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2022-10-19

魔力を有する性器、その他の話

女性が陰部を見せることで魔を祓う」という伝承に関する、本しゃぶり(honeshabri)さんのエントリ拝読したので、それに便乗して、思い出した雑多なことを書き残す。先に断っておくが、かなりくだらない話が多い。

中田雅喜(なかた・あき)という女性漫画家がいるのだが、彼女代表作の一つで、80年代に成年向け雑誌漫画ブリッコ』に発表した連載作品を一冊にまとめた『空は女の子でいっぱい』というタイトル単行本がある。作品のものの別名は『真・ダ○ボ』シリーズとも言う。伏せ字にしても意味が無いような気もするが、とりあえず○ィズニーが怖いので、形式的に伏せ字にしておく。

○ンボと言えば、耳が普通の象よりも大きくて、それで羽ばたいて飛行することが出来る、子象が主人公物語である

この『空は―』の主人公である少女も、身体の一部が通常の人間女性よりも大きく、それによって羽ばたいて空を飛ぶことが出来る。ただし『空は―』の主人公の巨大な身体パーツは、耳ではなく陰唇である

念のために再度言っておくが、作者の中田雅喜女性である

ある日突然、X-MENミュータントのように陰唇が○ンボ状態になってしまった主人公女性に悪さを働く暴漢を巨大な陰唇で退治したり、人類から差別迫害に立ち向かったり、同じダ○ボ族たちと巡り会ったり、ダ○ボ族と人類戦争が起きて巻き込まれたり和睦したりと、奮戦する主人公の姿と、普通少年との淡い恋の行方。これら全てを描き切った一大ファンタジックSFエロチックコメディ絵巻である。念のために言うが、嘘は言っていない。ろくでなし子以前に、ここまでポップに女性器を強調したキャラクター創造したクリエイター存在したことは、日本アート史上に記録しておいてよいであろう。

この最高に馬鹿げた漫画執筆した切っ掛けが果たしてどのようなものであったのか。それは、同じ作者によるエッセイ漫画『純情ももいろ日記』に経緯が描かれている。

この『ももいろ―』についても説明すると、現在でこそ、女性漫画家性愛などについて赤裸々に語るエッセイ漫画自伝漫画のような作品は、決して珍しくもないが、中田による『ももいろ―』は、そのようなジャンルの先駆的作品である日本漫画史上、もっと高い評価を受けて然るべき作品であると、個人的には考えている。

ももいろ―』の内容も少し紹介する。例えば、成年向け作品執筆に関して、誌面では最終的にボカシで消されるとはいえ、生原稿では性器を描かざるを得ない。他にモデルもいないし仕方が無いので、作者である中田雅喜は、自身彼氏性器の実物を見ながらスケッチしたという。そういったユーモラスなエピソードの数々が『ももいろ―』では、ポップで可愛らしい絵柄で描かれている。ちなみに、性器スケッチモデルにもなった彼氏は、後に中田雅喜結婚して夫婦になるのだが、漫画で描かれている外見的な特徴を見れば、彼氏の人の自画像そのままなので、誰なのかは一目瞭然である。よく本人がオーケーしたな……。器が大きすぎる……。ダ○ボだけに。

それで『ももいろ―』によれば、若き日の中田雅喜は、隙間風が吹く風呂無しアパート暮らしており、冬の寒さに難儀していたため、ガス湯沸かし器を購入する資金が欲しかった。ちょうどそんな時に、知り合いの編集者が成年向け雑誌仕事を持ってきた。その依頼を受けたことが切っ掛けで、中田は成年向け作品執筆するようになった。そうして傑作『真・ダ○ボ』シリーズが生まれた。なお、中田雅喜は、無事にガス湯沸かし器を手に入れたそうである

成年向け雑誌仕事中田雅喜のところに持ってきた、その編集者とは、何を隠そう「オーツカ某」である。この呼称を覚えている人がいたら、その人は若くない。これは、現在大塚英志である大塚英志といえば、千葉徳爾宮田登の教え子であり、その学問的な素養を活かして『北神伝綺』『木島日記』『黒鷺死体宅配便』など数々の傑作を生み出した人物でもある。当時オーツカ某だった大塚英志が、漫画『真・○ンボ』の内容にどれほど寄与していたのかは定かではないのだが、もしかしたら民俗学神話伝承などについて学んだ経験を活かして、アイデア中田雅喜提供したりしたのかもしれない。何か情報を知っている人は、教えて下さい。

