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2018-09-10

私達の糞は商品じゃない

この前ビデオ屋に行ってギョッとした

過度に誇張され、無駄排出された糞を塗りたくられた漢の写真が表紙になっているような作品ばかりだった。

しかも、ゲイビデオコーナーばかりでなく一般コーナーにまで、過度に糞を強調した女優が表紙の作品が売られている。

正直、ありえない。私達の糞は商品じゃないし、あなたたちに見せたくて糞をしているわけじゃない。

2017-12-28

[] #45-5「3丁目の輝石」

≪ 前

ところ変わって兄貴のほうはバイトを終え、仕事仲間と共に帰路の途中だった。

やれやれサンタコスプレなんてガラにもないことやるもんじゃないな」

「確かに精神的な疲労のほうがでかい

「ところで、お前はクリスマスどう過ごすんだ? やっぱり映画でも観るのか?」

「そんなに自分って分かりやす人間に見える? まあ、その通りなんだけれども。ビデオ屋店長在庫処理で譲ってくれてさ」

「『家にボッチ』、『エクセレントかも、人生?』……パッケージが如何にも古いって感じだな」

まさか知らないの? 定番クリスマス映画だよ」

「知らなくて悪いかよ。そうやって知識マウントとろうとする姿勢、お前の悪い癖だぞ」

無知なのにマウント取ろうとする奴よりはマシだろ。それよりもホラ、割と珍しいものもあるよ。この『ええクリスマス物語』とか、この国では未公開なんだ」

「なんでそんなの店長が持っているんだ」

「……さあ? まあ自分の話はこれくらいにして。マスダは今日どう過ごすつもり?」

特にないな。明日家族と過ごすけど、今日は父さんと母さんが夫婦水入らずのディナーを楽しむから。弟の子守りのために留守番

「ふーん……あ、そんな話をしていたら、ちょうど弟くんが」


…………

魔法少女のいっていた通り、ツクヒは公園にいた。

ドッペルが家から出てこないので、仕方なく公園でくすぶっていたのだろう。

俺は木陰に隠れながら、チャンスを伺う。

あいつに気づかれれば、さっきのように俊足で逃げられるのがオチだ。

からスキを突いて、捕まえる必要があった。

そして、そのチャンスはすぐにやってくる。

ツクヒが俺のいる木陰とは真逆の方を向いた。

俺はそれを見逃さず、全速力で距離を詰める。

「……ん!? くそ、またマスダか!」

けど、俺の逸る気持ち足音に出てしまい、ツクヒとの距離を満足に詰められないまま気づかれてしまう。

俺が隠れていた木陰と、ツクヒがいた場所までかなり距離があったのも痛かった。

この公園が、俺たちの町では『缶蹴りに向かない広場』なことで有名なのを実感する。

そして、ツクヒはまたもその俊足でもって俺との距離をどんどん離していった……。

これではさっきと何も変わらない。

もちろん、そんなことは分かっていたし、こうなることも分かっていた。

違うのは、今の俺は一人じゃないってことだ。

兄貴、そっちにいったぞ!」

ついさっき出会った兄貴たちに、公園の外を見張ってもらっていた。

俺はツクヒを捕まえるために走ったのではなく、あくま誘導役だったのだ。

「うわ、お前はさっきの偽サンタ!?

