はてなキーワード: 二千円札とは
最近、給料が入ったら銀行で二千円札に両替して、買い物で二千円札を使うようにしている。
よく「今も二千円札って使えるの?」と聞かれるが、今は刷ってないだけで現行の紙幣である。
まだ発行されて17年しか経ってない紙幣が無効にされてたまるか。
ゆうちょ銀行には二千円札が無いとのことだが、一般的な銀行、信用金庫ならどこでも両替できる。
客が誰もいない、住宅街にあるような地元では聞いたこともないような銀行だと待たされないのでおすすめ。
ただ、銀行から「ピン札の用意はできない」と言われるが、そもそも使われた回数が少ないので、折れ目が全く無い、ほぼピン札と言っても過言ではない綺麗な状態のものが多い。
よくネットで「コンビニのレジで二千円札出したら店員がパニックにwww」なんてのを見るが、あれは完全に嘘松。
高校生バイトなんて、下手したら生まれてこのかた一度も二千円札なんて目にしたことも無いのがいてもおかしくないが、
二千円札に文句を言う奴がよく言うのは、「自販機で使えない」だ。
地下鉄やラーメン屋の券売機など、五千円札、万札が使える自販機は二千円札も対応している。
五千円に対応していて二千円札は対応していないものは見たことがないので、不便を感じたことはない。
世界的に「20」のつく紙幣はあるのに、なぜ日本ではこんなに嫌がられるのか、謎だ。
ただ、こないだ風俗に行って二千円札を出したら「当店では二千円札は受け付けておりません」と返されてしまった。
実際使ってみても全く不便ではないし、計算しやすいし、逆に使いやすいとすら思えるので
久しぶり。元気にしてた?
偶然の出会いだったこともあり、私の口調は妙に馴れ馴れしく、それでいてどことなく余所余所しいものになってしまった。本当はとても驚いていたはずなのに。胸裏を満たした懐かしさと感慨を、薄っぺらい声色で覆い隠してしまった。
唐突に、そして呆気なく別れてしまったあの日から、もうかれこれ十数年。過ぎ去った月日の分だけ大人になったのはあなただけで、私は私のまま、変わらぬ姿のままで、いま再びであなたと向かい合っている。
けれどもあなたは返事をしてくれない。大きなガラスの外壁越しに聞こえてくる小鳥のさえずりだけが、私たちの間をとりなしている。
ふいに私は、今日まで旅をしていたのと口にした。海を渡り、赤茶けた奇岩がそびえる岩石砂漠を仰いだことを。空を飛んで、湖畔に浮かぶ水上の宿で猛烈なスコールに見舞われたことを。多種多様な人々が行き交う大都市の雑踏を前にしたことや、人っ子一人いない秘境の地で一夜を明かしたことまで、流れるように話し続けた。
ただじっと見つめられるだけの沈黙に耐え切れなかったために――そしてきっと互いの知らない時間を少しでも埋め合わせたいがために――語らずにはいられなかったのだ。
どれもこれもが壮大で美しく、圧倒される出来事ばかりだった。おかげで思いがけず国に戻ってきてしまうくらいに疲れてしまったのだと話の終わりに苦笑すると、あなたが腰を下ろしているソファーのスプリングが微かな音を立てたような気がした。
……ねえ、これからどこへ行くの。何か予定はあるの。
訊ねてみても、あなたは決して答えない。口を開く素振りさえ見せてはくれない。
私の衝動は、もしよかったら、と続けかけたところで行くあてを失ってしまう。ぺらぺらとした薄い小声は、今回もあなたの鼓膜を震わせることができなかったのだ。
十数年前と同じ。私の声は、今も昔もあなたの耳には届いてくれない。たった一度きりでさえ。
かなしい。さみしい。くやしい。
思いが溢れてくる。輪郭が滲んで、身体がふやけてしまいそうになる。
けれど、それでもいまは、たとえ僅かな時間だけでもあなたの側に居られるのなら――
私の表を見、裏を見て、少なからずの驚嘆が入り混じった息を漏らしたあなたは、やがて誰に聞かせるでもなくぽつんと一言独り言ちた。
「久しぶりに見たなあ、二千円札」
そうして私を財布に滑り込ませると、ソファーから立ち上がって足早に移動し始めた。程なくして小鳥のさえずりがはっきりと聞こえてくるようになる。春の陽気に誘われたのか、伸びやかな鳴き声は代わる代わるに響いている。突然、少し強く風が吹いたらしい。一瞬止まった靴音の合間を縫うようにして木々のざわめきがざあざあと降り注いできた。
私は再び歩き出したあなたの小気味良い足音を感じ取りながら微睡んでいく。遠くない未来に揺るぎのない別れを予期しながらも、束の間の安らぎに身を委ねてそっと目を閉じた。
「いつまでもこんなことしてらんないの、わかってる?」
