はてなキーワード: ネーションとは
「時刻や季節での発電量変化が大きい変動性再エネ系統の蓄電技術として、水素を使おう」というのは、まあわからんでもないんだよね。
でもその場合、そのグリーン水素の製造・貯蔵装置は、その再エネ設備と系統連系で繋がってるどこかの場所に設置して、その場所で電気を水素にして貯蔵したり、夜間に水素から電気に戻して販売したりするわけでしょ。つまり、作ったグリーン水素をタンク車とか高圧ボンベに詰め替えて、どっかに持ってって、そこで利用したりはしない。
で、もしそういう「発電設備の変動を補完する蓄電設備」として「電気分解による水素貯蔵+燃料電池による発電」という用途が主流になったとして、それって果たして「水素社会」って言えるのかね〜? とも思うわけです。そのとき水素は、単にバッテリやダムと同じスタンドアロンの蓄電ソリューションとしての役割を果たしてるだけで、エネルギーキャリアとしては使ってないわけだから。
仮に再エネの蓄電技術の主流が(テスラが北海道に導入したような)価格性能比の高いLFP蓄電池になったとして、人はそれを「蓄電池社会」とは言わないわけでしょ。あるいは電力取引市場の活発化で、日本中の揚水ダムが夜間の再エネ電力のプールとして機能するようになったとして、われわれがそれを「揚水ダム社会」と呼ぶこともない。
同じように、電気で水素を作ったり、水素で電気を作ったりする蓄電システムが社会の一部にインストールされるだけでは、我々はそれを「水素社会」とは言わないと思うんだよね。やっぱり「水素社会」という構想の根底にあるのは、水素が(もしくは水素から派生的に作られたアンモニアや、メタネーションで生成されたメタンが)、今のLNGや石油のように、社会の隅々までエネルギーキャリアとして物理的に流通するというイメージなわけで、この部分---特にFCVや水素エンジンによるモビリティ---が未完のままなら、どんだけ水素蓄電技術が普及しても「ついに水素社会が到来した!」と思う人はほとんどいないんじゃないかな。
あと思ったんだけど、燃料電池で電力を取り出すやり方だと、電気と一緒にかなりの熱が発生するから(燃料電池の発電効率は50%程度、熱も一緒に利用してトータルで80%)、その廃熱をコジェネ的に利用できる場所でないとエネルギーロスが大きいよね。たとえば太陽光発電所の隣に併設してそこで水素化・電気化やったりしても、廃熱はすべて自然界に捨てることになるわけで。そうすると、廃熱を効率的に利用できるような特殊な場所(市街地での施設空調とか、熱反応を使う工場の製造ラインとか)しか、効率的にエネルギーを使えるロケーションがないような気がするなあ。
本サービスのpixivではページネーションを採用してたのになぜ後発のfanboxの投稿一覧わざわざ無限スクロールを採用したのか?弊害だらけだ。
(二分探索という方法も可)
ちなみにfanboxのほかにfantiaなど並行してやっている人なら、fantiaからまず一番古い作品を特定した後に「絵師名 fanbox 作品名」という風に検索することでほぼ最後の作品にたどり着ける可能性もある。ここまで来れば個別ページから辿るのもそこまで手間ではないだろう。
具体例を挙げるとTogetterのトップページ(PC版ではなくスマホ版)がそうなんだけどさ
「注目のまとめ」欄にずら~っとまとめタイトルが並んでいて、最下部にページネーションがある訳よ
それの「次へ」をタップするともちろん2ページ目が開くんだけど、
そこにさっき1ページ目(=トップページ)で表示していたまとめがいくつか紛れ込んでるの
当然のように3ページ目以降にも紛れ込んでくる
おかしくない?おかしいよね?トップページに注目のまとめをランダム表示しているなら分かるよ
でも一番下で「次へ」を押したら2ページ目に行く以上トップページはれっきとした1ページ目な訳よ
「フットボールネーション」はアプローチが独特で、理論の説明のところで最初挫折しかけたけど、確かに面白い。
「エリア」「ファンタジスタ」は、何というか昔ながらの王道サッカー漫画でそれなりに面白いんだけど、
「キャプ翼」「シュート」「俺フィー」あたりが作ったセオリーに収まってる感じで、今ひとつ物足りなかった。
「DAYS」は確かに登場人物めちゃ多くて、それは割と最近のトレンドもあって合う合わないあると思うけど、
やっぱ部活ものとしての「エモさ」を突き詰めた演出は今のマガジンで「ダイA」と並んでスポーツもの2トップだと思う。
「アオアシ」はやっぱネタバレになるのであれだけど主人公のポジションと、戦術をあそこまでしっかり描いて、
サッカーという競技そのものの深みを漫画として表現しているのは前例がないし。
「BeBlues」はやっぱり主人公の成長、葛藤の描写が他の作品に比べて深い。一番には怪我のこともあるけど、
チームプレーとしてのサッカー、個人としてのキャリアの両天秤をバランスよく描いてるし、
この当たり前の羅列と連続に「目からうろこ」発言をしている人は普段なにを描いてるんだろう。
全部当然のことしか言ってない。
ただしその内容には苦言がある。
あれは感情を吐露するためのものではなく、物体が感情を想起させることを顕す事が大事で、その意味でイマジネーションの錬成に近い。
しかし作者のイメジネーションは貧弱なので、感情の吐露が大事だ、という一歩前の回答で終わっている。
コメ欄も同じ。お前ら一体何年クリエイティブに関わってんだと思う。
感動する内容も全然ない上に一昔前の精神世界セミナーのようなアメとムチを利用した脳死ホイホイをやってるだけ。
ちったあ頭使え。
公的機関(とある病院)で情シス部員として、もう何年か勤務しているが、なかなか酷い。
