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はてなキーワード: 一瞥するとは

2023-11-26

1歳過ぎの息子が愛想が良いので道行く様々な人にかわいがってもらえる。あやしてくれたり手を振ってくれたり。

印象的だったのは、特急車両で隣り合って窓側に座っていたスーツイカツイおじさん。私達が後から通路側に乗ってきたのだが、腕を組んで目を閉じていた。抱っこしている息子が騒いで嫌な顔されないかヒヤヒヤしていた。

おじさんは目を細く開けて息子を一瞥すると、そっと、下がっていた窓のブラインドを少し上げて、また目を閉じた。

(あっ、息子に窓の外を見せてあげようと…)

おじさんかわいいなって思った。息子は寝た。

2023-10-31

釣れますか?

テトラポット質の材木である床の上には10円が落ちていた。

それを拾おうとして屈むと、鯖のにおいが鼻につく。

顔を上げると10寸ほど先に、錨に座る麦わら帽をかぶった男が居た。

タイトデニムオーバーオールを着ており、中には黒の半袖シャツ

黒髭の懐にはにきびのような突起がぽつぽつとあり、じろりとこちらを一瞥すると海の方へと目を向けた。

私は彼に近づき、「釣れますか?」と聞いた。

彼は小声で「やれやれ」とつぶやいた。

私は何か気に障るようなことを言ったのかと訝しりながら焦り、右のポケットからくしゃくしゃの千円札を取り出すと彼に見せた。

じっと無言で、彼は私が摘まんだ千円札を見つめた。

それから竿を地面において、半身を翻すと私の方へと身体を向けた。

彼は左手を水平にまで擡げ、真っ直ぐに伸ばすと私の後方を指さした。

振り返ると千円札は無くなっていた。

彼も消えており、竿が大きく撓った。

バケツを覗くと鯖が一匹。

今まさに、釣り上げられようとしていた。

その姿は広く、ネットの海で見受けられるものだった。

2023-09-08

anond:20230908214723

住んでるマンション併設のジムでの問題はどうなったのか

https://www.excite.co.jp/news/article/Cyzo_200812_post_1271/

「…事件現場となったのは、ヒガシが住む超高層スーパー億ションの住居者専用ジム。このジムトレーニングしているヒガシが、「ポーズを変えて薄ら笑いを浮かべながら」半裸を見せつけるため、気持ちが悪いと評判になり、入居者がジムを使えない状況になっているとのこと。

さらに「エレベーター香水臭いが強烈過ぎる」「仕草意識しすぎで芸能人オーラムンムン」「女を度々連れ込んでいる」「地下の車寄せスペースにヒガシの送迎車がかなりの頻度で止めっぱなしになっている」など苦情が相次ぎ、挙げ句の果てには住人との直接対決に。腹に据えかねた住人側がヒガシに「オカマ野郎が!マンションから出て行け、このナルシスト男!」と大爆発すると、あろうことか彼はぽろぽろと涙を流して泣き出したというのだが......。

「この話が本当かどうかは分かりませんが、彼にこういったトラブルが起きるとは思わなかったので驚きました。東山ジャニーズ事務所のみならず、芸能界でも几帳面で温和、しか礼儀正しいと評判ですからね。直接対決の際も、運転手住民がもめているところに『うちのモノがいかがいたしまたか?』というキザったらしい言い方をしたため住民の怒りに油を注いだということでしたが、裏を返せばかなり丁寧に対応したということでしょう?まぁ、肉体に自信があって、普段から後輩に『オレの腹筋を見ろよ』と見せつけている彼だけに、ジムでの話はもしかしたら本当かもしれませんけどね(苦笑)」(テレビ制作会社関係者

ちなみに、彼が裸を見せつけるのは若い女限定で、年配のマダムが入って来たときは「一瞥するとすぐに服を着て、何事もなかったようにトレーニングに戻る」んだとか」

( ^ω^ ) …。

2023-08-04

その日もバーに行った

そこは場末バーと呼べるかもしれない。

飲み屋横丁の外れに店を構え、レンガ調の外壁は色が擦れている。

錆びた看板。溜息のような、湿気交じりの風が吹き込み、鈴の音を二度鳴らす。

狭い店内。向かって正面、カウンター席の一角

彼女の姿は既にあり、温かみのあるランタンの光が顔をうっすら照らしていた。

いつも通り隣に腰かけるとハニーウッドの香りわずかに鼻をくすぐった。

仮に彼女名前増田としよう。

増田はおそらく20代。いや、30代かもしれない。

このバーで知り合った女性で、酔った俺がいっぱい奢ったのが、こうして話すようになったきっかけだ。

増田は既にほろ酔いで、俺のことを一瞥するとすぐにグラスへ目を戻す。

端整な顔立ちの増田は言う。

「そういえば、この前に面白い話の聞いたんだけど」

へぇ、どんな?

外套を脱ぎながら尋ねると、増田はグラスを傾け、俺に見せる。

同じものを、と俺。

トランスジェンダーって知ってる?」

増田は置かれた酒をいっぱい、軽く傾け喉に流すとそう言った。

もちろん。まあ、なんとなくだけど。

わたし、誤解してたんだ」

何が?

「ほら、トランスジェンダーって、要はホモとかレズとか、そういうのでしょ?だから

から

聞き返すと増田はクスりと笑って眼を細くする。

彼女福田沙紀に似ている。

増田は言う。

ホモって男が好きってことでしょ?ってことは、そのホモっていうのは、自分のことを女だと思ってる~って思ってた」

マスターがちらりと増田を見る。

それに気づかないふりをして俺は酒をあおり、それで?と促した。

「でもほんとは違うみたい。聞いたのよ。本人に。そしたら、”男のことを好きな自分のことも男だと思ってる”だって

くく、ふふっ、と増田は体を折って笑う。

やれやれ、と俺は思う。

しかしこの表現はあまりきじゃない。

軽々しくも、”ハルキスト的”だなんて称されるのが気に食わないからだ。

そもそもやれやれ」といった表現流行させたのは村上春樹ではなく、それは寺山修司舞台青森県のせむし男』に出てくる萩村の口癖が元だ。

閑話休題

増田は「レズレズでも自分は女だって思ってるってことだよね?」と俺に問い、俺は何となく頷いた。

ただそれだけの話。

マスター流し目にちらりと俺を見る。

俺は再び、酒をあおった。

2023-08-01

anond:20230801092423

お前も米兵ボコられながら、

美少女が「だーれーかー助けて!!!増田君お願い!たすけて!!!」って言って

米兵が「オイオイこいつ殴られながら勃起してるぜ」って言って

美少女が「・・・サイテー」って一瞥するんだぞ


その後お前もあぶれた冴えない武蔵丸みたいな米兵

アナル掘られる・・・

一生うんこ垂れ流しで人工肛門

2023-07-29

都会って怖い

俺は田舎者だ。

最近人口が200万人以上の都市移住してきた。

それでこの前、スーパーへ買い物に行ってセルフレジを使おうとしたんだ。

するとちょうど一つしか空いてなくて、その空いてるところの台(バーコード読み取った商品を置く所)に小さな子供が前かがみにもたれかかってた。

で、隣のセルフレジにはその親がいた。

仕方がないからそこの空いてるセルフレジを使うことにして、そこに行けば親が注意するだろうと思ったんだ。

でも何もしなかった。

こちらのことも子供のこともガン無視で、親はセルフレジ自分の買い物の会計だけをしていて注意一つしない。

仕方なく佇んでたら、その親は自分会計終わって子供に一声かけて去っていった。

俺のほうを一瞥することもなく、何も言わずに。

なんだか都会って、こえぇなって思った。

2023-07-18

ベビーカーなんて邪魔だな」に返した一言

まだ幼い我が子をベビーカーに乗せて、都心デパートへ買い物に出かけた彼女は、1階から上層階まで移動するためにエレベーターを利用しました。休日の昼下がりということもあり、エレベーター内はほぼ満員状態だったそうです。彼女もぐっすり寝ている我が子を起こさないように、周囲に配慮しながら、やっとの思いでベビーカーを押し、エレベーターに乗り込みました。

やがて途中の階で、ひとりの中年男性が乗り込んできました。その男性は、彼女ベビーカー一瞥すると、すぐさま舌打ちし、「まったくベビーカーなんて邪魔だな。場所を取りやがって」と吐き捨てるように言い放ったといいます

彼女は一瞬、頭が真っ白になったそうですが、そこはあらゆる医療現場をくぐり抜けてきた百戦錬磨女性医師その男性に向かって「これは“ベビー”カーなんです。小さい赤ちゃんが乗ってるんですよ、狭いならあなたが降りなさいよ!」とまなじりを決して反撃したのです。すると男性はたじろぎ、すぐさまエレベーターを降りていったとのこと。https://news.yahoo.co.jp/articles/13ce8c2f17239e59b8a026dbf1376e7fb270a30a

いやほんとうに邪魔からベビーカーやめて抱えろよ

そのほうが子供の情操教育にも良さそうだろ

ってことを10年くらい言い続けてたらほんとうに世界がそうなって良かった

2023-04-18

裏口入学中の人やって病んだ

表題の通りである

増田を書くのは初めてなので変なところがあったらすみません

https://news.yahoo.co.jp/articles/96f03821dedaf7d270db7546e41ff7082d083fce?s=06

このニュースを読んで、学校対応に疑問をもった方も多いだろう。

このケースについて要因を断言することはできないが、似たようなことが以前の勤務校にあったので、書いていく。

(私立学校では大なり小なりあることなのだと思っている。)

