はてなキーワード: 岩本ナオとは
それなら吉野朔実から行くといいよ。絵はきれいだけど抑制が利いているし、「いたいけな瞳」は短編集だから読みたいとこだけつまめばいい。
岩本ナオの「金の国水の国」はぽっちゃりと地味男の恋愛というか婚姻の話だが、婚姻が国家の政治と結びついている世界での冒険譚なので、そのテーマがノイズに思えてしまうとちょっと難しいかもしれない。
でも多分一番恋愛色がなくていわゆるイケメンも出てこないのは「バジル氏の優雅な生活」だな。主人公は伊達男だが。絵が平気なら一番推したい。
金の国水の国を読んだ。取り立ててこれがすさまじいって箇所はないんだけれど、緊張状態にある二国の間柄を愛が結びつけるっていう王道の物語が適切に描かれていたのがよかったと思う。
それぞれの国の状況がしっかりと設定しているのに好感が持てた。二つの国それぞれにちゃんと特色があって、その特色ゆえに問題を抱えている。加えてその問題がちゃんと物語に絡んでくるのがよかった。構造としては特に奇を衒ったものではないのだろうけど、そういったところをちゃんと抑えるのって重要だと思う。簡潔な物語にも奥行きや厚みを感じることができた。
また岩本ナオ特有のゆるーい雰囲気が全体にいい効果をもたらしていた。描かれている内容はもとより、終盤の切羽詰まった状況なんかかなりシリアスで厳しい表現もできるはずなのに、ほんわかした絵柄と台詞回しと作者のセンスとが相まって、どこか童話めいた朗らかさが感じられるのが面白かった。
この内容を一冊で完結できたのはすごいと思う。思うけど、もっと一つ一つのエピソードを長く読んでいたい気持ちも生まれてしまった。ぎゅぎゅっとエッセンスが詰まっているからこそ、もっと物語に浸っていたかった気分。さっくり読めるいい漫画なんだけどね。