公共機関全部が一緒じゃないことは分かっている。
理由は単純で、正職員が「定時で帰りたいから」と、「やっかいな仕事はやりたくないから」(正職員のくせに)。
あと人によっては、実務担当職で採用されているのに「研究がしたいから」を理由に請負業者に丸投げしている(口では言わないが、見てたら分かる)。
ちな、請負業者は契約を切られたくないから、理不尽でもやらざるを得ない。
医療情報部的な部署がある医療機関になると診療情報管理士がいることもあるのだけど、
ITとか全然知らない人も多いので、文書とか診療情報のことに関しても、
「ITとか全然分からないから」ということで「保守・運用管理」だけが契約範囲の業者に丸投げする人もいる(管理士の仕事なのに)。
ただ、診療情報管理士が個人的に丸投げしているわけではなく、当病院では部署ぐるみ。
実際はできないから投げているのではなく、雑用だと決めつけ、やりたくないから、投げているのが実態。
正職員を甘やかしている。
まぁ、でも、当院の診療情報管理士について言えば、とりわけ、丸投げとか「これは私の仕事じゃない」とすぐに逃げたりするのですけどね(システム職ではないが)。
「システムのことなんて分からない」と言えば、すぐに誰かに押しつけれる(請負業者に)。
請負・非常勤が大変な状態になっていても、「役割が違うから」と手助けすることは一切ない。
反対に、正規職が大変な時は、請負・非常勤は手助けをするように求められる。
医師・看護師が怒っても責任も含めて丸投げしているのが現状だから、改善しない。
現場から怒られるのは責任の重いはずの正規職員ではなく、半分は組織の外側にいる請負業者の社員と非常勤職員。
逆に、忙しい人間を尻目に、半日以上も政治の雑談したり、業務的に必然性のない資格の勉強をしている職員も実際いる。
不健全でしょ?
で、「自分、公務員だぞ、いいだろ」という態度出てるんですよ。
そのくせ、指示されなければ何もしないのだけどね(当院について言えば、これは管理士・事務方に多いな)。
「発注側」という高みに立って上から目線になっているのもあるし、
端から見ていると「自分たちは公務員で誰もが羨む天上人」という意識があるようで、
「公務員になれたというゴールを達成」したものだから、自己研鑽するという意欲さらさらない(実際にない)。
ちなみに、自己研鑽をしなくても怒られることはない。評価も下がらない。民間企業ではありえないぬるい職場。
あと、簡単な帳票を作成する作業でさえ、業者に頼らないといけない。
ああ、あと、公的機関は予算は全部使い切るのが基本なのも一因かもね。
手が空いている人もいるのに、請負・非常勤に実務はそちらにふって、業務中に業務に関係ない資格の勉強をする人もいるのだけど、
請負・非常勤の存在がないと、そういう仕事の仕方は成り立たないでしょ。
腐ってるけど。
ちなみに、非常勤職員は1年の任期付きなのだけど、確信犯的に継続を繰り返して任用することが普通になっている。
「時短勤務をしているだけの常勤職員」のはずなのに、経費の安い非常勤にしているだけ。
あとでも書くけど、特定大学のある研究室の就職の受皿になっているせいで、競争試験が形骸化している。
医療情報学会経由かつ、その大学の人間が優先的に採用されるのが実態。
こういう人は大抵がSE実務の経験はないけど、「研究だけはしたい」奴ら。
帳票作れば多少の業務改善もできるのだけど、そんなこともできない。
ただ、研究は大好きらしいので、医療情報学会とか論文の書き方は詳しい。
研究>>>>>>>>実務
という優先順位。
大丈夫、仕事が溜まったら請負業者・時短勤務の非常勤職員にねじこめばいい。
こうして、
という構図ができあがる。
医師や看護師の実務を改善してそれを研究成果にする、なら納得するのだけど、
外部業者・請負業者に分かりやすい資料を作成させて説明させればいい。
そりゃあ、自己研鑽を義務づけたら自分たちが大変になるのが分かってるから、上司ぐるみでちゃんとやらない。
DXもくそもない。
だから、やらない。
だったら、やらないほうが楽だよね?
現場の医師・看護師は大変だけど、「別業務で大変だから」とか「できない」と言えば、何とでもなる。
実態は、暇で手の空いてる人もいるけど。
ちなみに、現場の医療職が怒っても、電話は受付対応は非常勤職種と請負業者に全てやらせている。
これについては、ある診療情報管理士の正規職員がこう言っていた。
「電話や受付対応をすると怒られたり、トラブル対応のために走り回って調べないといけないから、やりたくない」
「専門知識がないから対応できない」とか「正規職員の業務に差し支えるから」、という理由なら理解できる。
でも、そうじゃないのは見れば分かる。
ただただ、高ストレスの仕事で仕事の種類として嫌だから、えり好みしているだけ、なんだよな。
病院という組織の立場に立って責任ある地位にいるから高い給料を貰っているのに、ね
回答の責任も丸投げし、現場の怒りは請負業者・非常勤職員に対応させる。
博士課程で採用された人は、「私、博士卒だから給与はいいですよ〜(笑顔)」と言ってた。
6時間勤務のはずの非常勤職種にも、常勤職員には与えないような詰め込みの仕事、残業が発生しやすいトラブル対応の仕事を与えることも普通。
見る限り、時短勤務の職員が残業をする率が高く、申請もきちんとしていない(あまりきちんとやると「なんで多いんだ」と怒られる)。
人の入れ替わりが多く、どんどん人が辞めていく。
でも、直接雇用しているわけじゃないから、何も問題視はされない。
でも、こうなって一番困るのは、現場の医師・看護師・コメディカルなんですよ!
