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2023-10-15

ロシア中国の躍進について

 ロシア中国の躍進は著しい。


 彼らは民族主義アイデンティティ歴史的経緯、更には政治的アイデンティティを背景に、中東南米の主要国家を糾合することに成功した。

 中東においてはサウジアラビアイランアラブ首長国連邦の三ヶ国が今年八月にBRICs入りを宣言し、中東の主要国の大半が事実上中露陣営への参加を表明することとなった。

 また、南米においてはブラジルに次いでアルゼンチンBRICs入りを果たし、南米の二大巨頭が中露への支持を表明した。更には、政治的アイデンティティを背景にベネズエラニカラグアキューバなどの中南米諸国ロシアに対する支持を表明するに至っている。


 成功著しい南米中東に加え、欧州圏やアフリカアジアにおいてもその影響は波及している。


欧州事情ウクライナ戦

 欧州においては、ウクライナ戦争の背後でハンガリーロシア側への支持を表明している。ロシアハンガリー間のガスパイプラインの破壊に、ウクライナ(と恐らくはアメリカ)が大きく関わっていたことが、ウクライナ支持から離脱きっかけになったようである

 また、ポーランドも同じくして、ウクライナに対する嫌悪感を露わにしている。ポーランドウクライナの西に隣接する旧東欧諸国代表する国家であるが、これまでウクライナに対する大体的な支援を行ってきた。歴史的ポーランドロシアとの関係は決して穏当なものではなく、今年に入り米国から数兆円相当の軍備を購入することを宣言するなど、ポーランドロシアに対する危機感は大きなものであった。

 しかし、国連総会においてウクライナ農作物の輸出を巡るポーランド姿勢批判し、実質的に「ロシアの犬」呼ばわりしたことからその対立は鮮明になっていく。ポーランド外相ウクライナへの軍事支援の停止を一時宣言するなど、ウクライナに対して明確な嫌悪を表明したのである。また、NATO及び欧州内での外相会議において、前述のハンガリーと共にポーランド外相は欠席しており、ここからポーランド西側諸国に対する距離感が読み取れる。

 加えて、これはあくまで噂であるが、ウクライナにおいて不足している将兵を補うために、ポーランド軍が水面下で参戦しているとのことであるウクライナの開戦当初の軍備は二十万人程度であったにも関わらず、ニューヨークタイムズなどの報道機関によると、ウクライナ軍での現状の死傷者数は二十万人を超えている。つまり、元々ウクライナ存在していた常備軍はほぼ機能不全になっていると考えてよい。そのような軍備の不足を補うために、外国義勇軍(要するにNATO軍)が投入されていることは周知の通りであるが、その中でもポーランド軍が大きな割合を占めているとの情報がある。

 そのように実質的欧州各国とロシアとの防波堤であり緩衝国を自認するポーランドに対して告げられた、「ロシアの犬」扱いに等しい発言は、ポーランド民族的アイデンティティを大きく傷つけたと言える。このようなことから欧州においても、ベラルーシハンガリーポーランドを中心に、中露への支持を表明し始める国家は徐々に増え始めている。

 また、これは穿ち過ぎた見解かもしれないが、ドイツもまた潜在的な中露シンパとしての可能性を持っている。ドイツの直近六年間における最大の貿易相手国は中国であり、ドイツ経済面貿易面において国策として米国依存からの脱却を推進していた。つまり、少なくとも経済面貿易面においては露骨中国への接近を示唆していたのであるドイツは周知の通り第二次世界大戦における敗戦国であり、その国内には日本同様に米国の大規模な軍事基地存在している。あるいは、そのような現状に対してドイツが何らかの歯痒い思いを抱えているのではないか、という想像は、現実から乖離した妄想なのだろうか。


アフリカ国家傭兵の暗躍

 アフリカにおける影響力も多方面に渡っている。アフリカ歴史的経緯において欧米からの甚大な搾取を受け続けた国家が多く、潜在的反欧米の機運を抱えている。現状アフリカ大陸における経済大国と言えば、エジプトナイジェリア南アフリカ共和国三国であるが、その内エジプト南アの二ヶ国はBRICsへの帰属宣言しており、ここからアフリカ親中露の機運を読み取ることができる。

 また、アフリカにおいては2020年代に入って以来軍事的クーデターが頻発しており、その結果として親中政権樹立されることが珍しくない。そのようなクーデター当事国としては、マリギニアニジェールスーダンガボンブルキナファソなどが挙げられる。このような南アフリカの構成国においては、ロシア傭兵部隊であるワグネルの影響が大きいと見られており、クーデター軍の支援としてワグネル部隊戦闘を行うケースも散見されている。このように、中露はアフリカ諸国に対して軍事的な影響力を増しつつある。

