そもそも収益その物は1世帯あたり1000万を超える >> が 経費や借金が多すぎて現金収入が少ない
なんで経費が多いのか? >> 1世帯あたりの耕作量が少ない
から、トラクター買ってもそのトラクターで耕す面積が小さすぎて経費負担が高い。
1世帯あたりの耕作量が少ないのは土地が足りないのではなく、米あまり。
つまり、農業技術も高くて土地や水もある日本はアメリカ並みに安い米を大量に生産することも 技術的には可能
そして、それは、農業の会社化なんてしなくても、今の農家にでもおそらくは可能 耕作量を増やせばいいだけだし、実際 米はもっと作れる(でなければ減反しない)
したがって、単純に農業を会社化しただけでは、農産物は安くならない。 なぜなら、そもそも生産力の問題や近代化の問題ではないから。
純粋にね、国防とか飢えに備えるためならば、主食はトウモロコシ。寒冷地ではジャガイモ。
北朝鮮はそれをやってる。
そもそもさ、米を選択する理由ってなんだと思う?
(土地の特性)×(その作物の収率)×(その作物の売価)
日本のほとんどの地域で、これを最大にさせるものが、コメだった。
収率がいいのは認める。
土地あたりどれだけのカロリーのある作物を生産できるかといえば、トウモロコシの出現を待つまでコメはトップだった。
しかし、それぞれの土地の特性を考慮しても、その収量面で魅力的な作物だったかといえば、そうではないと思う。
江戸時代の中頃までは、寒冷地は稗粟蕎麦を作っていたし、小麦だってかなりあった。
やはり、売価だ。
税の歴史を各国で比べると、ほとんどの国で税の最初は物納だった。
貨幣経済が発達するにしたがって、物納だった税金を、貨幣に変えた。
おそるべしコメ本位制。
コメ価格の高騰と下落を防ぐために、幕府が買いオペ、売りオペまでやるという徹底ぶり。
そりゃコメを作るよ。
俺だって、日本銀行券を自宅で印刷していいってんなら刷るもん。
明治以降、水田一辺倒だったのが、工業用地に転向していくし、新しく開墾した土地を桑畑けにしたり、水田面積は減りはしないものの、新しい土地は違う使い方を始めたりして相対的に水田率は減る。
農家一件あたりの面積は平均で1ヘクタール(わかりやすくいえば100m四方)
東北が「米どころ」の地位を確立したのは戦後だという歴史は、意外と知られていない。熱帯原産の商品作物であるコメは、東北では大正期まで収量が低かった。それが変わった背景は、農業技術の進歩もあるが、東京市場の膨張、戦中と敗戦後の食糧増産政策、戦前のコメ供給地だった朝鮮と台湾の分離などである。こうして東北は、米・野菜・水産物などの東京への供給地となった。
また東北は、東京への低廉な労働力の供給地だった。高度成長期の集団就職や出稼ぎだけでなく、高卒農村女性を始めとした低賃金の非正規労働者の存在が、下請け部品工場などを東北に誘致する力となった。
さらに東北は、東京への電力の供給地だった。コメが減反に転じ、過疎化が進んだ高度成長末期から、原発と交付金が誘致された。沖縄に基地が集中したように、福島と福井には東京と大阪に電力を供給する原発が集中し、他に産業のない地元の人びとが働いた。こうして穀倉地帯に原発が集中するリスクが生じた。
1990年代以後のグローバリゼーションの中で、一次産品と労働力の供給地としての東北は、アジアとの競争にさらされた。いっそうの過疎化と高齢化、小商店や公共交通機関の衰退が進んだ。点在する小集落から生活物資を買いに行くのも自動車に頼らざるをえなくなり、地域の命綱となったガソリンスタンドも過疎化による経営難で減少している。
今回の震災では、原発事故と電力危機、放射能による農水産物汚染、ガソリン不足と物流停滞、高齢被災者の多さ、部品工場の被災による部品供給網の寸断などが重なった。これらは上記のような地域で震災がおきれば、必然的に発生しうる事態である。これを想定外の複合災害のように東京のメディアが論じるなら、それは地震といえば関東大震災や阪神大震災のような都市型災害しか想定していなかった、無意識の東京中心主義の限界というほかない。
