はてなキーワード: 岸田メルとは
ここ。https://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/2202246
岸田メル @mellco
洗濯機がぶっ壊れたんで保証でメーカー修理してもらったんだけど、最初無料だって言ってたのにこのパーツは保証外ですね、50,000円です!とか言われてハァ⁉️となり、しかも今すぐ払わないと修理できないみたいな雰囲気だったんで、え、無理ですと言ったらタダになった。え⁉️なんなん
「書類上は無料にして、ポッケナイナイするつもりだったんだなとしか思えないんだが…」
「ビッグモーターみたい」
「5万即金じゃないと直せないなんていう奴は詐欺師です。」
「 メーカーが委託している近くの修理業者が来たんだろうしこういうことする奴がいても不思議ではない」
すげえなあ、彼らには真実が見えているんだなあ。
1.
まず、「絵を描く技術」それ自体は商品ではない。だから「技術を盗む」という言い回しに振り回されていわゆる窃盗のように考えるのは間違っている。実際、見よう見まねで誰か風の絵が「描けるようになった」というそれだけでパクリ呼ばわりされたりはしないはず。誰々風の絵を描いて、世に出して初めてパクリ呼ばわりされたりされなかったりする。
さらに、画風が似ているとパクリ呼ばわりされたとして、本当に著作権侵害の要件を満たすかはかなり怪しい。これはこれ系の話を追っていれば耳にタコができるほど聞いてると思うから割愛する。結局、世間一般的には「絵を描く技術」については個人に属する権利はほぼ認めていない。(特許でも取ってるなら話は別だが)
従って、絵師がやたら気にしている「この書き味はオレのものだ!」という感覚は、ごく個人的なプライドの問題であって、客観的に守られるべきものではない。少なくとも今の日本にはそういう合意はない。
だから、「若手のこと考えてないですよね」という指摘は、まあそうなんじゃないの、としか言えない。ある人が強烈に持ってる拘りを別にみんなして守る道理はないというそれだけの問題なのだから。
2.
勘違いされていそうだが、ビジネスマインドが強いというのは金になれば何でもいいという立場ではなく、どうせAIのなかった時代に戻るなんてことはできないのだから、将来的にはAIを使う前提で備えるという立場。話題になった人で言えば岸田メルとかさいとうなおきとか?
上にも書いた通り「絵を描く技術」自体を商品のように扱うのは従来の法解釈からかなり離れた主張で普通は考えない。だから自身の創作活動においてウェイトの低い作業はAIに任せようというのは全然ありうる発想。
3.
いろいろ論理が飛んでるので前提から確認するが、まず二次創作者が金を稼いでいようがSNSでひっそりやっていようが、著作者の利益は侵害しうる。著作権侵害は著作者の意向で訴訟になるかどうかが決まるので、著作者のイラつき度を上げないために金を稼がないでおくというライフハックが周知されているだけで本質的には関係ない。
次に、AIによって生成された画像自体には、少なくとも現行法では必ずしも著作権上の問題は発生しない。もちろん使う側が似せようとすれば従来通りの著作権侵害の範囲になってしまうが、「こういう髪色、顔、体型、服装で…」とちゃんと指定すればそれはその人の作ったキャラであってオリジナルだ。
…と、こういうと「他人の著作物から学習したんだから著作権侵害だろ」的なツッコミが入るのがおなじみだが…じゃあ誰のどの著作権を侵害してるの?
AIの学習データには何億という画像があって、しかもあくまで学習に使うだけでAI自体はどの画像のデータも持ってない。そんな状態で特定のこの画像を明らかにパクっているってなんで言えるの?
もう一度言うけどAIによって生成された画像自体には必ずしも著作権上の問題は発生しない。悪人が使えば悪いことができるというだけ。
これまで己の腕で頑張ってきた絵師があれをキモイと思うのは自由だけど、これも最初の話と同じで個人のプライドの問題だから。そう思わない人もいるし、絵師個人のプライドをみんなで尊重してやる道理もない。
自分が特許権を侵害される可能性はほとんどの人にとってゼロで、ひらめきで作ったアプリや便利道具に対して、多くの下らない特許を維持できる資本家から特許権の侵害をしたって言われる可能性のほうがずっと大きい。
自分が著作権を侵害することは意識してやらないとほとんどないけど、創作物を公開しているならかなり高い可能性で侵害される。
著作権が弱すぎると資本家にいいように使われるんだよ。AIの件で吹き上がってるのはそういうこと。
個人対個人の著作権侵害なんて屁みたいなもんで、個人が岸田メル風の絵を出力してキャッキャしてるうちはいいけど、コーエーテクモが岸田メル風のAI絵でアトリエの新作だしたら終わりだよ。
特許権が強すぎれば個人開発なんて絶対不可能。普通に考えりゃそうなるだろ、っていう使いやすいUIが全部企業の特許になって、というか実際既になってるんだけど、建前上後発からの訴訟を防ぐための特許と説明されてる。
それらが全部行使されたら、インディーズゲーム壊滅だよ。内容がどれだけ斬新でも横並びのメニューを使っただけでダメ。縦もダメ。円形もダメ。どうすんの?
お気持ちと言われればお気持ちだけど、権利という考え方がそもそもお気持ちなんだから、特許権の行使と著作権の侵害に敏感なのは自然なこと。資本家にいいようにやられないようにちゃんと監視しないといけないの。わかった?