まぁ、これも大きいよね。
能力じゃなくて出身大学で取るものだから、実務能力も関係ないし、公正な競争もない。
クビにすることもできない。
ちな、公的機関(独立行政法人も)は、採用にあたっては必ず公募をしないとけない。
「博士課程保持者」とかね。
実際は博士課程の人間じゃなくても十分できる仕事なのだけど(そもそも実務の仕事に博士課程は必要とは言えない)、
特定大学の特定研究室の就職の受皿になっているから、要するに、特定者に便宜を図った不公平な採用が行われいるんですよ。
法令遵守してんのかよ。
で、来た博士課程の人と言えば、院卒なのに実務的な対応能力なんて無いんですよ。
実務を担う職種に研究職を無理矢理ねじ込んで研究活動してるもんだから、現場から問合せが来ても他の誰かが代わりに対応しているのが実情。
現場の医療職からの問合せに対して、受付対応・回答(調査をさせたりも)を請負・非常勤職種にやらせ、
正規職はコア業務へ集中したいからと称して、ネットのニュースサイトをずっと見ていたり、資格の勉強をする者もいる。
なんだろうな、こういう意識の持ち方は公務員特有だという気がする(当然人によるよ)。
ああ、そいや、正職員の方々の中には、情報収集に熱心な人がいて、
管理する立場でもないのに請負業者が記録している対応の履歴を業務時間中にやたら細かく見てる人も、一定数いる。
職務上は明らかにする必要ない行為なのだけど、そんな時間をわざわざ作る余裕があるから不思議。
情報収集に熱心なのは、重たい仕事が自分に来ないよう注意してるからだが。
現場対応はできればやりたくないから請負業者・非常勤職員にやらせる、これは本当に多い。
正規職員のイスはもらった。大変なことは別の人にやらせて、楽もしたい。でも、しっかりとした給与も退職金も福利厚生もほしい。
それが実態。
だって、年間の予算全部使い切らないと次年度から減らされますから。
当然、予算で買っている。
なぜMacか?
当人達いわく「かっこいいから」「Macがいいから」だそうです。
でも、「Macがほしいから」というだけの理由でMacを買ってました。
こういうことをするのは大抵、公的機関で純粋培養された職員です。
職場全体は慢性的に赤字なのだけど、経費は使い切るものという意識があるようで…。
無駄遣いすぎることが分かっているので。
あぁ、あと、ブレードサーバーわざわざ買った人いるけど、
あんまし使ってらっしゃいませんね。
研究費は使い切るもんだという意識もあるみたいですが、それにしても無駄遣いでは?
業務効率化も糞もないのに、ボーナス満額もらえるんですよね、国の財源で!
DXなんてできない、というより、DXなんてそもそもやる気がない。
こうしている間にも、医療職はどんどん疲弊しているというのに。
くたばっちまえ。
これが、お前らの言う、コミュニケーション、コラボレーション、コーディネーションの本当の姿だったんだな?
言っても何も変わらないんだ。
だから、ここに書いて残す。
事務の常勤職員(正職員)になれれば業務時間中に日がな一日資格の勉強してる人もいるくらいで、自由に仕事をさせてくれる!
業務中に資格の勉強をするってことは他の業務に対応できる余裕があるってことなのだけど、
そういう余裕をつくること前提で非常勤職員の財源を確保して、実際に手を動かす実務は非常勤職員にやらせて、
自分たちはイスに座って直接対応はしないという前提で「あれやこれや」「こう言っておけ」とか机上の理想論を言うだけだもんね。
職場は情報システム部門なのだけど、特定の大学の研究室の就職の受け皿になっているせいで、上の方々は学会つながりか研究室出身の人が主。
「実務より研究」が優先なので、実務の専門職なのに研究ばかりしてる人もいるよ!
なのに実務の面ではエンドユーザーの前に出たがらないって。笑
(上司に言われた時だけ出てくれるけどね)
研究内容を見させてもらったことあるけど、病院での実現をどうるかについては一切言及がなく、
学部レベルの卒論程度の上に、学会でも相当叩かれていたのに、それで科研費が支給されるという。
医療機関という医療の最前線の組織に勤務しながら、現場での実現性を考慮しない研究が許されるなんて、「コネ採用だからこそ生まれる事象」だよね!
だから、正規職員になれればすごい楽ができるし、うまみがある。
自主的にサービス残業をする職員は「頑張っている」と認められるしね!
大変な人がいても、自分のチームのことじゃないからと、放置プレイもできる!
医療情報技師のコミュニケーションも、コラボレーションも、コーディネーションもあってないようなもの!
そんなのただの理想論!
部署に届く窓口の役割はすべて請負業者のSESに担わせて、後ろに隠れる人の多いこと!
(だから、正規職員になれればストレス面ではすっごい楽なんだよねー、だから、うまみがある)
(実際そうだった)
あと、これも言われた。
「常勤職員と同じくらいの業務量をやらなければ、来期は契約しないから」
え?笑
ちなみに、その方は某学会の委員会の座長も務めるくらいの偉い先生だよ!
「労基法なんて、どうでもええ」
とも公然と言うくらいよ!笑
もう、うけるよ。笑
いやいや、非常勤職員って年収200万円台で退職金もなくボーナスは3万円ポッキリで福利厚生もないのだけどね。
常勤職員は一番ヒラでも年収400万はもらってて(しかも勤務成績に関係なく確実に昇級する)、病院が赤字でも経費ガバガバに使えて、その上で国の財源でボーナス満額もらっているし(当然今年も)、退職金も福利厚生もきちんと貰えるし、リフレッシュ休暇は100%取得するし、とにかく休みが多いね!