復興も、関東大震災や阪神大震災とは条件が違う。消費地である都市の復興と異なり、生産地の復興は、都市計画や防災を中心に論じても限界がある。また神戸は大阪に隣接して雇用もあり、経済活動の一時移転もできた。だが今回は、2030年までに人口3割減さえ予測されていた過疎地が生産基盤を失った。
復興に水をさしたくはないが、懸念されるのはいっそうの過疎化だ。グローバル資本とグローバルシティーにとって、食料と労働力の供給地は東北である必要はない。20世紀の国内分業で位置を定められてきた東北は、21世紀の国際分業競争の渦中で打撃をうけた。地震と電力供給のリスクがある東北から工場を海外へ移す動向も予想されている。町をまるごと失い、放射能におびえ、仕事と安全の未来もみえない状態が続けば、若者から先に東北を離れてゆく。この現実を直視し、日本の構造と東北の位置を変える意志を東京側も含めて共有せずには、防災都市やエコタウンの構想も新築の過疎地と財政赤字を残すだけに終わりかねず、原発に頼らない地域社会も作れない。
復興の前提は、原発事故の大局的対策だ。放射能漏れを伴う綱渡りの冷却が数ヶ月は続く。放射能の放出は3月より減ったが、再度の大放出の恐れは残っている。政府は矛盾だらけの暫定措置(飲料水の放射能基準値が原発の排水の7倍など)のつぎはぎを超え、さらなる避難拡大や経済的・国際的影響など、あらゆる事態を想定した長期戦略を公表して国民を納得させてほしい。何もしらされずに非常事態になれば、かえってパニックがおきる。「最悪の事態になれば東日本がつぶれる」と発言した菅首相なら、そうした戦略を立てる意志はお持ちと思う。少なくとも「想定外だった」という言葉だけは、世界中の誰も聞きたがってはいない。
震災後には、「がんばれニッポン」という言葉が躍った。だが震災が浮き彫りにしたのは、「ニッポン」の一語で形容するにはあまりに分断されている、近代日本の姿である。
朝日新聞4月28日 あすを探る 思想・歴史 ( via http://twitpic.com/4u59mv )
一人の空白男が公園のベンチに座っていた。男は会社で大きなミスを犯し、馘首になることが確定だった。
「はぁ…」
出るのは溜息ばかり。ベンチの足元では、梅雨の晴れ間を愉しむかのように、小スズメたちが砂浴びに勤しんでいた。
ふと戯れに、食べ残しのカロリーメイトの欠片を小スズメたちの近くに投げてやると、一瞬驚いて後ろずさったあと、そろそろと近づき、ツンツンとついばみ出した。
「ああ、都会のスズメはこういう物も食べるんだ」
そう思いながら、その愛らしい姿に、男の心も多少は晴れるのだった。
その日の夜。
ここ数カ月誰も訪ねてきたことがない男のアパートに誰かが訪れた。コンコンと玄関のドアがノックされる。
不審に思いながらもドアを開けると、高校生位の少年が立っていた。
「あの、どちらさまですか?」
「あ、僕、スズメです。昼間のお礼にお伺いしました」
少年はそう告げる。スズメって誰だっけ?どこかの私立高校っぽい制服を着崩した、町で普通に見かけるような少年だが、どこかで見たことがあるような無いような感じ。でも、全く心当たりがない。
「えっと、誰だか心当たりが無いんだけど。他の部屋と間違って無い?」
男はやや困惑しながら答えた。
「だからさあ、今日、カロリーメイト呉れたじゃん。そのお礼に来たんだよ。だから、とりあえず中に入れてよ」
なんだか強引な申し出だけど、まあ、どうせ明日から会社に行く必要もないし、手持ち無沙汰で暇だし。そう考えると、男は不思議な少年を部屋へと招き入れた。