 余談であるが、CNN報道によれば、アフリカで暗躍するワグネルとの戦いにおいて、ウクライナ特殊部隊が参戦しているとのことである

 これは陰謀論などではないhttps://www.cnn.co.jp/world/35209273.html

 何故アフリカ戦線ウクライナ特殊部隊存在しているのか? という率直な疑問を抱く人々は多いと思う。とは言え、このような疑問に対する回答は極めて明瞭であり、要するに、アメリカ軍部はウクライナ軍人を訓練し、傭兵部隊としてアフリカ戦線派遣しているのである。これは決して珍しいことではなく、ウクライナ部隊欧州各国で訓練されており、例えば複数レオパルド2戦車構成される第三十三機械旅団などは、典型的西側諸国の影響下で訓練されたウクライナ戦闘部隊であり、このようにウクライナ人を欧米諸国で訓練して戦線に投入する事例は、今回のウクライナ戦争において事欠かない。つまり、やっていることは元スペツナズ部隊出身兵士らによって構成されるワグネルと同様で、傭兵部隊組織アメリカもまたロシアに対抗するべく率先して行っているのであるアメリカ人口が多い割に経済規模の小さく、また今回の戦争において国力を大幅に減退させることが決定づけられているウクライナという国家特産物として、実質的兵士を挙げているのである


アジア地域

 アジアに関しても中露の影響力は増しつつある。中東に関しては上述の通りであるが、例えばベトナムベトナム戦争という歴史的経緯から米国に対する不信感が強く、ロシアとの協調路線が強く窺える。中国とは歴史的経緯文脈対立することが多いが、軍備面でロシアへの依存を強めるなど、ベトナムロシア中国を中心としたBRICs陣営との親和性は決して低くない。

 欧州との接続地点であるトルコも、2016年クーデター未遂以来、親露的方針を採ることが目立ち始めた。まことしやかに、当時のエルドアン政権に対して、クーデター示唆する情報が内々にロシアから提供されていたのではないか、という噂が囁かれている。

 また、見逃されてならないのが、インド存在である2000年代中盤には世界二位の経済大国地位約束されているインドは、中露に対して融和的路線を採ることが多い。2000年代世界経済において確固たる存在感を示しているインド立場は幾分流動的であり、必ずしも中露に対して全幅の信頼関係を結んでいるわけではないものの、少なくともBRICsや上海協力機構といった枠組みの中でインドは中露との連帯志向しており、決して欧米との完全な協調路線を歩んでいるわけではない。

 アジアと言えば当然日本もまた中国の大きな影響を受けた国家である。勿論、日本国内には米国の大規模な軍事基地が点在しており、明らかな西側国家としてのアイデンティティを持っているが、ここ数年の日本における最大の貿易相手国が中国であることは周知の通りである。少なくとも、貿易経済の面において、日本中国との距離を縮めると同時に、アメリカから距離を置きつつある。


まとめ

 また、極めつけにと言うべきか、中国による一帯一路構想において、アフリカアジア諸国に対する多額の資金援助が行われている。中国からの貸付によって財政破綻を起こしたスリランカのような不幸な例はあるものの、これまでのところこの一帯一路構想が完全に破綻したという情報は無く、徐々に中露シンパに傾きつつあるアジアアフリカの国々は増加傾向にある。

 更には、中国2030年代には実質的世界一位の経済大国地位を獲得し、その後長らくそ地位を独占し続けることが、各国のシンクタンクにより報告されている。一部日本シンクタンクなどはそのような中国経済事情に対する楽観的な予想に疑義を投げ掛けているが、しかし大筋で中国存在感が2000年代中盤において増していくことは、明白であろうと思われる。中露の躍進は、更に強まりつつある。