「人違いだ」

ツクヒは慌てて方向転換し、逃げようとする。

けど、もはや逃げることも、捕らえられるのに抵抗する体力も残っていなかった。

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2017-04-01

[] #20-3「帳尻クッキング

≪ 前

煮込んでからしばらく経ったので、野菜スプーンで軽くつついてみる。

やわらかくなってきたので、ひとまず味見だ。

野菜野菜しかないので、肝心のスープを舐めてみる。

うん、大分マシになった。

あとは、もう油を入れればいいか

センセイによると、人間というものは油が好きなように出来ているらしい。

マヨネーズ好きな人間も、要は油が好きだからなのだ

まり油というものは最高の調味料なのである

この不出来な野菜スープも、オリーブオイルあたりのイメージ的に良さそうなものを入れれば帳尻は合うだろう。


そうして周りを探してみるが、オリーブオイルはなかった。

まあ、我が家食卓オリーブオイル必要とする料理がないから当たり前ではあった。

タイナイとかは料理好きだから、きっと常備してあるんだろうが。

だが、幸か不幸かなぜかゴマ油は見つかった。

瓶は妙にベトベトしており、ラベルからは年季を感じる。

量はほとんど減っていない。

こういった調味料を使いきろうと思ったら、よほどのことがない限り難しいのだろう。

だったらなぜ買ったのかとか、なぜ残したままにしているのかとか、そういったことを気にしている場合ではない。

せめて俺が手向けに使ってやるべきなのかもしれないが、とてもじゃないが使う気にはなれなかった。

俺はゴマ油入りの瓶を元あった場所に戻す。

仕方がないので、妥協してサラダ油野菜スープに投入した。

そして卵を割り入れる。

人間は卵が好きなように出来ていることを、俺はビデオ屋店長から学んだ。

マヨネーズ好きな人間も、要は卵が好きだからなのだ

しかし割り入れた卵は、映像とか写真とかで見たような綺麗な造形にはならなかった。

気になって箸でかき混ぜたが、裏目に出てしまった。

スープ全体に淀みが発生し、それと同時に俺から食欲を奪っていく。

仕方がないので、俺は胡椒をパッパラ振りかけた。

胡椒は万能調味料であることを知っていたからだ。

他にも何か細々と加えた気もするが、加えていないような気もする。

ちょっと不安になってきたが、俺には奥の手があった。

俺はおもむろにカレーのルゥを放り込んだ。

カレー我が家デウス・エクス・マキナ

おばあちゃん知恵袋だ。

こうして卵入り野菜カレースープは完成したのである

カレーライスにしようとも思ったが、今から米を炊く気も、炊くまで待つ気にもなれなかったので、これで良しとしよう。

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2017-03-14

[] #18-5「俺の時給は980円」

≪ 前

俺は結局、それから程なくしてそこでのバイトをやめた。

今でも同じビデオ屋で働いている。

俺の意気消沈ぶりから、周りのバイト仲間たちは事情を察していたらしく、変な距離のとり方をしてくる。

「おい、マスダ。そこ棚が違う」

自分で思っていた以上にダメージが大きかったようで、つまらないミスをしてしまう。

指摘されてやっと気づくとは、我ながら呆れる。

やばい

ここでの給料すら減らされる。

「て、店長このミスは取り返すので、時給減らさないでください」

「何をテンパってんだ。取り返さなくても、ちょっとしたミスくらいで別に減らしたりはせんよ」

俺のその時の顔はかなり強張っていたらしい。

ただ事ではないと感じたが、いつも以上に店長は口調を穏かにして話した。

「なあ、マスダよ。確かにオレんところは、2倍頑張ったからといって2倍の給料を貰えるってわけじゃない。

だがな、0.5倍頑張ったら0.5倍になるわけでもないんだ。

お前より優秀な人間がいても、お前が必要以上に頑張らなくても、多少の個人差があっても時給980円なんだ。

調子が悪くて、平均以下のパフォーマンスしかできない時でも、よほどのことがない限り時給980円なんだ。

それは確かに“相応の報酬”ではないけれども、案外悪いことじゃないってのを分かってくれ」

多分、店長なりの気遣いなのだろう。

まあ、俺は社会をそんなに俯瞰して見ることも、そのつもりもない。

別に頑張りを認めて欲しいわけではなく、お金が貰えればそれでいいんだ。

けど、このバイトの時給980円の重さを、俺は軽んじていることは改めようと思った。


2倍頑張れば2倍の給料を貰える世界

もし、それが当たり前の世の中になったとき自分給料は今より増えると無邪気に喜べるだろうか。

実際問題、その“頑張り”を正当に評価できるかなんてことは分からない。

でも、仮にできたとして給料が増えるかどうかはまた別の話だ。

下手をしたら減るかもしれない。

しかも、その原因は自身の頑張りだけではなく、他人の頑張りも相対的に加味されて、配分されているとしたら。

他の人たちはどうだろう。

の子みたいに給料が増える方?

