はてなキーワード: キャラクタとは
○ご飯
朝:ナポリタン。昼:チキンラーメン。ポテチ。クッキー。夜:りんご。ヨーグルト。大根と玉ねぎとキノコとたまごのスープ。間食:なし。
○調
むきゅーはややー。おしごとは、おやすみ。
すっかりお馴染みになっている株式会社オレンジが定期的にリリースしている低価格のDL専売テキストアドベンチャーゲーム。
警視庁の取り調べ専門の部署に配属になった女性刑事の真野ハルカを主人公に仲間達との事件捜査を描く短編集形式のシナリオになっている。
シナリオライターがTHE鑑識官シリーズの方という売り文句なだけに、1話完結の短編集、主人公が若い女性、相棒のAIマスコットキャラがいるなど外枠の部分に共通点がある。
システムは株式会社オレンジ恒例のそれで、オーソドックスなADVの形式で容疑者との対峙、聞き込み、捜査などを行う。
(捜査箇所や移動場所を選ぶ際、カーソル移動の挙動がよくわからない点もここまで変わらないと愛おしくなってくるね)
取り調べ専門の部署という特異な設定があるにはあるものの、よくある推理系ADVの通り現場にも行くし、聞き込みもあるしで、ゲームのプレイ感としてはそこまで大きな違いは感じなかった。
登場人物達も良い意味でも悪い意味でも癖がない良い子ちゃんが揃っており、引っかかるポイントがなかった。
例えば、海外で飛び級で義務教育を終えているため16歳の若さで働いているミズキなんかは、いかにもな設定だが、彼女を掘り下げる具体的なエピソードは駄菓子の酢イカが好きなところぐらいで、かなり薄味。
芝犬の渾名がついているワンコ系青年の小柴レオとは、犬猿の仲ながら実は内心で通じ合っていそうな関係値も、それらしさがあるだけで深掘りはされていない。
短編集で5編入っているのだが、肝心の事件の方は最初の3編はかなり薄めの作り。
三つともかなり真っ直ぐな事件になっている上に、取り調べ専門の部署という縛りのせいで、フーダニットが謎の主題に置けないのが窮屈そう。
リニアで一直線の謎解きが続き、作中人物達があたかも最初から今回の事件のページ数を把握しているかのように、序盤のこれがミスリード、終盤のこれが本丸と区分けしていくような、非常にモドカシイ作りになっていた。
スチル絵が被害者や容疑者のそれしかなく、遊びの文章が無いのは、流石に硬派がすぎる。
というように、三つ目まではかなり褒めるポイントが少なく厳しい出来だったのだが、四編目と五編目は前後編になっていて文量が確保出来たからか、面白かった。
レギュラー登場人物それぞれに活躍の場面があり、事件も二転三転しつつ容疑者も多め、さらに内輪に犯人がいるかもしれない疑惑が盛り上がりを感じた。
取り調べ専門の部署という設定も、最終盤の展開を考えると腑に落ちる部分があり面白かった。
ミステリ的な薄味感とキャラクタ描写の少なさはは最後まで変わらなかったものの、取り調べ専門の捜査官が目指す場所を情緒たっぷりに描く最後の取り調べは面白かった。
全編このクオリティであればより良かったのだろうが、終わりよければ全て良しだ。
クリア後のおまけエピソードも数分で読み終わるものとはいえ、脱力ものの緩いコメディとして普通に楽しめた。
続編も作れると思うので末長く続いて欲しいし、できれば主人公にもカップリング相手が出てくるとそういう楽しみ方も出来てより良いと思った。
なお、三話でとある人物が夜中に同性の家に招待されジャグジーに入るシーンがある。
トリックの都合でジャグジーに入れたい気持ちはわかるものの、夜中に金を返すと言われて呼び出されたのにジャグジーに入る必要性がない上に、それなりに関係性が悪化している以上、どうやってジャグジーに誘導したのかの詳細が明らかになっていないのが気になって仕方ない。
癇癪持ちだった
ゲームで癇癪起こしたことが0とは言わないけど、それはゲーム如きで怒るほどマジになっている人っていうコントをしてるだけ。
ごっつでもガキの使いでも、そういう体のコントとか、コント風の企画山程ある。
割とたまにスベっていた
常にホームランを打つタイプではないけど、滑る時に大怪我しない方法をシステム化したのがすごいと思っている。