 今回のイスラエル動乱の背後には、BRICs参加国であるイランロシアの影があると言われており、ここにもその影響力の一端が覗える。

2023-10-14

なぜ9割の人間真実を知らずにのうのうと生きているのか

ウクライナ戦争はアメリカイギリス主催ウクライナ両国傀儡国家であり、

大統領とその側近は汚職で億万長者、

アメリカが育成した暴力的戦闘部隊国民の大半は支持しておらず、

国外脱出できる人はほとんどが国外脱出している。20歳以上男性は逃げられず、強制徴兵されている。

ロシアウクライナも元々はほとんど人種が一緒なので、わざわざ戦争する理由もない。

この事についてもはや大半の国の人も理解しており、アメリカ人ですら国民の5割は理解している。

ドイツ自分自分の首を絞めたと政府理解し、ウクライナ戦争についてコメントができなくなっている。

その辺を歩いている日本人ウクライナ戦争について聞いたとしたら、

「ぷーちんちんが悪いんでしょう!許せませんね!」という人間が9割だろう。許せないのはお前ら俺以外の日本人だよ。


イスラエルパレスチナ戦争もほぼ同じ構図。

アメリカが育成した極右政権がとにかく殺戮のため武器を消費しまくり、そこに新たに供給する。

パレスチナ武器を消費し切り、さらイランとも戦争してくれれば儲けものと思っている。

アメリカイギリスは人の命が失われる事をなんとも思っていない。

2023-08-24

「全エリートへの合図」:エフゲニー・プリゴージンの死

エフゲニー・プリゴージン飛行機が炎に包まれ映像世界中拡散されるなか、プーチン大統領は不気味なソ連戦没者慰霊碑に参列し、兵士たちの「祖国への献身」について語った。

モスクワから南へ数時間都市クルスクステージで、ロシア大統領は不気味な赤い光に包まれ交響楽団に挟まれた。彼は笑顔の揺らぎを抑えるのがやっとだった。

もしワグナーの準軍事的指導者が死亡したと宣告されれば、ちょうど2カ月前、ウクライナ戦争におけるロシア国防省対応に抗議するため、反乱を未遂に終わらせて以来、彼がマークされ続けてきた人物であることが確定することになる。

プリゴジンベラルーシアフリカで過ごした8週間は、その間に何度かロシアに戻り、クレムリンプーチンに会ったこともあったが、今では、ワグナー指導者クーデターの標的によって実行された手の込んだ復讐の単なる前奏曲だったようだ。

クライシスグループシニアロシアアナリスト、オレグ・イグナトフに言わせれば、『ゴッドファーザー』そのままの結末だった。

クレムリンの元高官はFT紙にこう語った:「彼らは間違いなく彼を揉み消すと思った。そしてそうなった。あのようなことは許されない。反逆罪への対応は不可逆的で迅速なものだと誰もが理解している。これはエリート全体へのシグナルだ」。

プーチンの支持者たちは、プリゴジンの死に詩的正義のようなものを感じるかもしれない。彼のワグネル部隊モスクワ進軍中にヘリコプター輸送機撃墜し、少なくとも13人のロシア軍人が死亡した。

「これは明らかに命令されたことだ。「結局のところ、空軍兵士を殺したのは彼の部下だった。剣によって生き、剣によって死ぬ。彼がなぜ世界中を旅していたのか、2ヶ月間はまったく不明だった。今、彼らは彼を清算し、すべてが理にかなっている」

プリゴージンの死は、ウクライナ侵攻と最近ロシア史の最も注目すべき章の一つへの激しい終結となるだろう。

プーチンシェフ」として知られる元クレムリンの仕出し屋であったプリゴージンは、国防省との長期にわたる対立が沸騰するまで、彼のワグネルグループロシアで最も強力な戦闘部隊ひとつに育て上げた。

最初の侵攻作戦が大失敗に終わった後、戦線を安定させるために招集されたプリゴージンは、代わりにプーチンお墨付きを得た事実上の並列治安部隊の長として頭角を現した。

彼は、戦争に参加するために釈放されたロシア囚人を中心に広大な軍隊を編成し、正規軍人員資源を奪い合い、正規軍将兵に対する辛辣コメントを定期的に発表した。

運命的な反乱以前から、プリゴージンの急成長が長続きしないことを危惧するプリゴージンの盟友はおり、ある盟友は2月に『フィナンシャル・タイムズ』紙に「イカロスのように終わる危険性がある」と警告していた。

当初、プーチンがプリゴージン破天荒な行動に寛容なのはロシア安全保障サービス対立する派閥牽制する試みの一環であるように見えた。カーネギーロシアユーラシアセンターシニアフェロー、タチアナ・スタノバヤは言う。「プーチンにとっては非常に不愉快な驚きであり、ショックですらある」と彼女は付け加えた。

7月クレムリンでプリゴージンと数十人のワグネル戦士会談した後、プーチンは、正規軍の指揮下でウクライナで戦い続けるという選択肢を、一流の傭兵たちに提示したと述べた。しかし、プリゴジンはその申し出を拒否し、移籍は実現しなかった。

このエピソードは、「プーチンは、彼らの戦場での英雄活躍地政学価値から、ワグナーの中核を維持したかった」ことを示している、とスタノバヤ氏は付け加えた:「しかし、プリゴジンプーチンにとって何らかの価値を保持していた形跡はない。会談ポイントは、プーチンがプリゴージンからワグナーを静かに引き離すことだったのだろう。」

