はてなキーワード: 教育勅語とは
問題の広島市長を始めとして杉田水脈議員とかいつもの面子は教育勅語の中にもいいところはあるみたいなこと言っていて、畏れ多くも天皇のお言葉を切り取るのは右派(でいいのかあの人達)としてそれでいいのかとか疑問に思う。
実際戦前も勅語を改変するのは不敬だとかいう理由で解釈憲法みたいなことを繰り返していたらしいし。
んで反対派としては流石に親孝行とか兄弟仲良くみたいな一般的な徳目に文句つけてなくて、「一旦緩󠄁急󠄁アレハ義勇󠄁公󠄁ニ奉シ以テ天壤無窮󠄁ノ皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ」を問題視しているね。
国難があったときは国のために尽くせって個人の自由を大事にする今の価値観だと拒否反応が出るのは当然だろう、特に進歩的左派系知識人の人たちにとっては。
なぜか右派の人達もそこはこっそり隠そうとしているのが不思議なんだけれど。個人の自由より国家が大事的なことしょっちゅう言っているイメージなんだが。
でも国のために死ねってウクライナがやってなかったっけ。ロシアの侵略という緩急に対して義勇を公に奉じて銃を取れって言って成人男性の国外渡航を禁止までして徴兵していたじゃん。
んで最近日本に避難しているウクライナ人男性に対して著名左派はてなーが「お前国に帰って戦えや」って言い放ってたし。
そのあたり左派の人たちってどう折り合いつけてるのかな。
暇空茜がゆうきまさみのミームをよく引用しているわりに「ゆうきまさみが左翼的なツイートにいいねしてる」と最近怒っていた
内容知らないで切り取りに使ってるだけの奴かなり多いわ
>多喜二の件にしても南京事件や関東大震災の時の朝鮮人虐殺にしても、当事者が多数存命中には嘘だなんていうやつがほとんどいなくて、最近になって大発生している時点で自明だろうに。
>ネトウヨさん、よく「中国が攻めてきたらオレは戦う」とか勇ましい事を言うけど、現役自衛官や予備自衛官じゃない人が戦ったら「1」の便衣兵に該当してしまうんじゃなかろうか?。ネトウヨさんがまたよく「便衣兵を殺したのだから問題ない」とか言うけど、自分は「問題ない」で殺されて良いのかね?。
>この国は、いつから歴史ある文化を否定するような国になったのか?教育勅語とか寝ぼけたこと言ってないで、実態ある文化を保護するべきじゃあないのかねぇ………。
戦後に勅語が排除された結果、我が国の倫理道徳観は著しく低下し、極端な個人主義が横溢し、教育現場はもとより、地域社会、家庭においても深刻な問題が多発しています。
よく日本の戦後の経済成長を「人口ボーナスのおかげ」と斜に構えて語る言説がありますが、人口ボーナスというのは別に、ぽこぽこ人間が勝手に生えてきて経済産業を成長させてくれるわけではないんですね。
すなわち人口ボーナスとは、よく教育されどこに連れて行っても共通の言葉で意思疎通ができる若者が大勢いるという、実現難易度が非常に高い状態を指すのであります。
なんとなれば清朝以前から多くの人口を抱え海外からの投資も活発であったはずの中国は、低い識字率と多様すぎる言語によって近代化に乗り遅れてしまったわけです。
一方で、低い識字率(清朝ほどではなかったとされるが、農民の識字率は高い地域で1/4)と多様な方言と地方や性別による極端な教育格差を抱えていた日本が見事に人口ボーナスを勝ち取れたのは偶然ではなく、近代化過程における戦略的教育改革の成果なのであります。
そしてそれを成し遂げた明治政府は適切に評価されるべきであり、明治政府の教育制度の象徴である「教育勅語」は誰が何と言おうと事実として戦後日本の経済成長の基礎になったんですね。
フランーッス
本日は日本においてたまごかけごはんの日、初恋の日、香りの記念日、世界のウチナーンチュの日、教育勅語発布の日となっております。
あまり参考にした覚えはないのですが、八徳だのなんだのを調べてみると『まぁ確かに大事かもなぁ』と思うこともあります。
思うこともあるのですが、結局時代のシステムでどうしても歪んでしまうこともあるので、あまり堅苦しくやり過ぎても良くないんだなぁと思ったりもします。