かなり前置きが長くなったが、ようやく神話伝承話題に繋がった。中田雅喜の『真・ダ○ボ』では、物語の終盤において「牙が生えている性器を持つ、女性の姿をした怪物伝承」「自らの手で牙の生えた性器を広げる女性の姿を描いた石像」について言及される。そして「この恐ろしい怪物に関する人類伝承は、遠い未来に遭遇する運命にあるダ○ボという異種族に対する、未来記憶による恐怖の産物だった!」という話になる。分かる人には分かると思うが、これは勿論、アーサー C. クラークSF小説『幼年期の終わり』が元ネタパロディである

さて、牙の生えた性器を持つ女性神話伝承については、金関丈夫が「Vagina Dentata」と題した論文(岩波文庫木馬と石牛』に収録)で、台湾東南アジアなどに分布するもの特に詳しく紹介している。この神話は、日本列島にも存在する。

この神話群は、おおむね次のような内容である。「昔、とても魅力的な女性がいて、大勢の男たちから求婚された。しか結婚しても、初夜に夫が死んだり逃げ出したりして、夫婦生活は長続きしなかった。その原因を調べてみたところ、彼女性器に牙が生えていて、夫の性器を食い千切って死に至らしめることが判明した。その牙を抜いたり砕いたりすることで、彼女普通女性となり、新たに夫を迎えて幸せに暮らすことが出来るようになった(バリエーションとしては、単なる怪物として退治されて死んだといったもの存在するようである)」

この物語典型の一つが、江戸時代奉行根岸鎮衛(ねぎやすもり)の著した雑話集『耳嚢(みみぶくろ)』に収録されている「金精神(こんせいじん)の事」と題する一篇である。これは、津軽で「カナマラ大明神」と称して祀られていた、黒銅(黒鉄)で作られた男性器型の御神体について、その由来を聞き書きしたものである

この由来物語でも、やはり、牙が生えた女性器を持ち、それが夜の夫婦の営みの際に夫の性器を食い千切って死に至らしめるために、結婚しても夫婦生活が続かないという女性が登場する。その悩みを聞きつけた或る男が、この女性結婚を申し込んだ。そして迎えた初夜、新しい夫は、自らのものを初めて挿入する代わりに、まず黒銅で作った男性器を妻の性器に挿入した。すると牙の生えた女性器は、黒銅の男性器に噛み付いたために、牙が砕けて全て抜け落ちた。それ以後、女性普通女性となり、つつがなく夫婦生活を送った。その時に夫が用いた黒鉄作りの男性器が、後に神として祀られ、今のように崇敬されるようになったとの由。

古今東西神話呪術において、男女のいずれの性器も、生命力呪術的な力の源泉として神聖視される事例が数多い。その中で特に女性器は、妊娠出産による人間誕生という重要役割を担うことから生命象徴のものであった。しかし、それとは対照的に、Vagina Dentata神話で描かれている女性器は、牙を生やしていて、生命を生む存在ではなく、むしろ奪う存在である。これは、陰唇と口唇の形態的な類似と、性行為時に男性器を受け入れるという機能から男性器を喰らう女性器という発想に至ったと考えるのが自然なことであろう。けれども、それだけではないように思われる。

Vagina Dentata神話根底には「生命を生み出す魔力を持つ女性には、それと表裏一体のものとして、生命を奪う魔力もまた備わっているのが当然である」とする、呪術的な発想もあったのではないだろうか。ニギミタマ、アラミタマという言葉が示すように、聖なる力は、好ましい側面だけでなく、同時に好ましくない側面や荒ぶる側面を併せ持つとされることも多い。聖なる力が人間の役に立つ時には「カミの力」とされるし、人間に害を及ぼす時には「妖怪の力」とされる。こういった「カミと妖怪の間を振り子のように行き来し、変貌する超自然的な存在」という妖怪の有様は、京極夏彦作品に多大な影響を与えたことでも知られる妖怪学者小松和彦著作で、詳しく論じられている。女性器の神聖性に対して人類が抱いた、善悪判断を超越した畏怖の感情。それがVagina Dentata神話には残されているのであろう。

もう一つ。生命力の源泉という呪術役割を巡る主導権争い、すなわち、女性原理男性原理との間に生じた闘争対立記憶を、Vagina Dentata神話は今に残して伝えているのではないだろうか。『耳嚢』の金精神(こんせいじん)についての伝承は、生命を生むための呪術的な過程において、vaginaを重要視する女性原理から、phallusを重要視する男性原理が、地位や主導権を奪ったこと、男性原理の側から見た勝利記憶を留めているのではないか。牙を失い、呪われた存在ではなくなった女性器は、その代償として呪術的・超越的な力を失って馴致されたとも読める。