それとも俺みたいに減る方?

まあ、いずれにしろ、それは“相応の報酬”ではあるんだけどね。

(#18-おわり)

2017-03-11

[] #18-2「俺の時給は980円」

≪ 前

俺はよくお世話になっている職業斡旋所に来ていた。

貼り付けられたチラシを一通り見ていくが、応えてくれるようなものは中々見つからない。

学生の俺でもできるバイトは、時給がどこも似たり寄ったりであった。

それは相場を合わせているかなのだろうけれど、見方を変えれば形態給料を見て設定しているわけではないということ。

それでは二の舞である

俺は相談窓口に行くと、担当のタケモトさんに他にいいものがないか尋ねた。

「はあ……頑張れば頑張るほど給料が増えるやつ、ねえ……」

タケモトさんは俺の要求を聞くと怪訝そうな顔をしたが、一応は探すそぶりをしてくれている。

「一応あるけどな……これとか」

そう言って出した紙には、マーケット名前が書かれていた。

給料の項目には、「働きに応じて」と書かれている。

「お、これです。これにします!」

「え、本気か……まあ、若いうちに勉強しとくのもいいかもしれないな」

タケモトさんの言い方が少し気になったが、俺は二つ返事で問い合わせた。


俺は早速そこで働き始めた。

タケモトさんの気になる言い方からブラック企業か何かかと思ったが、実に真っ当な労働形態問題なく働けた。

嫌な上司や同僚がいるわけでも、特別厄介なトラブルがあるわけでもない。

これで働きに応じた給料が貰えるとは、かなりのアタリだ。

そろそろビデオ屋のほうのバイトはやめて、こちらに専念してもいいかもしれないな。


そしてしばらく時が経ち、初めての給料日。

俺は意気揚々給料袋を受け取る。

お金を稼いだという実感を得るため、ナマで受け取るのが好きなのだ

うきうきしながら中身を見てみる。

「……んん?」

少ない気がする。

数えてみる。

やはり少ない。

念のため、俺は自分がこれまで働いた総時間と、貰った給料を時給で換算してみる。

その結果はあまりにも予想外のものだった。

「……時給800円!?

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2017-03-10

[] #18-1「俺の時給は980円」

お金ってのは必要ものであり、そして便利なものである

人が便利なもの依存するのは真理であり、本質なのだ

当然、俺も例外ではなくアルバイトをしている。

時給980円、近所のビデオ屋

欲望とは際限のないもので、俺は自分給料に不満が出てきたのだ。


閉店間際、俺はそれとなく店長に打診することにした。

店長最近の俺はかなり頑張っていると思いませんか」

「そうだなあ、頑張っている。すごいと思うぞ」

それ以上の言葉店長から出てこない。

このままでは、馬鹿な会話をしたただけで終わる。

俺は痺れを切らして、思い切って話を進めた。

店長……俺は別にワーカーホリックではないですし、労働承認欲求だとかを求めているわけでもないんです」

「ほう、では何のために働く?」

「有り体にいえば金のためです」

店長の予想通りの答えだったのか、フッと笑って見せる。

俺が給料アップのために話をし始めたのは最初から分かっていたようだ。

にも関わらず、店長意味もなく遠回りなやり取りを好む節がある。

文化人はみんなこうなのだろうか。

「マスダよ。お前のそういう正直なところは嫌いじゃないが、お前が2倍頑張ったところで給料は2倍にならんぞ」

「なぜ!?