プリゴージンジェット機ロシアベラルーシを横断し、遠くマリまで飛んでいくにつれ、モスクワエリート西側安全保障当局者も、プリゴージンの出番が間もなく終わるのではないかと疑い始めた。

2人目の元クレムリン高官は、元スパイセルゲイスクリパリ氏や反汚職活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏など、クレムリン反対派の毒殺に使用された神経剤について言及し、「彼らはノビチョクを使うだろうと思っていた」と語った。「彼らはメニューに何か新しいものを追加しました。」

プーチン大統領がワグナーに同情的であることで知られるセルゲイ・スロビキン最高司令官や、ウクライナ軍の失敗でロシア指導者非難した強硬派らを含む治安当局高官らの弾圧を開始した後、軍閥処罰からの明らかな逃れは特に違和感があるように見えた。

モスクワ社会経済学部政治哲学部長グリゴリー・ユディン氏は「反乱に関する内部調査完了した。スロビキン氏は昨日解任され、犯人たちは処刑された。」

ユディン氏はさらに、「調査し、判決を下し、執行するまでに2か月かかった。もし彼らがスロビキンが陰謀の一部である結論付けていたら、彼も飛行機に乗っていただろう。」

危機は迅速かつ効果的に対処された」と欧州政策分析センター上級研究員であり、ロシア安全保障サービスに関する数冊の本の共著者であるアンドレイ・ソルダトフ氏は語った。ソルダトフ氏は、プーチン大統領は最終的な復讐を実行する前に、時間をかけてプリゴジン氏の資産を処理し、強硬派懲罰したと述べた。

マキャベリの傑作に触れ、「あなたにとっては、これが21世紀君主です」と語った。

https://www.ft.com/content/92ec0654-b426-438b-b8e2-390ebfb91671

2023-04-18

核による脅迫抑止力が働くなら、通常ミサイルだって抑止力になるはず

たとえば、我が国上陸許可を得ないで戦闘部隊上陸した場合、その相手国の主要都市に通常ミサイル攻撃を加えるという宣言をする。

もちろん、迎撃する準備をしてから攻めてくるだろうけど、それを言うなら核ミサイルだって迎撃手段はあるわけで、100%迎撃できるとは限らない以上は抑止力になるはずである

2023-03-07

ポリコレ配慮した鬼滅

従来の性規範肯定するかの様なミソジニー体現する甘露寺蜜璃の存在は無かった事になります

冨岡義勇はゲイになります

我妻善逸は黒人の血を引くハーフ少年になります

胡蝶しのぶは性転換した元男性になります

女性を戦わせるのはNGなので鬼○隊の戦闘部隊は男だけになります


こんな鬼滅、楽しいか?

2022-04-20

anond:20220420230241

はてなーは、戦争になったらすぐ逃げそう

ウクライナでも命をかけて戦ってるのはネトウヨ戦闘部隊だし、やっぱり時代ネトウヨだよな

2021-04-10

anond:20210410114121

人心を鎮撫して安寧秩序回復住民生命財産保障するの義務がある。嘗て日清戦役の際は戦局の進展に伴ひ、第一軍は先づ安東縣に民政廳を置き、次いで海域海域善後公署を置き、又營口民政署を置いて軍政を司らしめ。第二軍は金州城を陥るゝと同時に金州城行政廳を置き、次いで旅順行政署を置き、更に蓋平、復州、貔子窩に各行政署を起き金州城行政長官の式に属せしめた。日露戦役の際には樞要の地に軍政署を置き、軍政委員を任命した。後遼東守備軍の編成により遼東守備行政規則を發布して軍政委員統轄せしめ、租借地内にては殆んど全部の行政を擔當せしめ、租借地意外にては普通民政は清國官憲に擔當せしめ、軍政委員軍隊の便益を図り、傍ら地方官憲監督の任に當らしめた。後遼東守備復員により租借地には民政署を置き民政長官を任命した。

 戦闘部隊前進に随ひ占領地域は益々擴大さるゝが故に機關を設け軍政を司らしむる必要あるは明かなるも、前述の如く領土性質曖昧なるにより、其の権力行使必要以内に止め成るべく其の地方法規慣習を尊重して事に當り、又地方住民をして自治的の行動を採らしむるを要す。而して第三國人の關係に就き特に細心の注意を拂ひ、無益の國際問題惹起せざるべく努むべきである。(八月二十八日稿)