しかしまた、こうも考えられる。生命力の源泉としての呪術的な力は、女性原理場合女性器の妊娠出産の力として発揮されるが、男性原理場合男性器の種付けの力として発揮される。その一例として、田植え神事において、男性器を模した御神体田圃の泥土に突き刺し、稲の豊穣を祈願するという儀礼存在するという事例が挙げられる。金精神(こんせいじん)の由来物語も、新たな生命創造する過程である男女の営みの中において、生命の根源に係る呪術的な部分で、男性原理の種付けの役割にも"平等に"重きが置かれるようになったことを示しているとも考えられる。そう考えるならば、つまり精神(こんせいじん)の由来物語とは、男女双方の原理二人三脚でなければ、人間生命を生み出す呪術的な力を得ることは出来ない、女性原理だけ或いは男性原理だけでは決して呪術は成り立たないのだという「男女の共存和合を説く物語」だと解釈することも可能である対立征服物語として捉えるよりは、そのように考えた方が、建設的で平和的なのではないだろうか。

ところで、魔を祓うのとは少し違うが、男性器もまた、困難時に着衣を脱いで曝け出すことで窮地を脱するための呪術的な行為とするという事例がある。例えば、猟師が山で迷った時に、勃起した陰茎を山に向けて見せれば、山の神(女神)が喜び、その男性を助けて無事に下山させてくれるという伝承がある。

また一方で、女性器にも似たような発想の伝承がある。田植えをする時に女性和装下着を着けていないと、丸見えの女性器を田の神(男神)が見て喜び、田植え作業が早く進んで終わるように手伝ってくれるという伝承がある(そういったエロ話をしながら、田植え作業に勤しむ農村女性たちの活き活きとした姿を、宮本常一が記録に残している)。

このように性器を曝け出して超自然的な存在に祈願する人間の姿は、文明化した我々現代人の目から見れば、大らかではあるが、馬鹿馬鹿しく滑稽に映る。しかし、自らの肉体の恥ずかしくて重要な部分を曝け出すことができるというのは、相手が神(カミ)であろうと人間であろうと、それを捧げる対象に全幅の信頼や愛を抱いていなければ出来ないことであり、ある種の真摯さや敬虔さの証となる行為でもある。そう考えると、男女間の異性愛だけに限らず、全ての性愛行為根本において、信頼や愛が何よりも大切であるとされることの原点が、これらの呪術行為図像には秘められているとも言えるであろう。

そう考えれば、魔力を持つ性器を曝け出すという古来の伝承図像、それらの子孫として現れるポップカルチャー的な表現は、単にこれらを面白がるだけでも全く構わないとは思うが、改めて見つめ直してみれば、案外と我々現代人が真面目に学べる何かをも多く含むのかもしれない。

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過去駄文こちら。

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2022-09-20

造物主の掟(1983 )P50

 コンロンはため息をつき、座ったまましばらく頬杖をついて机を見下ろしていた。これから何もかもどうなっていくのだろうかと彼は考えた

ーー石油会社鉱床探しに雇われた大勢振り子占い師たち、遅まきながらということで大学に設けられた「超常現象学位、かつては立派な科学出版物だったものに現れはじめた変人もの論文、もうすぐピラミッドから無限の「宇宙エネルギー」が得られるようになることを確信して核融合研究費の削減を要求する政治家ーー

折も折、合衆国日本から最新型のトカマク反応炉を輸入しなくてはならなくなっている。

 優秀な技師や技手を見つけることはほとんど不可能になってしまった。科学工学技術などの専門職

ーー事実上努力と忍耐と勤勉さを要求されるようなものは何でもーー

は、どうやら若い世代にとっては野暮くさく、とろいやつのすることと考えられはじめているようだ。

それに訓練を受け、経験を身に付けた若者は、すぐにもっとやり甲斐のある方面へ転進をはかり、より有利で挑戦の機会がある海外へ出ていこうとする。

日本中国インドアフリカといったそうした地域に住む人々は、現実と顔をつきあわせてきた長い歴史のおかげで、どういう意味しろ自己発見」の概念だとか「神秘的な至福の探求」といったものに惑わされずにすんだ。

そして二十一世紀に遭遇したとき、彼らは何も解決してくれない魔法迷信への信仰をすばやく放棄し、今やその地に進歩工業化した高度技術文明の礎を築くべく、営々と立ち働いているのだった。

2022-09-12

anond:20220912101419

ツイートに関しては、もうちょっと具体的なことを聞かないと何とも言えないな。

「この水車と振り子を使って永久機関を作りたいんです!」と言ってくる顧客に「いや、それは無理なんですよ…熱力学の第二法則というものがあって…」という話をせざるを得ないことも割とあるから…。

