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2024-05-09

スーファミ試作機の所有権任天堂が失ったのはいつか

スーファミの試作機がネットオークションに出されて話題になっているが、一部では任天堂がその気になれば所有権に基づき試作機を取り戻せるのではないか、と指摘されている。

当方法曹でもなければ法学部卒でもないが、民法教科書を読む限りは、任天堂は遅くとも2015年11月23日にはスーファミ試作機の所有権を失い、試作機占有者正式に所有者になっているのではないかと推測する。以下、条文の当てはめを示す。

  1. 使用貸借契約(593条)に基づき、任天堂ゲーム開発会社に試作機を貸し出したと考えられる。これにより代理占有関係が成立し、試作機を任天堂自主占有かつ代理占有し、ゲーム開発会社は他主占有かつ自己占有していたと考えられる。つまり、この時点ではゲーム開発会社に試作機の所有の意思が認められない(185条)。これに加えて、任天堂は試作機の所有権をも維持している。
  2. 遅くともスーファミ発売日の1990年11月21日に、試作機の使用貸借が終了(597条第2項)。この日より、使用貸借契約に基づく試作機返還債権任天堂に発生(593条)。
  3. 時効により、1995年11月22日に試作機返還債権消滅(166条第1項)。加えてこの日より185条も適用されず、試作機の占有者は所有の意思を持つことになる(186条第1項)。すなわち、この日が取得時効の起算点となる。任天堂はなおも所有権に基づく物権返還請求権により、試作機の返還占有者に求めることができる。
  4. 時効により、2015年11月23日に試作機の占有者はその所有権を取得する(162条)。その反射的効果として任天堂は同所有権を失い、試作機を返還させる法的根拠を全て失う。
取得時効の起算点

占有者の所有の意思自主占有はいつ発生するか。この発生時期が取得時効の起算点になるため重要である

試作機の使用貸借の終了により代理占有関係消滅しても、任天堂は試作機をなおも代理占有し続ける(204条第2項)。他方で学説は、占有代理人に「自己のためにする意思」も存在するときは、占有代理人において他主占有に加えて自主占有も併存しうるという(潮見佳男 民法(全)(第2版)(pp.245-246))。これに合わせて、所有の意思の有無は、占有取得の原因となった客観的事実占有権原の性質から外形的に判断される(最判昭45.6.18)という判例理論考慮すると、試作機返還債権消滅という占有権原の性質の変化から占有代理人には他主占有に加えて自主占有も併存し、この債権消滅日を取得時効の起算点と自分結論した。

しかしこの結論私見に過ぎず、本当に正しいかは自信がない。

追記

 ブックマークコメントの指摘の通り、所有の意思占有取得の原因となった客観的事実占有権原の性質から外形的に判断されるならば、試作機返還債権時効消滅しても占有取得の原因となった客観的事実は変わらないのだから、引き続き占有代理人には所有の意思なしと考えるべきかもしれない。

 しかしその場合占有権原(使用貸借契約)に起因する債権(試作機返還債権)が全て消滅時効にかかってもなお任天堂永遠に代理占有し続けうるということを意味し、法的な不安定性を社会にもたらしうると思う。別の解釈として、試作機返還債権を本人(任天堂)が行使せずに時効により消滅させたことを、黙示に代理人に占有をさせる意思放棄(204条第1項第1号)したと位置付け、任天堂代理占有消滅占有代理から他主占有消滅した、こういった具合に法律構成することができるかもしれない。但し、ざっと調べた限りこれを支持する判例学説は見つけられなかった。

もっとも、オークション売主の言動を見る限り、ゲーム開発会社に勤めていた父親退職の記念に持ち帰った試作機を相続により承継した子息が売りに出した、こういった経緯が目に浮かぶ。この場合退職により父親が持ち帰った日にゲーム開発会社占有代理人)は占有物の所持を失うことになり、任天堂代理占有消滅する(204条第1項第3号)ので、退職日が取得時効の起算点になるだろう。また、ゲーム開発会社解散して試作機が外部に流出した場合は、同様の理由でその流出日が取得時効の起算点になるだろう。いずれにしても、取得時効の起算点は1995年11月22日よりさらに遡る可能性が高い。

クルトレの所有権マクドナルドが失う時期(追記)

この少し前に話題になった、日本マクドナルドの社内研修ニンテンドーDSソフトの「クルトレ eCDP」について、同社が所有権を失うのはいつか。以下に示すように、遅くとも2039年頃にはマクドナルドはクルトレの所有権を失うだろう。

まず、スーファミ試作機の考察から取得時効の起算点の特定のために、占有者の所有意思の推定(186条)を所有者が覆せなくなる日はいつかが重要になる。その日は、フランチャイズからクルトレが外部に流出マクドナルド代理占有を失った(204条第1項第3号)日になるだろう。この日からクルトレ占有者の所有意思の推定(186条)をマクドナルド代理占有根拠に覆せなくなり、取得時効が起算される(162条)。

クルトレが外部に流出した日はいつかはケースバイケースであろうが、報道によるとマクドナルド2018年までクルトレを研修使用していたとのことなので(ttps://www.j-cast.com/2024/03/27480390.html)、遅くともその翌年の2019年に外部流出したと仮定してよいだろう。

