はてなキーワード: 博物館とは
なぜ映画や漫画の品定め、評価は自由なのにお笑い談義はアンタッチャブルなのとお嘆きの諸兄に。
1 ミルクボーイ
システム漫才の完成形と言ってしまえばそれまでだが、「誰かやっても面白くなるネタ」と「彼らだから面白い」を両立させたミラクル。共に不遇の大阪時代を過ごしたDr.ハインリッヒも決勝出場で舞台が大きく転回したかもしれない。
M-1大会2冠に最も近づいた、最も相応しいコンビ。審査員評で「もう一展開が」とはよく聞くフレーズだが、ワンアイデアからの怒濤(嵐と衝動)の展開は「華麗」と称すべき手際。
3 チュートリアル
至高のキャラ漫才。第一ステージで披露した「冷蔵庫」をM-1史上最も面白い漫才と評価する人も少なくない。「キラーフレーズ」という概念、評価軸が確立された。
ランク下、ランク外とされていたコント漫才の地位を高めた。準決勝止まりだった理由はこのネタを漫才で見る意味はあるのかといった疑問も生じたのであろう。
どちらも面白い。これがなかなか難しい。ツッコミ役の技量は勿論、アシストに極振りせぬことで構成、流れが崩壊するリスクがあるからだ。フット後藤以上にツッコミの評価を上げ、いまのツッコミ全盛に寄与した(ボケ不遇期とも言えよう)。やすきよが途中でボケツッコミが入れ替わるのはどうしてもボケが評価される、人気が出る状況に嫉妬したやすしへの配慮だと西川が語った昭和の漫才。仮面ノリダーの怪人シーンがやけに長尺だったのは貴明に対するスタッフの要らぬ配慮だったのかもね。
6 霜降り明星
心理トリックの一つにカレーとラーメンどちらが好きかとマジシャンが問う導入部がある。詳細は省くが日本人の大半がラーメンと答えるであろうことを踏まえたトリックだ。「ゲーム」「ドラマ」「漫画」のうち審査員の過半数が「漫画」と回答した。漫才師からパフォーマーへ。
7 錦鯉
非吉本、非大阪勢の評価を決定付けた。第一回大会の悪夢がようやく晴れて、大阪吉本にとっても変な憶測から逃れられ正当に評価される下地となったはず。また年齢に関して縛りや遠慮かなくなり、辞めるべき芸人を篩にかけるという大会趣旨(呪縛)からも脱した。個人的には大会を通じて三指に入る傑作ネタ。
8 中川家
トップバッターの重圧か大会では不調だったが(剛は出順が決まり一言こりゃあかんなと)、いわゆる「本格派漫才」が、二人のおっさんのしゃべくり、「ちょちょまい」がテレビに於いても、若い人にも評価されることを知らしめた(本格派の定義については面倒なので割愛)。
9 笑い飯
民族博物館を21世紀で最も面白い漫才とまで持ち上げたのは朝日新聞だったか。個人的には鳥人のほうが楽しめたし、何より西田の人形擬態の評価が突出してしまって、十人十色のネタのここが好きといった(和牛の旅館ネタならこんなとこ入ってきたらあきませんの川西の仕草とか)観客席での展開が寂しい。初登場時の粗削りが持つしたたかさがいちばん衝撃的だったコンビ。笑い飯の登場でNSCのネタ見せがダブルボケのオンパレードだったと聞いたが、一過性のもので当然すべて消えた。そもそもダブルボケはバツありボケ志望同士コンビの生硬の苦肉の策だったはず。悲願の優勝後の初仕事が準優勝スリムクラブの密着レポーターという屈辱の影響は、準優勝コンビが売れるとのジンクスから決勝進出での、さらに準決、二次予選でもパフォーマンス次第で世に出る確かな現状を示唆したともいえよう。
松本島田不在で栄光を掴んだアンタッチャブルは例年の悲壮感にまとわれることなく、そのお気楽な芸風も相まって良い方に転んだ。しかし今回は事情が違う。M-1は松本あってこその信頼度、納得感が第一の成功要因。M-1グランプリ存続は既定路線だろうが、終わりの始まりか一大コンテンツ新生かを占う。
オードリー、和牛、カミナリ、ハリセンボン、ザ・パンチが優勝、或いは好成績を残していたら、お笑い界の構図はどうなっていたのだろうと折々に思う(ウエストランドは翌々年にその未来を見せてくれた)。
東京在住。
5時起きして、松屋かマックかどこかで食べたついでに、どこか行って充実した休日朝を過ごしたいんだけど、
ろくに店開いてない……
本屋とか開くの9時とか10時とかだし、博物館や美術館もそんな感じだし、映画館も同じくらいだし、ゲーセンも10時。
高尾山や江の島鎌倉は結構行ったし、歩くのは良いけど山に行きたいほどアウトドア好きってわけでもない。
スーパー銭湯は探せばあるが、朝から長風呂というのは、時間無駄にしてる感が半端なくて気が進まない。長湯すると1日ダルくなりかねないし。
真珠に興味が湧いたらって書いてあるのに、なんで画家本人に興味が湧いた前提で普通は図書館でしょってドヤってるの?