2022-09-01

なんか絵の具を垂らしたり振り子を動かしたりしてランダムな模様を描くのもアートなんだから

AIに出力させるのもアートなんじゃねえのという気はする。

AIが出力したなかでこれがいいと思った」という意思さえあればそれはその人にとってのアートじゃね。

2022-08-24

anond:20220824173525

現実には空気抵抗があって速度に上限があるから重力加速度が減ると速度も減っていくけど

地面をすり抜けることができる人間には摩擦は存在しないから際限なく加速することができ、中心部とき最高速度になり対蹠地へ減速しながら向かうことになるわけか

ということはマリオ土管みたいに地球の反対までトンネルを貫通させてその中に普通人間が飛び込んだとすると、

空気抵抗が発生するので反対側へ出ることな地球の中心に止まると(恐らく振り子のように中心部を何度か行きつ戻りつするんだろうけど)

ありがとうございました

2022-06-06

面白かったハードSF小説おしえて

三体からハードSFにハマった

プロジェクトヘイルメアリー星を継ぐものバビロニアウェーブ、天冥の標、息吹を読んで、今は果てしなき流れの果に、を読んでいる。

面白かったけどハードじゃなくてハマれなかったもの

ランキングみたいなもの検索してみても似たりよったりのちょっと古い作品ばっかり

皆さんの面白かったハードSF書き込んでください

6/7 追記

予想を超えるSF読者先輩様方からコメントありがとうございます

自分の考えるハードSF分からんとのコメントがあったので...

自分にもハードSFが何なのかよくわかってないが、空想科学裏付け感が強くあるみたいな感じかなぁ

実際には、「読んで面白かった作品作家ハードSFというジャンルで紹介されていることが多かった」、と帰納的な感覚ハードSFって呼んでるところがある。

星を継ぐもの進化論とかの話で「ああ自分も知ってる気がする!」となりながら一緒に考える気になるのが面白かった。そうなるとミステリー的な楽しさか。

バビロニアウェーブは解き明かすというより舞台装置としてあるって感じだったけど、人間の未知との向き合い方にリアリティロマンを感じた。

三体は普通に映画みてるみたいだったな。暗黒森林理論とかなるほど感があった。それと、三重振り子的なカオス天体規模のもの適用されるとこうなるみたいな発想が面白かった。

ブクマの米にもあったけど、天冥の標が他と比べてソフト気味というのもそうだと思う。ただ天冥はサーガ感がすごい良かった、でかい物語感。キャラが分かりやすくて入りやすかった。

息吹は宇宙モノじゃないけど、人の心みたいなのが表れてると感じて、それが良かった。特に息吹は命とは何なのか?を考えさせられた。

実際の科学(あるいは説得力のある架空理論)が下敷きに置かれたファンタジーって、ともすればこの世界もこうなる可能性があるのかもしれないみたいな感覚になることがあって、

そういう物語を経ると世界とか命とか自分について問い直すことがあって、その体験が得難い...自分の求めるSFってハードかどうかに限らずそういうものかもしれません(わかりません)

2022-02-03

諦めることも、諦めないこともできない

私は誰の意志で生きているんだろう

私の意志はどこにあるんだろう

絶望して無気力になったり、

精力的に動けたり、

きっと病院に行ったら躁鬱扱いされて、薬漬けだろうな。数十年前と同じように。

冗談じゃない、あいつらの金づるは2度とごめんだ。

カウンセラーは、話を聞くけど、最終的には自分たちのやっている療法の「型」に私をはめ込もうとするだけだ。

嫌だ。もう二度とあの失望感孤独感を味わいたくない。

結局、誰にも、何にも、できることはない。私もだ。自分をどうすることもできない。もはや何を信じて良いかからない。

刺ぬ勇気も無い。

私の親は愛情深く私を育てすぎた。

とてもできない。

明日の朝になったら、ギリギリで跳ね起きて仕事に行くだろう。内面空っぽのまま、その日の仕事をこなすだろう。

そうして仕事を終えたら、また憂うつが待ち構えてる。

私の人生振り子か、賽の河原みたいなものだ。

何も積み重ねることなく、

何も為すことなく、

ただ両極端を行ったり来たり。

2022-01-31

十二夜空の青を微分せよ街の明りは無視してもよい ある和歌分析

問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい 川北 天華

概要構造構成分析結論を述べる。

概要
詠人

川北天華。当時は進学をめざす高校生。進学は最終目標ではなく過程ひとつだろう。

歌全体が試験問題体裁をとる。

単語と語法は平易。しかしそれらはすべてべつの何かを表象する。示唆により言外を表象するテクニック掛詞とよばれるが、この歌は全句が掛詞構成されさらに全体として言外のなにかを表象する。このため通常の和歌範疇を超え、たぶんに神話的な雰囲気を持つにいたる。