勿論それらが全て上手いこと行くかどうかはわかりません、堅苦しくやる方が逆に気持ち的に楽なパターンもありますからね。
一番重要なのは、それらを上手く使い分けて人生に折り合いを付けていくことです。
漠然とした怒りに答えを出す為に徳の概念や罪の概念を利用してきたのが我々人類です。
怒るなとか、怒りなんてきっとおさまる、なら我々は悩みませんし苦労も不調もありません。
結局許せなかったりするのです。
現代人はちゃんと“個”を持っていたりするから『俺が許せない』『俺が悲しい』『俺が許せないと思っている』と語ることが出来たりしますが、そうなれない時の為に大昔の人の概念を調べて『こりゃいいや』と思うのが大事なのかもしれません。
要は“如何にしてその漠然としたものと折り合いを付けるのか”って話です。
そしてポジティブな徳の行為が出来るとか、それで感謝されるとかはおまけでいいのです。
何よりあなたが生きる為に学んだだけなのですから、その学びでもって歩みを止めそうになる負荷を取り払う方がよっぽどいいのです。
その負荷を取り払う為に使った道具なのですから、多少ポンコツな使い方だったとしても仕方がなかったりするのです。
ということで本日は【積載量の確認よいか】でいきたいと思います。
こういう話題があった。
ロシア “人々がパニックに” 招集令状のオンライン通知可能に | NHK | ロシア
ロシアのプーチン大統領は、今月14日、兵役義務の招集令状について、書面による手渡しから、オンラインによる通知も可能とする改正法案に署名し成立させました。
というもの。
徴兵忌避の逃げ道を塞ごうとする政権、法律に従うものだというのだけを"正義"扱いする自称リアリストはこういう抑圧の被害想定を拒絶してんだよな。政治姿勢が酷似した本邦与党のマイナン押し付けが更に不安になる。
いやいや……。ロシアは侵略している側で、日本の安全保障政策は専守防衛だ。全然 違う国と事情を同列に評価すんなよ……。日本には徴兵だって無いし……。
同種のブコメを続けて挙げておこう
ここにも現れる「日本もー」な方々は、基本的に独裁国家体制を舐めてるので中国やロシアにとても甘い傾向。現実にその国々が虐殺しようが侵攻しようがその姿勢が変わらない。
しれっと日本批判する人達は「外国の代理人」か何かなのか?日本でオンライン通知あるとしたらNHKの受信料支払いとかだろうね。 まあ、これを機にロシア国民はこの侵略戦争が自分事と認識して欲しい。
この人たちに共通しているのは、ロシアは独裁国家であり日本は違うという認識だ。
このブコメが参考になるだろう。
ロシアは独裁で日本とは違うっていう切断処理には賛成しない。ロシアだって形式的には選挙も野党もある。日本の政治体制とどれだけの距離があるか内省することは必要だろう。
高市早苗が辞任するとかしないとかわんわん騒いでいた一件をまだ覚えているだろうか。
総務省文書「解釈補充」、停波にも言及 高市氏の答弁をおさらい | 毎日新聞
この件は、官邸が放送法の解釈変更を総務省に迫ったという一件が発端だ。公文書を大臣が否定するというのもかなりの大問題だが、高市の去就などというのは些末なことでしかない。首相もしくは、その周辺の権力者の意向で法律がどのようにでも解釈出来得るということが問題なのだ。
こういうことが起こっているのは権力者の腐敗と法治主義の劣化であり、それは民主主義の危機であると自分は思うのだが、そう思わない人もいるのだろう。もうすでに国会での強行採決というような光景は見慣れたものになってしまったが、あの場面を見て民主主義の危機を感じるだろうか。俺は感じる。
これらのことは強権国家や独裁制の道へ確実に一歩を踏み出している。歴史がそれを証明している。この日本という国では、もう二歩も三歩も踏み出しているといった方がいいだろう。安倍首相はその点で確実に歩みを進めていった。