あと真珠目的で博物館や水族館を見るより真珠を多く取り扱ってるミキモトとタサキに行ったほうが無駄が少ないだろ。
問屋街に至っては10/14の時点で元の文に書いてあるのに25日に「問屋街に行ってジュエリーになる前のパールを探すとか」って言ってるのも意味わからんし。
美術館で、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を見て真っ先に思い浮かぶのが何故ミキモトの真珠…?
https://openers.jp/lounge/14948
確かにミキモトはイメージした作品を作ったりしているらしいけれど、あくまで事後的なオマージュだしなぁ。
「真珠の耳飾りの少女」を見て感銘を受けて、まず何をするかって言ったら普通は図書館に行くんじゃないの?フェルメールの画集とか、フェルメールの人生や生きた時代について描かれた本とか。色々あるでしょ。
それから、他にも美術展が予定されていないか調べるとか。フェルメールが影響を受けた他の画家の作品も探すとか。
絵に描かれている光の反射などを検討するために真珠を見るにしても、博物館や水族館で扱っているところを探すとか、問屋街に行ってジュエリーになる前のパールを探すとか。
フェルメールの生きた史跡を辿りたいからオランダに旅行したいとか、他の絵も見たいからドイツやイギリスにも行きたいとか
そのためには金が要る→金を稼ぐには東京が有利、
という発想ならば、よーーーーく分かるんだけど…。
真っ先に浮かぶのがミキモトって、それ自体が文化的素養の枯渇を感じさせる。
釣りじゃないなら凄いなぁ。
で、行ってみて良かったとこ
長野県立歴史館 古墳のついでで作ったのかと思ったらすごいボリュームあった
諏訪市博物館 諏訪大社上社の前。ボリュームそこそこながら切り口面白かった
塩尻市立平出博物館 信州はやっぱ縄文の厚みすげえなあ、と思った
満蒙開拓平和記念館 こちらを訪れてから那須あたりの私設の戦争博物館みたいなとこ行っちゃうと共感性羞恥に陥るぐらいパンチの重さが違う
どれもそれぞれ良かったと思うし今後もしっかり維持されて欲しいが、採算と言われるとどれも厳しそう
そもそも国立である千葉の歴博もあれだけのボリュームで来場者がいないし、歴史をテーマにしたハコは採算とれるとは思えないんだけども
家族仲は良く、とても大切に育てられて、不自由な思いはしたことがない
地方都市だけど、歴史が古く文化人も多く輩出している地域で、多様な文化にも触れられたし、大都市にもすぐ出られたので、小さい頃から博物館や美術館にはよく連れて行ってもらっていた
特に母親の実家が名家だったので、そっち経由で触れる文化の水準は高かった
能力的にも恵まれていて、小さい頃から勉強で苦労したことはない
コミュ障だけど見た目と成績が良かったお陰で一目置かれていじめられることもなく高校まで普通に過ごせた
収入は多くはないが、生きていくには十分だし、なにより安定している
人生で最初に好きになった人だけど、特にトラブルもなく仲良くなって付き合って、普通に結婚した
相性は最高で、喧嘩もしない
今は結婚して20年経つけど、やっぱり喧嘩しないし今も本気で好き
最高のパートナーだ
仕事は忙しくはなく、だいたい6割くらいの力でこなせる程度
それでも周囲よりは効率よくこなせていたらしく、すぐに特別な存在扱いされるようになった
おかげで礼儀とかよくわからないコミュ障でも咎められることなく、快適に過ごせている
妻は強い国家資格を持ってるので、いったん仕事を辞めて専業主婦になった
しっかり情報を集めて、じっくり話し合って建てたので、なんの不満もないいい家が建った
子どもたちは二人とも可愛くて賢い
塾には行ってないが、これまでのところ勉強で苦労したことは一度もない
子どもたちの手が離れた今は、妻も仕事を再開して、経済的にも安定している
こうして人生を振り返ってみると、何ひとつ苦労をしてないことがよく分かる
毒親に苦しめられたり、地方出身で文化に触れられなかったり、学校でいじめられたり、不登校になったり、就職できなかったり、受験に失敗したり、ひどい失恋したり、ブラック企業に苦しめられたり、夫婦喧嘩したり、子どもの障害に悩んだり、そういうドラマが一切ないまま生きてきた
苦労しなくてすんだのはいいことだと思うんだけど、なんか、こう、人間としての厚みが得られてない気がする
増田には色んな苦労話が描かれているけど、おれの人生には無かった
順風満帆で常に幸せで、辛かったことなんて本当に小さいことしか記憶にない
そして、これから大きな苦労に直面したら生きていけない気がする
親が認知症になるとか、会社が潰れるとか、妻や子どもが事故や事件に巻き込まれるとか、そんなことがあると耐えられない
特定の誰かを非難したくないからちょっと落ち着いたタイミングで書くんだけど、遅刻癖って物事の捉え方の問題で、小手先のテクニックじゃ改善しないんだよね。
ぶっちゃけ、「まだ家を出るには早いかな」と思うタイプって、時刻を"点"で捉えてるんだよね。実際は"崖"なのに。
イメージしやすいように言えば、"ダーツのど真ん中"を到着時刻だって考えてるタイプ。
そのど真ん中ピッタリに着くのが良いことだと思ってて、それより前に着いても後に着いても、同じく中心から逸れた、損だ、くらいでイメージしてる。
だから、早く出すぎたらど真ん中より前に到着してダメだし、遅く出たら遅れちゃった、くらいな感じになる。
前に着いても後に着いても、予定時刻より逸れたという点で同じだとイメージしてるから、そうなる。
実際には、日本語話者にとっての日本社会での待ち合わせとか時刻に対する感じって、チキンレースなんだよね。
断崖絶壁に向かってバイクで全力疾走して、ギリギリでブレーキを踏んで、より崖に近い方が度胸があるって言うアレ。
俺が高校受験生とかにアドバイスしてたのは、近所の交通量の多い国道とかの信号に全力疾走の自転車でブレーキかけるなら?ってやつ。
ブレーキが遅れたらさ、ガンガン車が行きかう国道に突っ込むわけで、まず間違いなく死ぬじゃん。
(もしかしたら運よくトラックとかが超絶テクニックで避けてくれるかもしれないけどさ。まあ死ぬよね)
普通に考えたら、全力疾走状態の自転車は、かなり前からブレーキをかけて、ちょっと前で止まるじゃん。
なんだったら、どの辺からブレーキ掛けたら良いか、普通の運転で何度も練習するよね。
大学受験会場に向かうのは、まさにコレなんだよね。
だから、行ったこともない会場へのやったこともない乗り換えで時間ちょっと前に着くように考えて行動するとか、自殺行為なわけ。
知らん国道の手前まで、地図確認しながら自転車で全力疾走して突っ込むの?ブレーキミスったら死ぬのに?