分析

配置


物理地学問題文をなす歌を助詞などを除去し単語をならべその内容を検討

内容は上記のとおりテスト光景に二分され、交互にならんだふたつの要素がリズム形成している。


リズムベクトル

テスト光景、ふたつの要素は卑近受験をひかえた高校生という状況をあてはめると、この世代特有神話的要素がうかぶ



テスト光景という対極を交互につなぐ構成は内外両極を往還するリズムを生んでいる。対句法ではくくりきれない振り子のようなリズムである。その振り子は往還をくりかえしながら全体をある方向へとすすめてゆく。机上の1枚の切片にしるされた問12という即物的文言は夜空を数式で描けと命じそのときは下界を無視せよと結ぶ。一枚の切片がもとめる問いは振り子のようなリズムのなかで一瞬にして無限宇宙へと拡大し発散する。読者はこの内外両面、両極往還のリズム、そして机上のちっぽけな紙片から数式をとおして一気に宇宙にひろがる強力なベクトルによってここちよく翻弄され、さまざまな記憶作用を楽しむことになる。じっさいのところこのリズムベクトルは、おとなとこども、他発と自発受動能動服従と自立ーつまり境界面を生きる高校生生活リズムベクトルのもので、それらが作者、あるい読者のこころのゆらぎそのもの表徴する。


単語分析

問十二

夜空

微分

明り

無視

良い


各々の単語および叙述は高校生にとって卑近ではあるが軽くはない。試験問題、ふと見上げる夜空、その奥にひろがる宇宙。それらは作者の人生の主要な一部、あるいはすべてかもしれない。ひとつひとつ単語が表層の意味から遊離して現状と行く手の不安、悩み、探求、願望、希望、決意といった、思春期から青年期にかけての心象を表象する。この歌は、読者ひとりひとりに当時の記憶を想起させる力を持つ。

述部の分析

展開は三部で序破急をとる。

序・問十二

テスト問題からはじまる文章表現そもそも斬新なのだが、それを体言止めとして何かを宣言している。この宣言は直裁に読者にとどき、読者はこの歌とともに問いに挑むことになる。

十二は天文暦法と関連がある。詠人だけにわかる何かの符丁かもしれない。だがそんな読み解き以前に十二月受験シーズンであり、夜空がもっとも冴えわたる季節でもある。受験生たち、あるいはかつての、そしてこれから受験生となる読者たちは、冴え渡る夜空にひろがる大宇宙を仰ぎ何を思うだろう。


破・夜空の青を微分せよ

専門術語の唐突な投入は文脈を破砕し衝撃を生む。

この衝撃はじゅうぶんに非凡な序を一気に振り切り読者を天空打ち上げる。

微分される夜空の青とは何か。

それは学問対象として規定される夜空であり、それゆえ純粋に観察と探求の対象であり、その分野への進学を目指す詠み人にとって、それは宇宙であり未来であり、そして自分でもあるだろう。それだけではない。その解をもとめる読者じしんの姿でもある。


急・街の明りは無視してもよい

街のあかりとは成功し定着したものたちの放つ光、そうしたしがらみとははなれた位置にいる受験生にとって、街のあかりは外部か雑音にあたるかもしれないし、いつか自分が再参入する場所かもしれない。


結論

この歌はテスト問題文そのものであり、解答は記されない。作者はこの問いに答えることも思考過程を示すこともせず、それらすべてを読者に投企している。そのため読者は作者の投げかけた問いの答えを探すことになる。読者は自問し夢み思惟想像記憶を想起する。歌を鑑賞することで作者の心象に分け入る作業がいつのまにか自問となり、ときには自分過去、あるいは未来、そして今この瞬間を投影する。

上記のような構成は、ありていに言えば時分の歌、青春限定叙情歌といっていい。さしあたり言語機能の極限をさぐる現代短歌のなかではこうしたテーマははやらない。ではそれだけを根拠にこの歌の価値限定できるのか。

そうかもしれないが、それで終わりにしてほしくない。なぜなら、こうした心のゆらめきを大切に記憶し想起し記述する行為自己世界のはざまからまれ認識の、つまり哲学科学原初のすがたであり、その姿勢現代短歌流行からはずれていようといまいといっこうにかまわないから。

結句を復唱したい。

俗世、しがらみ、現実などを表象する「街の明かり」を無視してもよいと歌い上げる。かそけき深き空の青さが真実ならばその対極にある現実など捨象してかまわないとも歌い上げる。

時分の歌かもしれないが、そこに込められたまっすぐに真実を見ようとする迷わない力をわたしたちは大切に保持してゆきたい。なぜならそれはたぶん、うしなってはいけないものから