はっきり言っておくが、日本とロシアは違うと主張するブクマカとそれに☆をつけた人々は危機感というものが低すぎる。「独裁を軽く見てるとしか思えない」とか「基本的に独裁国家体制を舐めてる」などと言っていて、独裁制についてさも知っているようなことを言っているが、君たちこそ国家の独裁体制というものを「軽く観ている」し「舐めてる」。独裁制が敷かれてから危機感を持っても遅いのだ。そのほころびが現れた時点で強烈に批判し政治家たちに好きにさせないようにしなければ手遅れになる。これも歴史が証明している。
冒頭の記事であれば、この収集令状の通知がオンラインで送られるという事態になるずっと前に
招集令状は、政府のポータルサイトに登録した個人のアカウントに通知される仕組みで、本人が通知を開いていなくても届いた時点で効力が発生するということです。
明日は我が身ですよ
現在徴兵は日本にはないけど与党の議員や近しいウヨウヨくんたちがやりたいって都度言ってるわけで(´・_・`)しかも戦前戦中信奉されてた教育勅語もろもろを推進している訳じゃん
何で最近の自民党のダメウヨっぷり見てて、この話題で批判されるのが不当だと思える人がいるんだろう??(ナチスを参考にと言った通りに)非常事態宣言で選挙停止させたいとか下劣な内容を改憲案に盛り込む政党なのに
「ロシアと日本は違う」論者の皆さんよ。リアリストを気取っているのかも知れないが、こういうブコメを読んで少しは先のことを考えるようにして下さい。かなり抑え気味に書いたけど、君等みたいな楽天的な人達を見てると本当に情けなくなるんだよ。
現代においてその代表例とされるのが世界平和だの人種民族の共存だの反差別とか
だから結果的に冷笑系の嘲笑の対象は左翼リベラル派の類になりやすい
つまり冷笑系は「俺は現実主義者の大人だぜ」というスタンスを取りたがるわけだが
一方で右派的な主張にもお花畑的な理想主義や嘘くさい過去の美化もある
明治から戦前の日本は教育勅語があったから理想的な聖人君子しかいなかったとか
戦国時代に残酷なことをしたのは織田信長一人だけで庶民はみな非暴力だったとか
自分は「人間はずるいし汚い(俺もな!)」という前提で生きてるから
「人間はずるいし汚いからこそ、せめてタテマエ上の正義や理想ぐらい必要」
ぐらいに思っておくべきではないか
安倍晋三暗殺事件をきっかけに統一教会(世界平和統一家庭連合)に注目が集まっているが、保守系(反リベラル、反ポリコレ、反中韓)に分類できる文化人のなかで、はっきりと統一教会批判を行なっているのが旧2ちゃんねる(5ちゃんねる)関係者のひろゆきと山本一郎なのは興味深い
一説によれば、旧2ちゃんねるは一時期、統一教会に乗っ取られかけたという噂がある。この点を抜きにしても、基本的に1970年代生まれ以下の世代は、保守や愛国を唱えていても頭の中は近代合理主義者で、土着的・伝統的な家族観とか道徳観はちっとも好きではないのだ。
東浩紀(1971年生)は統一教会を「カルトかどうか判断できないだけ」と述べてひんしゅくを買った。ただ、これは統一教会の擁護というより、スターリニズムや連合赤軍のような原理主義的なドグマに陥ることを恐れるあまり、「二項対立に囚われないように判断保留する」というポストモダンの思考を原理主義的なドグマにしてしまった模様。
一方、三浦璃麗(1980年生)は、何やら統一教会と利害関係があるらしい。
https://twitter.com/333_hill/status/1300961546693083137?s=12
http://japanhascomet.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-e4d640.html
東や三浦はさておいても、高度経済成長期以降に育ち、冷戦体制崩壊後に成人した団塊ジュニア以降の世代は、基本的に統一教会的なものが嫌いだろう。俺もな。
今では忘れ去られているが、2000~2006年ごろの2ちゃんねるでは、韓国、中国、民主党だけでなく、森喜朗に代表される体育会系、マッチョ価値観の自民党重鎮も不人気で、平然と皇室をコケにする書き込みだって多数あった。非合理的な宗教団体は嫌われ、前近代的な家制度の束縛とかブラック企業的な上下関係を肯定する主張は評判が悪かった。