(現場から問い合わせが来ても、「それは窓口の非常勤(or 請負業者)」という姿勢を貫くのが正規職員だよ!)
給与と責任のバランスで言えば、正規職員は本当にコスパがいい!
でも、年度の予算を削られなくないから予算は毎年必ず消費するし、
「こんなに人いるの?」っていうくらい非常勤職員いっぱいいるよ!
(そして、正規職員は自分がやりたくない仕事は非常勤にふればいい、責任も含めて一切全部)
こんなの世間にあるんだな、ってびっくりしたよ。
「コロナだし黙っておけ」と言っていたよ!
(紹介状が必要な病院のせいか普通はコロナ患者がこないし、入院も減ってる)
他の病院の医療職は大変だから表向きは大変そうにしておけ、だってさ………
「非常勤職員」が給与が安いのは責任・負担の差によるものだと思っていたのだけど、
「誰がやってもストレスを感じる仕事・やりたくない仕事は、まっ先に非常勤職員にやらせられる」
これが非正規雇用の実態なんだって、身にしみて分かったなぁ^^
ストレスで身体をやられやすい職務・立場ってあると思うのだけど、そこって給与には一切加味されないの??
不思議ー
どう考えても問題点は以下の3つ。
どんな絵師を選ぶのか、絵師は普段どういう絵を書いているのか、ここからどういうアウトプットが来そうかについて検討していない(もしくは検討が甘かった)
相手はプロなので受けた仕事の内容を最大限解釈して行う。誰が見るのか、何を伝えたいのか、が伝わっていたとは思えない(もしくは伝え方が雑だった)
どういう絵師を選んで、どういうコンセプトの伝え方をしたかでそれに従った絵を出してくるのが絵師のプロとしての役割。なので、最終的に選んだ絵師が自分たちの考えるコンセプトに合致した絵を書いてくるかはチェックする責任はある。
クライアントのキャンペーンのコンセプトと自分の絵柄や想定される作品のコンセプトに大きなミスマッチがあると思うなら断るのもプロとしての責任だとは思うんだが、アツギが絵師にどういう伝え方をしたかによる。
「女性たちにもっとタイツを履いてほしい、コーディネーションのサンプルにもなるような絵がほしい、自社製品を紹介するものにしてほしい」とか言ってるのにスカートたくし上げたような絵を書いたなら、それは絵師がどうかしているが、当初「選んだ絵師に好きに書いてもらいたい」くらいのこと言ってたと記憶しているので、やはり絵師に責任を求めるのは無理筋だ。
要はどういうコミュニケーションがこのイベントにおいてなされたかをアツギが明確にしないと絵師の問題は明らかにならないが、アツギができた作品をチェックしてないなら、最終的な責任はアツギにやはりある。
先日、スペインのサンチェス首相に対する数万人規模のデモがマドリードで開かれ、前与党・人民党のカサード党首や右派政党市民党のリベラ党首、極右政党ボックスのアバスカル党首、さらにノーベル文学賞受賞者バルガス・リョサ(ペルー出身だがスペイン国籍も保有)やバルス元フランス首相(バルセロナ出身)が参加しました。デモ隊はスペインの統一を支持し、サンチェス首相がカタルーニャ州政府に妥協の姿勢を見せていることに反対しています。日本で喩えるなら、民主党政権時代に国会前で数万人規模の「沖縄に妥協するな」デモが開かれて自民党総裁や維新の会代表やカズオ・イシグロや李登輝が参加してるような状態です。
さて、どうしてこういう状況になったのでしょうか。住民投票に至る経緯は「5分でわかるカタルーニャの住民投票と独立問題」(anond:20170910082231)とその補足(anond:20170912060013)で説明したので、今回はそれらを踏まえて住民投票後のカタルーニャ情勢について簡単に説明してみたいと思います。なお一昨年の増田ではPartido Popularを「国民党」と書いていましたが、今回は「人民党」と表記します。
2017年10月1日、カタルーニャ自治州政府は独立の可否を問う国民投票を強行します。中央政府は警官隊を派遣し、投票箱の押収や投票所の封鎖、投票者の鎮圧などの手段によって阻止を試みました。
この投票で独立賛成は9割を超えましたが、独立反対派はボイコットしたため投票率は5割を切っており、州民の過半数が独立に賛成したとは必ずしも言えません。ただし州議会が制定した州法によれば、たとえ1票でも独立派が勝てば独立宣言するとしています(中央政府はその州法は違憲無効であると主張)。翌日には中央政府のカタラ法相(1961年生まれ)が憲法155条に基づく自治権停止措置を示唆し、3日には国王フェリペ6世(1968年生まれ)が独立派を「法律と民主主義の外に出てしまった」と非難しました。
18日にプッチダモン州首相が自治権を停止するなら独立宣言を強行すると表明、翌日には自治権の部分的停止が決定されます。国王と最大野党の社会労働党はラホイ首相を支持しましたが、カタルーニャ州側ではプッチダモン州首相だけでなく独立反対派のクラウ・バルセロナ市長(1974年生まれ)も自治権停止を非難しました。
27日にカタルーニャ州議会はカタルーニャ共和国の独立を宣言します。同日、スペイン上院は155条適用を承認しました。翌日、スペイン政府は州議会の解散総選挙と州首相解任、州政府幹部の更迭、カタルーニャの在外公館閉鎖などの措置を発表しますが、この日は土曜日のため、週明けの30日にカタルーニャ政府の建物を制圧し、同国検察はプッチダモン首相ら当時の州政府幹部を国家反逆罪や公金横領罪の容疑で捜査すると発表します。スペイン政府のサエンス・デ・サンタマリーア副首相(1971年生まれ)が自治州首相の職務を代行することとされました。
(公金横領罪といっても、賄賂を取っていたとかそういうことではなく、違法な住民投票に公金を支出した容疑です)