まず大前提として、私は既に教員を何年も前に退職し、今は会社員として人並みに働いている。

また、特定されないよう内容にはフェイクを混ぜている。参考程度に聞いてほしい。

某所の中学校

私が裏口入学中の人をやらされたのは、新卒一年目のことだった。

私学適性検査(私立教員就活センター試験みたいなもの)の点数がかなり良かった私は、偏差値も立地も給与もいい感じの学校就職でき、担任も任され、まさにこれからといった感じであった。



母校でもなく、地元を遠く離れ、同期に同郷や同大学の先生はおらず、今思うとアウェーではあったのだが、当時は特に気にならなかった。

何より生徒が賢かった。振れ幅は勿論あるが、素直で真面目な良い子が多い。

生徒との関係もおおむね良好で、どたばたしつつ充実した毎日を送っていた。



入試準備の時期になると、作問者に抜擢された。大役である。手当も出る。

隣のクラス先生にも「新任ではなかなかないですよ、期待されてるんですね〜」なんて言われて、責任を感じながらも喜んだ。

作業は大変だったが、作問も入試も滞りなく終わった。ここまでは良かったのだ。



採点の日が来た。

配点と採点基準は事前に提出しているため、それに従ってつければ良いだけなのだが、なぜか私だけ別室に呼び出された。

呼ばれたのは狭い部屋で管理職教員が二人おり、私が席につくと一人がドアの前に立ち塞がるように立った。

完全に怒られると思った。問題に大きな不備が見つかったのだと思った。

固まる私に、管理職は「いや〜入試無事終わったね!ははは」みたいな感じで、朗らかに話しだした。

あれ?怒られないのか?と思っていると、管理職封筒から受験生の回答用紙を一束取り出し、

ちょっとこの束だけ先に採点してみてくれない?あ、回答用紙に直接点数書き込まないでね」

と言った。

よく分からなかったが、私はその通りにした。

採点が終わると、管理職は点数のメモを見ながら何やら考え込み、おもむろに回答用紙の目隠しを外した。

目隠しというのは、記名欄を隠しているものである。つまり公平性を保つために、採点者から見てどれが誰の回答かわからないようにしているものだ。

私はビックリした。えっ?それ外して良いの?

顔に出ていたのだろう、管理職は私を一瞥すると「あ〜良いから良いから笑」と手を振った。

そして名前確認して1枚の回答用紙を引き抜き、「これなんだけどさあ」と私の前に置いた。

男の子の回答用紙だった。削られていない、潰れた鉛筆で書いたのか、筆圧が高いのか、凄く太い線をしていた。字は汚い。

記述必要以上にいらないことまで長文で回答しているものの、覚えてくれば答えられるような一問一答はことごとく間違えていた。

そして、試験時間中に紙をゴシゴシと擦ったのか、ところどころ変に黒くなり、破けていた。

「この子、点低いよね?」

管理職が言った。採点ミス?と思ったが、明らかにの子の回答には点が高くなる要素がない。

私が黙っていると、管理職が口を開いた。

「この子、この教科が得意科目らしいんだよね、この子合格になる感じにね…採点基準変えて欲しくて」

耳を疑った。え?何言ってるんだ?と思うと同時に、まずい、この子裏口入学?どうしよう、不正だよな、と思って動悸がした。

しかし、私は自己防衛に走り、適当に返事をして、その通りにした。

の子合格するような採点基準に変えるというのは、ほとんど換骨奪胎だった。

一問一答比重は著しく下がり、記述は余計なことを書いていてもとにかく意欲があればOKみたいな感じになった。

同じ束の中でも、点の下がった子がいた。字のきれいな女の子だった。逆に点が上がったラッキーな子もいた。

平均的にはそのままの子も多かったが、私が最初意図した試験とは違う結果になっていた。

そして全体の採点が終わり、家に帰った。

夕飯を食べながら、入試の日に保護者誘導で見かけた女の子のことを思い出した。

本校が第一志望なのだうその子は、お母さんに抱きしめられ、絶対大丈夫!頑張って!と言われ、お父さんに大きく頷いて、お守りらしきものを握りしめて会場へ向かっていった。

の子の点が下がっていたらどうしようと思った。

それから合格発表、新入生登校日があり、入学式を経て、新年度の始まりまで、誰にも不正のことは言わずそしらぬ顔して過ごした。

そして新年度、授業を受け持つ生徒の名簿を見た。

の子がいた。名前を見て動悸がした。

ヤバい子だったらどうしよう。しかし、新入生登校日にも入学式にも特に変な話は聞いていなかったので、大丈夫だと思い込んだ。

結果、ヤバい子だった。(以下、Aと呼ぶ)

床に寝る、騒ぐ、叫ぶ、殴る、人を突き飛ばしながら走る、窓から物を落とす、トイレおしっこスプラッシュ下半身露出して女子を追いかけ回す、ゴミをぶちまける、他のクラス(なんと、上の学年にもだ)の教室にいきなり入って因縁をつける、考えうる悪行は一週間でほぼ全てこなした。

授業中も凄かったが、私の教科は自称得意科目なのもありまあまあ真面目に聞いていた。

それでも授業中に立ち上がり、他の子の筆箱を取り上げてぶちまけるくらいのことは平気でやった。目眩がした。

危険な道具を使う技術家庭ではほとほと困り果て、家庭科先生は泣いてしまった。

すぐに教員シフトが組まれ、Aくんには常に教員が一人以上つくことになった。私も何度かついた。

前述の通り、素直で真面目な子の多い学校だ。異質な彼の噂は瞬く間に広がった。

面白がる子もいたが、幸い同調する子は少なく、みな教員に協力的で、何か起きると何人もすっ飛んできて教えてくれたが、残念ながらAくんのクラス学級崩壊に近かった。

担任先生は本当につらかったと思う。

担任している子たちには、あのクラスの授業をやってるなんてと哀れまれた。

保護者会で保護者にも哀れまれた。

職員室では教員同士が互いに相憐れみ合っていた。

Aくんの担任は、他の保護者から毎日色々言われていた。

Aくんの親はどんな連絡をしても悪びれなかったようだ。

そりゃそうだ、裏口入学させるような親なんだし。

Aくんの学年内では、教員も生徒も色々な理不尽があったと思う。

物を壊された生徒は多数。

特に男子は、体育で競技にかこつけてよく怪我をさせられた。

職員室でAくんの学年の教員管理職に怒鳴られているのを何度も見た。

教員内で情報共有はなぜかされなかった(生徒指導部ではしていたのかもしれない)が、意外と生徒たちの方が詳しく、生徒づてに色々な事件の話を聞いた。

職員室では、なんであんな子がうちに入ってきたんだという話が頻出するようになった。

裏口入学なんじゃないか?」と言われるたびにどこからともなく出る台詞が、「でも、実際得意教科でガッツリ点とってるんだよなあ」

冷や汗が止まらなかった。

その内、Aくんがクラスでこんなことを言うようになった。

「ここの理事長は俺の手下なんだ、俺に楯突いたらお前ら退学だからな」

男子は真に受けなかったが、意外と女子が真に受けて怯え、教員への不信感をつのらせた。

こんなの、自分裏口入学ですと言ってるようなものである

たぶん、Aくんの保護者(もしかしたら年齢的に祖父母かもしれない)が家でAくんに言ったのだろう。

理事長は俺の手下だから大丈夫だ、みたいなことを。

不正の結果ヤバいことが起きた人なら分かると思うが、こうなるともう本当に怖くて仕方なかった。

バレる夢を何度も見た。げっそりしている担任申し訳なかった。何より生徒にバレたらと思うと恐ろしかった。

俺が殴られたのは、私が追いかけ回されたのは、物を壊されたのは、授業をまともに受けられないのは、先生不正を許したからだと恨まれるのが怖かった。

かに相談たかった。しかし、相談出来る相手がいない。

ここは母校でもなく、地元でもなく、同期に同郷や同大学の先生はおらず、何より忙しすぎて親睦を深める余裕はなかった。

あくまビジネスライクな付き合いだ。

よくしてくれる先輩はいたが、皆裏口入学なんて当たり前だと思っているかもしれない。

先輩たちもみんな通った道なのかもしれない。

今思うと考えすぎなのだが、当時はそんな風に考えていた。

作問担当に決まったとき、「期待されてるんですね」と言われたが、なんのことはない。

よく考えなくても、同期はほとんどが本校の卒業生だ。

どこかにチクるツテの無い私はうってつけだったのだろう。

で、まあこれだけが理由ではないのだが、他にも普通に忙しすぎるとかやっぱり地元に帰りたいとかもあって、しばらくして私は教員をやめた。

先生方とはそれっきりだが、生徒とは今も連絡を取り合っている。

このことを、機会があって母校の恩師に愚痴ったところ、慰められたが微妙言葉を濁された。母校でもありそうな感じだった。

しか学生時代明らかに学力が浮いてる子いたし。


多少は清濁併せ呑んで働くべきだったのかなと思った。

以上である

追記

本文中に発達障害という言葉意図して使いませんでしたが、コメントを見ていると逆に良くなかったと思うので追記します。

まず、裏口入学で悪いのは子どもではなく周囲の大人です。

私はAくんの保護者に会ったことがないので深く触れませんでしたが、裏口入学を依頼する親と受け入れる学校が悪いのは明らかです。

子どもは得てして欲望剥き出しの生き物です、親が提示した裏口入学分別なく飛びついても責められません。

冒頭に貼った記事児童も、Aくんも、親さえまともならどこにでもいるただの「支援必要子ども」に過ぎなく、これ自体善悪はありません。

発達障害には天才も含まれるとのコメントいただきましたが、それは当然として、他の圧倒的多数を占める「平凡な発達障害児」と比べてもAくんの問題は明らかです。

しかにAくんの障害は(おそらく)重度ですが、この場合は「裏口入学をさせるようなクズ親に育てられたこと」と「重度の発達障害を持っていること」が掛け合わさって問題が生まれています