五六

北支事變と陸戦法規

外交時報 第八十四巻』昭和十二年、外交時報社、pp.47-56

北支事變と陸戦法規

篠田治策

 明治四十年(千九百七年)十月十八日海牙に於いて調印せられたる開戦に關する條約第一條によれば、一國が他國と戦争を開始するには理由を附したる開戦宣言形式又は條件付附開戦宣言を含む最後通牒形式を有する明瞭且つ事前の通告をなすことを要す。故に現在北支及び上海方面於いて進展しつゝある日支両國の戦闘は、理論上之を日支戦争又は日支戦役と称すべきものに非ずして、事變即ち北支事變、又は上海事變と称すべきものである。我が政府公文にも新聞紙報道にも総べて事變の文字を用ゆるは之れが為めであると思はる。換言すれば宣戦の布告を見るまでは、戦争又は戦役と呼ばずして軍に事變と称し、両國間の國交は断絶せざるのである。之れを先例に徴するも、明治二十七・八年の清國との戦、明治三十七・八年の露國との戦、世界大戦参加による青島攻撃戦等は、之れを日清戦争(戦役とも称す以下同じ)、日露戦争日独戦争と称し、明治三十三年の義和団事件、近年に於ける済南出兵上海出兵満州出兵等は、総べて之れを事變と称したのである

 此の招呼は従来何よりて定まりしか詳知せざれども、現今に於いては確然明白に区別せらるるは、政府公文或は法規等にも「戦時事變に際し」云々等の文字を用ゆるも明らかである。故に日支両國の何れかより

<四七>

宣戦の布告若くは條件附開戦宣告を含む最後通牒あるまでは、如何に大部隊の衝突あるも未だ事變の域を脱せずと謂ふべきである。猶ほ八月二十三ワシントン發の同盟通信によれば、アメリカ國務長官コーデル・ハル氏は、今回の北支事變に際しては終始冷静な態度を持し形成注視しつつあつたが、二十三日午後聲明を發し、日支両國政府に対し「戦争行為に訴へぬよう」要請した由である二十三日は我が陸軍部隊上海附近上陸を開始した日である。即ちハル長官現在の日支両軍の戦闘行為を以て、未だ戦争に非ずと見て居るのである。然れども、我が政府最初宣言したる事件不拡大の方針余儀なく抛棄したるのみならず在外艦隊司令長官支那船舶に対し沿岸封鎖を断行し、支那も亦縷々大部隊を動員して攻撃的態度を採りつゝあるにより、或は近き将来に於いて事變を変じて戦争となるべき可能性ありと信ずるのである

 我が國の國内法に於いては事變と戦争区別せざる場合多く、例へば出征軍人の給奥、恩給年限の加算、叙勲に關する法規など総べて事變と戦争を同一に取扱ふも、國際法上にては事變と戦争は大なる差別がある。

 即ち現在の事變が変じて戦争となれば、日支両國は所謂交戦國隣、共に戦争放棄を遵奉する義務を生じ、同時に中立國に対しても交戦國としての権利と義務を生じ、中立國は皆交戦國に対して中立義務負担するに至るのである。語を換へて言へば事の事變たる間は必ずしも國際法規に拘泥するの必要なきも、一旦戦争となれば戦場於いて総べて國際放棄を遵守すべき義務を生ずるのである。然れども事變中と雖も正義人道に立脚して行動し、敵兵に対し残虐なる取扱を為し、良民に対し無益の戦禍を蒙らしむるが如きは努めて之れを避くべきは言を待たずである。此の點に關しては、皇軍は我國教育の普及と伝統武士道精神により、毎に正々堂々たる行為を以て範を世界に示しつゝあるは欣快である。嘗て済南事變の際支那兵が邦人

<四八>

対する残虐視るに忍びざる殺戮行為、今回の通州に於ける邦人虐殺行為等天人共に許さゞる野蛮行為に対しても、敢て報復の挙に出づることなく、飽くまで正々堂々唯だ敵の戦闘力を挫折するに留めたのみである。故に皇軍には戦場於いて事變と戦争区別する必要はない。何れの場合にも武士道精神に則り行動するが故に、戦争違反問題を生ずることは殆んど無いのである

 従来我が陸軍戦場於いて戦時國際法適用の万全を期せんが為目に戦時國際法の顧問として日清戦争には故有賀長雄博士を、日露戦争には第一軍乃至第四軍に何れも二人づつの國際法学者従軍せしめたのである日清戦役後仏國の國際法学者にして同國大審院検事長たるアルチュール・デジャルダン氏は日本軍の行動を激賞し左の如くに曰つた。

東洋の僻隅に大事業を成就すべき一國あり、之れを日本とす。其の進歩は単に戦争の術に止まらず、戦時公法理想於いて欧州をして驚嘆せしむるものあり。國際法論は欧州於いても漸を以て進みたるものなるに、日本は一躍して此の論理を自得したり。是れ果して高尚なる正義を感得したるに因るか將た又利害を商算したるに因るかは別論に属すと雖も、其の之れを寛行するや極めて勇壮にして、恰も自國の能力覚知する心念の中より適宜に之れを節抑するの嗜好を自然に生じたるものの如し。是れ人類一般利益として祝す可き所なり。