かつて2ちゃんねるに大量にいたネトウヨことネット右翼は、なぜ韓国人や中国人を嫌悪したのか? 戦前戦中の日本に対する非難が自分個人への非難のように思えた点に加えて、韓国人や中国人の振る舞い(声が大きい、言動が粗暴、上下関係がきびしい等)に「前近代」の臭いを感じ取っていたからではないか。
ネットでは保守愛国を主張して戦前日本を賛美ながら、平然と「中国、韓国は儒教国家だからダメだ」と言う人間が少なくない。お笑い草である。戦前までの日本だって支配階級の基本思想は儒教だった。幕末に尊王攘夷運動が起きたのは江戸時代に朱子学が普及して、「幕府が天皇から権力を奪っているのは忠義に反する」という考え方が広まった結果だ。明治維新後も、明治天皇の教育係の元田永孚は西洋嫌いの儒学者で、名君の教科書として唐代の『貞観政要』を読ませたし、教育勅語は儒教的価値観の産物だ。
だが、どうやら団塊ジュニア世代以下のネトウヨの頭の中にある理想の日本は、最初から西洋的価値観の近代国家だったらしい。彼らには古代中世の日本の伝統的価値観を本気で学ぶ気などなく、和歌や能楽や歌舞伎や浄瑠璃より、漫画やアニメやゲームが好きなのが本音だろう。そういえば橋下徹も、平然と文楽の予算を削減しようとしてたな。
「保守・愛国を唱えながら近代合理主義で何が悪いの?」と言う人もいるだろう。世の中には、何も悪いことをしてない人間にも病や死や不幸が降りかかったり、不合理がいくらでもある。何でも理性で解決できると思い、現代人から見れば非合理な考え方に従っていた古代や中世の人間を愚かとしか見なさないのは、思い上がりだ。そうして過去の時代の人々という他者への想像力を持とうとせず、過去の世代が積み重ねてきた道徳観への敬意がなくなると、経済的な損得ばかりが最優先の価値観になる。「皇室の維持は国費の無駄だから天皇制反対」と言い出す者も出てくるかもしれない。
そうなれば、単に力(財力、権力、情報発信力)がある奴が勝ちだ。日本でもドナルド・トランプのような男が国家元首になるかもしれない、トランプならまだ人物的に面白味があるが、竹中平蔵やワタミが大統領になったら本当にイヤだぞ。
統一教会は2015年に世界平和統一家庭連合と改名した。団体名に「家庭」とつくのがポイントだ。自民党による憲法改正案で、第24条に加筆された「家族は、互いに助け合わなければならない」という一文は、統一教会の主張と同じだといわれる。また、「こども庁」の名称が「こども家庭庁」となったのは統一教会の影響という説もある。
https://twitter.com/izumi_akashi/status/1548537253018103808
つまり、統一教会はとにかく家族の重視を唱える。彼らの教義は、俗流キリスト教と、家父長の権威や先祖供養を重んじる東アジア的な儒教道徳の混合物で、教祖の故・文鮮明をお父様、その妻の韓鶴子をお母様と呼ぶ。このような教団組織という大きな家族への絶対服従を唱える思想が、皮肉にも結果的に山上徹也個人の家庭を破壊した。
『週刊文春』7月21日号では、橘玲が「リベラル化した社会に敗れた男の”絶望”が暴発した」と題して、安倍晋三を暗殺した山上徹也のことを論じている。現代は家制度の束縛などが機能しなくなった「自由」な社会だが、それゆえに自力で自己実現できなかった孤立した人間が増えているといった内容で、その極端な暴発例に2008年の秋葉原通り魔事件や、2019年の京アニ放火事件を挙げている。指摘自体はおおむね間違ってないだろうが、なぜそのような世の中になったかの説明が抜けている。
リベラル思想以前に、社会構造の変化がある。そもそも、伝統的な家族観、家父長の権威とか、早く結婚して何人も子供を産むのが良いことだという考え方は、近代以前の農村社会が前提だ。農家は個人経営で、家父長のもとで妻子が一緒に農作業し、働き手として子供の数は多い方が都合よいから多産が奨励された。そして、農地という生産手段を継承するために血統の存続が重視され、先祖からの連続性が意識されていた。漁村も商家も同様に家族経営が基本で、船や商材を継承するため家制度が重視された。