発達障害一口に言っても程度や種類は様々で、それぞれ色々な生きづらさや問題を抱えていると思いますが、Aくんを取り巻く問題はその中でも外れ値です。発達障害全体の話題として捉えられるのは本意ではありません。

また、発達障害の方に、自分もAくんのように周囲を困らせていたのかもしれないと思わせてしまうのも申し訳なく、本意ではありません。

これは私の言葉足らずが悪かったと思います

この話は、あくまでAくん個別問題として読んでいただければ幸いです。

2022-11-27

anond:20221126225422

公的空間から性的広告ダメ!」とか、「公的機関の広告からダメ!」とかは、確かに雑すぎると思うんだよね。

論点は、

・その広告自体媒体と公開される空間との関係で作られるメッセージが、

・「社会」なる極めて曖昧漠然とした存在との関係で、

・「公共性」や「社会性」が問われるという、

淡ーーーいグラデーションの話でしかないと思うのよ。

不快もの公共空間から排除しろ」が公共性をめぐる議論として不適切であることは言うまでもないし、そもそもいくら駅構内における広告といってもほとんどの駅利用者一瞥するかしないかして通り過ぎてしまものだろう。

それでも、社会がいわゆる「公共性」の高い場所媒体における広告について配慮すべきは一点、「未成年性的に扱うことに対してどのようなメッセージを発しているか」だけだと思う。

園城寺怜にしても宇崎花にしても問題が全くないと言い切る度胸はないんだけど、彼女らが未成年である/成年であるという設定は広告を見るほとんどの人は共有していない情報であるし、そもそも体型や顔立ちによる幼い/成熟した印象は実際の年齢と一致しない。

そうすると、あからさまに中高生記号をもったキャラをして「どうぞ性的に扱って下さい」というメッセージを明示した(例えば制服を着て性的に誘惑しているなどの)広告って、決して多くないと思うんですよね。

その意味で、個人的には月曜のたわわはその記号表題文言からしてかなりグレーゾーンではあったけど、それでもせいぜいはグレーですよね、という印象だった。

2022-08-23

夏夏夏夏夏夏

入道雲、青稲、誰もいない校庭、夜中に降った雨で濁った水面を目の端にとらえて道なりに進む

ラーメン屋焼き肉屋の間の国道今日も山を崩しにトラックが走る

信号を待つとき踏切カンカンカンという音を聞く間も太陽が目に眩しくて、今日のはじまり呪いたいほど面倒くせえと思う

遮断機の警告色の棒が上がって、左右を確認する

子どもの頃に同級生が死んだ線路を越える

アパートの前で自転車にまたがっている女子高生一瞥する

彼女今日手鏡を見ながら前髪を触っている

恋人のための自意識か、自分縄張りのための美意識

マスクで大体隠せるからどうでもいいやろと毎回思う

田んぼの横の用水路の横の抜け道を走る辺りで、よっぽど今日は海に行こうと毎日思うが行かない

2022-08-09

あんさんぶるスターズ立ち食いそば

仕事帰り、駅のホームに降り立つと、ガタガタと騒がしく走る反対車線の電車を横目に疲れた足取りを進める。やがて正面に見えるのはホーム雑然と建てられた小さな建物。『あんスタ』とだけ書かれたシンプル看板一瞥すると、横開きのドアをスライドさせて中に入る。入り口横に備えられている薄汚れた食券機で「ぶっかけひいあい」の食券を購入すると、カウンター向こうにいる店主へ無言で受け渡す。
注文品が出来るまでの少しの合間、半分閉じかけた瞼で店内を見渡すと、大方いつもいるような層ばかり。一人でなにかぶつぶつと呟いているくたびれたコートを着たらびおじ、イヤホンで何かの音楽を聴きながら涙を流している流星隊Pの女子大生、高いヒールをカツカツと不機嫌そうにならすOL風のUNDEAD担。
何かを考える気力もないまま立ち尽くしていると、ドン、とカウンターに丼が置かれる。その丼を手に取って、私も無気力有象無象の一人になることにする。
ただ木の板が壁から張り出しているだけの席へ着くと、備え付けの割り箸から無造作に一本選ぶ。たいした力も入れなかったため、割り箸は綺麗に割れなかった。
ささくれた木の棒を手に、ひいあい攻略を始めることとする。僕の行為を気に留める誰かもいない今、わざわざ食事挨拶をする必要もない。
箸で一つまみひいあいをすくい上げると、湯気が出ているわけでもないのに、なんとなく食べるときのくせでふうふうと息を吹きかけてしまう。そして口元へ運ぶと、ずるりと音を立てながらすすり上げる。
しょっぱい、と感じる。おいしいおいしくない以前に、味付けが濃くて判別できない。こんなもの、きっと家でゆったり家族団欒を楽しみながら口にするものではない。
ただ、座る席もないような立ち食いの店で、時間をかけずに食べるにはちょうどいい。疲れた心、疲れた体ではきっと舌も麻痺していて、繊細な味付けなんかされたところでどうせ今の僕には理解できないだろう。
僕は無心でひたすらひいあいを口に運んだ。



ーーあんさんぶるスターズを一言で表すと何? と友人から聞かれたとき、僕の脳裏によぎったのはありもしない立ち食いそば屋での記憶だった。
ありもしないという通り、実際には立ち食いそば屋なんて一度も入ったことがない。すべて妄想であるため、立ち食いそばの実情と大分食い違う点があるだろうことをご留意いただきたい。

そもそもどうして友人があんさんぶるスターズについて僕に聞いてきたかというと、僕があんスタに沼ってるからとか、推しいるからとか、そういう類の理由ではない。
しろその逆で、仲間内では「あんスタアンチ」で通っているためである

僕はことあるごとに「最近オタクが軟弱なのはあんスタのせい」と口にしている。
友人は、逆にあんスタ沼へ落ちている人と話す機会ができたから、僕のあんスタに対する意見も聞かせて欲しいという塩梅だった。
その質問に対して僕はこう答えた。

一言で表すならあんスタは立ち食いそば、と。

あんさんぶるスターズの味付けは濃い

僕があんさんぶるスターズを初プレイしたのはリリース当日だった。キャラクターデザインも美麗で見目が好みのキャラもいたため、プレイ前は期待を抱いていたように思う。
けれど実際にサービスが始まりプレイして感じた違和感


どいつもキャラが濃い

奇抜な口調、過剰な趣味人間味のない受け答え。
まあでも、多キャラものを通ってきた身としてはキャラが尖るのはよくあることだよなと思う。
そのときの僕は、まあ自分向けじゃないよな、程度に収めてプレイを止めた。

ただし、皆さんご存じの通りあんさんぶるスターズの勢いはすごいもので、周囲にあんスタ好きの人は多数いたし、積極的摂取しなくとも副流煙ストーリー理解できる程度には定期的に何かしらの情報が流れて来ていた。
また、同居人あんさんぶるスターズのとあるカプに沼ったことで、身近に触れることにもなった(当の同居人現在あんスタと袂を分けている)。
僕もmusicが始まった際は再びインスコしてALKALOIDにうつつを抜かしたりもした(今でもたまにカプ検索はする)。

けれど人間関係と一緒で、一緒にいる時間が長くなればなるほど嫌いな側面というのは見えてくるもので、嫌な部分が過剰に見えてくると耐えられなくなってくるものだ。
やがてただの一ジャンルから嫌悪対象へとあんスタを昇格させた僕は、自分あんスタを受け入れられない理由を求めて考察するようになった。

実際に以前よりあんスタに触れてみて、考察してみて分かったことは、濃いのはキャラクターだけではないということだった。

ストーリーは大味で、基本的に繊細さはない
まずそもそも、改めて考えてみるとどうしてみんなアイドルを目指しているのかが分からないストーリー上で明かされない。さらに、アイドル活動らしいことをストーリー中でほとんどしていない
ライブステージが始まったかと思えば、急に時空が歪んだのかと思うくらいステージ上でめちゃくちゃ喋ってる

女性向けゲームといえばキャラクター同士の人間関係も重視されるかと思うが、その人間関係においてもカレーケーキを乗っけたみたいな料理提供される
あんスタ制作人はどうもカップリングを乱立させるのが好きなようで、いたるところで男同士を絡ませて地雷持ちカプ厨の息の根を止めていく
新しく形成された二人の関係精巧に描かれていればまだいいものの、実験を楽しむマッドサイエンティストみたいな気分でシナリオ提供されるため、キャラクターを元あるグループと別ユニット所属させるなど、ファン不安にさせることに余念がない。

また、新しく激重感情が交わされる人間関係が構築される場合基本的他の人間関係をすべて無視した上で行われるため、一人の人間が人によって仮面を使い分けているというよりは、パラレルワールド二重人格様相を呈する。