又仏國の國際法学者ポールフォーシル氏も、當時日本軍の行動を評して左の如く曰つた。

此の戦役に於いて日本は敵の万國公法無視せるに拘はらず、自ら之れを尊敬したり。日本軍隊は至仁至愛の思想を體し、常に慈悲を以て捕虜支那人を待遇し、敵の病症者を見ては未だ全て救護を拒ま

<四九>

ざりき。日本は尚ほ未だ千八百六十八年十二月十一日の聖比得堡宣言に加盟せずと雖も、無用苦痛を醸すべき兵器使用することを避け、又敢て抵抗せざる住民の身體財産保護することに頗る注意を加へたり。日本は孰れの他の國民も未だ會て為さゞる所を為せり。其の仁愛主義を行ふに熱心なる、遂に不幸なる敵地住民租税を免じ、無代償にて之れを給養するに至れり。兵馬倥偬の間に於いても人命を重んずること極めて厚く、凡そ生霊を救助するの策は擧げて行はざる無し。見るべし日本軍の通過する所必ず衛生法を守らしむるの規則を布きたるを、云々。

日清戦役にては敵軍は全然國際法を守らざるが故に、我軍にても之れを守るの義務無かりしも、然も四十餘年前に完全に之れを守つて先進國を驚嘆せしめた。日露戦役當時は海牙の平和條約調印後なりしが故に、陸戦法規を守るべき義務ありしも、尚ほ宣戦の詔勅中にも「國際法の範囲内に於いて一切の手段を盡し違算なからしむることを期せよ」と宣せられ、参謀総長は訓令を發して戦規遵奉の趣旨を周知せしめ、更に前期の如く各軍司令部に國際法顧問を配属せしめた。戦役中特別任務を以て米國派遣せられた法学博士男爵金子太郎氏が歸朝の後國際法学会にて為したる演説中に左の要旨の一説がある。

米國人は事實の真相調査せず、動もすれば國際法違反を称するを以て之れに対する材料蒐集中、新聞紙上にて我が第一軍乃至第四軍に國際公法専攻の学者二名宛を配属し、陸戦の法規解釈其の適用参謀部に於いて國際法専攻の学士協議せしめ、公法違反を生ぜしめざることを發見せり。是に於いて各種の集会に於ける演説或は新聞記者との会見に於いて余は毎に「米國人は國際公法提唱日本政府の決心は露國は大國なり腕力於いては或は露國は日本に勝るならん、貴國人が露西亞の聲を聞き戦慄す

<五〇>

る程の大國なれば、日本も恐れざるに非ず、然し國家の危急存亡に代えられざれば全滅を賭して最後の一人まで戦ふにあり、而して此の戦争日本が國際法を破りしことあらば世界歴史汚名を遺すが故に假令戦に敗るるも國際法は遵奉する決心にて現に此の如く専門学者が各軍に配属せられあり、故に余は日本軍に國際法違反無きを保證す」と説明せるに、此の説は次第に傅播して後には日本同情者が各所にて演説等をなす時、日本軍が國際公法家を二名づつ従軍せしめたる事實を述ぶる毎に非常に喝采を博したり。又エールハーバード等の米國國際法大家と会見せる際彼等は各國共に今度日本が外國との戦争に國際法学者従軍性せしめたる如き前例なし、将来日本の新例に倣ふべきことにして、右は一進歩を陸戦の法規に與へたるものなりとして大いに称賛したり。之れ實に日本陸軍の今回の處置は文明國の真價を世界に示したるものと謂ふべし。云々。

 世界大戦の時は、青島攻撃軍に嘗て筆者と共に日露戦役当時第三軍に在勤したる兵藤氏従軍したるを聞きしも、其の職名を詳かにせず。又浦鹽派遣軍には主として外交官をもつ組織したる政務部を置いた。此の政務部は主として外交方面事務従事したるも、亦國際公法適用に關して其の権威たりしは勿論である(筆者も數ヶ月間此の政務部に派遣されて居つた。)

 過去に於ける皇軍の行動は實に右の如く最も鮮かであり、所謂花も實もある武士的行動であつた。斯かる傳統的名誉を有する行軍の行動は今回の事變に際しても決して差異あるべき筈は無い。理論上事變は國際戦争に非ざるの故を以て、節制無き行動に出づるが如きは想像だに及ばざるところである