到着時刻は断崖絶壁で、そこを1秒でも越えたら崖の下に落ちて死ぬの。
今日初めて乗るバイクでブレーキの利き具合も判らず、路面が湿ってるか乾いてるかもわからず、なんだったら崖へのルートが下ってるのか登ってるのかもわかんないんだよ。
それでさ、いやー、ギリギリ攻めるっしょみたいなの、正気の沙汰じゃないわけ。(だからチキンレースなんだけど)
これは、物事への捉え方の問題だから、到着時刻がダーツのど真ん中だと思ってる間は、5分前に到着しようとか余裕をもって行動しようとか改善にならないの。
だって、5分前っていう点に向かってピッタリを狙おうとする限り、やっぱズレるんだもん。
常に、チキンレースに参加すると思って行動すれば、どうしたら良いかわかる。
天気予報で雨の予報が10%でもあったら、10%の確率で死んでも良いって思えるかってことだよ。
もっと言えばさ、冬の受験シーズンなんか、長期天気予報に頼らなくても雪になる可能性が数%でもあるなら準備しとかないと。
大げさだと思うじゃん。でもさ、新幹線で間に合うと思っても大事な商談だったら現地には前日入りするもんなんだよ。
だから、遅刻癖がある場合、やるべきことは「家を出るのに良いタイミングを計る」じゃなくて、「現地の周辺で時間を潰せる場所を探す」なの。
大事な待ち合わせだったら、複数ルートでの行き方を計画しておくの。バスは遅れるし電車は止まるし、天気は崩れるしタクシーは捕まらないの。
崖から落ちるくらいなら1時間だろうが2時間だろうが、早めに行動するはずなんだよ。
そして、何度も何度も練習して慣れてきてやっと、もっと攻めても良いかな?ちょっとチキンが過ぎたかな?とかになるの。
まあ、とはいえ遅刻癖はわかりやすいから話題になるだけで、濃淡あれど誰でもこういう考え方をしていることはある。
天気が崩れそうなのに富士山登っちゃったり、体調悪いのにテーマパーク行っちゃったり、連休最終日の遅い時間に長距離移動入れちゃったり。
こういう時に、切り替えて温泉と博物館めぐりにできるかとか、素直に延期できるかとか、有給の連絡入れてホテルに泊まれるかとか、どれだけ手札を揃えられているか次第なところはある。
あとはまあ、実は時刻に厳格な国ばっかりじゃないし、そういうもんだと割り切って生きていくのもアリではある。
世界には、午前9時オープンのお店が開いてねえなと近所に聞いたら、さあ午前中には開くと思うけど、店主次第かな、みたいなのがデフォルトの国もある。
あれ?ココって21時までじゃないの?オマエが飲んでる間はうちの店は21時にはならないんだよ、みたいのとか。
遅刻癖の治し方については、集合時間を13時とかにしてもらって、集合場所の近所で朝飯を食べるようにする、とアドバイスすることにしてる。
昼飯じゃない。朝飯ね。午前中のうちに集合場所の近所について、モーニング食べてゆっくりするの。
それでもなお最初のうちは(驚くことに)遅刻すると思う。これの良いところは、うっかり友達から連絡が入って気が付いてから動き出しても遅刻時間が短くて済むところ。
ただまあ、日本社会が急に大きく変わらない限り、遅刻癖は治しておいた方が生きやすいよね。
「家を出るのに早すぎるなあ」とか使わない方が良いよ。「家を出るには早かったな」なら使っても良い。
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なんか思ったよりブクマされててビビったわ。読んでくれてありがとう。
誤解があるようだから追記するけど、社会人でも『別に遅刻ぐらい』って人は思ったより多くいるよ。
また、余裕はその分無駄が増えるとも言えるので、分刻みのスケジュール管理する人もあんま関係ない。
社会人として常識以前の大前提だろみたいな人もいるにはいるけど、まあ仕事ができるとか愛嬌がある方がよっぽど重要だよね。
5分10分の遅刻癖は考え方次第で治せるから、治しといた方が今後楽だよって話なだけで、別にホントに致命的なのってタマにしかないから。
友人付き合いだって、仕事だって、なんなら受験や役所への届け出だって、多少の遅刻は大目に見てもらえる。
(大目に見てもらえなくても、別に人生が終わるわけじゃなくて嫌われたり浪人するだけだったりするし、そういう生き方もアリでしょ)
普段1時間の道路が事故渋滞で2時間になっちゃって遅れましたスミマセン、で頭下げたら問題ないとか、まあ良くあるよね。
ただねー、世の中には「遅刻なぞあり得ない」という人も一定数居て、そういう人の地雷を踏みぬくと二度と信用してもらえないこともあるの。
そして、1時間早く着く分にはリカバリーは効く(1時間他の事すれば良い)けど、1時間遅く着いたら取り返しはつかないの。
お前がどう思うかは一ミリも関係無くて、相手がどう思うかが全てなの。これをわかってもらえないことがあって、シンドイなって愚痴よ。
繰り返しになるけど、世の中思った以上に寛容だし、杓子定規の代名詞たるお役所だって人間が運営してるんだから多少の抜け道はあったりするよ。
ただ、開始時刻とか締め切り時刻とか、遅刻した側が何を言っても受けてもらえるかは相手次第だから……守る方で慣れておくのが良いと思うよ。
(遅刻に寛容か否かは相手依存だから、常に相手側に寛容を求めることになっちゃうので、そうでない人やイベントに当たったときにキツイよ、日本はそういうこと多いよ、というだけの話ね)
1月31日 マジック・タイム 二木美希子 他 オリジナル 全10回
8月7日 封神演義 第3部 易姓革命 訳:安能務 古典 全20回
10月16日 不思議屋旅行代理店 今井雅子 他 オリジナル 全10回
12月18日 2001年巳年の旅 藤井青銅 オリジナル 全5回
2001年
2月19日 おいしいコーヒーのいれ方 V〜緑の午後〜 村山由佳 小説 全10回