まりあんさんぶるスターズは細かな調味料の調整によってストーリーが作られているのではなく、砂糖唐辛子と塩を混ぜ合わせて作った味付けの濃いコンテンツ、だと僕は認識している。

けれどその大味のコンテンツが、流行しているのも事実だ。

あんさんぶるスターズは戯曲である

視点から見るとクソみたいなコンテンツだったとしても、見る人によってその価値は変わってくる。

例えば、あんさんぶるスターズを舞台上で演出される戯曲だと解釈する。<br<br>>ストーリーが大味なのも、会話がやたら長いのも、キャラクター設定が繊細でないのも、すべて舞台から観客に届けるための演出である

細かな仕草で伝えても見えない観客もいるかもしれないし、細々した心理描写を入れるのは舞台には適さないため必然と会話は多くなる。俳優藤原竜也は演技が過剰でそれがネットミーム化することもあるが、あの演技は舞台で育ったからに他ならない。

我々は舞台上の彼らのやり取りを鑑賞しているのだ、と考えれば過剰な演出おかしくはない。

時代に適した形態ではある

ではどうして戯曲的な大味コンテンツ流行しているかという問題になってくる。

結論から言うと、あんさんぶるスターズは今の時代に適した形態提供されているからこそ、人の心を捉えているといえる。

時間がなくても楽しめる

今の時代、世の中にアニメゲームをはじめとしたサブカルチャーコンテンツなんていくらでも溢れていて、一つのコンテンツに多大な時間集中力意識を割けないと考えている人は多い。
他にも、ストレス社会と言われる現代ジャンルに沼っていたとしても私生活問題時間が取れないこともある。

そもそも立ち食いそばの味付けが濃い理由は、立ち食いそばは舌の上に食材がのっている時間が短く、一瞬でも満足感を得られるようにするためだ、と記憶している。
あんスタも同様に、味付けが濃いので舌の上にのっている時間が短くても満足感が得られる

深く味を吟味するには向いていないが、短時間で楽しめるアトラクションではあるといえる。

②すべて追う必要がない

あんスタは基本的に、一人のキャラクターが他のキャラクターとフラグを建てているときに、他のフラグをすべて忘失する傾向にある。
例えば、真白友也は氷鷹北斗の前にいるとき日々樹渉の存在が消えるし、逆に日々樹渉の前にいるとき氷鷹北斗存在消失する。瀬名泉において、月永レオと遊木真をそれぞれ相手にしているときも同様である

逆に捉えれば、例えば特定カップリングを追っているだけであれば、他のキャラクターとの関係性を一切履修する必要がないのだ。

その分他のコンテンツ時間をさけるし、キャラ理解を深めるために地雷カプへ突入する必要がない(公式PV爆撃で地雷を踏むことはあるが)。

二次創作自由

あんスタくんは公式が常に二次創作してるようなものなので、よく燃える。それゆえに、ファン二次創作するにあたって公式以上に悪目立ちすることはあまりない

また、キャラクター性は特に味付けが濃いため、二次創作する上で多少の改変が行われても紛れて悟られづらい

要するに、公式キャラクターに見た目や口調が相似していれば全部そのキャラクターっぽくなる、という二次創作における最大の強みを持っている。

ただしnot for me

極論、つまりあんさんぶるスターズは今の世間に向いたコンテンツではあっても、僕向きではないという話である

以前、僕は運営会社を同じくするエリオスライジンヒーローズに片足突っ込んでいたこともあるのだけれど、ジャンルを離れた理由「設定が雑」「運営が信じられない」「キャラが守られていない」だった。

まり詳細に書くと長くなるので割愛すると、つまり自分が求めている作品には、世界観がしっかりしていて噛めば噛むほど味が出るようなキャラクターやシナリオ必須である認識している。
カップリング前提で見ているのではなく、そのキャラクターや仲間、背景を知りたいと思うしさまざまな関係性によってその「推し」が形作られていく過程吟味したいと思う。

自分オタク志向的に、あんスタは合っていない、と感じた。

ただ、not for meなだけなら、ここまであんスタアンチに近い発言を繰り返すこともなかった。

すべてあんスタのせい

あんさんぶるスターズは確かに現代に適した形態コンテンツ提供されているだろう。一瞬舌に乗っただけでアトラクションが楽しめる大味なあんスタというジャンルは、簡単に「オタクしてる」感が味わえる。

ただしそれは同時に、味音痴」を作り上げる結果になっているのだ、と僕は主張したい。

あんスタは一大ジャンルなわけで、あんスタを通ってきた人は非常に多い。
ただしあんスタに慣れてしまった人にとって、作品キャラクターを吟味するという行為推しを推すために必要行為ではない。濃い味付けに慣れきってしまって、自分から味わいに行くことはしない。味わわなくても楽しめるし、そもそもよく噛んでも良い味がしないという学習をしてしまっている。むしろ二次創作においてはセルフで醬油やわさびを足して自分好みに都合よく改変しても、元がカレーケーキを乗っけてるようなものなので違和感を覚えない。

周囲を観測したり、色々なジャンル渡り歩いていると、明らかに味音痴オタクが増えてきたと感じる。繊細な味付けがからないため、その作品キャラクターに対して食レポができない。二次創作しても、キャラクターの見た目や名前や特徴的な口調だけが一緒の何かになりさがってしまっている。

ジャンルキャラ乖離が激しい・キャラ解釈がない人の過去ジャンルを見てあんさんぶるスターズがあったとき、何とも言えない気持ちになる。
そんな周囲の状況を見ていると、僕はどうしても「すべてあんスタのせい」と言いたくなってしまのだ。

作品推し方、作品との接し方というのは人それぞれだと思う。こうしろ強制するつもりはない。時代の移り変わりであり、この流れを受け入れるべきなのかもしれない。

ただ、一オタクとして小言を許してもらえるのなら、たまにはその作品あなたなりに深く味わってみてほしいと思う。
そしてその料理がなにで構成されているのか、自分なりに考察してあなた解釈を深めて欲しい。他人と同じ解釈にならなくて良い、正解なんてない。人の数だけ解釈があり性癖がある。

大多数のオタク味音痴にならないで欲しいと、強く願う。

2022-07-21

轢き逃げ事件(?)の被害者になった

非常に微妙な感じの事故被害者になったので記録しておく。

起きたこ

10時頃に右側の歩道自転車走行ライト点灯・ヘルメット着用)

  ↓

道路右側の駐車場から出ようとした態勢で静止している車(以下加害車)と対向車を視認

  ↓

対向車がいるので駐車場からすぐに出てくることはなかろうと判断しそのまま走行

  ↓

急に加害車が駐車場から頭を出してくる

  ↓

避けようとして急カーブし、バランスを崩して縁石にぶつかり転倒

  ↓

加害車の右側前方座席に座っていた人がこちらを一瞥する無視して走り去る

  ↓

後続車の運転手が「大丈夫!?」と声をかけてくるも「擦っただけです」と言ったらそのまま走り去る

  ↓

カムカしたまま帰宅しようとしたけど、ズボンの膝が破れてたのに気づいて俺の怒りが有頂天になり交番に駆け込む

被害

掌の擦過傷(痕跡はほぼなし)、膝の擦過傷(そこそこ目立つ痕跡あり)、購入数ヶ月のモンベルズボンが破れる、購入数ヶ月のモンベルの革靴が痛む

捜査

「それは警察領分じゃないですね……」と言われるのを覚悟してダメ元で交番に駆け込んで出てきた婦警さんにあらましを説明したところ、婦警さんが少し考え込んだあと上官と思しき男性警察官に「……これ轢き逃げですよね?」と報告し、捜査が始まることに。なんか本署から交通課の人とかも来た。

ただ、「現場」に痕跡がちっとも残っていない。「現場」は店舗事務所が立ち並ぶ一角駐車場なのだが、いかんせんたいして血の出てない擦過傷や膝小僧が破けたズボンくらいしか被害がないので、本署の人からしても見つけられないようなのだ。これはもう仕方ない。

その時間帯に開いていた店舗飲み屋だけだったので、男性警察官が飲み屋に聞き込みに出向くも、有力な情報は得られなかった。

実は「後続車」が重要で、なぜかといえば増田は加害車の特徴はおぼろげにしか覚えておらず、右側前方座席に座っていた人の特徴も覚えていなかったのだが(女であるという直感だけは強く持っていたが、ロン毛の兄ちゃんですと言われたらそうだったんですねとなる程度の解像度)、後続車の車体にデカデカと「○○運転代行」と書いてあったのは覚えていたから。

そのときは何も考えてなかったのだが、冷静に考えたら、加害車を運転してたのは運転代行業者なんじゃないか? 飲み屋駐車場から運転代行業者の車を引き連れて出てきたんだから、そう考えるのが最も自然だろう。

問題増田が「○○」の部分をまったく覚えていなかったこと。そして飲み屋は「店として運転代行を手配したことはない」と主張し、市内にある運転代行業者はどれも「今日この時間にそこに派遣した車はない」の一点張り。隣の市から呼んだのか? ヤミの代行業者営業してたのか? それともシラを切ってるのか?

