はてなキーワード: 仮想化技術とは
マイクロソフト包括契約に基づくソフトウェア利用に関する同意書
私はマイクロソフト オペレーションズ ピー・ティー・イー・リミテッド(甲)と大
阪大学(乙)とのキャンパスアグリーメント契約(以下、本契約)に基づき、甲と乙が提
供するソフトウェア(以下、本ソフトウェア)を利用するにあたり、以下の事項に同意し
ます。
共通事項
・本ソフトウェアで利用可能となる甲社製の製品(以下、製品)の使用は、甲乙が締結し
たキャンパスアグリーメント基本契約書と製品使用権説明書の適用を受け、その関連条
項に従うこと。
・本ソフトウェアを利用する権利について、乙が独自に定めている制限に従うこと。
・本ソフトウェアをダウンロードする方法は、乙の指定に従うこと。
・本ソフトウェアの利用について、甲乙から技術的サポートを提供されないこと。
・本ソフトウェアの使用方法について、甲乙から電話によるサポートを受けることができ
ないこと。
・本ソフトウェアについて付与された権利を、売却その他の方法で譲渡しないこと。
・本ソフトウェアをインストールした媒体または購入した媒体を、売却その他の方法で譲
渡しないこと。
・本ソフトウェアを実際に実行できるか否かは、システムの必要最低条件その他の事情に
よって影響されることがあり、それらについて事前調査し、実行後の責任を負うこと。
・本ソフトウェアのリバースエンジニアリング、逆コンパイルおよび逆アセンブルを行わ
ないこと。
・本ソフトウェアは、単一の本ソフトウェアとしてライセンス許諾されるものであり、そ
の構成部分を、2台以上のコンピュータでの使用のために分離しないこと。
大阪大学が購入したコンピュータ、もしくは賃貸借しているコンピュータ(以下、大学管
・本ソフトウェアを大学管理PCのみにインストールすること。(大学内で、業務のために
・本ソフトウェアを大学管理PCにインストールする者は、ソフトウェア管理者またはソフ
トウェア管理者の指示を受けた者であること。
・本ソフトウェアを大学管理PCにインストールした後は、ソフトウェア管理台帳に記入す
ること。
・本ソフトウェアを大学管理PCにインストールするにあたり、著作権を保護するため、ラ
・本ソフトウェアを一時利用者に対して利用させる場合は、大学管理PCに限って利用させ
ること。
・賃貸借しているPCを返却する際には、本ソフトウェアを返却するPCから削除すること。
・乙が本契約を更新しなかった場合、契約終了時点で、直ちに本ソフトウェアを大学管理
PCから削除すること。
個人が所有するコンピュータ(以下、個人所有PC)において本ソフトウェアを利用する場
合
・本ソフトウェアを個人所有PC1台のみにインストールすること。
・個人所有PC1台に対してOffice製品は1つに限りインストールすること。
・個人所有PC1台に対してWindows製品は1つに限りインストールすること。
・個人所有PCで利用する本ソフトウェアのバージョンやエディションを変更する場合は、
必ず使用していたものを消去の上、インストールすること。
・本ソフトウェアをメディアで購入する場合は、乙の指定に従うこと。
・本ソフトウェアを個人所有PCにインストールするにあたり、著作権を保護するため、ラ
・本ソフトウェアをインストールする個人所有PCにおいて、本ソフトウェアを利用できる
のは本人のみであること。
・本ソフトウェアを家族および一時利用者に対して利用させないこと。
・本ソフトウェアを利用する個人が教職員である場合、利用目的を製品の自学自習目的と
し、個人的な理由で利用しないこと。
・退学等により乙の学生でなくなった時点(卒業、又は修士・博士課程の修了を除く)、
又は退職等により乙の職員でなくなった時点で、直ちに本ソフトウェアを個人所有PCか
ら削除すること。
・乙が本契約を更新しなかった場合、契約終了時点で、直ちに本ソフトウェアを個人所有
PCから削除すること。
・万一、本ソフトウェアを紛失した際には、必ず対応窓口に届け出ること。