少なくとも、滑って、それを受け入れないとか、むくれるとか、それは俺の見てきた松本の中にはない。
知的ではなかった
自分が一番正しい!と言い放つ人だった
これはほんとそう思う。ガキの使いのコーナーで、自分に点数をつけるとしたら?で100点だからね。
無茶苦茶なことを言っている人間を演じてる時もあるから、しばらく笑えるんだけど、
え、こいつまじやん・・・ってなる瞬間はあった。
映画は向いていなかった
怖くて未だに見れていない。
結構前から松本は「自分が一番面白い」という看板は下ろしてて、「若い頃ほど面白いことができない」も自覚している。
ダウンタウン双方力の衰えを自覚しながらどうやってゴールするのか単純に興味があっただけに、それがぶつ切れになってしまって残念。
○ご飯
朝:なし。昼:なし。夜:マクド。間食:チョコ。ハッピーターン
○調子
むきゅーはややー。13連休9日目。
・前提
僕はタイプムーン作品やインタビューなどを網羅的、横断的に追うことはしておらず、本作品以外の情報は仕入れていないので何か過不足があった場合それは悪意ではなく無知なので、ご指摘していただければと思います。
・はじめに
奈須きのこの未発表小説として度々インタビューなどで言及されていた作品を元にしたノベルゲーム。
1980年代後半、町の発展が進む三咲町を舞台に、そこを魔術的な意味で管理する蒼崎青子と久遠寺有珠が、山から降りてきた純朴な静希草十郎と出会うことから始まる、公称ジャンルはジュブナイルストーリー。
ノベルゲームながら静ではなく動を意識したルックがめちゃくちゃすごかった。
ストーリーも伝奇物のバトルシーンの痛快さに、衒学趣味たっぷりの小難しいパートと言ったエンタメらしい部分と、山から降りてきた少年目線で見た都会の息苦しさとそこに住む市井の人々の魅力を情緒たっぷりに読めて非常に面白かった。
群衆劇めいた部分が強くあるわけでもないのに、町そのものが主人公のように思えるのも印象深い。
そして、タイプムーン作品として横断的な言及が必要となる第五魔法を巡るエピソードも、この作品を点だけ見ても面白いと、どこを切っても面白いしかないすごく大好きな作品だ。
・凝られたルック
まず目を引くのが真正面以外の立ち絵と背景を利用した多角的なビジュアル。
ビジュアルノベルという立ち絵と背景で構成されたゲームながら、様々な表現でそのときそのときのシーンに応じた絵作りをしている。
大量のスチル絵を用意しているのではなく、背景と立ち絵の組み合わせでカットごとの構成を魅せる作りは圧巻。
細かい動きがあるシーンも多く、常に動き続けるアニメよりもむしろメリハリが効いて効果的とまで思える。
ヒロイン達がおでんを食べる何気ないシーンですら、たっぷり工数がかかっている手の凝り様で、終始飽きずに楽しめた。
・伝奇物らしいバトルシーンの魅力
そんな絵作りが特に生きるのが、伝奇物をベースにした魔術バトル。
魔力を打ち出す蒼崎青子、童話の怪物を具現化する久遠寺有珠などの、特徴的な戦闘描写がスチル絵一枚だけでなく、それぞれのパーツが効果的に動きの演出で魅せてくれるのが楽しい。
特に久遠寺の童話の怪物にまつわるエピソードは非常に魔法使いの夜らしい映像映えするシーンの連続で、バトル面での活躍では大好きなキャラクタになった。
ビジュアル面だけでなく、作中の魔術が一定のルールを持ったものであり、それを打ち崩すために知恵も使う展開があるのもとても良い。
最初の山場である久遠寺率いるフラットスナークの居場所にまつわる幾つかのシーケンスは、ビジュアルノベルらしさが光るシーンで、ここで一気に伝奇バトルパートも好きになれた。
そのように魔術バトルはルックだけでなく、テキストでもたっぷり楽しめるのだけど、伝奇物らしく衒学趣味らしい解説パートも沢山楽しめる。
ここはタイプムーン作品として色々な作品と繋がりがある部分らしく、新参者としては全てを理解できなかったのが惜しい。
しかし、そんな小難しいパートは、主人公の静希草十郎は田舎から出来てきた魔術を何も知らない青年であるため、彼の目線でわからないものはわからないとしてストーリーを楽しめたのも良く、入門にはピッタリだったかもしれない。