2022-01-23

anond:20220122161245

それは、サークルの男連中がクズいいんじゃないかな。

普通は、止めるやつや反省するやつもいると思うけど、同調圧力とかで声あげられなかったのかも。

今の社会は、女性に生きづらいかもしれないけど、先輩みたいなおかげで少しずつよくなっていくんじゃないかな。

女性が声あげて、女性がそれに反対して、また女性が声あげてと、振り子みたいに。

先輩がそういう生き方してることに、あまり増田が気にすることはないかも。

2021-11-25

立憲disやる人はスウェーデンを見習ってほしい

多数の難民を受け入れたスウェーデンが思い知った「寛容さの限界

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/11/post-97522_1.php

立憲の説く寛容性を極限まで推し進めると、途中から有権者の揺り戻しの作用自動的に生じる。

これは自民維新が先鋭化した場合でも同じ。

有権者振り子の動きがちゃん存在しているのに、それをわざわざ人為的に動かそうとするとおかしなことになる。

2021-09-18

anond:20210918184112

問題
力学的エネルギーの保存則の内容を述べよ

果たしてこれに正解できる高校生がどれほどいるのか。

よくある間違い
非保存力が働かなければ力学的エネルギーの和は一定である

空気抵抗無視する場合の)振り子運動では、張力(非保存力)が働いているが、力学的エネルギーは保存されている。

2021-09-02

二重振り子は変な動きをする

俺もあそこがダブルだったら予想外の動きするぜ

2021-08-10

anond:20210810121024

ニュートンが生きていた当時は振り子時計時間が測られてたわけで、空気抵抗によって発生する理論値と実際の落下時間の差を検出できる精度が無かった。

2021-06-23

世間一周した感があるよな

昔はさ

韓国がまだ補償を求めてる? っておかしいやろ」

って話をしたらテレビとかで「戦争反省が足りない!」とかやたら叩かれてたけど、

今となっては

伝染病流行してるのにオリンピックやる? っておかしいやろ」

って話をネットでしたら、「野党支持者必死すぎやろ。パヨクは帰れ」って叩かれる。

当たり前のことを言ってるひとがなぜか叩かれてるのは同じ構図なんだよな。

これは予想だけど、そろそろ世の中の世論反転するとおもうで。

マスコミの過剰な韓国擁護とか政府たたきがひっくり返ってマジョリティをとられたのと同じことがまた起こると思う。

でもなあ、自分に都合のいい方向だとしても、振り幅が大きくなりすぎるのはヨクない。

振り子が逆にふれたときに痛い目に会うことになるのは自分だと思うんだよな。

2021-05-17

anond:20210517092908

コペルニクスが言ってるから地動説が正しい」よりも「教会学者たちが言ってるから天動説が正しい」

どっちも間違いだろ。

科学であるとはつまり実験手法で確かめることができるということだ。

振り子使った実験なりで実際に確かめることができるから地動説が正しい。

科学自分で確かめる気がある人のためのものであって、誰かしらに便乗して聞き齧った知識マウント取りたがる人のためのものではない。

2021-05-13

日本からブラジルへの直通エレベーター

これって何の動力もなく振り子状に動くんじゃね?

やばくね?

2021-03-25

〇〇にしかからない事

巨乳しかからない事

ストラップが長いものを首から下げると、振り子みたいに揺れる

 首からかけるとヘソくらいまで来るであろう社員証

 その社員証を首からぶら下げると、胸が振り子ストッパー代わりになり

 歩くだけでグイングイン振れ、ぱちぱちとID同士が当たる音がする。

Yシャツの隙間からブラが見える

 巨乳向けのYシャツってのもあるけど、高いんだよねぇ。

ちなみにGカップ

2021-03-15

anond:20210315114936

ステップ踏み出す前に振り子の要領で手前に足を振ると深く踏み込めるぞ

2020-10-26

primeNHKの『大科学実験』を見てる

「音の速さを86人で可視化する」「パラボラアンテナで大量のボールを跳ねさせる」とかは明確に面白かったんだけど、「(空気圧で)力士を持ち上げる」「(イカダで)象を持ち上げる」「(大量の卵で)ラクダを持ち上げる」「(電磁力で)人を持ち上げる」「(摩擦で)力士を持ち上げる(二回目)」「(梃子の力で)70トンのトレーラーを持ち上げる」「時速100kmの車で慣性の法則」「時速140kmの車で慣性の法則」「時速50kmの車で慣性の法則」「時速100kmの振り子を作る(だけ)」とか、ネタとしては面白くないけどスケールだけで強制的に絵面を面白くしようとする感じとそのためにとんでもない予算がかかっていることを考えるとあんまり素直に楽しめないのがうーんってなった

2020-10-07

頭を振り子みたいに動かしてバウンドするバカ

眠いのか、頭を振り子のように動かし

他人に頭を打ち付けて元にもどる奴がいる。

眠いのは分かるが、他人に頭ぶつけて

もとの位置に戻るんじゃねぇよ。

痛ぇし、謝罪ねぇし、当の本人は寝てる?