喫茶店の奥まった席で彼女から詰問されて、ぼくはようやくぬるくなったコーヒーに口をつけた。この話題は何度目だろう。ありがちなループに心が安らぐ。しかし彼女はそうではない。ぼくにとってループをいやがるのはいつも女性だった。もしもぼくがヒキコモリだったとしたら、きっと母親が同じような顔をして、その科白を言うのは間違いない。いや、これは個人的な体験に基づいたぼくの思い込みだった。ただ単にぼくが高校生のころ、ひきこもっていたというだけ。
「いいかげん現実をみてよ。おかしいと思わないの? いつまでも学生気分で。同じことを繰り返して」
そのあたりの感覚が、ぼくにはよくわからない。ぼくはループに慣れっこだった。考えてもごらんよ。日々の営みなんてループのようなものだよ。食って、働いて、寝て、ときどき遊んで、挫折して。少なくとも表面上は、そういうことになってる。自分の尻尾を追いかけてくるくるとその場を回る犬みたいにしていたら、いつの間にか別のループに移行してる。それをぼくらは前進と呼ぶんだ。だから慣れなきゃいけない。楽しめるようになったら最高だ。すべてはループ「みたい」なものだよ。
「あなたはきっと、それで満足なのよね。独りで楽しんで。でもわたしは違うの。もう耐えられない」
そう、ぼくは楽しい。ループが楽しくて仕方がない。でも、他のひとは違う。彼らには善いループと悪いループがある。幸福がいつまでも続きますようにと星に願う。そしてわたしを不幸の螺旋に留め置かないでと嗚咽する。でも、ぼくは違う。ロールプレイングゲームのダンジョンにある無限ループの通路を歩いているような気分でいる。正解や幸福なんてとくに重要じゃないんだ。旅が終わらなければ――キミと辛い道程をループできればそれでいいんだ。そうすれば必ずキミも楽しくなるよ。辛いとかかなしいではなくてループそのものが快感になるよ。
「ねえ? ちゃんと考えてよ、将来のこと。ねえ? わたしのこと……てる?」
彼女のか細い声に少し胸が痛んだ。ごめんよ。大丈夫。ぼくだって常識的な生活というのがわからないわけじゃないんだ。そう、楽しかろうといつまでもループしてはいられない。いくらループと言えど永遠じゃないんだ。ぼくらは生身の人間で、あのダンジョンの無限ループを歩きつづけるには脆弱過ぎた。いや、画面の中の彼らにだってできないだろう。やがてアイテムとマジックポイントが尽き回復できなくなり雑魚キャラにやられてループは停止する。ああ、ごめんよ。キミをループを断ち切る雑魚キャラに見立てているわけじゃないんだ。だからループ「みたい」なものなんだ。いずれ別のループに移るのさ。
「はぐらかさないでよ。わたしたちもう終わり? 終わりなのかもね。ううん。わたしは終わらせたい。このダラダラした関係を。一刻も早く」
早口で捲したて、彼女は席から立った。目尻に涙を浮かべてぼくを一瞥したかと思うと、すぐに背を向けて歩きだす。いつものループが音を立てて崩れだす。ちょっと待ってよ。ぼくが叫ぶと、彼女は歩みを速める。ぼくは慌てて彼女を追った。へそくりの二千円札をウェイトレスの手にねじ込むようにして握らせ、ぼくは駆けだした。コーヒー二杯に奮発したことを後悔する間もなく、彼女の背中にぼくは迫る。カランコロンと扉についた鐘が鳴る。彼女の身体のほとんどすべてが外に出ていて、辛うじて店内に残っていた彼女の左手をぼくは右手で握った。
「ひゃ」
と、彼女は素っ頓狂な声をあげたけれど、こちらを振り向くこともしなければ手を振り解きもしなかった。
「え?」
彼女が驚くのと同時に、出し抜けにぼくの背後に誰かが立った。ぼくは振りかえることなく咄嗟に、空いている左手を後ろにむかって素早く伸べた。左手がきゅ、と柔らかい感触に包まれる。よく馴染んだ感触だった。
ひと呼吸おいて、ぼくは顔だけで振り向いた。そこには唖然とした表情の彼女がぼくの左手を握って立っていた。よく見ると彼女の左手はぷっつりとなくなっていて、それはたぶん、ぼくの右手が握っているのだった。しっかりと。彼女が少し左手を動かすと、ぼくの右手が向こうに見える。
おそらく間の抜けた顔をしているであろうぼくは、間の抜けたことを思うのだった。
これがぼくのあたらしいループ。移動したんだ。たぶんこれもループ「みたい」なもので、いつか終わってしまうのかもしれない。けど、どうでもいいんだ、そんなこと。これがぼくの大切なループ。だから大好きだ。ぼくはループが大好きだから。
ぼくは彼女に微笑みかけた。彼女は意味不明と感情を顔に浮かべながら、ひきつった笑みをこちらへ投げた。
「あのー寒いんで閉めてもらえますかー」
ウェイトレスに注意された。でも、ぼくには何も聞こえなかった。頬が熱くなるのがわかった。
ループした。彼女さえいればループできるんだ。