作中で何度もわかるところだけわかればいいと繰り返されているので、ある程度はそういうものとしてフワッとした理解のまま読み進めれた。
とはいえ、要してしまうと、その様な設定の妙を直接的に理解することよりも、それらの設定が魔法使いの夜の視点人物の一人静希草十郎の理解を進めるための要素になっているのが面白さの重要な点だった。
電話すら知らないという導入だが、本当に何一つ知らないらしく、貨幣の概念に関心するぐらい常識から外れた人間。
彼の目線で物語は進むのだけど、この点は情緒たっぷりで読んでいてひたすらに面白くて、一番好きな部分だ。
街に馴染めず田舎を恋しく思うのだけど、それでも街を理解しようと試行錯誤色々と模索していく様が面白い。
アルバイトを頑張ったり学生生活を頑張ったりといった日常的なパートと、魔術を使った伝奇バトルなパートが、同価値の未知さで描かれている彼の特異さあってこそなのが面白い。
ここがとても楽しくのめり込める。
作中の世界では魔術は秘匿するもので、魔術師と呼ばれる特異な人たち以外はその存在を知らない。
また魔術師達は独自の価値観で生きており、一般人とは生死の考え方からして大きく異なっている。
そのため、蒼崎青子はまだ日が浅いながら自身を魔術師として律して一般人とは異なる価値観であることを強く主張する。
しかし、山育ちの草十郎にとってみれば、町に住む大勢の人間とそもそも価値観が合わないのだから、当然魔術師とも合わない。
これが皮肉の効いた良い情緒的な描写になっていて、たまらなく面白かった。
自身を特別視するキャラにそうでないよと悟らせるような読み方もできるのだけど、そうではなく、近代化していく町と同じように人の思想や価値観も移り変わって行き、変化することは当たり前で、青子が魔術師になるような大きな変化は確かに希少だけれど、大なり小なりあるものだと思わせられる丁寧な描写が続く。
この丁寧さは本当にしっかりしていて大好き。
発展して近代化する町を、何も知らない山から降りてきた純朴な少年の目で描写する。
そこに伝奇物としても作者独自の設定を、同じように未知のものとして紛れさせる。
そうすることで、ヒロインの特異な価値観すらも並列に扱え、二人のジュブナイルが瑞々しい読感になるのが素敵だった。
そんな価値観を相互理解しようと、様々なエピソードが尽くされており、コメディありバトルあり衒学趣味あり情緒的なただの日常ありと、一貫してこの点に着目した文量が費やされているのも好きだ。
・魅力的なキャラクタ
主人公以外にもメーンヒロイン二人蒼崎青子と久遠寺有珠を筆頭に沢山の魅力的なキャラが登場する。
個人的に気に入ったのは、青子の姉であえう蒼崎橙子とその姉弟子の周瀬律架の二人。
絡みのあるシーンはワンシーケンスのみだが、印象深くもっとこの二人の絡みが読みたかった。
なお周瀬律架が本格ミステリを好んでいる設定も面白く、番外編での推理をしたがりゴネるパートの可愛さは一押し。
・三咲町
キャラクタにばかり着目したが、本作の真の主人公は町そのものだった。
群衆劇ではありがちな感想になるが、本作は主な視点人物は二人の三人称視点なので、色々な登場人物がいるから街が主役だと感じるのではない。
相互理解が必要な多様な価値観が生まれるには、生きていくだけでない余暇が生まれる町があってこそだからだ。
田舎の自給自足でも物々交換でもない、町の資本主義の貨幣経済が発展することで、はじめて彼らが自身の独自の価値観を持つことが出来、伝奇物らしい魔術師という独自の価値観さえもその一種にすぎない。
だから、草十郎と青子の二人が相互理解を深め、それでもまだ理解し合えない魔法使いの夜の主役は町なんだと思った。
・謎を残す蒼崎の魔法
彼女が使う蒼崎の魔法は全容が明らかにならないまま終わっている。
消化不良なわけではなく、草十郎よろしくわからないものはわからないまま理解をしたので、作品として不満があるわけではない。
ただ、作品を通うじて、価値観の相違と理解、それが生まれる土台には住む町の文明化が進むことが不可欠である主張などから、人の関係値をエネルギーに変換するみたいなことかなあと思いました。
・おわりに