11月3日、スペイン当局はジュンケラス副首相(1969年生まれ)を含む当時の州政府幹部8人の身柄を拘束し、ブリュッセルに逃亡したプッチダモン首相に欧州逮捕状を発行します。プッチダモン首相はブリュッセルで「これがあなたがたが作りたい欧州か」とEUを批判しました(EUは明白にスペイン側を支持)。スペイン憲法裁は独立宣言が無効であることを宣言し、州議会は解散され、選挙が行われることになります。
なぜスペイン側が自治権停止にこだわったか。それは州議会における独立派と反対派の勢力が拮抗しており、自治権を停止して解散総選挙に持ち込めば反対派が勝つだろうと踏んでいたからのようです(135議席中、独立宣言に賛成したのは70議席)。ところが12月21日に投開票された選挙では、独立派がギリギリで過半数(70議席)を維持してしまいました。ただし70人の当選者のうち7人が当局に拘束されているか国外滞在中であり、彼らが議会に出席できない限り過半数にはなりません。プッチダモン首相はSkypeを通して執務することを模索していましたが、ラホイ首相はプッチダモン首相が州首相に再任されるなら自治権停止を継続し再選挙も有り得ると警告します。州議会は独立派のトゥレン州議(1979年生まれ)を議長に選出し、プッチダモン首相の信任投票を試みますが、スペイン政府はカタルーニャ州議会を憲法裁に提訴し、結果として投票差し止め命令が出ました。
ちなみにこのとき、与党・人民党の政治家は「トゥレンには2人の子供がいる。(信任投票が行われると)どうなるか分かるだろう」と公言していました。州政府要人を何人も逮捕・拘禁している側がこれ言ってるんですよ。しかも同じ口で「カタルーニャの民主主義を守れ」とか言ってますからね。EUは流石に何か言うべきだったと思うんですが特に何も言いませんでした。まあ、人民党が加盟している欧州人民党はEUの与党ですからね、仕方ありませんね(EUの執行機関である欧州委員会の委員長は欧州議会選挙で勝利した会派から選ばれ、現在は欧州人民党のユンケル委員長[1954年生まれ]。ところで欧州理事会常任議長をEU大統領と呼ぶなら欧州委員会委員長もEU首相と呼べばスッキリすると思うんですがその辺どうでしょうかマスコミの皆様)。
最終的にプッチダモン首相は州首相就任を諦め、何人もの候補が模索されては消えていった結果、2018年5月14日に独立派のトーラ州首相(1962年生まれ)が選出されることになりました。スペイン語圏出身のカタルーニャ人に対してヘイトスピーチまがいの発言してた過去があり、また「本当の州首相はプッチダモンで自分は暫定的な州首相」と述べるなど物議を醸しましたが、ともかくも6月2日に新しい州政府が発足します。
これにより中央政府の直轄統治は終了したわけですが、今度は中央政府の方を危機が襲います。人民党幹部の汚職事件によりラホイ内閣に不信任案が提出されたのです。最大野党の社会労働党(84議席)は、極左政党ポデモス(67議席)だけでなくカタルーニャ独立派を含む各地の地域政党からも支持をかき集めました。2018年6月に350議席中180議席の賛成でラホイ首相は不信任、社労党のサンチェス書記長(1972年生まれ)が新首相に選出されます。
就任直後のサンチェス首相は自治権を拡大するための住民投票をやろうとトーラ州首相に持ちかけます。ところがトーラ州首相はあくまで独立を目指す姿勢を捨てず、提案を拒否しました。カタルーニャとの和解のためにバルセロナで閣議をやろう! と言い出して実際にバルセロナで閣議を開いたりもしたのですが、独立派による大規模な抗議デモで迎えられたりもしていました。まあそりゃ独立派にしてみれば彼らは占領者なわけですから、ケンカ売ってるようなもんですよね……。
社労党内部にもカタルーニャとの対話推進派とカタルーニャ絶許派がおり(http://shingokatoo.blogspot.com/2018/06/1811.html)、サンチェス首相自身は以前はカタルーニャを「ネーション」として認める案を支持していたようなのですが、現在は護憲派としてカタルーニャ自治州と対峙しています(http://shingokatoo.blogspot.com/2018/06/2017.html)。カタルーニャとの対話を訴えたポデモスがそのせいで支持を落としているようなので、あんまりカタルーニャに妥協することもできなさそうです。
スペインの主要政党がカタルーニャ独立問題に対して採っている態度は、概ね次のように分類できます(議席数は下院)。
- | 独立は憲法違反だしカタルーニャはネーションではないよ派 | 住民の意思を尊重すべきだしカタルーニャはネーションだよ派 |
---|---|---|
独立反対 | 人民党(134議席)、社労党(84議席)、市民党(32議席) | ポデモス(67議席) |
独立賛成 | - | カタルーニャ共和左派(9議席)、カタルーニャ欧州民主党(8議席) |
ちなみにスコットランドの独立を問う住民投票ではこんな感じでした。
独立には反対だけど住民の意思を尊重するよ派 | 独立賛成派 |
---|---|
保守党、労働党、自由民主党 | スコットランド国民党 |
スコットランド情勢が落ち着いててカタルーニャ情勢が荒れてる理由はだいたい上の表を見ればご理解いただけるのではないかと(こんな諷刺画もあるくらいです→https://www.eldiario.es/vinetas/mala-suerte_10_304919512.html)。
さて、人民党は下野後に党首選挙を行い、2018年7月、右派のカサード副事務局長(1981年生まれ)が新党首に選ばれました。カサード党首は、スペインの主権への攻撃に断固とした対処を取る、国民党は分離主義者と交渉しない、と主張し、分離主義に対抗して刑法改正を目指すとまで公言しています。中国共産党かな?