個人的にはコスプレやAIの絵で僕の漫画の二次創作をやってくれるのは作品へのリスペクトを感じられるので嬉しいけど、手描きであってもエロ同人作られるのは嫌悪感しかない。リスペクトのかけらも感じない。よっぽど規制して欲しかった。— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) May 13, 2023
あくまで自分の経験だけの話をすると、自分がキャラデザインしたキャラでエロコラ作られたり、エロとまではいかなくても雑にポーズとか表情とか変えられたやつが結構出回ったりして、それをオフィシャルだと思われるのって本当に心の底から嫌だったんですよね— 岸田メル (@mellco) May 11, 2023
昔プロデュースしたフィギュアはチープなダッチワイフみたいな上級者しか愛でられない見た目だし、しかも外注であって彼自身の手によるものではない。
そんな奴でも一応巨匠なわけだから本気出せば岸田メルとかいった名だたる萌えイラストレーターよりも魅力的な萌えイラストを描けるのかね。
でもなあ、もとはアニメーター志望かつ外注でそんなの作ってるってことはそういう道は挫折したっていう傍証になってると思うんだよね。
ようは資質がないからアニメーターは諦めたし今もそういうのを手掛けるときは外注に頼る始末ということ。
さすがにサイゲームやyostar的な可愛い女の子というジャンルでそれ系のイラストレーターに村上隆の本気に適う奴は誰もいない、とは思わないんだけどどうなんだろうね。
そりゃ東京芸大入ってる以上デッサンの基礎力はあるし特定の絵柄真似るのも朝飯前なのかもしれないけど、本人自身がフィクトセクシャルじゃないから、萌えを享受する感性を持ってないと言うか、何が可愛いのか実体験として感じることが出来ない人に、あの手の可愛い女の子を描き出すことはある程度までしかできないんじゃないかなとも思ってしまう。さすがに第一線で活躍してる絵師には敵わないと思うんだ。
そりゃ自分では何が面白いのか分からないものでも人に頼まれれば分からないなりに面白いものを作るというのがプロの要件でもあるのかもしれないけど、実際はそれは理想論でやっぱ自分自身が消費者として魅力を感じられるものじゃないと創作者としても限界があるものなんじゃないかなと思える。
なのでやっぱり芸大出は萌え絵を描くうえでも強みだとは思うが、それよりもそうじゃない絵の方が評価されうるのがこのジャンルの妙だろう。
イラスト界隈の時事ネタでは岸田メルの名が口やかましくレジェンドのように言及されることが多いように感じるがディスガイアの絵師も画期的な画境を開いた一人なんじゃないかと思える。
岸田メルの絵は可愛い絵とは何かを考えたときに突き詰めた先に得られる一意的な完成形という感じがする。もしも恐竜が人間並みの知能を持つまでに進化したらその体格は人型になるという説があるが、その人型が効率的に知能を働かせるうえでの一意的な解であって、それに通じるものだと思う。
ディスガイアの絵は何を目指した先にあれらの絵になったのかいまいちわからない。可愛いという要素はあるがそれだけが志向されたものではないだろう。
より空想的な建築物とか生き物を描くとかいう意味での独創性ではなく、キャラの顔つきが今までのと比べて唯一無二という感じがする。
凡才が可愛い絵を描くことを目指してもその時代ごとの萌え絵に似通ったものを最終的には描くようになるだけで(今ならyoster風か)それに比べディスガイアのキャラは妙に印象に残る。
例えばAIに90年代までのエロゲの絵柄を全て学習させても、2000年代以降の新しい画風は生み出せないわけだろ?
だから新しいタッチを生み出してくれる人間絵師の権利はちゃんと保護しなきゃマズいと思う
さもなきゃ、いつまで経っても同じ絵柄のハンコ絵しか見れなくなるぞ
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追記: 権利って具体的に何?ってブコメがあったけど、例えば神絵師が苦労して新しい画風を生み出したとしても、やんちゃな海外AIにすぐ模倣されて、誰でも自由に生成できるようにされたら商売上がったりだよね。
そうならないように、やはり学習や使用を勝手にされない権利を強く主張していかないとマズそう、という話。
追記2: 「既存の画風を混ぜることで既にAIは新しい画風を生み出せるよ」って意見もあった。それは確かにと思った一方で、90年代までのイラストのミックスだけで本当に岸田メルが作れるのかな?とは思った
追記3: 「人間だって模倣するけど絵師は食えてるじゃん」について。大多数の人は模倣どころかまず絵が描けない。模倣できる人でも時間と労力がかかる。誰でもスマホでポンと模倣できる時代になったら、絵師が食えなくなるのは間違いないかと。
追記4: 「将棋AIみたいに、いずれは新しいものを生み出せるようになるだろ」について。絵の場合、将棋AIのような強化学習はできないから一概にそうとは言えないと思う。ただ何らかの新手法で生み出せるようになる可能性は否定しない。そうなったら絵師の時代は完全にオワオワリで、手芸や算盤のような趣味と同じ扱いになる。
追記5: 「絵師の権益を守るために技術発展を妨げるのか?」について。絵師の権利ではなく、絵を「使う」側のメリットの話だよ。Pixivが既視感のある絵ばかりで氾濫したら嫌だろって話。
追記6:「AIを活用した絵師が新しい画風を作っていく」について。そのAIと共作した新しい画風すらすぐAIによってパクられてしまうわけや。すぐパクられるとわかってて、新しい画風を生み出そうと思える絵師は多くないと思うで。