3月19日 645〜大化の改新・青春記〜 ウォーリー木下 オリジナル 全10回
4月16日 見習い魔女にご用心 ランドオーヴァーPart5 テリー・ブルックス 海外小説 全10回
7月9日 踊る21世紀 Part2 藤井青銅 オリジナル 全5回
7月16日 不思議屋博物館 原田裕文 他 オリジナル 全15回
12月17日 ひょうたんから‘午' 藤井青銅 他 オリジナル 全5回
2002年
1月28日 エドモンたちの島 福田卓郎 オリジナル 全10回
4月1日 ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 滝本竜彦 小説 全10回
5月13日 ザ・ワンダーボーイ [注 8] ポール・オースター 海外小説 全15回
7月29日 スウィート・アンダーグラウンド ウォーリー木下 オリジナル 全10回
10月7日 カラマーゾフの森 岩松了、高橋陽一郎 オリジナル 全10回
10月21日 おいしいコーヒーのいれ方VI 〜遠い背中〜 村山由佳 小説 全10回
11月18日 不思議屋薬品店 北阪昌人 他 オリジナル 全10回
2003年
3月3日 サウンド・ドライブ さわだみきお 他 オリジナル 全10回
3月31日 レヴォリューションNO.3 金城一紀 小説 全10回
7月7日 海辺の王国 ロバート・ウェストール 海外小説 全10回
9月8日 不思議屋不動産 山本むつみ 他 オリジナル 全10回
11月17日 おいしいコーヒーのいれ方 VII〜坂の途中〜 村山由佳 小説 全5回
12月1日 インテリア・ライフ さわだみきお 他 オリジナル 全10回
12月15日 申(さる)モノにござる 藤井青銅 オリジナル 全5回
2004年
8月2日 スピリット・リング ロイス・マクマスター・ビジョルド 海外小説 全15回
12月20日 今夜はバードいこう! 藤井青銅 オリジナル 全5回
2005年
1月3日 タイムスリップ源平合戦 (原案)鯨統一郎、(脚本)山本雄史 オリジナル 全10回
2月14日 不思議屋貿易商 山本むつみ 他 オリジナル 全10回
3月28日 G戦場ヘヴンズドア 日本橋ヨヲコ 漫画 全10回
6月6日 穴(HOLES) ルイス・サッカー 海外小説 全10回
11月14日 アクア・ライフ 芳崎洋子 他 オリジナル 全10回
12月12日 5つの贈りもの (原作)パール・バック、(作)井出真理 海外小説 全5回
12月19日 来年こそはワン!だふる 藤井青銅 オリジナル 全5回
2006年
1月9日 タイムスリップ戦国時代 (原案)鯨統一郎、(脚本)山本雄史 オリジナル 全10回
3月20日 不思議屋図書館 安形眞司 他 オリジナル 全10回
7月24日 風になった男 [注 10] 飯嶋和一 小説 全10回
11月6日 ドラマ 古事記〜神代篇〜 [注 11] 市川森一 オリジナル 全10回
11月20日 おいしいコーヒーのいれ方 メモリーズ 村山由佳 小説 全10回
12月4日 おいしいコーヒーのいれ方 VIII〜優しい秘密〜 村山由佳 小説 全5回
12月11日 おいしいコーヒーのいれ方 IX〜聞きたい言葉〜 村山由佳 小説 全5回
12月18日 おいしいコーヒーのいれ方 X〜夢のあとさき〜 村山由佳 小説 全5回
2007年
1月8日 タイムスリップ川中島 (原案)鯨統一郎、(脚本)山本雄史 オリジナル 全10回
1月22日 ハッピーバースデー 青木和雄、吉富多美 小説 全5回
2月19日 不思議屋料理店 中村比香 他 オリジナル 全10回
10月29日 ボディ・ライフ 樋口美友喜 他 オリジナル 全10回
11月12日 ナンバー・ライフ サカイヒロト 他 オリジナル 全10回
11月26日 闘う女。〜そんな私のこんな生きかた〜 下関崇子 ノンフィクション 全10回
12月17日 俵のねずみがマウスでチュー! 藤井青銅 オリジナル 全5回
2008年
2月4日 ロズウェルなんか知らない 篠田節子 小説 全10回
3月17日 ゼンダ城の虜 アンソニー・ホープ 古典 全10回
8月11日 らせん階段 エセル・リナ・ホワイト 海外小説 全10回
9月15日 ラジオ・キラー セバスチャン・フィツェック 海外小説 全15回
11月17日 バードケージ 一億円を使いきれ! 清水義範 小説 全10回
12月15日 モー、ギュゥー!っとして 藤井青銅 オリジナル 全5回
2009年
1月19日 世界でたったひとりの子 アレックス・シアラー 海外小説 全10回
3月16日 ふたつの剣 [注 12] 早瀬利之 小説 全10回
7月13日 失われた地平線 ジェームズ・ヒルトン 海外小説 全10回
8月24日 スカラムーシュ ラファエル・サバティーニ 海外小説 全15回
10月26日 ゴー・ゴー!チキンズ 藤井青銅 オリジナル 全10回
11月23日 プリンセス・トヨトミ 万城目学 小説 全10回
1月25日 なぞタクシーに乗って… いしいしんじ 小説 全5回
3月1日 マナカナの大阪LOVERS 青山花累 他 オリジナル 全10回
7月26日 ゴー・ゴー!チキンズ パート2 藤井青銅 オリジナル 全10回
10月18日 サマルカンド年代記 アミン・マアルーフ 海外小説 全10回
11月22日 ゼンダ城の虜〜完結編〜 ヘンツォ伯爵 アンソニー・ホープ 古典 全10回
12月20日 神南の母(ママ)の備忘録(メモワール) 阿部美佳 他 オリジナル 全4回
1月10日 タイムスリップ大坂の陣 (原案)鯨統一郎、(脚本)山本雄史 オリジナル 全10回
2月21日 フランケンシュタイン メアリ・シェリー 古典 全10回