「だから、恩返しをするために人間の姿になったんだけど。人間の捨てた雑誌に載ってたタッキーという人みたいに変身しました」
ああなるほど、それでどこかで見覚えのある顔だと思ったのか。少年曰く、小娘達に大人気らしいですよとのことだけど、随分古い雑誌を参考にしたような気がしないでもない。もっとも、冴えないオッサンにとっては、男の子のアイドルなんで顔と名前が一致した試しが無いのだが。
「それでどうします?とりあえず全部脱いだほうがいいですか?それとも制服着てるのが萌えます?」
「はぁ?」
「だって、スズメに出来る事ってそれくらいじゃないですか。それとも、新しい就職を紹介するとか、次の競馬のレースの当たり馬券を予想するとか、そんな事出来ると思ってたんすか?」
少年は、なんだか少し怒った口調で答える。
「例えば鶴の恩返しだと、主人公の男のもとに美女が訪れるんだけど、なんで男の子なの?それに君、未成年でしょ?」
「なんでって言われても、僕、男ですから。そもそも、スズメが人間になっているという超常現象を前にして、そんな些細な事にこだわるのはナンセンスですよ」
まあ、確かにそうだが些細な事なのだろうか。かといって、これじゃ、お礼なのか嫌がらせなのか判然としない。
「せめて女装するとか」
にべもない。仕方が無いので、少し話題を変えてみる。
「ところで、スズメってカロリーメイトとかも食べるのな。てっきり、稲穂か米粒しか食べないと思ってたんだけど」
少年がアハハと笑いながら答える。
「そんなの食ってるのは田舎のスズメだけっすね。都会のスズメは何でも食べますよ。どっかの糞ガキが引っ剥がしたカサブタとか、酔っぱらいのオッサンが吐き出したゲロとか」
「ゲ、ゲロとか食べるんだ」
男が少し嫌な顔をしたのを見て、少年はムっとして答える。
「そ、そりゃ、最初は超抵抗があったけど、食べると意外と慣れるというか。人間もクサヤとか納豆とか食べるっしょ。それと一緒です。今日もここに来る前に少し食べました」
今日も食べたのか。そんなもの食べて貰いゲロしないのだろうかと、スズメのタフさに少し感心したりする。
「ところで、ゲロだとかカサブタだとか、そういうの食べた時もお礼するの?それとも特別な食べ物だけ?」
「あ、いいところに気づきましたね」
少年がニッコリと微笑む。
「食べ物を呉れた人がわかる場合だけっすね。糞ガキはカサブタを落としたあとにワーっと走って消えちゃうし、酔っぱらいはゲロを吐いたあとに千鳥足で居なくなちゃうし。たまにゲロの海で溺れてる奴が居ますが、そういう場合はお礼に伺います。でも、あなたのゲロを食べましたというと、大体玄関先で帰れって言われちゃいます」
男と少年は顔を見合わせて笑った。
「それで、俺のところにはお礼に来たんだ」
「そうですね。あのあとフラフラとこのアパートに帰っちゃいましたから。正直、客観的に見て冴えないオッサンであるところのあなたに抱かれるのは不本意ですが、礼を失してはスズメ一族の名折れですから。どうぞ遠慮無く」
少年が悲痛な表情で男の目を見る。
失礼なことをいう奴だが、紛れもない事実なので聞かなかったことにしておこう。それにゲロを食った口でキスされてもなあ。
「もういいよ」
「え?」
「気持ちだけでいいよ。何もしなくていい」
その言葉を聞いて、少年に明らかな安堵の表情が浮かぶ。男も少しはいいことをしたかな、という気分になった。
「自民党が1970年から始めた減反政策や、日本列島改造論以降の宅地開発による農地減少、それにコンバインの性能向上により落穂が少なくなったりと、スズメも結構大変なんっすよ。たからオジサンも頑張ってね」
少年はそういい残すと男のアパートをあとにした。妙に弁が立つけど、誰から入知恵されているのだろうか、そもそも本当にスズメだったのだろうか、男はそんなことを考えながら、ぬるくなった缶ビールを飲み干した。
少年がアパートから出てくると、佐々木希似の少女が一目散に駆け寄った。
