はてなキーワード: タレブとは
最近、経営学の本をいろいろ読んでみて、経済学って大したもんだなと、あらためて感心した。経営学の教科書はケース・メソッドといえば聞こえはいいが、要するに成功した会社の自慢話を並べているだけで、理論がないのだ。うまく行った会社だけをいくら分析しても、成功の理由はわからない。タレブの指摘する「生存バイアス」があるからだ。経済学には曲がりなりにも理論があるので、どういう条件のもとで何が起こるかというロジックは明確だから、民主党のようなでたらめな財政運営を続けていたら何が起こるかは予測できる。次の4つのうち、どれか(あるいは複数の組み合わせ)が必ず起こる:
1.債務不履行
2.大増税
1は先進国では考えにくいので、選択肢は2か3か4だろう。900兆円を超える政府債務を維持可能にするには、消費税だけなら40%以上に引き上げなければならない。他方、税収が増えないとすると、一般会計歳出を80%以上カットしなければならないが、いずれも政治的には不可能だろう。したがって政治的に可能(というか不可避)なのは15%以上のインフレだが、これも実質的な債務不履行だ。片山さつき元主計官によれば「マーケットのキャパは120兆円」だそうなので、来年度の新規国債と借換債の合計で135兆円以上となると、「国債バブル」が崩壊する可能性もある・・・ということだけは経済学でいえる。
また、いわゆる経済科学というものにもご注意ください。経済学者の予測能力はタクシーの運転手程度に過ぎません。我々は「専門家」問題に直面しています。専門家が誤った自信を提供するが、情報は何ら提供しない、という問題です。我々は皮膚科医、パン焼き職人、化学者は真の専門家(専門分野について非専門家より詳しい)と見なしており、そのことは正しいので、IMF、世銀、BOE、FRBの経済学者も専門家だという嘘を、記録を調べることなしに鵜呑みにしてしまいます。こうした偽りの専門家への依存こそが、我々が現在の状況に陥った主な原因なのです。それは今も、オバマ政権による債務の蓄積と当てにならない予測へのますますの依存という形で続いています。
この専門家についての問題は、銀行家が失敗に終わったポジションを取るのに使用した「リスクモデル」に特に現れています。それで貴方は、もっと規制をするように求められているわけです。しかし、驚く勿れ、規制の一層の必要性は神話に過ぎません。私はウォール街のトレーダーとして、あるいは教授としてリスクモデルと戦ってきましたが、中でも最悪だったのは規制当局者がもたらしたことでした。彼らこそが格付け機関の評価への依存を奨励したのです。彼らが推奨した「バリュー・アット・リスク」モデルは、我々が一層リスクを取るように仕向けました。