ここで被害の話になってくる。死亡事故ならいざしらず、あるいは直接の接触があったならともかく、増田と加害車とは直接接触していない。加害車を避けようとして増田が転んだだけだ。そしてその傷も、病院での治療を要さないであろう擦り傷だ。

そんなわけで、捜査の進捗がまったくなくて微妙雰囲気になってきたところで、本署の捜査から「その~、処罰感情とかはどんな感じなんでしょう」という質問があった。加害車の挙動と転倒との関係をどう捉えているか? とも。

「加害車が単に車体を歩道側にはみ出した状態で静止しているだけなら普通に避けることができた。私が転倒したのは加害車が急に前方に進出したのが原因である。そこに疑いはない。ただ、駐車場から出ようとするときに少し車体を歩道側に出して進出の準備をするというのは普通動作であり、特段マナーが悪い行為でもない。問題は転倒した私に声もかけずにそのまま行ってしまたこである。私の方にも非があり、運転自体は悪質とはいえなかったので、たとえば職場をクビになるというようなことは望まないが、しかし私を無視して走り去ったことは納得がいかない」

という趣旨のことを伝えた。本署の人は、一応捜査はするが加害者特定は難しいということを伝えられた。現場検証が終わったときには日付が変わっていた。頭を下げてお礼を言ってその場を離れた。

感想

リベラルはてな民としては国家暴力装置たる警察への警戒感というのは当然あるわけだが、それはそれとして、こんな小さな事故でも捜査してくれるんだ……というのは驚きだった。やっぱり基本的に真面目で熱心で使命感に燃えた人たちなんだなぁというのを実感した(問題はそれが違法な職質などに向けられる場合があることだが……)。率直に言ってすごいありがたかった。

そして、人間記憶いかに不確かで目撃証言がどれだけアテにならないかを身に沁みて理解した。増田接触しそうになった車のおおまかな特徴を話すことはできたが、あやふや記憶だった。運転手(正確には、右側前方座席に座っていた人。増田ハンドルまでは視認してないので)の特徴もろくに思い出せなかった。

自分当事者になったらパニクってこの程度の記憶しか発揮できないというのは、数々の冤罪事件について色々読んで知識を蓄えてきた身からしても衝撃だった。何度も質問に答えるうちに,あやふやだった記憶証言に合わせて「定着」していくような気がするのは恐ろしかった。

この状態で「それっぽい人」と面通しされたら、間違った人を告発してしまうかもしれない。しか警察質問しないわけにはいかない。冤罪が生まれる仕組みの一端に触れたと思った(もちろん、人質司法とかそういう目撃者とは無関係問題もあるわけなので、あくまで一端である)。

推理小説はやはりフィクションだ。あんな理路整然とした目撃者ファンタジーだ。

教訓

「なんかあったらまずナンバーを見ろ。その4桁を脳裏に焼き付けろ」

ナンバーさえ覚えてたらこんな手間のかかる捜査は要らなかったんだよな……

2022-07-12

マニフェスト

わたし1995年まれだ。ここ最近になって政治をめぐる世の中の温度感が急変したように感じていたが、わたし記憶にある限り、本当に他者を思いやることのできた平和時代など実はなく、物心いたこからすでに物事はこの方向に向かって動き出していたのではないだろうか。2000年代にはすでに国家レベルでそういう状況に突入しており、わたしたちは今あの時代に張り巡らせた伏線ひとつひとつ回収しているのだと考えるほうが、世の中がここ何年かで急速に変化したと考えるよりも自然な気がする。

教科書に書いてあることはいだって周回遅れだからわたしたちの世代ならまだ、教科書をまじめに読んでいた人は一昔前の価値観に触れることができていた。かろうじてそれを正しいとみなして人格形成することもできた。しかし、見ないようにしていただけで、見てはいけないと自分に言い聞かせていただけで、そこにはすでに分断はあった。わたし自身、これまで分断を見ないようにしたり、うまいこと避けたり人のことを見下したりしてのらりくらり過ごしてきたが、そうした態度は結果的にこうした時代の到来を早めることに繋がったかもしれない。でもあの時はどうしようもなかったのだ。わたしも幼かったし、大人たちも幼かった。大人らしく振る舞うとはどういうことか、誰もわかっていなかった。わたし教科書を読めたし、読めるのに読むなというのは無理な話だった。

2010年わたしたちはRADWIMPSを聴いていた。給食時間、校内放送スピーカーは「僕が総理大臣になったら~」と歌っていた。「厨二」みたいなことを言って人々は馬鹿にするけれど、気づいたらこちらが馬鹿にされる側にまわっていたという意味では、本当に間抜けだったのはこちら側なのではないだろうか。

すごく怖い話をすると、もしかして自民党投票する人ってリベラルなつもりで入れてんじゃないかと思う。Liberal Democratic Partyだけに。LiberalでもDemocraticでもないだろふざけんなと思ってきたが、まあ東谷さんに比べたらどう考えてもliberalだしdemocraticですね。

とにかくみんな余裕がなくなっている。自分自分の身内以外の誰かほかの人のことを考えるにはあまりにも疲れすぎているし知性も足りなすぎる。コミュニケーションは日々奪われており、わたしたちの会話はゆっくりと、しかし確かに通じにくくなっている。誰にもこの流れを止めることはできない。

若い世代そもそも思いやりという文化を知らない。それほど若くもない世代は、たとえ本人が忘れてしまっているとしても、そういう文化存在していたこ自体は知っているはずだが、今ではみなそういう文化のことを冷笑するか雑巾を見るような目で一瞥するだけになってしまった。それほどまでに、今、わたしたちは貧しい。明日ご飯が食べられるかどうか、という次元にいる。

投票率が上がっても下がってもろくなことは起こらないような気がするという意味で、わたしたちは今、どうしようもないところまで来ている。そんなことはあり得ないだろうけれども、仮に次の選挙政権が交代して志位さんが総理大臣になったとしても、その傍らで東谷さんのような候補当選し続ける。投票率が上がるというのはそういうことだ。そして、投票率が下がれば、政治家の票田は市井から宗教団体に移り(実際には宗教団体の教団内部が完全に「市井」でないとは言い難いが、ここでは便宜的に二者を区別することとしたい。つまり宗教勢力政治家とのかかわりが密接なものとなるということだ)、今回のように銃撃に倒れる政治家は後を絶たないだろう。どっちにしても地獄だし、どっちかを選べと言われても困るのが実情である選挙に行っても詰み、行かなくても詰み。死ぬしかないのかもしれない。まあこの状況では、放っておいても人はばたばた死んでいくだろうが。

選挙に行っても詰み、行かなくても詰みの状態になったとき人間がどういう行動に出るのかは興味深い。どっちでも最悪の結果になるとわかっているときわたしたちはどちらの地獄選択するのだろうか?

2022-06-19

12年前、桜木町駅甘栗差し入れてくれたおじさんへ

12年前、

借りていた奨学金募金活動桜木町駅に日がな一日立っていた。

週末、友達恋人家族連れの多い桜木町駅

親を亡くした自分たちのために、寄付を募っていた。

この活動に前向きで意欲的な奨学生もいるだろうけど、私はそうではなかった。

なぜ週末の駅中で、私は親を亡くしました。でも勉強がしたいのです。だからご協力をお願いします。と、楽しそうで幸せそうな人たちに向けて声を張り上げ続けなければならないのか。

多くの人は一瞥するも通り過ぎ、

あるいはこちらを見もしない。

変な大人に絡まれることも多かった。

だって大学に行っていない、甘えるな。とおじさんに言われたり、

ここの団体資金のやりくりは不明瞭で、とそんなことをおばさんに言われたりした。(そんなことを私に言ってどうする?と思いつつ、聞かないわけにもいかなくてしんどかった)

募金と見せかけて

ゴミタバコを入れられることも度々あった。

心が折れる

好き好んで親を亡くしたわけでもないし、

私は親を亡くしてお金がありませんと週末の桜木町駅

好き好んで看板を吊り下げて立っているわけではない。

あえてこちらを見ようとせずに通り過ぎる赤ちゃん連れの若夫婦などを見ていて、

幸せ最中にいるその人たちを恨むこともできなかった。

足もしんどくなってきた夕方

癖っ毛で眼鏡をかけた小柄なスーツ姿のおじさんが寄付をしてくれた。

ありがとうございます。とお礼を言うと、おじさんは何も言わずに去っていった。

しばらくして、さっきのおじさんが戻ってきた。

手に甘栗紙袋を持って。

それを差し入れにくれるという。

募金活動差し入れ甘栗しかも殻付き。と思ったけれどありがたく受け取った。

おじさんはこう言った。

君らがここでこんなことをせなあかんのは間違ってるんや。僕ら大人が悪いんや。ほんまごめんな。ほんまごめんな。

関西から出張できているのだという。

おじさんは最後、少し涙声になっていた。

なぜこの人が謝らなければならないのだろうか(しかも偶然出張桜木町駅にいるだけなのに)、と思ったけれど

私はずいぶんとこのおじさんの言葉に救われた。

言葉そのままの意味ではなくて、

1日立ち続けて

ほとんど透明人間、時には悪意にも晒された募金活動の終盤に

私たちちゃん存在して、見えていたのだな。ということがわかったことと、

なにより、おじさんのその気持ちに。

もう12年経ったけれど、

おじさんのことを忘れたことがない。

名前も聞かなかったし、もう会うこともないだろうし、

今もお元気でいるかもわからない。

お年としては、定年を迎えられているのかもしれない。

どうか元気でいてくださいとおじさんを思い出すたび、祈っている。

人は人の心を挫くこともできれば、

反対に守ることもできるのだと

おじさんが身を持って教えてくれた。

天津甘栗差し入れは斬新だったけれど、

あのあとアパートに帰ってちゃんと食べた。

おいしかった。

出張先でたまたま通りがかった駅で、

見ず知らずの学生の姿を認めて

耳を傾けて、言葉をかけてくれた。

あのおじさんのような大人になりたいと思ったし、

べこべこに凹んだ自尊心を守ってくれた。

おじさん、元気ですか。

あなたはもう忘れたと思うのですが、

あの時はものすごく嬉しくて

12年経った今でも

あなたのことを思い出します。

あなたは私のヒーローです。

2021-06-19

anond:20210619214845

逆にいうとLGBT要素を抜くとこの漫画に何が残るの?