7月6日 ブラックホール 宮崎由香、綾瀬麦彦 オリジナル 全10回
9月21日 都会島のミラージュ 寺田憲史 オリジナル 全10回
10月26日 マドモアゼル・モーツァルト 福山庸治 漫画 全10回
11月9日 ベルサイユのばら・外伝 池田理代子 漫画 全10回
12月7日 アンデルセンの雪の女王 ハンス・クリスチャン・アンデルセン 古典 全5回
12月14日 アドベンチャー的五大ニュース 藤井青銅 オリジナル 全5回
1月18日 五番目のサリー ダニエル・キイス 海外小説 全10回
4月19日 猫のゆりかご カート・ヴォネガット・ジュニア 海外小説 全10回
5月24日 テレヴィジョン・シティ 長野まゆみ 小説 全10回
6月14日 ジュラシック・パーク マイクル・クライトン 海外小説 全15回
7月19日 スフィア マイクル・クライトン 海外小説 全10回
10月4日 ザ・マンボスパイズ マキノノゾミ オリジナル 全5回
12月6日 サンタクロースが歌ってくれた 成井豊 小説 全10回
1月3日 アドリア海の復讐 ジュール・ヴェルヌ 古典 全15回
5月23日 BANANA・FISH 吉田秋生 漫画 全10回
7月11日 ウォッチャーズ D・R・クーンツ 海外小説 全15回
8月15日 あの夜が知っている R・D・ツィマーマン 海外小説 全10回
8月29日 アナスタシア・シンドローム メアリ・H・クラーク 海外小説 全10回
9月26日 アリアドニの遁走曲 コニー・ウィリス&シンシア・フェリス 海外小説 全10回
12月5日 レディ・スティンガー クレイグ・スミス 海外小説 全10回
1月4日 三銃士 アレクサンドル・デュマ 古典 全13回
1月30日 リプレイ ケン・グリムウッド 海外小説 全10回
2月13日 吸血鬼ドラキュラ ブラム・ストーカー 古典 全10回
2月27日 せいけつ教育委員会ホイホイ 村田基 小説 全5回
3月6日 オーバー・ザ・ハポン〜空の彼方(かなた)へ〜 伊佐治弥生 オリジナル 全5回
4月3日 魔法の王国売ります ランドオーヴァーPart1 テリー・ブルックス 海外小説 全10回
4月17日 エヴァが目ざめるとき ピーター・ディッキンソン 海外小説 全10回
5月1日 ヴァーチャル・ガール メイミー・トムスン 海外小説 全10回
5月15日 秘密の友人 アンドリュー・クラヴァン 海外小説 全10回
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6月26日 BANANA・FISH パート3 吉田秋生 漫画 全10回
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8月14日 優しすぎて、怖い ジョイ・フィールディング 海外小説 全10回
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9月11日 魔術師の大失敗 ランドオーヴァーPart3 テリー・ブルックス 海外小説 全10回
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10月9日 踊る黄金像 ドナルド・E・ウェストレイク 海外小説 全10回
11月20日 ウエディング・ウォーズ 草上仁 小説 全10回
12月4日 笑う20世紀 Part2 藤井青銅 オリジナル 全5回
12月11日 ねずみのチュー告 藤井青銅 オリジナル 全5回
1月4日 ロビンフッドの冒険 ハワード・パイル 海外小説 全7回
1月15日 モンテ・クリスト伯 アレクサンドル・デュマ 古典 全15回
2月5日 二役は大変! ドナルド・E・ウェストレイク 海外小説 全10回
2月19日 新・夢十夜 二木美希子 他 オリジナル 全10回
4月29日 ダーク・ウィザード〜蘇りし闇の魔導士〜[注 7] 寺田憲史 小説 全5回
5月20日 ブラジルから来た少年 アイラ・レヴィン 海外小説 全10回
7月29日 精神分析ゲーム バチヤ・グール 海外小説 全10回
8月12日 時間泥棒 ジェイムズ・P・ホーガン 海外小説 全5回
8月19日 黒いユニコーン ランドオーヴァーPart3 テリー・ブルックス 海外小説 全10回
9月2日 大魔王の逆襲 ランドオーヴァーPart4 テリー・ブルックス 海外小説 全15回
9月23日 イッセー尾形のたゆたう人々 イッセー尾形 小説 全10回
10月7日 嘘じゃないんだ ドナルド・E・ウェストレイク 海外小説 全10回
10月21日 笑う20世紀 パート3 藤井青銅 オリジナル 全10回
12月16日 モー!いいかげんにして! 藤井青銅 オリジナル 全5回
1月6日 おいしいコーヒーのいれ方Ⅰ 〜キスまでの距離〜 村山由佳 小説 全5回
1月13日 おいしいコーヒーのいれ方Ⅱ 〜僕らの夏〜 村山由佳 小説 全5回
4月28日 天体議会〜プラネット・ブルー〜 長野まゆみ 小説 全5回
6月16日 笑う20世紀 パート4 藤井青銅 オリジナル 全10回
6月30日 ロスト・ワールド アーサー・コナン・ドイル 古典 全10回
9月22日 イッセー尾形のたまゆら日記 イッセー尾形 小説 全10回
12月8日 おいしいコーヒーのいれ方Ⅲ 〜彼女の朝〜 村山由佳 小説 全5回
12月15日 タイガーにしなさい! 藤井青銅 オリジナル 全5回
2月16日 電気女護島〜エレクトリック・レディランド 藤本有紀 オリジナル 全10回
3月30日 着陸拒否 ジョン・J・ナンス 海外小説 全10回
4月13日 オペレーション太陽(ソル) 小池潤 小説 全10回
7月27日 笑う20世紀 パート5 藤井青銅 オリジナル 全5回