ふざけんな。

2020-09-22

anond:20200922132135

アメリカトランプが勃興したように、今はそっちに振り子か針が大きく振れている状態だろうな、揺り戻しがデカ過ぎなきゃいいがな...

2020-08-28

結局のところ。

安倍晋三という人は非常に凡庸で、具体的な政治指針もなく、しかしその時その時の流れに上手く乗ってなんとなく生き残るタイプ政治家であった。

それは彼が一番最初に脚光を浴びた北朝鮮協議拉致被害者帰国の時もそうであったし(彼はそれまでに北朝鮮問題に深い興味を示したという記録も伝聞もないが、以降はずっとあの青リボンをつけている)、

その注目度から幹事長に大抜擢され、官房長官さらには首相にまで上り詰めた。

しかしその政策小泉政権継承したもので、彼の独自性ほとんどなかった。もっとも前任者があまりにも政治家として強い個性の持ち主だったということもある。

だが、政府自民党ともに彼にその統率が取れていたとは言いがたく、政治家、とりわけ首相の適正には疑問がつきまとった。どうにかまとめ上げられたのは、自民党になんとなく漂う保守思想とそれを具体化した「美しい国」という空虚スローガンがあったからだ。

だがあいまいとした政治思想だけで日々の政治が回るわけもなく、様々な政治問題が噴出。現役農水相自殺などというトップクラス政治暗部が明るみになったところで、参院選敗北。自身は病に伏して一度表舞台を去ることとなる。

1度目の華々しい舞台は、あまりにも役者不足、という結末に終わった。

だがそこで政治生命が終わらなかったのは、血統のなせる技と祖父譲りの悪運なのか。

民主党政権機能不全に陥ったところをとどめを刺す形で震災発生。この社会不安から生じた反民主2000年代回帰の流れ(いわば振り子運動である)に乗る形で、周囲の反対を押し切って総裁復帰・そして首相に返り咲く。

そして今日再び病に倒れる形での辞任を表明した。

この第二次政権ははたして、どんなものであっただろうか。まだその総括は出来ないかもしれない。

政権立直後、目に見える形で株価バカみたいな上がり方をした。株価先導の形で企業業績は回復し以降6年景気を押し上げた。大量の金を市場に注ぎ込む金融政策は一つ結果を出したとは言える。

しかし結局くだんの3本の矢は揃わずじまいで、このコロナでこの政策はいよいよ手詰まりである

これも含め、本来であれば政府政権与党一丸となって一環した指針の下、さまざまな政策を大きく動かさなくてはならなかったが、結局政権初期以外そういう形はほとんど見られなかった。

結局のところ、安倍晋三首相は同じことを繰り返しただけではなかったのだろうか。首相として各所への人選は悪くなかったが、配置した人材ほとんどコントロールできず適切な機能を与えることが出来なかった。

本来であれば各省の歩調を合わせ利害関係者の調整を行うべき内閣官房(官邸)は、各職が見えない権力を握る中、政府内のただの権力装置に成り下がり、効率的かつ効果的な施策の支障を来すまでになった。

首相本人が制御を行うでもなく、その権限を適切に行使することなく、その権力装置自体権威化して好き勝手に行動してしまう。第1次と第2次問題点の違いはそこに突き詰められそうだが、それは結局、共通して安倍氏本人が役者不足であったのだろうという印象だ。

まりにもなにも背景が見えない凡庸な彼の素は結局、政権交代直前野田元首相との党首討論の時のあの、終始自分判断を先送りし他者判断をゆだねる彼だったのではないだろうか。

2020-08-16

ノーコードの次に流行りそうなモノを予想してみた

最近、ノーコード流行っていますね。誰でもコーディング不要Webサイトアプリが作れちゃう

中には、それで収益を上げている人もいるようです。

ただ、ガートナーのハイプ曲線で見ると、今ノーコード流行期だと思います

なので、これから反動期がやってきて「やっぱノーコードダメだ!」という時期がやってきます

なので、少し気が早いけど、ノーコードの次に流行りそうなモノを予想したいと思います

~ ノーコードの次に流行るのはクラウド開発環境

私はノーコードの次にクラウド開発環境流行ると思っています

今って殆ど場合ローカルターミナルVSCodeを立ち上げて開発しています。そ

れらを全部SaaS提供するサービス上で開発する流れがくるんじゃないかと思っています

私が思うに、開発環境って全然クラウドネイティブじゃないんですよね。

プログラミングをやるためには、ハードウェアちゃんとしたものを揃えないといけません。

少し前、メモリ16GB以下のPCだと人権がないというツイートがバズっていました、まだまだハードウェア依存している部分が多い感じです。アプリ開発だと、未だにPCスマホケーブル接続するか、同じネットワーク環境接続する必要ありますしね。