ところが、産業革命期以降になると、農村の余剰人口は都市に流れて工場労働者となり、先祖代々の土地と家から離れて生きるようになる。労働者はみんな家庭外で雇用され、子供は家族から切り離され、父親も母親も子供も(昔は各国で児童労働が横行していた)ばらばらに働くようになり、自宅の窯でパンを焼いたり時間をかけて食事することもできなくなった(『世界の歴史 第25巻』(中央公論社)270p)
統一教会のような反共主義者は、「左翼リベラル思想が伝統的な家族観を破壊した」と主張するが、この解釈は因果関係が逆転している。共産主義は、工業が発達して伝統的な家庭を成立させる農村社会から切り離された都市労働者が世にあふれた結果から生まれた思想だ。マルクスより先に、経済的利益のために伝統的共同体を解体して蒸気機関と工場労働者を世に広めた資本家がいたのである。
逆に、農村社会に戻れば前近代的な家父長制は復活するだろう。だったら、商工業を全否定して国民を農村に強制移住させたポル・ポトのカンボジアこそが理想かよ?
先進国では工業化社会がさらに進むと、世の中は第三次産業中心になり、庶民はみんな勤め人の都市生活者となっていった。これは産業社会の要請によるものだ。以前も書いたが、(https://gaikichi.hatenablog.com/entry/20170522/p1)高度経済成長期に中卒や高卒で都市の工場や商店に就職していった女性は、左翼リベラル思想に影響されて社会進出し勤め人は世襲の家業ではないから、妻子が家に従属する必要はない。リベラル思想に関係なく、前近代的な家制度の束縛が弱くなるのも当然だ。生まれた時からこういう環境に慣れきって育った世代が、家父長の強い権威やきびしい上下関係を嫌うのは必然だろう。
こう書いている自分も、会社員の家の次男坊で、実家に従属する義理はないから上京以来ろくに親元に帰らない。長男の長男だった兄まで、ついに生活のためやむなく父の墓がある土地を離れてしまった。先祖代々の土地や家業を持ってるのではないのだから仕方ない。
統一教会のような保守派は、家族が大事だと主張するけれど、口先の精神論ばかりで上記のような社会構造の問題にまったく踏み込めていない。
困ったことに、農村社会や家制度のような伝統的な中間共同体が力を失うと、その代替物として、一足飛びなナショナリズムかカルト的団体に帰属意識を求める者が増える。
エマニュエル・トッドは、『シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧』(文春新書)で、宗教的伝統が衰退すると代わりに排外的ナショナリズムが台頭すると述べていた。何でも、ドイツでは19世紀末から1930年代に昔ながらの教会を中心とした農村共同体が弱体化した代わりに反ユダヤ主義が台頭し、ナチス支持につながったという。
統一教会をめぐる報道で、山上徹也の母のように財産すべて差し出す信者の気持ちが理解できないという人は多い。しかしながら、外部から見ればいかに狂信的な団体でも、内部の信者には何らかの「魅力」がある。
先に述べたように、世の中にはいくらでも非合理的なことがある。それまで合理主義者だった人間が、病や死のような自分の力に直面していきなりオカルトや宗教に走った例は少なくない。帝国海軍の名参謀だった秋山真之や、アップルのスティーブ・ジョブスのような英才も、最期は近代医学に頼らず怪しげな方法に頼って病を治そうとして、かえって早死にした。こういう極端な思考に走らないためにも、世の中は理性で解決できないこともあると頭の片隅に置いて、非合理的なものへの免疫をつけておくこと必要だ。
そこまで追い詰められなくても、「大きなものにつながりたい願望」を抱く人間は多い。人には何かに帰属することによって得られる充実感というものがある。これは左派陣営の団体も同じだ。