ところで、スペインの右派政党で最も国会での議席が多いのは人民党(134議席)ですが、右派政党である市民党(32議席)の人気も上昇しています。人民党は伝統的な保守政党ですが、市民党は経済的自由主義に立脚したスペイン・ナショナリズムを掲げる政党です(日本で言うところのみんなの党みたいな路線)。彼らは保守的価値観にはあまり興味を示しませんが、スペイン国家の一体性には強くこだわり、カタルーニャ独立に対する反対を表明しています。
もともと市民党はカタルーニャ・ナショナリズムに反対するカタルーニャ自治州の地域政党として2006年に誕生し、州内の行政や学校教育でのカタルーニャ語優先政策に反対、スペイン語使用の権利を訴えてきました。2006年のカタルーニャ州議会選挙で3議席を獲得後、2013年から他州にも拠点を築き、2014年には欧州議会、2015年にはスペイン下院に進出します。独立宣言後の州議会選挙ではアリマーダス州議(1981年生まれ)のもとで36議席を得て第一党になりました(選挙前は25議席で第二党)。ちなみにこの選挙では人民党が11議席から4議席に転落して惨敗しています。
そして2018年12月、アンダルシア州議会選挙で極右政党ボックスが議席を獲得します。ボックスは2013年の暮れに人民党右派が離党して結党された政党で、スペインの中央集権化とバスク・カタルーニャ独立への反対、反移民を唱えています。同選挙では
政党 | 議席 | 選挙前議席 |
---|---|---|
社会労働党 | 33議席 | 47議席 |
人民党 | 26議席 | 33議席 |
市民党 | 21議席 | 9議席 |
ポデモス・緑の党などの左派連合 | 17議席 | 20議席 |
ボックス | 12議席 | 0議席 |
このような議席分布となりました。過半数は55議席なので、右派連合は過半数を得るためにはボックスと手を結ぶ必要があります。2019年1月18日、人民党と市民党はボックスの支持を得て連立政権を発足させました。
このように、現在スペインではカタルーニャへの強硬姿勢を支持する3党の勢力が増しています。これが2019年2月10日にマドリードで開かれた大規模デモの背景です。もし今選挙が行われればこの3党が過半数を得る、と世論調査は予測しています。彼らはカタルーニャという共通の敵の存在と、それに対する政府の「弱腰」っぷりをアピールすることで政権交代を狙っているのです。
12日にはマドリードのスペイン最高裁でジュンケラス副首相らカタルーニャ政府要人の裁判が開廷されました。検察側はジュンケラス副首相に禁錮25年を求刑しています(弁護側は無罪を主張)。そして昨日、スペイン下院は2019年度予算案を否決しました。サンチェス首相が独立を問う住民投票の再実施を撥ねつけたため、カタルーニャ独立派が反対にまわり、過半数を確保できなかったのです。これによってサンチェス政権は解散総選挙の瀬戸際に立たされています。仮に総選挙になれば市民党やボックスが躍進し、きわめて反カタルーニャ的な政権が誕生する公算が高いでしょう。
ここまで来るとカタルーニャをネーションと認める方向で憲法改正した上で自治権を拡充するくらいしかカタルーニャの動きを鎮める方法はないだろうと思うのですが、人民党・市民党・社労党の一部は「カタルーニャはネーションじゃない!」で凝り固まっていて、カタルーニャもカタルーニャで急進的な独立派は「今更自治権拡充程度じゃ生ぬるい」となってるんで、なかなか難しいものがありますね……
自分のブログにでも書こうかなと思ったけど、だいたい https://www.metacritic.com/pictures/oscar-best-picture-contenders-for-2019?ref=hp からのパクリだしそんなに力いれて調べてないので増田に放流します。
本命は『スター誕生』、『BlacKkKlansman』、『グリーンブック』あたりか。ノミネーションだけなら『ファースト・マン』や『女王陛下のお気に入り』も。
今年のカンヌで『万引き家族』の次点でグランプリを獲得した、黒人映画永遠のトップランナーの最新作。
黒人なのにKKKにもぐりこんでしまった潜入捜査官の実話を描く。
スパイク・リー監督作のなかでは『ドゥ・ザ・ライトシング』や『マルコムX』をも凌ぐ評価を獲得している(そして興行的にもここ十年で自己最高)。
公開時期が夏季であることと、ややコメディよりのタッチがノミネーションに不利に働くかもしれないが、トランプ政権下において「ブラック・リブス・マター」運動はまだまだ意気軒昂。「黒人映画」枠競争を勝ち抜くポテンシャルは十分だ。
ブラックパンサー(ライアン・クーグラー監督)
解説は不要だろう。今年米国内で最高興収をあげた作品にして、マーベル映画史上でも最も支持された傑作ヒーロー映画。
アメリカ国内外の黒人問題や歴史的視点にめくばせしてオスカー好みの社会性もばっちり備えているものの、やはり「アメコミ映画」のレッテルがネック。
まだまだ白人・男性・おじいちゃんが大勢を占めるオスカー会員にあっては弱い。ギリギリノミネーションがあるかどうか、といったポジションだろう。
余談だが一時期新設されそうだった「ポピュラー映画賞」部門はブラックパンサーを受賞させるために作られるのだという噂だった。裏返せば、作品賞本選に選ばれる格ではない、と会員からみなされているのだろう。
Can You Ever Forgive Me?(マリエル・ヘラー監督)
落ち目のライターが有名人の手紙や文章を捏造して高値で売る詐欺に手を出し、それが嵩じて博物館から実物を盗みだそうと企む実録犯罪コメディ。