・利用する本ソフトウェアは、卒業時点で個人所有PC1台にインストールされているバー
ジョンに限ること。
・PC1台に仮想化技術等を利用して同じ製品を複数インストールしないこと。
・卒業後は、本ソフトウェアの新規インストールおよび再インストールができないこと。
・甲が変更した製品の使用に関する取扱の変更に従うこと。
・上記以外の事項については、学生使用許諾証明書に準ずること。
大阪大学は、この同意をもって「キャンパスアグリーメント基本契約書」10条a項に規
<参考資料>
昨年来、日本のIT業界ではクラウド・コンピューティングがブームになっている。最近は短縮して単に「クラウド」と呼ばれることも多いようだ。そして、この業界ではよくあることだが、クラウド・コンピューティングについて、コンセンサスのとれた定義はない。
しかしそれでは議論が進まないので、まずはマッキンゼーが発表した"Clearing the air on cloud computing"という資料におけるクラウドの定義を引用するところから始めよう。大企業でのクラウド利用に懐疑的な見方を示したことで、話題になったリポートだ。
これによれば、クラウドとは「以下の条件を満たす、情報処理(コンピューティング)、ネットワーク、記憶装置(ストレージ)を提供するハードウエアベースのサービス」である。
1. 利用者にとって、ハードウエアの取り扱い(管理)が、高度に抽象化されている
3. インフラに、非常に柔軟性がある(スケーラビリティーがある)
クラウドと聞いて誰もが思い浮かべるのは、アマゾンが行っている、ネット経由でコンピューティング機能を提供する「EC2」や、同じくストレージを提供する「S3」といったサービス、あるいはウェブアプリケーション開発キットを提供する「Google App Engine」などだ。これらは上記の定義を満たしている。ユーザーは簡単に仮想サーバーや仮想ストレージをインターネット上に持つことができ、そのコストは使用量に応じて課金されるのが普通で、企業会計の中では経費として処理される。また、スケーラビリティーがあるので必要に応じてリソースを増やすことも減らすことも簡単かつスピーディーにできる。
クラウドがこれだけ話題になるのは、やはり多様な効用があるからだ。
まず、使いたい時にすぐに利用できる。ハードウエアやソフトウエアの調達は必要ない。ネットワークへの接続や各種環境設定などの作業も不要である。試験的なシステム構築も容易で、使えないと分かればすぐに止めることも可能。費用は、コンピューティング機能やストレージなどのリソースを使った量に応じて課金され、会計上は経費として処理でき、バランスシート上の資産が増えることがない。スケーラビリティーも高い。そもそもインターネットの“あちら側”にあるため、関係者でデータなどを共有することも容易である。
さらに、運用業務から解放される。内部統制やコンプライアンス(法令順守)強化の流れを考えると、利用するサービスが十分信頼できるものであれば、これはメリットが大きい。
特に中小、中堅企業にとっては、クラウドの持つ機能や信頼性、情報セキュリティーレベルは自社システムより優れていることが多い。信頼性や情報セキュリティーに対するユーザーの懸念は、クラウド普及の障害になると考える人が多いようだが、実際には追い風になるだろう。
こうしてクラウドの効用を並べてみると、企業規模が小さい企業ほどメリットが大きいことがわかる。そこで登場するのが、「プライベート・クラウド」である。
プライベート・クラウドとは、EC2やGoogle App Engineのような「パブリック・クラウド」とは異なり、一つの企業や組織の中に閉じたクラウドである。従って、そのコストはすべてその企業や組織が支払うことになる。
たとえば、米国防総省の国防情報システム局(DISA)が保有する「RACE (Rapid Access Computing Environment)」は、国防総省内部向けのクラウドであり、関係者以外は利用できない。実際に構築したのはヒューレット・パッカードであるが、その構築費用も国防総省が負担している。