カスカスカスじゃない?

その要素ないと小学四年生かに載ってそうな少女漫画しかないでしょ

大人一瞥する価値もなくない?

全ての舞台装置必要からそうしてるんだよ

薫がシスではダメだし、薫がドイツ人でもダメだし、薫がムキムキマッチョの髭面ゲイでもダメから作者はこの漫画を描いたんだろ

要素に引っ張られるなというのが本当に作者の意図なら、作中の人物をわざわざマイノリティにする必要なんてないし、無意味にそうしているならそれはミスリーディングを招くだけなのでは?

差別安易考える人ほど人に気にしすぎという傾向があるが、ある人の人生に関わる重大問題は目一杯気にして考えることで被差別者マイノリティと対等になれるんだぞ

2021-06-15

原宿駅

 ある日の暮方の事である。一人の少年が、原宿駅の跡地で雨やみを待っていた。朽ちた柱に蔦の絡みついた、いまにも崩れ落ちそうな原宿駅跡地は、その昔、若人が大勢集う、たいそう賑やかな駅であったという。かつてこの地は「原宿」と呼ばれており、商いで栄えていたそうな。今は広大な荒れ地が広がり、かつての栄華は見る影もない。少年荒野の真ん中でただ一人きりであった。ただ、所々地面から、かつてのビル群の瓦礫が顔を出している。少年は雨が止むまで、その瓦礫を見詰めて暇を潰すことにした。あれは、セシルマクビーピンクラテ、そして…Q-pot CAFE少年歴史がたいそう得意であった。

 何故原宿がここまで荒れ果てたかと云うと、七十年ほど前、東京には、疫病とか五輪とか不況とか云う災がつづいて起った。そこで人々は住まいをこぞって京都に移し、それに続いて都も移された。およそ二百五十年ぶりの遷都であった。人の消えた東京さびれ方は一通りではない。荒れ果てたのをよい事にして、狐狸が棲む。盗人が棲む。半グレがでかい顔をする。バニラ業者が日夜騒ぎ立てる。とうとうしまいには、行く当てのないジャニオタたちが夜ごとに集って、オフ会をしているという噂さえ立った。そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。そうして七十年の時が経ち、いつしか原宿」というと、平成・令和時代の亡霊が往来する呪われた場所としてひろく知られるようになったのだ。

 少年も、ほかの大ぜいの若人と同じように、危ないので原宿には決して近づかぬよう、両親に硬く命じられていた。しかし、少年には原宿に来なければならぬ断固とした理由があった。病床に付している、かつて量産型女子であった少年祖母が、「冥途の土産Ank Rougeが着たい」と所望したのである少年は、祖母が好きであった。特に祖母のつけるジルスチュアート香水香りにつつまれ眠ることが大好きであった。その祖母が、いまはシンプルアースカラー入院着に身を包み、力なく微笑んでいる。入院着は、無印良品であった。少年は大好きな祖母のため、アンクルージュの服を見つけてくることを決意し、家をそっと抜け出してきたのだ。しかし、七十年も前の服を探し出すことは、とてつもなく困難であった。旧東京二十三区内を隅々まで探しても見当たらない。それもそのはず、量産型女子はとうの昔に、国の絶滅危惧種指定されていたのだ。少年祖母は、その数少ない生き残りであった。

 歩き疲れた少年は、とうとう、禁じられていた原宿に足を踏み入れた。暗く、恐ろしい場所であった。荒野の真ん中にぽつねんと佇む原宿駅跡地には、多くの人の怨念が染みついているかのように思えた。少年時計のある屋根の下に腰掛け、雨が止むのをぼんやりと待っていた。頭上には、どこからか集まってきた鴉が輪を描いて飛んでいた。

どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいる暇はない。選んでいれば、大好きな祖母は悲しみのうちに死んでしまうばかりである。尤も、痴呆の入っている祖母は、たとい思い通りの恰好ができたとしても、何もわから粗相をして汚すだけかもしれない。しかし、心持の優しい少年は、祖母エンディングノートに書かれていたことはなるべく叶えてあげたいと思っていた。手段を選ばないとすれば―少年は、そのあとに来るべき言葉の余りの恐ろしさに小さく震えた。「盗人になるよりほかに仕方がない」などというおぞましい考えが一瞬でも頭をよぎったことが、信じられなかった。しかし、一度心に生まれたその思想は、少年の心にずっしり居座り、どうにも振り払うことが出来ずにいた。

 それから、何分かの後であるマツモトキヨシ原宿駅表参道口店跡の辺りをうろつく人影が見えた。少年は、こんな場所にも人がいたのかと大そう驚いた。夕闇によく目を凝らしてみると、どうやらひとりの老婆が何かを探しているようなのである。この雨の夕方原宿をうろついている人間は、ただ者ではない。少年は両親の忠告を思い出し、身震いをした。しかし、老婆が何かてがかりを知っているかもしれぬ。少年は立ち上がると、小雨の降りしきる中、恐る恐る、老婆に声をかけに行った。

「おばあさん、すみません

老婆はゆっくりと振り向いた。少年は、振り返った老婆の姿を見て、その余りの恐ろしさに、顔をしかめた。桑色のシャツを着た、背の低い、痩せた、白髪頭の老婆である。右の手に黄色ビニール袋を持ち、左の手に、大きな紙袋を持っていた。紙袋には、けばけばしい装飾が施されている。見るとそれは、山田涼介イッピ袋であった。

ジャニオタだ。少年歴史資料集で良く学んでおり、ジャニオタを知っていた。日本史安藤先生がいうところによると、ジャニオタは四十年ほど前に最後の一人が観測されて以来、日本から姿を消したという。まさかジャニオタに、生き残りがいたとは。少年は、大そう驚いた。

「なんだい…」

老婆は唸るように呟いた。地の底から響くような、恐ろしい声であった。少年勇気を振り絞り、老婆に尋ねた。

「お忙しいところすみません、すこしお聞きしたいことがあるのですが。」

「他を当たっとくれ。私は急いでいるんだ。」

後生です、他の人が居ないものですから。」

サロン体験ならお断りだよ。」

「違います。探し物をしておりまして。

ところでお婆さん、そんなに急いでどこに行かれるのです。」

ライブ戦前ジャニショに行くのさ…ケンティーオフショを買いにね…」

そういうと老婆は、うつろな瞳で前方をじっと見た。そこには荒野が広がるばかりであった。それを見た少年は、腹の底から寒気が上がってくるのを感じた。ジャニショ。それはかつてこの地にあった多神教神殿であったと聞く。かつては多くの信者が通い詰めたその神殿は、しかし、原宿から渋谷へと拠点を移し、遷都とともに東京からもなくなってしまったと聞いている。全て七十年前の出来事だ。今となっては跡形もない。この老婆は、いまでもジャニショ存在を信じ、この場所をうろついている。うわさに聞くジャニオタの亡霊だろうか。少年身体は恐怖に震えた。

「おや…お前は」

かに気が付いた老婆は、少年の顔をじつと見詰めた。その濁ったうつろな瞳には、真っ黒なカラコンが不自然に張り付いていた。少年は後ずさりをした。

「お前はまちゅくのショタ時代そっくりじゃないか

ええ、もっとよく顔をみせておくれ」

そう叫び声をあげると老婆は、少年の顔をつかもうとした。少年はきゃあと叫び、踵を返して逃げようとした。しかし恐怖からか足がもつれ、少年の体は地面に叩きつけられた。何とかもんどりうって逃げようとする少年に、老婆が覆いかぶさる。

「ああ、尊い尊い。」

老婆はうわ言のように呟きながら、少年の腕や顔をベタベタと触った。少年の恐怖心は、次第に、老婆に対するはげしい憎悪に変わっていった。二人は荒野の中で、しばらく、つかみ合った。しか勝敗は、はじめからわかっている。少年はとうとう、老婆の腕をつかんで、無理にそこへねじ倒した。老婆は細い体を大きく震わせ、肩で息を切りながら、ぴえんと泣き叫んだ。

ファンに、ファンにそんなことをしていいと思っているのか。」

「知らぬ。第一、僕はジャニーズではない。」

少年は老婆を見下ろし、吐き捨てるように言った。心のうちで、老婆に対する憎悪侮蔑が、大きく燃え上がっていた。そうして、あることに気が付いた。老婆の纏っている布切れである。すっかり薄汚れていて気が付かなかったが、これはいつか歴史資料集で見た、アンクルージュのフリルカラーチェックワピースではないか。チェックの模様に、けばけばしいフリル。そうに違いない。それを見ると、少年の心にあるひとつ勇気が生まれた。それは、老婆に出会う前は決して存在しえなかった勇気であった。