「ねえ、大丈夫だった?何もされなかった?」
「大丈夫。ちょろいもんさ」
少年がニッと笑う。
「つーかさ、俺たちが居たんだから、女のお前がお礼にいっても良かったんだけどな。あのオッサン全然気づかないんでやんの。だから会社を馘首になるようなマヌケなんだよ」
二人で顔を見合わせてクスリと笑う。
「でも、最近はどっちでも喰える連中が増えてきて、このテクニックもだんだん使えなくなってきたけどな。おかげで俺たちスズメは減少の一途…」
そうつぶやくと、二羽は暗闇の中を自分たちのねぐらへと飛んでいった。
※元ヌタは、@上海です。(´ー`)y-~~。
減反廃止によるコメ価格下落のメリットは競争力というより消費者メリットがメインでは?ftaだって同様。さらに減反するための補助金とかの負担もなくせる。競争力どうのこうのは農家を説得しやすくするための御伽噺じゃないのと思う。
よく「減反廃止してコメ価格を自由化(=下落)させれば、零細農家がコメ生産から手を引いて、
農地が大規模農家に集約されて、コメの競争力が上がる」という経済評論家とか、
「事情通ぶっているブロガー」があるが、米価のパラドックスをご存知ないようだ。
減反が廃止されてコメ価格が自由化されれば、零細農家の「赤字幅」はもっと拡大するだろう。
そこまでは表面的な数字で判る事実である。
しかし、赤字幅が拡大しても、「零細農家が、赤字拡大を理由としてコメ生産から手を引く」
可能性は、訳知りなブロガーが思っているほど、多くない。
訳知りなブロガーは、「実際のコメ生産農家の赤字幅」の数値を見て議論していないので、
議論のための議論に陥っている。
で、自分なりに試算してみると、
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/pdf/agri.pdf
0.5ヘクタール未満の零細農家の場合、
「売上」、即ちキャッシュインは、
確かにわずか「62万円」であり、「微々たる額」である。
しかし、「キャッシュアウトする経費」も、
結局39万円程度である。
で、実はキャッシュフローベースでは「22万円の黒字」になる。
「バーチャル経費」として差引いた場合、
「36万円の赤字」になるのだが、そもそも零細農家は、
家族の労賃などを「経費として差引く」という概念を、そもそも持ち合わせていない。
なぜなら、0.5ヘクタール未満の零細農家の労働時間は、年間わずか229時間だから。
趣味に対して「その労働時間を経費として見るべき」と大上段な意見を述べる方が
アホでありナンセンスである。
なので、仮に米価が半額に30%下落したら、「売上」は
62万円×70%=43万円になるが、それでも「キャッシュベースではトントン」であり、
つまり、30%程度の下落では、零細農家がコメ作りをやめるインセンティブにならない。
50%下落、つまり半減になったら、キャッシュフロー上は「8万円の赤字」だから、
家計簿をきっちり付けている農家のうち一部は、確かに「コメ作りをやめるか・・・」となるが、
8万円程度の赤字というのは、他の副業収入(兼業公務員の収入)で充分カバーできる額なので、
大半の農家は「半分趣味だから、コメ作りをやめない」のである。
つまり、半分趣味化しているコメ農業は、もはや経済原則によるコントロールが不可能なのである。
しかし、一方の大規模農家にとっては、米価の下げは深刻である。
大規模農家の場合、家族以外の労働力にも頼っていたりするので、
「労賃というのはバーチャルコストではなく、本当にコスト」なのである。
何より、趣味の農業じゃなく、「本当に農業をしている」彼らは、公務員収入のような
副収入がないので、米価の値下げが、即農業経営へのダメージになる。
つまり、
「経済原則によって、大規模コメ農家が淘汰される」というパラドックスが生じてしまう。