したがってプライベート・クラウドは、最初に挙げたクラウドの定義のすべてを満たさない。つまり、条件の1と3(バーチャルなサーバーを簡単に構築でき、その規模を自由に変更できること)は満たすのだが、2の条件(コストを経費として支払うこと)を満たさない。
最初に挙げたクラウドの定義を正しいとするならば、プライベート・クラウドはクラウドではないことになる。
当然、クラウドのメリットであるはずの「使えないと分かればすぐに止めることも可能」「費用はリソースを使った量に応じて課金」「会計上は経費として処理でき、バランスシート上の資産が増えることがない」「リソースを増強することも縮小することも簡単にできる」というわけにはいかない。
もちろん、その組織内の個人や一部局は、クラウドの持ついくつかのメリットは享受できる。使いたいときにすぐに使うことができるだろうし、スケーラビリティーも高い。しかし、組織全体で見た場合にはクラウドのメリットの多くの部分は消滅する。
そう考えると、プライベート・クラウドは、仮想化技術を利用したサーバー統合だと考えた方がよいのではないだろうか。
さて、2009年度の補正予算には、電子行政クラウドの推進という項目がある。この中に、霞が関クラウドと自治体クラウドの構築が含まれている。これはそれぞれ、政府のプライベート・クラウド、地方自治体のプライベート・クラウドである。
当然のことながら、パブリック・クラウドのように「使えないと分かればすぐ止めること」はできないし、「費用は使った分だけ支払う」わけにもいかない(自治体クラウドについては、各自治体に利用量に応じて課金する方法も考えられるが、利用率が低い場合には、徴収できる利用料が運用コストを下回ることになってしまう)。
ただ電子行政クラウドにもメリットがないわけではない。分散されたサーバーを統合すれば、コンピューターリソースの利用効率を高めることが可能になるし、運用コストを削減できるだろう。また、自治体クラウドを利用して市町村や都道府県の業務システムをSaaS(ネット経由でソフトウエアを提供)化できれば、大幅なコスト削減も可能になる。
「うちの自治体は隣の自治体と業務のやり方が違うので同じシステムでは処理できない」という話を地方自治体の関係者から聞くことが多いが、優れたSaaSはそれぞれの組織や業務プロセスに合わせてデータの構成はもちろん、ワークフロー、業務プロセスをカスタマイズできる。そうした仕組みを取り入れた自治体向けSaaSを開発すれば、間違いなく自治体の情報処理コストは大幅に削減できる。
問題は、それを実現できるかにある。中央官庁のサーバー統合にしても、自治体向けSaaSにしても、机上の計算では、投資に見合う十分なコスト削減効果をはじき出すことはできるだろう。しかし、一歩誤れば稼働率が上がらず、税金の無駄遣いだと非難されることにもなりかねない。
そこで提案なのだが、電子行政クラウド構築のリスクを民間企業に委ねてはどうだろう。政府が構築するのではなく、民間企業が霞が関クラウドや自治体クラウドを構築し、各府省、自治体にサービスを提供する。もちろん、利用者である各府省や自治体からは利用量に応じた料金を徴収する。当初の構築費用については補正予算を使ってもよいが、数年間で国庫に返納してもらう仕組みにする。
利用料金は、ある一定の利用率で採算が取れるように設定する。つまり、利用率が予定以上になればその民間企業は大きな利益を得ることになるが、そうでないと損失を被ってしまう。
つまり、政府や自治体のプライベート・クラウドにするのではなく、政府や自治体をユーザーとするパブリック・クラウドにするという発想である。こういう仕組みにすれば、構築を担当する企業は知恵を絞り、多くのユーザーを獲得しようと使い勝手のよい電子行政クラウドを構築するのではないだろうか。
このコラムは日経デジタルコアによって企画・編集されています。
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