ファンにこんなことをして、貴様アイドルとしての自覚が足りぬわ。」

「言いたいことは、それだけか」

老婆の話が終わると、少年は嘲るような声で念を押した。そうして、老婆の襟上をつかみながら、噛みつくようにこう云った。

「こんなことをする者は、ファンではない」

老婆はそれを聞くと、目をかっと見開き、呻き始めた。少年は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く瓦礫の上へ蹴倒した。かわいそうな老婆の周りには、胸元に大事仕舞われていたしわくちゃの青い振込用紙がはらはらと散らばった。少年はそれを一瞥すると、薄汚れたワンピースをわきにかかえ、またたく間に原宿の闇に駆けていった。

しかし、嗚呼、何と残酷なことだろう。老婆からはぎ取ったワンピアンクルージュではなくミオレミューだということを、少年は知る由もない。

 その後、原宿にうろつく亡霊の噂は、はたと途絶えたという。

2021-05-14

ゲイツしろ紀州ドンファンしろ金があっても愛は手に入らないからね。美男子なら貧乏でも一瞥するだけで愛が手に入り女が養ってくれるというのに。

仮面夫婦だったのか…ゲイツ氏「愛のない結婚だった」吐露

https://news.livedoor.com/article/detail/20183618/

2020-02-04

私が中学生なぞといふ職についていた時、放課後教室クラスメートと会話に興じて行く中、一人二人と抜けていき、気が付けば私と女子の二人きりとなっていた。普段気兼ねなしに話す間柄なのに、この状況を意識し出し、会話も途切れ途切れとなる。沈黙の中でふと気づくと、彼女リップテックを唇に塗っていた。それはメンソレータムか何かでお洒落でもなくありふれていたものだけど、当時の私には妙に艶かしく映り、じっと見つめてしまった。そして、ふと彼女と目が合う。私がしまった、と思う間もなく「使う?」と彼女から。私は無言でゆっくりと頷いた。そして手に預けられたそれを口に近づける。高鳴る鼓動とともに頭をよぎる違和感。手を止めて一瞥すると、それは、その違和感は、スティックのりだった。

2020-01-22

猫に戦いを挑む vol.2

準備

・飼い猫

・チャオちゅーる(飼い猫が好きなもの代用可)

・猫に負けない気持ち

しかし決して猫を愛する気持ちは忘れてはならない

 

ルール

服従したら負け

(愛したらノーカン

 

イメージは出来ている。

まず、猫は飼い主が帰ってきたときつの選択肢を取る。

1つは、寂しかったら出迎えてくれる。このときは敗色濃厚だが諦めてはならない。冷静に1撫でし、ゲーム機に向かう。すると寂しがってるので寄ってくる。そこで「ちゅ~るほしい?(冷淡な言い方)」と言い放ち服従を待つ。

もう1つは、お気に入り場所で全く動じずこっちも見ない状況。このときいつもは「ミワちゃぁ~ん、ただいみゃ~」と寄っていくが、敗ムーブなので控えて、冷静にゲーム機に向かう。すると寂しがってるので寄ってくる。そこで「ちゅ~るほしい?(冷淡な言い方)」と言い放ち服従を待つ。

パターン対策完璧

 

実戦

仕事疲れで家に帰るとお気に入りの毛布の上でこちらを一瞥する

パターンB。これはいけるか。

ゲーム機に向かう。後は寄ってくるのを待つだけ。

 

よし、いいぞ!足を引きずった!罠だ!ミワちゃん!と指笛を鳴らすが「いま言うことを聞けないニャー!」と返ってくる。

仕方がないバカネコだ。そのままジンオウガ眠るまで待つ。罠を仕掛け無事捕獲。猫にソーセージを上げる私。

でも、現実のミワちゃんは寄ってこない。

「ミワちゃぁ~ん、おいで~、ちゅ~る食べるぅ~?」のそのそと寄ってくる猫、かわいい

 

不戦だったのでノーカウント

今日こそは必ず。

2019-07-17

私が猫を飼いたくない理由

夫が猫を飼いたいと言い始めて、もう2年は経つ。

毎晩Youtubeで猫の動画再生しては「いいなー」「かわいいなー」「欲しいなー」「飼おうよー」と呟く夫に、私は都度「飼わないよ〜」と返していた。

2ヶ月前、そんなに毎日欠かさず言うなら現実を知ってもらおうと思い、飼うにあたっての大凡費用必要環境を調べて譲渡サイトを見せてみた。夫は「そんな本気で言ってるわけでは…」と真顔になった。

どうやら夫の言う「猫欲しい」は、「韓国行きたい」とか「5000兆円欲しい」みたいなものらしく、本気でそうは思っていないが口に出すことでなんとなく心が癒される其れのようだった。

それから夫は3日ほど猫を飼いたい発言はしなかったものの、4日後にはまた元気よく「リビングもふもふしたい」「一緒にお布団で寝たい」「なんで飼っちゃだめなの?」「猫カフェはやだー」が始まり、私はまた「飼わないよ」botになった。

わかる。頭ではわかる。私もそんな発言をすることがある。「今から温泉行きたい」とか「人のお金焼肉が食べたい」とか。でも私には、「猫を飼いたい」だけはなんか素直に「わかる~」と返せない理由がある。

物心ついたとき、既に私の家には猫がいた。

チンチラシルバーペルシャホワイトミックスで、白くてふわふわで目つきの悪い猫だった。架空スポーツ青年名前が付いていた。

猫はお世辞にも人懐っこいとは言えなかった。客人にすぐ威嚇し、撫でようとする手に噛み付きにかかる気性の荒い奴だった。

Youtubeでよく見るような、飼い主に擦り寄り甘えて喉を鳴らすタイプでは決してなく、いつもひとりで床に寝そべり、誰かが近づくとスッと離れた。母が無理やり抱き上げると蛇のように身体をくねらせて脱走した。

はいつも少し離れたところで私を見ていた。私が部屋を移動すると、少ししてから同じ部屋に入ってきて隅でまた私を監視した。

初代プレイステーションが好きで、よく上に座ってプレイ中の私を監視した。気が済むとOPENボタン踏み台にして降りた。それでよくゲームを中断させれた。

小学校から帰るとだるそうに玄関先まで歩いてきて、私を一瞥するとまたリビングに戻り、寝始めるような奴だった。

猫はやがておむつをし始め、口臭がひどくなり目やにを垂れ流しながら斜めに歩くようになった。フローリングの床で歩くと滑って負担がかかる。踏ん張る力が無くなった猫に、小さなさな靴下を履かせた。

母は献身的に世話をしたが、それでも猫は甘えた声を出したりしなかった。私たちが撫でようとすると嫌な顔をした。(猫にも表情はある)触られるのをとても嫌う猫だったので、天寿を全うする瞬間も私たちは彼を抱かなかった。

それから、はじめて私は猫を抱いた。まだ少し温かかった。涙も出なかった。結局猫が生きている間、私は一度も彼をちゃんと撫でなかったし抱っこもしなかった。

猫は一度も私を攻撃してこなかった。

人間と同じように、猫にも色々いる。そして歳をとっていずれ死ぬ

どの猫を飼っても、大変さはつきまとう。でも、その大変さを癒してくれる「可愛げ」を持ち合わせている子と、いない子がいる。それでいい。YouTubeの猫のように、寄り添って甘えてくれるのが猫の全てではない。でもこれを猫を飼ったことが無い人に正確に理解して貰うことは不可能に近い。

猫が死んだら悲しい。だから私は猫を飼うことができない。

あの無愛想な顔を思い浮かべて、私は今日も「飼わないよ〜」と夫に言い聞かせる。

2019-07-04

匿名クレームを入れる是非について

愚痴ね。

電話で「お宅のお店のチラシがポストに入ってて迷惑だ」という苦情が来た。なるほどたしかポスティングは鬱陶しく、迷惑まりない。自分はといえば、雑多に自宅ポストに押し込まれたチラシを一瞥する事なんてほぼない。そのままゴミ箱行き、という人は俺に限らず少なくないのではないか

お客様のご指摘、おっしゃる通りだと私も思います。この度は誠に申し訳ございませんでした。以後二度とポスティングしないようポスティング業者に周知徹底致しますので、ご住所とお名前を教えて頂けますでしょうか?」とお伝えした所、住所も名前も明かすのは絶対に嫌だと言い張る。そんな事を教える必要はない、とやけに強情だ。

なんだそりゃ。再発防止についてポスティング業者に周知徹底ができないじゃん。別に個人情報悪用しようとか真っ当に働いてる限りねーよ。こっちは薄給とはいえ、だいたいの人が知ってるであろうレベルのでかい企業ですよ。反社じゃあるまいし。

相手希望に沿う為にそうお伺いしたのに、個人情報を訪ねるのは卑怯だと罵られ、何とも釈然としない。だったら最初から苦情入れなきゃいいのに。相手愚痴聞いてほしかっただけなんだろうなと思い、延々と罵声を浴び続けた。

そんな俺の愚痴を聞かされる増田の皆さんは、いかがでしたか?ちっとも分かりませんでしたね。さっさと酔いつぶれて寝ちまおう。明日には忘却の彼方ですわ。

2019-02-14

(2/16追記怪我をした野良猫動物病院に連れて行った話

仕事帰りに住宅街を移動していたところ道途中で小学生の子が数人なにかを囲っていた

一体なんだろうなと思って覗いてみると猫がどうやら傷を負って倒れているらしい


成猫で、模様はサビが入っているけど少し明るいか

まるっとしてたから耳カットは入ってなかったけど地域ご飯を貰っていた可能性がある

寒いのか震えていて寒いアスファルトに横たわっていたからその猫に自分ジャンパーをかけてあげた(おかげで毛だらけになったゾ!)