8月31日 路地裏のエイリアン 北野勇作 オリジナル 全10回
11月23日 ぼくは勉強ができない 山田詠美 小説 全10回
12月21日 「卯」の音も出ない! 藤井青銅 オリジナル 全5回
2月1日 悪戯の楽園 さわだみきお 他 オリジナル 全10回
4月12日 しゃべれどもしゃべれども 佐藤多佳子 小説 全15回
5月3日 名馬 風の王 マーゲライト・ヘンリー 海外小説 全5回
7月26日 おいしいコーヒーのいれ方Ⅳ 〜雪の降る音〜 村山由佳 小説 全5回
8月2日 封神演義 第2部 朝廷軍の逆襲 訳:安能務 古典 全20回
「ベニスでしょう」
これは三四郎にもわかった。なんだかベニスらしい。ゴンドラにでも乗ってみたい心持ちがする。三四郎は高等学校にいる時分ゴンドラという字を覚えた。それからこの字が好きになった。ゴンドラというと、女といっしょに乗らなければすまないような気がする。黙って青い水と、水と左右の高い家と、さかさに映る家の影と、影の中にちらちらする赤い片とをながめていた。すると、
「兄さんのほうがよほどうまいようですね」と美禰子が言った。三四郎にはこの意味が通じなかった。
「兄さんとは……」
「この絵は兄さんのほうでしょう」
「だれの?」
「だって、あっちのほうが妹さんので、こっちのほうが兄さんのじゃありませんか」
三四郎は一歩退いて、今通って来た道の片側を振り返って見た。同じように外国の景色をかいたものが幾点となくかかっている。
「違うんですか」
「一人と思っていらしったの」
「ええ」と言って、ぼんやりしている。やがて二人が顔を見合わした。そうして一度に笑いだした。美禰子は、驚いたように、わざと大きな目をして、しかもいちだんと調子を落とした小声になって、
「ずいぶんね」と言いながら、一間ばかり、ずんずん先へ行ってしまった。三四郎は立ちどまったまま、もう一ぺんベニスの掘割りをながめだした。先へ抜けた女は、この時振り返った。三四郎は自分の方を見ていない。女は先へ行く足をぴたりと留めた。向こうから三四郎の横顔を熟視していた。
「里見さん」
だしぬけにだれか大きな声で呼んだ者がある。
美禰子も三四郎も等しく顔を向け直した。事務室と書いた入口を一間ばかり離れて、原口さんが立っている。原口さんのうしろに、少し重なり合って、野々宮さんが立っている。美禰子は呼ばれた原口よりは、原口より遠くの野々宮を見た。見るやいなや、二、三歩あともどりをして三四郎のそばへ来た。人に目立たぬくらいに、自分の口を三四郎の耳へ近寄せた。そうして何かささやいた。三四郎には何を言ったのか、少しもわからない。聞き直そうとするうちに、美禰子は二人の方へ引き返していった。もう挨拶をしている。野々宮は三四郎に向かって、
「妙な連と来ましたね」と言った。三四郎が何か答えようとするうちに、美禰子が、
「似合うでしょう」と言った。野々宮さんはなんとも言わなかった。くるりとうしろを向いた。うしろには畳一枚ほどの大きな絵がある。その絵は肖像画である。そうしていちめんに黒い。着物も帽子も背景から区別のできないほど光線を受けていないなかに、顔ばかり白い。顔はやせて、頬の肉が落ちている。
「模写ですね」と野々宮さんが原口さんに言った。原口は今しきりに美禰子に何か話している。――もう閉会である。来観者もだいぶ減った。開会の初めには毎日事務所へ来ていたが、このごろはめったに顔を出さない。きょうはひさしぶりに、こっちへ用があって、野々宮さんを引っ張って来たところだ。うまく出っくわしたものだ。この会をしまうと、すぐ来年の準備にかからなければならないから、非常に忙しい。いつもは花の時分に開くのだが、来年は少し会員のつごうで早くするつもりだから、ちょうど会を二つ続けて開くと同じことになる。必死の勉強をやらなければならない。それまでにぜひ美禰子の肖像をかきあげてしまうつもりである。迷惑だろうが大晦日でもかかしてくれ。
「その代りここん所へかけるつもりです」
原口さんはこの時はじめて、黒い絵の方を向いた。野々宮さんはそのあいだぽかんとして同じ絵をながめていた。
「どうです。ベラスケスは。もっとも模写ですがね。しかもあまり上できではない」と原口がはじめて説明する。野々宮さんはなんにも言う必要がなくなった。
「どなたがお写しになったの」と女が聞いた。
「三井です。三井はもっとうまいんですがね。この絵はあまり感服できない」と一、二歩さがって見た。「どうも、原画が技巧の極点に達した人のものだから、うまくいかないね」
原口は首を曲げた。三四郎は原口の首を曲げたところを見ていた。
「もう、みんな見たんですか」と画工が美禰子に聞いた。原口は美禰子にばかり話しかける。
「まだ」
「どうです。もうよして、いっしょに出ちゃ。精養軒でお茶でもあげます。なにわたしは用があるから、どうせちょっと行かなければならない。――会の事でね、マネジャーに相談しておきたい事がある。懇意の男だから。――今ちょうどお茶にいい時分です。もう少しするとね、お茶にはおそし晩餐には早し、中途はんぱになる。どうです。いっしょにいらっしゃいな」
美禰子は三四郎を見た。三四郎はどうでもいい顔をしている。野々宮は立ったまま関係しない。
「せっかく来たものだから、みんな見てゆきましょう。ねえ、小川さん」
「じゃ、こうなさい。この奥の別室にね。深見さんの遺画があるから、それだけ見て、帰りに精養軒へいらっしゃい。先へ行って待っていますから」
「深見さんの水彩は普通の水彩のつもりで見ちゃいけませんよ。どこまでも深見さんの水彩なんだから。実物を見る気にならないで、深見さんの気韻を見る気になっていると、なかなかおもしろいところが出てきます」と注意して、原口は野々宮と出て行った。美禰子は礼を言ってその後影を見送った。二人は振り返らなかった。