そこで、もし開発環境クラウド化してSaaSとして使えるようになれば、ハードウェア的な問題には悩まされず、家ではノートPC、移動中はスマホみたいな感じで開発できるようになる時代がくるかもしれません。

~ ノーコード解決したもの

https://speakerdeck.com/twada/understanding-the-spiral-of-technologies

こちらのスライドは、 Developers Summit 2018 でベストスピーカー賞を取った和田卓人さんのスライドです。

技術の変化は流行り廃りの振り子のように見えて、実は螺旋状に進化しているということが書いてあります

このスライドでは、集中と分散が例として上がっていますが、ノーコードにも同じことが言えます

実は、数年前にノーコードによく似たMDAという技術が登場したりしました。

MDAは、図を書くとコード自動生成されるツールです。

登場した当時は今のノーコードっぽい持ち上げられ方をしていて、エンジニア不要論がでたりしてました。

しかし、残念ながらMDAは開発の主流になることはありませんでした。

ツールが高いなど、いろいろ敷居が高かったことが原因だと思います

じゃあ、ノーコードMDAと何が一番違うのかというと、SaaSとして提供されていることだと思います

誰でも、そのサイトアクセスして、アカウントさえ作れば、開発をスタートできます。料金も無料から初められるものが多いです。この手軽さが、MDAにあったエンプラ感を解決し、今のノーコード流行を後押ししてるんじゃないかと思います

先程の技術進化螺旋理論で行けば、ノーコードで取り入れられたSaaS化の流れが、今のコーディング環境に取り入れられる未来想像やすいと思います

ネットに繋がりさえすれば、すぐにどの言語でも開発をスタートすることができるようになれば、多くの人にプログラミングの門を解放すると思います

~ 着々と進行しているクラウド開発環境下地

実は、クラウド開発環境の流れはすでに起こっています

先日、GitHubオンラインエディタとしてVSCodeベースエディタが使えるようになることを発表しました。

すでに、GitHubActionPagesなど、ビルド環境ホスティングサービスを展開しています

そこに、エディタも登場してきて、いよいよGitHubだけで全てが完結してきそうな流れがでてきました。

このように、クラウド開発環境は確実に登場しています

オンラインプログラミング教育サービスのPaizaやProgateもクラウドで開発環境が用意されブラウザアクセスするだけで、すぐに使えることを売りにしています

この流れで、toB向けの開発環境も、どんどんクラウド化していくんじゃ何でしょうか?

近い将来、GitHubアカウントさえ開設したら、アプリWebサービスの開発から公開まで行える時代がくるかもしれませんね。

~ノーコードはどうなるの?~

一旦冬の時代がくると思います

今のノーコードツールって、コーディング不要にしたかもしれないけど、設計力は求められるんですよね。

しろ、ノーコードアプリを作るほうが、実装サンプルが少ないぶん、普通プログラミング言語より、設計力求められるんじゃないでしょうか?

今どきは、どの言語でも少しググれば、やりたいことを実現する方法はでてきますしね。

なんというか、今のノーコードは、NewsPicks記事がでたあたりからバズワードなっちゃった気がします。

コーディング不要アプリが作れる!」という言葉だけ一人歩きして、プログラミング能力自体不要勘違いさせちゃってます

たぶん、もうちょっとしたら「コーディング不要」につられてやってきた大量の人が「やっぱダメじゃん」って言い始める時期が来ると思います

多くの人は、アプリWebサイトを作る設計力は持ち合わせていないと思うので...。

次にノーコード流行り始めるとしたら、設計も面倒見てくれるようなツールが登場するころだと思います

そのときに、ノーコードいう名前か、別の名前で呼ばれているかはわかりません。

~まとめ ~

というわけで、ノーコードの次はクラウド開発環境が来る!という予想でした。

もし、この予想を信じてくれる人は記事を「いいね」してくると嬉しいです。

最後に、ノーコード自体は、多くの人にアプリサービス開発の扉を開かせる大変素晴らしいツールだし、無料で始められるので、気になっている人は片っ端からやってみることをオススメします。

それでは。

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