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2018-05-17

大学部活動は変われない

大学体育会に入ったことの無い人たちが大半だろうからこの文章を書こうと思った。

少なくとも私の部は異常だと思った。ここでの話は地方田舎大学での数年前の出来事だ。どうやらそれは今でも続いているようだ。

ちょうど今頃は、ある程度の新入部員が入部し終えていることだろう。もう少ししたら、その部のご作法を叩き込まれるはずだ。ここで言うご作法とは部の本質的活動とは全く関係がない。

新入部員たちは基礎練習をしているだろう。上級生たちも今はやさしく指導しているはずだ。あと1ヶ月もすれば部の大きな行事として新歓コンパがやってくる。これが厄介だ。

新歓コンパとは歴代OBOGたちも集めて今年度はこんな部員が入部しました、と報告する会のことである。決して新入部員が歓迎されているとは限らない。彼らはOBOGたちに粗相がないような行動を求められる。その代表例として、自己紹介と酒のマナーについてである。それを紹介しよう。

新歓コンパでの新入部員役割OBOGたちに個別挨拶回りに行くことだ。まず、挨拶回りに行くとき姿勢は中腰だ。OBOGの前に着いたら、「〇〇さん、お隣よろしいでしょうか」と一言挨拶して座る。まあこれはふつうのことだ。自己紹介が終われば、OBOGビールを注ぐ。ちなみに、新歓コンパでの飲み物ビールウーロン茶だけだ。ビールを注ぐときは必ずラベルが上にあって見えるようにしなければならない(もちろん、手でラベルを覆ってはならない。ラベル神聖な何かか?)。注ぎ口は相手のコップにできるだけ近づける(コップに当たってはいけない。注いだときビールがはねないようにする。まるで化学実験のようだ)。OBOGに注ぎ終わったら、次は自分のコップに飲み物を注いでもらう(未成年ならウーロン茶、成人ならだいたいお酒)。注がれた飲み物は「ありがとうございます」と言って一口でもいいから飲まなければならない。その後、談笑をする(そんな状況でできるはずがない)。その最中ビールが無くなったと気づいたらビールを注ぐ。区切りがいいと思ったら、ひと声かけて別のOBOG挨拶にいく。これを時間の限り続ける。目の前に料理はあるがほとんど食べれないと覚悟することだ。そんな時間はない。

入ったばかりの新入生にこんな芸当すぐにできるわけがない。だから新歓コンパの1ヶ月ぐらい前から講義がない空いた時間にみっちり練習することになる。部の基礎練習は二の次だ。まずは酒のルールを身に着けなければならない。何時間もかけて。部の練習ではやさしい上級生もこのときになると態度を豹変する(講義ときはやさしい教授研究室では……みたいな)。恐怖政治の始まりだ。これが1年に4回行われるから、新入部員たちもすっかりその部活動思想に染まる。これで晴れて部員の仲間入りだ。

新歓コンパ完璧にこなせる新入部員ほとんどいない。「もっとしっかりしろ」とコンパが終われば影で上級生たちはOBOGに注意されていたところを見たことがある。そのとき上級生たちの背中は小さく見えた。下級生は上級生に逆らえないし、上級生はOBOGには逆らえない。結局、その部活動思想を作っているのはOBOG年寄株となる。変えようと思っても変えられない構造になっている。

話題となっている大学もこんな構造なのだろうと推察している。上には逆らえないし、上もその上には逆らえない。ただし、一番上はやれとは言ってない。みんな"伝統から"という不文律のなかで動いている。しかし、実質その伝統を変えられるのは一番上の人物だけなのだ。当分この構造は変わらないのだろう。

 
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