日本ではあまり知られていないけれど主演のメリッサ・マッカーシーはアメリカで今いちばんアツいコメディアンのひとり。
夫のポール・フェイグと組んで『ブライズメイズ』、『SPY』、『ゴースト・バスターズ(リメイク版)』などの陽性の笑いでヒット作を飛ばしてきた。
そんなマッカーシーが一転してシリアスでブラックなコメディに挑戦し、見事大成功。本年度の主演女優賞ノミネートが確実されている。
演出したヘラー監督の手腕も高く評価されており、初の監督賞ノミネート、さらには作品賞も夢ではない。
とある気難しい現代っ子少女の中学生活最後の一週間を描いた青春コメディ。
中学生版『レディ・バード』にもたとえられる(中二病的な意味で)痛々しくも切ない、みずみずしくもどんよりとしたフレッシュなローティーンライフの描写が広範な支持を集めている。
監督は若干28歳のコメディアンで、なんとユーチューバー出身。アメリカ映画界における新世代の台頭を予感させる一本。すでに数多くの映画祭や映画賞にピックアップされている
オスカーはコメディを敬遠する一方で、サプライズ的なインディー作品を好む傾向にあるが、はたしてこの作品の出目は吉とでるか凶と出るか。最悪でも脚本賞ノミネートは固いか。
『ロブスター』、『聖なる鹿殺し』と強烈かつキテレツな作風で知られるランティモス監督最新作にして初の時代劇。
アン女王を演じるオリヴィア・コールマンを巡る二人の家臣(レイチェル・ワイツとエマ・ストーン)のバトルを描く百合時代劇……たぶん百合だとおもう。
すでに巨匠の地位を確立したランティモス監督の過去作のなかでも群を抜いて評価が高く、今年のベネツィア国際映画祭でも第二位にあたる審査員賞を勝ち取った。オスカー前哨戦となる各種賞レースにももちろん名前を連ねている。
今年の本命作のひとつとも目されるが、ランティモス特有の変態さ加減が(今回は脚本までは書いてないとはいえ)どこまでお上品なオスカー会員たちに受け入れられるか……。
『ラ・ラ・ランド』で幻の作品賞受賞というなんともかわいそうな結果に終わった(それでも本人は史上最年少で監督賞を獲っているが)デイミアン・チャゼルとライアン・ゴズリング。
そんな彼らのリベンジマッチが実録宇宙開発物語『ファースト・マン』だ。人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロング船長にスポットライトを当て、彼の視点からドラマを描く。
企画段階から作品賞ノミネートは当然、という空気のなかでプレッシャーを跳ねのけて見事高評価を集めた。ノミネーションはほぼ確実といっていいのではないだろうか。反面、今度こそ受賞なるかというと、今ひとつパンチがきいてないようで不安が残る。
オスカー前哨戦の最も重要とされるトロント国際映画祭で観客賞に輝いた作品。ここ十年で同賞を得た作品でオスカー本選にノミネートされなかった例はたった一回しかないのだ。
黒人差別が法的に是認されていた時代のアメリカで、自分もちょっとレイシスト入っている用心棒の白人男が南部へコンサートを開きに来た黒人ピアニストを送迎する仕事を命じられる。最初は「黒人のくせに上等なスーツを着てお上品にピアノなんぞひきやがって……」と反感を抱く用心棒だったが、行く先々で差別待遇を受けるピアニストに対してだんだんシンパシーが湧いてきて……という内容。
ほろ苦くもユーモアとメッセージ性に満ちた内容はまさしくオスカー好み。「分断されたアメリカ」というテーマのタイムリーさもある。ちなみに監督は『メリーに首ったけ』などのロマコメで知られるファレリー兄弟の兄。このところは過去のヒットコメディのリメイクなどで仕事に恵まれなかったが、もともと潜在的に持っていた社会派なセンスが一挙に花開いた。
If Beale Street Could Talk(バリー・ジェンキンス監督)
『ムーンライト』で一昨年の作品賞を獲得したジェンキンスの最新長編。今度こそはチャゼルにかっさらわれた監督賞もいただいて完全制覇を目論む。
原作は今年日本でもドキュメンタリー映画『私はあなたのニグロではない』が公開された、黒人小説家ジェームズ・ボールドウィンによる短篇。濡れ衣をきせられて収監された夫を助け出すために奮闘する若き妊婦のお話。
テーマの重厚さも話題性も十分だが、公開が当初予定していた11月から12月にのびたことが若干きがかり。クリスマス狙いのブロックバスター大作のなかで埋もれてしまう恐れがある。
Mary Queen of Scots(ジョージィ・ルーク監督)
互いにイングランド王位をかけてあらそったスコットランド女王メアリーとイングランド女王エリザベス一世を、それぞれシアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーという旬な女優が演じる。
脚本を担当したのは『ハウス・オブ・カード』や『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』などの現代政治劇の名手、ボー・ウィリモン。
いずれもオスカーノミネーション歴を有した名前ぞろいでクオリティも保証されている。同じくイギリスを舞台にした時代劇である『女王陛下のお気に入り』がライバルか。
ROMA(アルフォンソ・キュアロン監督)
世界的に見れば今年最も評価の高い映画といっても過言ではない。ベネツィア国際映画祭の最高賞。
1970年のメキシコ・シティで家政婦として働く女性とその一家のドラマをモノクロで撮る。