女は歩をめぐらして、別室へはいった。男は一足あとから続いた。光線の乏しい暗い部屋である。細長い壁に一列にかかっている深見先生の遺画を見ると、なるほど原口さんの注意したごとくほとんど水彩ばかりである。三四郎が著しく感じたのは、その水彩の色が、どれもこれも薄くて、数が少なくって、対照に乏しくって、日向へでも出さないと引き立たないと思うほど地味にかいてあるという事である。その代り筆がちっとも滞っていない。ほとんど一気呵成に仕上げた趣がある。絵の具の下に鉛筆の輪郭が明らかに透いて見えるのでも、洒落な画風がわかる。人間などになると、細くて長くて、まるで殻竿のようである。ここにもベニスが一枚ある。
「これもベニスですね」と女が寄って来た。
「ええ」と言ったが、ベニスで急に思い出した。
「さっき何を言ったんですか」
女は「さっき?」と聞き返した。
「さっき、ぼくが立って、あっちのベニスを見ている時です」
女はまたまっ白な歯をあらわした。けれどもなんとも言わない。
「用でなければ聞かなくってもいいです」
「用じゃないのよ」
三四郎はまだ変な顔をしている。曇った秋の日はもう四時を越した。部屋は薄暗くなってくる。観覧人はきわめて少ない。別室のうちには、ただ男女二人の影があるのみである。女は絵を離れて、三四郎の真正面に立った。
「野々宮さん。ね、ね」
「野々宮さん……」
「わかったでしょう」
美禰子の意味は、大波のくずれるごとく一度に三四郎の胸を浸した。
「野々宮さんを愚弄したのですか」
「なんで?」
女の語気はまったく無邪気である。三四郎は忽然として、あとを言う勇気がなくなった。無言のまま二、三歩動きだした。女はすがるようについて来た。
「あなたを愚弄したんじゃないのよ」
三四郎はまた立ちどまった。三四郎は背の高い男である。上から美禰子を見おろした。
「それでいいです」
「なぜ悪いの?」
「だからいいです」
女は顔をそむけた。二人とも戸口の方へ歩いて来た。戸口を出る拍子に互いの肩が触れた。男は急に汽車で乗り合わした女を思い出した。美禰子の肉に触れたところが、夢にうずくような心持ちがした。
「ほんとうにいいの?」と美禰子が小さい声で聞いた。向こうから二、三人連の観覧者が来る。
「ともかく出ましょう」と三四郎が言った。下足を受け取って、出ると戸外は雨だ。
「精養軒へ行きますか」
美禰子は答えなかった。雨のなかをぬれながら、博物館前の広い原のなかに立った。さいわい雨は今降りだしたばかりである。そのうえ激しくはない。女は雨のなかに立って、見回しながら、向こうの森をさした。
「あの木の陰へはいりましょう」
少し待てばやみそうである。二人は大きな杉の下にはいった。雨を防ぐにはつごうのよくない木である。けれども二人とも動かない。ぬれても立っている。二人とも寒くなった。女が「小川さん」と言う。男は八の字を寄せて、空を見ていた顔を女の方へ向けた。
「悪くって? さっきのこと」
「いいです」
「だって」と言いながら、寄って来た。「私、なぜだか、ああしたかったんですもの。野々宮さんに失礼するつもりじゃないんですけれども」
女は瞳を定めて、三四郎を見た。三四郎はその瞳のなかに言葉よりも深き訴えを認めた。――必竟あなたのためにした事じゃありませんかと、二重瞼の奥で訴えている。三四郎は、もう一ぺん、
「だから、いいです」と答えた。
雨はだんだん濃くなった。雫の落ちない場所はわずかしかない。二人はだんだん一つ所へかたまってきた。肩と肩とすれ合うくらいにして立ちすくんでいた。雨の音のなかで、美禰子が、
「さっきのお金をお使いなさい」と言った。
「借りましょう。要るだけ」と答えた。
「みんな、お使いなさい」と言った。
ただ、一番衝撃だったのは
Virtualの誤訳である「仮想」はもうそろそろ言い換えるべきである。
声を大にして言いたい。
俺はもう事実上と言っていく。仮想記憶のことも「事実上記憶」もしくは「バーチャルメモリー」と言っていく。仮想記憶とは死んでも言わん。
仮想は「事実でないことを仮にそう考えること。仮定しての想像」という意味である。
反実仮想とは「事実に反することを想定し、仮に想像すること」という意味だ。
「仮想」という言葉はVirtualの意味の真逆であるということ。
Virtualの意味の本質は「実際そう考えること」「事実上そうだと考えること」であり「ほとんど事実(厳密には違うけどね)」である。
たとえば「いつも私ばかり家事しててこれじゃ私家政婦みたいじゃん」というとき、これは「Virtual 家政婦」と表現できる。
「鼻毛出てますよ」「え?! いやこれは鼻毛ではないんですよ。なんか黒い染みが鼻についてて…でも鼻毛出てるみたいに見えますね」というとき、これは「Virtual 鼻毛」である。仮想鼻毛ではない。
「Xって最近もうほとんど2chと変わらないですよね」というとき、Xは「Virtual 2ch」である。
Virtualを仮想と翻訳しはじめた当人ですら、誤訳であると間違いを認めている。
時代ゆえ仕方なかったと思うが、それでも擁護できないほど酷い。真逆だからだ。
yellowgreenを「赤紫」と訳したぐらい酷い。それが今も続いているんだ。
俺たちは黄色と緑色の中間色のことを「赤紫」と呼ばされているようなものだ。
これについて「それで慣れてるからしょうがない」と言う人間もいるようだが、耐えられている人間は感性がおかしい。
こどものころ「バーチャルな世界で遊んでけしからん」と親に言われたことがある。
自分はそのとき「親は、バーチャルな世界のことを空想だと思っている?」と強く感じた。
親は、ICTに詳しいわけではなかった。だが、バーチャルという言葉は知っていたし、仮想という言葉も知っていた。
バーチャルがよくわからん者にとっては、バーチャルはけしからんものなのだ。