「店の利益が2倍になるわけじゃないからだ」

いくら俺が学生からって、何ともナメた回答である

さすがの俺でもそんな理由で納得はしない。

「いや、店の利益が2倍にならないからといって、その利益がそのまま俺の給料になるわけじゃないんですから

労働力以外にも金を使うんだよ。避けるリソースには限りがあるんだ」

「その『以外』からもう少しこちらに回すことは可能なのでは、と言っているんです」

「その『以外』にリソースを割いた方が、お前に給料2倍分の働きを期待するより利益に繋がるんだよ」

その言い分には、いくら俺が働くことに矜持がないからとはいってもムッとする。

「そんな……実は自分が好きに使う分にも回しているんでしょ」

「当たり前だろ」

「えっ」

店長は屈託なくそう答える。

「何で意外みたいな顔されなきゃならんのだ。慈善事業でやっているわけでも、金をばらまくために雇っているわけでもないんだ。コンプライアンス範疇雇用主の得を優先したからといって、咎められる謂れはない」

「主張は理解しましたけれども、頑張りが給料に直結しないって、すごい不当に感じますよ」

「お前には難しい話かもしれんが、お前の頑張りに関係なく給料が同じままってのは案外悪いことじゃあないんだ」

店長はそう言うが、俺にはそれが良い事にはとても思えなかった。

いずれにしろ俺の時給が上がらない以上、その事実は揺らがない。

「誤解しないで欲しいが、労働力を軽視しているわけじゃない」

説得力皆無。

今のままではダメだ。

新しいバイトを探さなくては。

俺はタイムカードを切った。

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2016-12-13

[] #9-1「映画ミカタ

映画ってのはどう観るのが正解か。

そして、作品ごとにどう受け止めればいいのか。

ひとまずベターな答えは「正解なんてない」ということになるのだろう。

じゃあ、正解がなければ間違いもないのか、あったとしてそれは誰が決めるのか。

そして、そんな不確かな状態で人々はなぜ夢中になれるのか。

今回はそんな話だ。


俺は近所のビデオ屋バイトをしている。

俺のような学生にとって、お金は衣食住に必要ものではない。

けれどもスマホのように人々が便利なもの依存し続けるように、俺にとって便利なものお金だというだけの話さ。

同じくビデオ屋でよくシフトが合うのがオサカだった。

同い年だが、俺の通っている所とは別の学校で、そこはこのビデオ屋から近いとはいえない。

だが、それでもここで働くのは別に給料がいいとかそんなことではなく、この店のピンキリラインナップに見惚れたかららしい。

棚の整理をしながら、俺たちは何気ない話をしていた。

「なあマスダ。いま話題の『アレ』、今週からだけど観に行った?」

彼のいう『アレ』とは、最近話題映画通称である

確かパンチだかキックだかして集めたお金で作られた核兵器生物化し、その生物ヒロインとの戦禍の中での日々を描いた物語を、失恋もの短編アニメで有名な監督が手がけた意欲作らしい。

「うーん、なんか面倒くさそうなんだよなあ」

「あー……まあな」

放映前から注目された作品なのだが、オリジナルでは主要人物が男ばかりのはずだったのに全員女性になっていて、原作ファンから非難轟々の状態だった。

まあ、元から俺にとってはそこまで興味のないジャンルだったので、どちらにしろ観に行かないけれども。

「観に行けばいい」

店長は割り込むようにそう言った。

「そんな状態からこそ、体験できるものもあるだろう」

「そういうもんですかね?」

「お前らは映画を鑑賞する人間としては健全すぎる」

店長言葉意図するところは分からなかったが、オサカまで健全だというのは違和感があった。

オサカはこと映画に関しては暑苦しい人間からだ。

俺が「面倒くさい」といったのは、そういう意味合いもある。

「まあ、今だからこそ見えてくることもある。話題から、みんな騒いでいるからとケチをつけるよりは有意義だろう」

別にケチをつけた覚えはないのだが、或いは別の店員がそんなことを話していたのだろうか。

「まあ、なんだかんだ気になってたし、バイト帰りに観に行こうぜ」

え、今日からしかも一緒に?と思った。

とはいえ映画に関わるとオサカは羽振りがよく、色々と奢ってくれることを期待して俺は軽く頷いた。

鑑賞後の感想合戦くらい付き合ってやろう。

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