猫は頭に傷があって、周りに血だまりはなかったけれども立ち上がることが出来ないようだった

囲っていた小学生曰く、発見した時は最初はごろんごろんしていたけど、次第に静かになってしまったそうだ

近くに車の出入りが多い建物があったので、おそらくそからの車にやられたのだろう


えっ、こういう時ってどうするの?

動物病院に連れて行くの?動物病院ってクソ高くなかったっけ?俺のような薄給マン自分が連れてったらやばくね?

とかなんとか反芻しながらも、スマホで「野良猫 怪我」で検索してみたところ

「(このケースは)動物病院に行っても請求はされない?」みたいな記事発見

ならばということですぐさまスマホで近くの動物病院検索

うん、なかなか近いじゃない


電話して野良猫を見てもらえるかを確認して状態を報告、なんとか予約が取れたので運ぶことにした

流石に数キロあるだろう怪我猫を手で運んではいけなかったのでタクシーを呼ぶ

近くの量販店から急遽貰った段ボール箱を組み立てて横になってる猫をスライドさせてなんとか運べるようにした

猫は、怪我疲労で反抗する体力もそんなにないようだった


大通りの横に入ったところが発見現場だったので、やむをえず小学生タクシーを呼んできて貰うことにした

「猫を載せても大丈夫か聞いてね」と言ったから、こりゃ時間かかるだろーなと思ったら1分も経たないうちにタクシーを捕まえてきた

最近小学生凄い

後でタクシー運転手によく止まりましたねって聞いたら

小学生尋常じゃないくらアピールしてて止まらざるを得なかった」とのこと

わろす


タクシーでワンメーター程で、動物病院に着いた

病院について以上の顛末を報告、獣医さんが猫の状態一瞥する

「この状態では助からないことが多いが、預かって診ることは出来ます」とのことで

預かって貰うことに

名前住所電話番号などを伝えるだけで請求はされなかった


ちなみに猫の名前はニャンゴロー(その場の小学生適当に付けた)となった


「もし助かったらどうするか(保護するか」みたいな話も受けたが、

正直に自分は飼うことは出来ないけれど知人に猫保護に熱い人がいるからその人に頼ろうと思った

からこの猫が結果的にどうなっても連絡下さい、と言いその日は放免

結果自分が払ったのは運搬したタクシー代のみだった


後々調べたら基本的動物病院自由診療から野良生物診療を拒むことも当然あり

今回は野良猫に対して好意的動物病院が近くにあったのが良かった

また当然だけど、連れて行った人間が支払いをしなくてはならない事もあるという

ただしこのケース(野良猫怪我しているのを発見した第三者動物病院に連れて行く)は保健所にも病院から連絡がいくようで

その場合動物病院保健所の1次対応のような役割も担うことになるようで

それは恥ずかしながら初めて知りました


道端で傷ついた生き物を保護(助ける)することは誰かがしなくてはならないことだと思ってて

今回診てくれている動物病院にも本当に感謝したいと思う

個人的には、地域の子供に大人のかっちょいい姿も見せることが出来た

特にからの恩返しは期待しているわけでもないけれど


まぁ

良かったのかな

ということでニャンゴロー(仮)頑張れよ




2/16追記

追記するかどうか迷ったのですが書きます


先程動物病院から電話があり

本日の午前9時頃、ニャンゴロー(仮)は天国に旅立ちました

眠るように亡くなったとのことです


発見した際スマホ検索して”このケースは高額診療費が掛かる”という記事しか出てこなくても

きっとなにか違う理由を見つけて動物病院に連れて行ったと思います

自分にとって、病院に連れていく理由がなにか欲しかったんだなって

見て見ぬ振りをして立ち去る選択肢はありませんでした


亡くなった報告を受けた時に、獣医さんから簡易的な葬儀もこっちでしますと言われ非常に申し訳ない気持ちになり、

今回病院に連れて行ったのは自分だし、請求についても(そもそも連れて行く時に覚悟はしていたし)聞いてみたところ

大丈夫です”とのこと

ただし続けて”(この病院野良猫を診たということは)周りに言わないで下さいね”と強めに言われました


本当にかっこいいのは獣医さんでした



治療費原則仕事を依頼した人(動物を持ち込んだ人)が負担するものなので、ボランティアをしてくれる先生がいたとしても「野良猫はタダ」と誤解してはいけない。/医師応召義務で依頼者の支払義務は消えません


今後、自分と同じように怪我した野良猫動物病院に連れていくかどうしようかと考える人

しかたらこ記事にたどり着くかもしれないので

このブコメ拝借して最後に残しておきます

2018-08-30

トレンドを埋める診断メーカー

Twitterトレンドを眺めてニュース収集するのが好きなんだけど、診断メーカーの診断結果のハッシュタグがよく混ざっているのが苦手。

面白そうなハッシュタグを見つけて、いざリンクを押すと診断メーカーの結果が並んでいたりするのとうんざりする。時事ネタからめたりしている場合も多く一瞥するだけでは普通話題区別つかなかったりする。

嫌いなアカウントブロックなりミュートなりしてるけど、トレンドやTLから診断メーカーの結果だけを弾く方法が見当たらない。キーワードミュートも効かないし。

私のように一瞬で飽きた人もいる反面はじめたばかりの人や好きな人もいるんだろうけど。

Twitterで呟けば良いようなことですがフォロワー診断メーカーをよく使っている人がいて当てつけだと思われるのが嫌だからここに書きました。

2018-07-05

[]大原みちるバースデーライブ(2018)レポ

 2018年4月14日(土)、都内某所にて、アヤシゲ雰囲気を醸し出す集会が執り行われていた。新手のカルト教団ノンノン、今をときめくスーパーキュートパンドルこと我らが大原みちるちゃんバースデーライブである

 今年のバースデーライブ原宿オサレボックスで催された。一般ドルオタにとってはやや辛い空気であろうが、こちとら普段から公式ツイッター投稿されている喫茶店を巡る一流のパンドルオタクである

 突き刺さるギャル視線にも動じず、開演の数時間から劇場前に並んでいると、私の前に見知った顔が現れた。我らがパンドルであるパンドルは我々を一瞥すると、天使笑顔で微笑み裏口へと向かって行った。(みちるちゃん現場入りの直前に必ずパンを食べるので、入り待ちをすれば高確率でニッコニコ笑顔を拝むことができる)

 そろそろ本題のライブの話に移るとしよう。薄暗い箱の中でまず我々が目にしたものは、天井に届かんとするサイズケーキである

 デカい。流石に1人で食べられるサイズではない。そう思ったのだが杞憂だったようで、最初MCが終わるまでにつまみ食い切ってしまった。

 1曲目が終わり、今年のみちるちゃん活躍を振り返るコーナーが始まると同時にステージを割って昇ってきたのは天井に届かんとするサイズケーキであった。

 2個目。まさかの2個目であるしかパンドル、これをまたしてもMC中に平らげる。もうなんか話がどうこうとかどうでもよくなるぐらい盛り上がる。というか実際どうでもいい。CD写真集も全部持ってるし。正直ここで箱が揺れすぎたせいで2曲目に何を歌ったのか全く思い出せない。

 2曲目が終わった我々が目にしたものは、スタッフ台車に乗せて持ってきた天井に届かんとするサイズケーキである

 3個目。まさかの3個目である。これに会場、割れんばかりに盛り上がる。このあたりで我々はうっすらと気付き始めた。

 『コイツもしや、バースデーライブに乗じてケーキを食べたいだけでは?』

 流石の大原みちるバースデーライブでも一切ブレることは無かったのであった。

 最後MCが終わり(4個目)長いようで短かったバースデーライブエンディングを迎えてしまった。彼女が語った「今年はフォンダンショコラのようなアイドルを目指したいです!」という抱負は正直意味不明だったが、それでいいのだと思う。今までも、そして今年も、来年も、数年後も、きっと彼女パンドルであり続けるのだ…

 ちなみにライブ後の彼女は腹ペコなので、出待ちしているとやや引きつった笑顔を見せてくれる。かなりレアな表情なので、皆も迷惑にならない程度に出待ちしてみて欲しい。

以上、大遅刻な上に内容も滅茶苦茶でしたがバースデーライブレポでした。

2018-01-22

anond:20180121003056

多くの実時間コンテンツは、見てないといけないんですよ。

剣技のにらみ合いとか、恋人同士の見つめ合いとか、どこそこまで走る、みたいなシーン、ぜんぶ。

マンガだとね、例えば格闘もので、お互いのスキを探して、両者ピクリとも動けず、ってシーンがあるとするじゃないですか。

でも、数コマで、「そう」描いてあれば、一瞥するだけで、自分の中には、「睨み合った時間」がある。

から自分のペースで読んで、でも自分の中には、きちんと経過した時間がある。過剰も不足もない。

これが、そのマンガ原作アニメ見てると、いつまで睨み合ってんだよってなっちゃって、そりゃ睨み合ってるんだから時間がかかるんだろうけど、

ももうそういう実時間コンテンツが観てられない。逆によく観てられんな、って。

色がついてるとかよく動くとか関係ねえんですよ、俺の中ではそれよりも綺麗に色づいているし、動いてる。

マンガっていいなあ。

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