 唯だ、陸戦法規適用に關し、茲に疑問の生ずるは領土性質である。假りに之れを中華民國

<五一>

領土なりとせば、國交断絶を来さず単に事變たる間は、未だ之れを敵國領土と称するを得ざるが故に、出征軍は如何なる程度に其の権力行使すべきか、又南京政府官吏は既に逃亡し、地方民衆自ら自治政権樹立したりとせば、國家として列國の承認無きも、戦闘地域を其の領土として取り扱ふべきか等の問題である

 宣戦の布告により事變が變じて日支戦争となりたる場合於いて北支一帯が依然として中華民國の領土なりとせば、問題は至つて簡単にして、我軍は之れを支配して軍政施行治安を維持するのみである。然れども事變として繼續中及び新政府領土となりし場合には、其の地域行使すべき軍の権力に多少の差異あるべきは明らかである

 日露戦役の際は戦闘地域性質を異にする三種類の領土があつた。即ち樺太の如き完全なる敵國領土遼東半島及び東清鐡道沿線附属地の如き敵國の租借地と、満州一帯の如き第三國の領土があつた。樺太に關しては完全に我が占領軍権力行使したるは勿論なるも、租借地に關しては租借権其物の性質すら学者間に議論一定せず、如何なる原則に基きて之れを占領すべきかは問題であつた。筆者は遼東半島上陸直ちに此の問題に直面し、又間も無く着手したるダルニー(大連)の整理に際して実際問題に逢着した(拙著日露戦役國際公法第二章三章)。又当時諸國は局外中立宣言したるも、遼東以東は之れを除外し日露両國の戦場たらしめるが故に、所謂喧實奪主の観ありて、交戦國は任意に此の地域活動したるも、其の権力講師には純然たる敵地占領とは自ら異なるものがあつた。

 今回の北支事變に於いても、其の交戦地域領土性質曖昧なるに於いては、日露戦役当時の先例を参

<五二>

考にして之れに善処し、然も恩威併行、皇風をして六合に洽からしむるの用意あるを要す。

 従来北支方面は日・満・支に微妙なる關係を有し、外交政治に極めて複雑なる舞臺であり、事變の原因も一部は其処に在つた。故に平和克復の後は雨降って地固まり、明朗なる新天地を現出して再び颱雨の發生地たること無からしめねばならぬ。従って陸戦法規適用に当たりても緩急宜しきを制し、傍ら戦後政治工作に關する其の地均しの役目を引受lくるを必要と考へられる。固より事變であり、戦争であるに拘らず、我が武士道の精神と殆んど一致する陸戦法規は完全に適用せらるゝは疑ひなきも、其の間事に輕重あり、絶大の権力を有する軍司令官禁止事項の外は自由裁量余地あるかは明かである

 陸戦法規の條項を北支事情と敵軍の素質に対照して一々之れを論究するは、紙面の許さゞるところなるにより、筆者が茲に希望するところを一言に表示すれば、過去の二大戦役にて、克く陸戦法規を遵守して皇軍名誉を輝かしたる如く、此の事變に於いてもこの點に注意を拂ひ、更に占領住民に対しては軍律を厳重にし軍政に寛仁にすべしと謂ふのである

 凡そ遣外軍隊は一地方を占據すると同時に、軍隊安全作戦動作の便益を図るが為めに、無限権力を有するが故に、軍司令官は其の占據地域内に軍律を發布して住民に遵由するところを知らしめ、軍隊安全作戦動作の便益を害する者には厳罰を以て之れに蒞み、同時に一般安寧秩序を保持し良民をして安んじて其の生業従事せしめねばならぬ。固より戦闘に關係なき事項は其の地従来の法規により、其の地方官吏をしてその政務に当たらしめ、以て安寧秩序回復維持瀬しむるを便宜とするも、事苟も軍隊の安危に關するものは最も厳重に之れを取締らざる可からず。假令ば一人の間諜は或は全軍の死命を制し得べく、一條の

<五三>

軍用電線の切断は為めに戦勝の機を逸せしめ得るのである。故に軍司令官は此等の危害を豫防する手段として、其の有する無限権力を以て此等の犯罪者厳罰に處し、以て一般を警めねばならぬ。故に豫め禁止事項と其の制裁とを規定したる軍律を一般公布し、占據地内の住民に之れを周知せしむる必要がある。日清戦役の際は大本営より「占領人民處分令」を發布して一般に之れを適用した。日露戦役の際は統一的の軍律を發布せず、唯だ満州総司令官は鐡道保護に關する告諭を發したるのみにて各軍の自由に任せた。故に各軍區々に亘り第一軍にては軍律の成案ありしも之れを發布せず、単に主義方針として参考にするに止め、第二軍には成案なく、第三軍にては確定案を作成したるもの司令部より統一的軍律の發布あるを待ち遂に之れを公布するの機を失し、遼東守備軍は第三軍の軍律を参照して軍律を制定發布したりしが、後遼東兵站監は之れを改正して公布した。旅順要塞司令部特に詳細なる規定を發布し、旅順海軍鎮守府別に軍律を發布し、第四軍にては一旦之れを發布したるも後に之れを中止し、その他韓國駐剳軍、及び樺太軍は各々軍律を發布した。