評価の高さと『ゼロ・グラビティ』でオスカーを獲ったキュアロンの知名度があれば当然作品賞も……となりそうなものだが、障害は多い。
まずスペイン語映画であること。長いオスカーの歴史のなかでこれまで十作品の外国語映画が作品賞にノミネートされてきたが、受賞にいたったものは一つとしてない。
次に Netflix 映画であること。カンヌみたいに公に締め出すことはしないにしても、アカデミー会員のなかでも動画配信サービス勢に対する反感は根強い。一昨年の『最後の追跡』やドキュメンタリー作品を例外として、『ビースト・オブ・ノー・ネーション』『マッドバウンド』といった作品たちもその年最高クラスの称賛を受けながらもオスカーノミネートには至らなかった。
いちおうネトフリも『ROMA』については配信に先駆けて劇場公開を行うなどの「オスカー対策」をやっているが、はたしてどうなることやら。
ちなみに Netflix でも来月に配信される。驚くべき時代になったものだ。
アリ― スター誕生(ブラッドリー・クーパー監督)
ショービズ映画の古典のリメイク。この八十年で三回目の映画化です。
本年度大本命に数えられる一本。批評家・観客からの圧倒的な支持率もさることながら、商業面でも大ヒット(現時点で世界興収三億ドルを突破)を飛ばした。主演のブラッドリー・クーパーとレディ・ガガの演技もさることながら、これがイーストウッド降板を受けての初監督となったブラッドリー・クーパーの演出にも嬉しい驚きが満ちているとかなんとか。
だが、一昨年の『ラ・ラ・ランド』、昨年の『スリー・ビルボード』と「早すぎる大本命」はかならずバックラッシュに晒されるのがオスカーという場。12月以降に猛然と差してくるであろう後続期待作たちを振り切れるかどうか。
Widows(スティーブ・マックイーン監督)
2013年にアカデミー作品賞を獲得した『それでも夜はあける』のスティーブ・マックイーン最新作。オスカー獲得後の第一作でもある。
シカゴでヘマをやらかして死んでしまった強盗たちの四人の未亡人(ヴィオラ・デイヴィス、エリザベス・デビッキ、ミシェル・ロドリゲス、シンシア・エリヴォ)が亡夫の後を継ぎ女だけの強盗団を結成するちょっと変わった犯罪映画。
マックイーンとヴィオラ・デイヴィスというアカデミー賞受賞コンビで鉄板の出来。
そのパワーでジャンルムービーを嫌うオスカーでノミネーションを勝ち取れるかが見どころだ。
Boy Erased(ジョエル・エドガートン監督)
厳格なキリスト教である両親のもとで育ったゲイの少年(ルーカス・ヘッジス)が教会の同性愛矯正プログラム(いわゆるコンバージョン・セラピー)に放り込まれ、セラピストとバトルする青春ドラマ。
近年では『ダラス・バイヤーズ・クラブ』のジャレド・レトがそうだったように、LGBTものは俳優にとってオスカー像への近道だ(スカーレット・ヨハンソンみたいに非LGBTの俳優がLGBTの役を演じることに倫理的な非難が高まりつつあるにしても)。
批評家筋からの評価的には作品賞には届かないかもしれないが、演技賞ではノミネートが有望視されている。
トランプ政権下でLGBTに対する抑圧が増しつつあるだけに、時事性も捉えているかもしれない。
GWブッシュ政権下で「史上最悪の副大統領」とも呼ばれたディック・チェイニー元副大統領をクリスチャン・ベールが激太り(何度目だ)+ハゲという負の肉体改造で演じたブラックコメディ政治劇。
他にも妻リン・チェイニー役にエイミー・アダムス、ラムズフェルド国防長官役にスティーヴ・カレル、GWブッシュ役にサム・ロックウェルなどアカデミー賞級の芸達者がずらりと並んでいる。
題材としてはなかなかトリッキーだがマッケイ監督の前作『マネー・ショート』がそうだったように、ツボにはまれば一挙にアカデミー賞ノミネートまで行ける。
同じく政治ネタでライバルだった『フロント・ランナー』(ジェイソン・ライトマン監督)の評判がいまひとつ芳しくないのも本作にとっては好材料。
The Old Man and the Gun Now(デイヴィッド・ロウリー監督)
名優にして名監督ロバート・レッドフォードの引退作。15才で逮捕されたときから人生を通じて強盗を繰り返してきた70才の犯罪者(レッドフォード)と彼を追う刑事(ケイシー・アフレック)、そして彼に惹かれていく女性(シシー・スペイセク)を描く実話犯罪コメディ。
作品賞ノミネートは微妙なところだが、レッドフォードはまず間違いなく主演男優賞候補入りするだろう。
ちなみにデイヴィッド・ロウリーの前作であるゴースト・ラブストーリー『A GHOST STORY』は今日から封切り。観に行け。
一方で、実話犯罪・老人・名監督にして名俳優と共通する要素の多い作品としてクリント・イーストウッド監督の『The Mule』にも注目しておきたい。こちらは80才の麻薬の運び屋をイーストウッドが演じる。映画祭などでもまだ未公開なため、どう転ぶかはまだわからないが、近年のイーストウッド作品に対するアメリカ人の冷め方からすると賞レース的な意味での期待はあまりできなさそう。
その他有望そうな作品
『シカゴ』でアカデミー賞作品賞をさらったミュージカルの名手ロブ・マーシャルがディズニーの伝説的名作の続編を制作。
エミリー・ブラント、ベン・ウィショー、こりん・ファース、ジュリー・ウォルターズといった英国の名優たちでがっちり固めつつ、リン=マニュエル・ミランダやメリル・ストリープといったミュージカルで定評のある俳優陣をフィーチャーし、万全の Permalink | 記事への反応(3) | 16:07