「なんでもかんでもバーチャルって。遊びじゃねえんだぞ!現実見ろよ!」という話である。
Virtualは仮想じゃない。だが「架空」の意味で使われていることがあまりにも多い。
そして今後もどんどんVirtualが増えていくはずだ。英語圏で新しいVirtualのものが出るたびに、日本では架空になっていく。
VRだって空想じゃないのに「架空現実」の意味で考えられている。
違う。「事実上の現実」「実質現実」「本質現実」「ほぼ現実」のことである。
でもVRに来るやつは幻想を求めていそうだ。Vtuberもそうだな。幻想を求めている。
どう考えたって「事実上YouTuber」「本質YouTuber」じゃない。あれは麻薬方面に近い思考を感じる。
「幻想YouTuber」「架空YouTuber」だ。架空のキャラのようなものだ。あんな人間は現実には存在しない。
Virtualが「虚」のものだと思われている。
すべてが虚の上に乗っていると。
虚ではない。事実上である。「物理世界はそっちなんだが、事実上こっちが本質だよ」である。
真に仮想なのは自分の目で見えるものだけがすべてだと思っている人間の頭だよ。
名前変えたぐらいで変わるわけないと思っている人間も多いと思う。
だが変わる。
「幻想バーチャル」「荒唐無稽バーチャル」「非現実的バーチャル」
「あてずっぽうバーチャル」「推測バーチャル」「憶測バーチャル」「幽霊バーチャル」
「夢幻バーチャル」「錯覚バーチャル」「事実と違うバーチャル」「空虚バーチャル」なのだ。
だが言い換えたあとは違う。
「実際バーチャル」「事実上バーチャル」「実質バーチャル」「真バーチャル」
「理論バーチャル」「実態バーチャル」「現実バーチャル」になる。
今後はVirtualなものが増えていくんだ。
今後はNon-Virtualなものについて仮想って言いまくってミーム汚染してやる。
仮想社会のバーチャルバカ(仮想一般人)たちを混乱させていくぜ。
考え方としては、今まで無標だったものにはすべて仮想とつけていい。仮想ってついていたものはVirtual(=事実上)な。
今後Virtualを仮想って言ったやつのことも、バーチャル仮想人って呼ぶ。
そもそも仮想じゃないんだよ。仮想という語をどれだけVirtualに合わせても「仮」という漢字と「想」という漢字が強すぎる。
「yellowgreenはもう赤紫って呼んでるんだから現実見ろよ。yellowgreenは赤紫ね」って言われて「えーーー???いや黄緑やん???!」って思わない?
あなたはyellowgreenを黄緑だと理解しているからいいかもしれないですけどね、赤紫だと思ってしまっている人たちが大勢いるんですよ!!意図的に色弱の人を作り出してる状態ですね。事実上ね。
Virtualは仮じゃないし想像でもない。
それならば「事考」の方が正確。「事考記憶」「事考通貨」「事考水」「事考機械」「事考サーバー」のなんと正確なことか。
言葉は、最初にパッと見たときの印象が重要だと思う。とくに辞書を引かない人や言葉の意味を深堀りしない人にとってはますますそうだ。
たとえば「類似」「レプリカ」「再現」にはネガティブなイメージは少ない。だが「似非」「擬い物」「贋作」「模造品」は「偽物」の意味が強くなる。
仮想をVirtualの意味で使っていこうというのは、「贋作」を「レプリカ」のように使っていこうという主張だ。
だが漢字は強すぎる。どれだけ自分の中でわかっていたとしても、その漢字の主張から逃れることは難しい。
「じゃあ新しい博物館には贋作を作りましょう」と言われたときにすごく嫌な感じを受けないだろうか。そのぐらい漢字は強い。
ブコメ見たけど、仮想の意味を正しく使っている人でも「事実はそうじゃないけど、実際そう考えることができること」という理解の人が多いと思う。
これは日本語・英語の問題もあると思うけど、厳密にはこれは違う。バーチャルには正しいが。
「仮想」をそう捉えている人は、バーチャルをバーチャルに理解していると言ってもいいだろう。だが厳密には理解していないはずだ。
「実際そう考えることができること(まあ細かくいうと現実や事実はちょっと違うんだけど)」というのがより正しい。
単なる語順の問題のように見えるが、いうならば存在の順番が違うということ。存在感が全然違う。
「任意の整数xが存在してそのxは範囲が2から10」であって、「範囲が2から10であるような任意の整数xが存在する」わけではないのと似ている。「範囲」や「2から10」や「整数」はxより先に存在できない。
「事実はそうじゃないけど」が先に来るともうあとは何言っても夢になる。「ふーん。事実はそうじゃないんだ。この話終わりね」のような感触だ。
「違うけど、そういうふうに考えることもできる」じゃないんだよ。「違わない」んだよ!!!違うけど。
関西弁の「知らんけど」に近い考えでいてほしい。
予算がなくてこのままだと大切な○○が存続できなくなります!みたいな話題を定期的に見る。
インテリかじってる方達には大変な事なんだろうけど高卒低収入持病持ち連休無関係のクズには全く響かない。
ああ大変なんだ、で?ってのが本音。
良くなるといいねが建前。
そんなどうでもいい事に金使うなら俺の給料上げてくれよが本音の本音。
お前も○○が無くなったら困るだろ?!って言われても残念ながら人生に関わらなさそうな諸々が消えても全く困らんのだよ。俺は食材買って財布の現金が消える方が困ってる。生きるか死ぬかの毎日なのに皆心配してくれないよ。その気持ち、図書館や美術館や博物館には分からないでしょうよ。
普段弱者気取りで気に入らないものを叩く癖にはてなはインテリが多いと実感するし、無機物に負けてる存在意義がクソすぎて死にたくなる。