 軍律に規定すべき條項は其の地方の状況によりて必ずしも劃一なるを必要とせざるも、大凡を左の所為ありたるもの死刑に處すると原則とすべきである

一、間諜を為し及び之れを幇助したる者

二、通信交通機關を破壊したる者

三、兵器弾薬其他の軍需物件を掠奪破壊したる者

四、敵兵を誘導し、又は之れを蔵匿したる者

<五四>

五、我が軍軍人故意に迷導したる者

六、一定軍服又は徴章を着せず、又は公然武器を執らずして我軍に抗敵する者(假令ば便衣隊の如き者)

七、軍隊飲料水を汚毒し、又軍用井戸水道破壊したる者

八、我が軍軍馬殺傷したる者

九、俘虜を奪取し或は逃走せしめ若くは隠匿したる者

十、職場於いて死傷者病者の所持品を掠奪したる者

十一、彼我軍隊の遺棄したる兵器弾薬其他の軍需品を破壊し又横領したる者

 而して此等の犯罪者を處罰するには必ず軍事裁判に附して其の判決に依らざるべからず。何となれば、殺伐なる戦地於いては動もすれば人命を輕んじ、惹いて良民冤罪を蒙らしむることがあるが為めである。軍律の適用は峻厳なるを以て、一面にては特に誤判無きを期せねばならぬ。而して其の裁判機関は軍司令官臨時に任命する判士を以て組織する軍事法廷にて可なりである

 帝國政府が屢々聲明する如く、我國は決して北支侵略して我が領土なすが如き意圖を有せざるも、今回の事變によりて北平天津地方より支那軍隊駆逐し、現に事實上その地方を占據し、戦局の進展に伴日、占據地域を拡大しつゝある。而して此の地方住民自治政権樹立したるとするも、我軍の支援無くしては一日も安定し得ざるは明かである。故に如何なる外交辞令を用ゆと雖も、此の地方一時的にもせよ事實上我軍の占領である。勿論日支両軍衝突の一時的現象に止まり永久に之れを占領するの意思無きが故に此

<五五>

占領は九國條約に牴觸するものに非ずと信ずる。

 我軍が一時的なりとも北支地方占領したる以上は、我軍は其の地方の人心を鎮撫して Permalink | 記事への反応(1) | 11:41

2020-07-15

anond:20200715191040

左翼にしてみれば、底辺被差別者に中上流の女を回さないのは差別階級固定だってことになるから、そりゃ反対するだろう。

KKO戦闘部隊を訓練して、武力闘争に打って出たほうが幸せになれるかもしれない。

2019-04-26

異世界生物テンプレのように美男美女ばかりでうんざり

警察消防自衛隊みたいな顔の集まり

イケメンはぽつぽつ混じってるだけで女は普通の子事務所はいても戦闘部隊はいないんじゃないのかなあ

一つもリアル路線のがなくてうんざり

2016-04-03

http://anond.hatelabo.jp/20160403202523

うんだから前の社会価値観が見ててつらいよねって話でしょ?

そう、オタクよりずっと前の社会価値観な。文句はその時代のオッサンどもに言えよ。

ヤン・ウェンリーが29歳で准将閣下、みんな大好きアンドリュー・フォークが26歳で同じく准将閣下から別に優秀な軍人としては普通なのでは

ヤンと並べたら誰のスピード出世もかすむだろうよ。最年少の元帥だろ? フォーク士官学校主席卒業してる、年に一人しかいない秀才だろ?

フレデリカは十分スピード出世だよ。シェーンコップやポプランと比べても割を食ってるようには思えんがね。

それより艦隊司令官メンツが全員男なんですがそれは、という。

2016年米軍でも戦闘部隊司令官女性は珍しいんじゃないの? 女性米軍で高い階級に上がるようになったのって00年代中盤以降だ。80年代小説にそれを求めるのは無理だろ。

有名人の嫁さんが有名人の嫁ってだけの理由トップに担がれるのは女性差別の解消でもなんでもないよねえ。

それ以前に、直近のクーデター事件の首謀者の娘なんだが(しかもその時点で現役軍人)。それでもクビになってないのは実力を評価されているからだ、と作中でも描かれてるんだがね。

 
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