すると2019年20年後2039年取得時効か成立し(162条)、クルトレの占有者正式所有権を取得する。その反射的効果としてマクドナルドは同所有権を失う。

参考条文

民法

使用貸借

第593条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償使用及び収益をして契約が終了したとき返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。

占有性質の変更)

第185条 権原の性質占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有性質は、変わらない。

(期間満了等による使用貸借の終了)

第597条 当事者使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。

2 当事者使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。

以下略

債権等の消滅時効

第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利行使することができることを知った時から五年間行使しないとき

以下略

占有態様等に関する推定

第186条 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然占有をするもの推定する。

2 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したもの推定する。

代理占有権の消滅事由

第204条 代理人によって占有をする場合には、占有権は、次に掲げる事由によって消滅する。

一 本人が代理人に占有をさせる意思放棄したこと

二 代理人が本人に対して以後自己又は第三者のために占有物を所持する意思を表示したこと

三 代理人が占有物の所持を失ったこと。

2 占有権は、代理権の消滅のみによっては、消滅しない。

所有権取得時効

第162条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

以下略

2023-07-04

内定者にPC貸し出したら連絡がつかなくなった

ってツイートがバズってて、警察にも相談したんだけど立件が難しいと言われたらしい。

 

1.窃盗罪について

相手故意PCを盗むつもりで借りたことを立証する必要がある。

 

2.詐欺罪について

上記と同じ。

相手故意PCを詐取するつもりで借りたことを立証する必要がある。

 

3.横領罪について

内定者ではあるが雇用契約を結んでいたわけではないため業務上横領罪には当たらない。

連絡がつかないだけで「返却の意思がない」ことが確認できないため単純横領にも当たらない。

 

単なる内定者にPCなんか貸し出すなよバカタレという話ではあるのだが、

そもそも貸し借りの無返却を刑事訴訟にもっていくの事態がかなり難しいんだよね。

よっぽどの大金をだまし取られましたとかじゃない限りは大体の場合民事不介入ですって言われちゃう

 

どうしてもなら民事返還請求訴訟を起こすのが一番手っ取り早い。

ただ、今回のケースの場合使用貸借契約」を結んでいたかハードルになるパティ―ンが考えられる。

雇用契約を結んだ場合は大体そこに「業務上使用する機器の貸与を行う」的なことが書いてあるので

貸与したものをパクったり売ったりしたらわかりやすくアウトになるんだけど、内定者はねぇ。

2022-08-08

anond:20220806155056

2年ちょっと前に夫婦で話し合ってからセックスを含む身体接触はしないことになっている。

これに至る経緯がわからないとなんとも言えない。

でも「家に入れている」としている30万の行方は知っておいた方が良いのと、金融資産が少なすぎなのでは。あと社会的信用なんて今の時代気にする必要ないよ。

あと離婚後にタダで家に住ませるなら子供に対する使用貸借ですということにしたほうが良いかもしれない。

2022-03-10

anond:20220310174218

「知らんよ」じゃなくてさあ、当然法律を語るなら想定しろって話なんだよ

知っとけバー

あのな、AがBにモノを渡すという事実行為があってもな、

その行為が贈与か寄託有償寄託か消費貸借か使用貸借か売買か、法的性質は別個で異なるんだわ

からその行為が何に該当するか分からない限りはより正確な事は言えない。

バカにとっては知らんことをまくし立てられてるように感じるかもしれんが、

お前がこういう知識なく、勝手事実を断定して知ったかぶりして回答するのが悪い。しね

2018-03-27

”いつでも”まとめ

返還の時期) ※消費貸借

第五百九十一条 当事者返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。

2 借主は、いつでも返還をすることができる。

(借用物の返還の時期) ※使用貸借

第五百九十七条 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。

2 当事者返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還請求することができる。

3 当事者返還の時期並びに使用及び収益目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還請求することができる。

(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ) ※賃貸借

第六百十七条 当事者賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

一 土地賃貸借 一年

二 建物賃貸借 三箇月

三 動産及び貸席の賃貸借 一日

注文者による契約の解除) ※請負

第六百四十一条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

委任の解除)

第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

寄託者による返還請求

第六百六十二条 当事者寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還請求することができる。

寄託物の返還の時期)

第六百六十三条 当事者寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。

(消費寄託

第六百六十六条 第五節(消費貸借)の規定は、受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。

2 前項において準用する第五百九十一条第一項の規定にかかわらず、前項の契約返還の時期を定めなかったときは、寄託者は、いつでも返還請求することができる。

2018-03-12

死亡関連まとめ

(持分の放棄及び共有者の死亡)

第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

(貸金等根保証契約の元本の確定事由

第四百六十五条の四 次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。

三 主たる債務者又は保証人が死亡したとき

(定期贈与)

第五百五十二条 定期の給付目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。

(借主の死亡による使用貸借の終了)

第五百九十九条 使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。

委任の終了事由

第六百五十三条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。

一 委任者又は受任者の死亡

第六百七十九条 前条の場合のほか、組合員は、次に掲げる事由によって脱退する。

一 死亡

2013-01-31

http://anond.hatelabo.jp/20130131131838

被相続人が既に亡くなっているのか、被相続人となる人がまだ生きているのか。

被相続人(となる人)の意向

相続人(になりうる)親族として誰がいるのか。

建物の所有者が誰か。被相続人(となる人)以外なら、建物との権利関係使用貸借か、賃貸借か)。

をまず明らかにしてはどうだろうか。

 
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