こう書けば左翼リベラル派は激怒するだろうが、世の中には男尊女卑や家父長制に身をゆだねることに安心感を抱く者もいる(俺自身は嫌いだが)。いかに社会制度が近代化しても、誰もが自立した個人になれるわけではないのだ。
あの気持ち悪い集団結婚式にしても、なまじ自由恋愛の時代になると結局誰も選べずに結婚相手が決まらず、いっそ超越的な立場の第三者に一方的に決めてもらう方が安心、という人間も世の中には一定数いるのかもしれない。
これも以前に述べたが、カルト宗教などが行う洗脳とは、命令に従わせることではなく、被洗脳者が自発的に洗脳する側に忖度するように”誘導”することである(https://gaikichi.hatenablog.com/entry/20121101/p1)。
その手段として「場の空気」の力がものを言う。場の空気を使った洗脳はじつに簡単だ。こんな話がある、皆さんはカップ入りアイスクリームを食べるとき、どこから食べるだろうか? たいてい最初はカップの縁にスプーンを入れるだろう。あるとき数人の集団で、1人を除いた全員があらかじめ示し合わせて、みんなカップの真ん中にスプーンを入れて食べ、残った一人を「端っこから食べるなんてセコいなあ」と言ってからかった。仲間外れにされた1人は本気で、自分の方が異常で、アイスクリームは真ん中から食べるのが世間の常識だと錯覚したという。
これと同じように、閉鎖的な教団内では容易に「みんな多額の献金をしてるんだから、そうしない自分の方がおかしい」と思い込むように仕向けられる。宗教団体も、ネットワークビジネスも、会員制オンラインサロン商法も同じだ。
信者は教祖や教団幹部個人の命令に従っているというより、信者集団の「場の空気」によって献金しなければならない気になっている。周囲にいる人間が競い合って同じことをしているのに、自分だけそれをやらないと自分の方が変だと思い込んでしまうのだ。そりゃ「空気を読む」ことが至上の美徳という価値観で育った日本人なら従ってしまうだろう。
2022年現在の状況では、まだまだ自民党に対する統一教会の影響力は強そうだ。しかし、このまま上記に述べたような近代の社会構造が続くのであれば、20~50年ぐらいの長期スパンで見た場合、統一教会的なるもの――家父長制バンザイのカルト宗教は徐々に人気を失っていくだろうと考えられる。
実際、100~200年ぐらいの視野で見れば、左翼リベラル陣営はずっと勝利し続けている。世の中は、近代的な商工業が発達すればするほど、上下関係は緩くなり、男女は平等に近づき、セクハラやパワハラは嫌われ、体罰や理不尽な校則は廃止される方向に進んできた。
ただし、それは必ずしも自由平等人権といったリベラルイデオロギーの魅力による勝利ではない。単に文明の発展によって、人間が図々しくなっただけだ。
近代以前はあらゆる労働が筋力中心だったから、無条件に成人男性が一番偉くて、女子供は成人男性に従うものだった。しかし、そのような価値観は、スマホやコンビニやAIやドローンの普及と引き換えに後退しつつある。あるいは、汗臭い筋肉労働を人件費の安い海外にアウトソーシングしたり国内の視野から消し去っただけだ。外国人技能実習生の世界では、依然として日本人相手なら許されないパワハラが横行している。
いかに自由平等人権といったリベラルイデオロギーの字面が美しくても、思想だけで世の中は動かない。民主主義は古代ギリシャにもあったが、あらゆる労働が人力の時代だったから、ついぞ奴隷制は廃止されなかった。19世紀に入るとイギリスもアメリカも奴隷制を廃止したが、それはリベラルな人道主義者の主張より、奴隷を使うプランテーション農場と比較して工場経営のほうが儲かると判断されるようになった影響が大きい。
統一教会による霊感商法、巨額の献金要求は許しがたい犯罪行為で、自分もこういうカルト宗教は大嫌いだ。ただ、統一教会的なものを嫌悪する自分たちは、たまたま土着的な農村社会が崩壊して家制度の束縛が機能しなくなった時代に生まれ育ったから、統一教会的な家父長制価値観への Permalink | 記事への反応(1) | 23:06