ビジュアルノベルとしてルックもテキストの両面が優れており、ジャンルを代表するような世間一般の評価も納得だった。
ストーリーも発展が進み近代化していく町で、それについていこう理解していこうと草十郎が試行錯誤するパートがよかった。
彼にとって、伝奇パートにおける魔術も、日常パートにおける電化製品も乗り物も同じぐらい未知の物なのが、よくできた設定で面白く読めた。
○ご飯
朝:なし。昼:牛丼。サラダ。豚汁。たまご。夜:袋ラーメン。タマネギの生姜ニンニク炒め。間食:なし。
○調子
○ 刑事J.B.ハロルドの事件簿 マーダー・クラブ
1986年に発売されたコマンド選択式ADVの Switch版リメイクを遊んだので感想を書く。
根幹は80年代に発売されたゲームから変わっておらず、とにかくコマンドを総当たりで試していき、容疑者達に聞き込みを繰り返していくゲームだ。
20人以上の容疑者が街に点在しているので、ひたすらに彼らと何度も会話していき事件の概要を少しづつ浮き彫りにしていく。
殺人事件の犯人を追う王道のミステリだが“謎解き”の部分は主題に置かれておらず、推理よりも聞き込みで情報を足で稼ぐ過程がゲームになっている。
この辺は、かまいたちの夜以前とか、逆転裁判以前などとADVの歴史をそれらしく語ることもできるが、そもそもこの辺は近似ジャンルである本格ミステリ小説やパズラー小説が本格ミステリ冬の時代(この用語の是非についてもそれはもう語るべき内容が山のようにあり、あたかも自明のごとく使うことはよくないのだが、あくまで近似ジャンルの話題なので勘弁して欲しい)と呼ばれていたことと無関係ではないだろうし、エンタメとして包括した考察が必要なので大仰な歴史の話はやめておく。
そんなわけで、ひたすらに聞き込みを繰り返しながら事件を捜査していく。
大勢の登場人物に加えて、動機のラインが複数本あるのでそれらを整理しながら徐々に情報が集めていく。
情報が積み重なっていけば容疑者を重要参考人として取調室へ連行できるので、そうやって少しづつ街から容疑者が減っていき情報の整理が目に見えてわかるのが楽しいポイントだった。
しかし繰り返しになるが解くべき謎が提示されるわけではなく、淡々と情報収集を繰り返していくと、容疑者たちが自発的に口を割っていくので、読み物としての物足りなさは否めない。
登場人物も写実的でフィクションらしいキャラクタの肉付けもないので、本当に淡々と進んでいく。
古いゲームを少し古い言葉で評してしまうが、キャラ萌え要素は全くない。
決してそれが面白くないわけではなく、捜査と聞き込みの繰り返しがコマンド選択式ADVの魅力であり、動機のラインが複数ある中からそれを選定していくのは物語ではなくゲームとしての楽しさ、面白さにはなっている。
主人公のJBハロルドについても作中で人間性がわかるような描写はほとんどないものの、それだけにエンディングの一枚絵で酒とタバコを嗜む姿がハードボイルドな大人の魅力を感じられていいスチル絵だった。
歴史の雨風に負けない風化しない面白さの強度がテキスト重視のゲームは強い傾向にあるが、テキストの面白さをシステムと密接な関係にある今作は、やっぱり少しゲームの歴史のお勉強感というか、義務感というか、セールで安かったし感というか、そういう少し本筋とは外れた部分での満足感の方が強かったかもしれない。
(なお、完全に余談だが冒頭で書きかけた新本格の隆盛についてを小説ではなくエンタメとして包括したときに、名探偵コナンの存在を軽視する私の有り様を強く批判するもう一人の私がいるので、どこかで名探偵コナンの振り返りを行いたいと考えているが、これこそお勉強として読むコナンは面白くないだろうし、僕はミステリの歴史家になりたいわけではないので、うーむと思っているのだが、名探偵コナンの家庭用ゲームを追うのは有りな気もしており悩ましい)
○ご飯
朝:朝マクドでマクド揚げたお芋さんを食べたで。昼:イカフライ。豆菓子。クッキー。夜:納豆軍艦。オクラ軍艦。ツナマヨ軍艦。サラダ軍艦。たまご。おみそ汁。間食:なし。
○調子
あの阿智太郎が脚本を担当しシルバースタージャパンよりリリースされたチャットツール風のUIで楽しむノベルゲーム。
元々はスマートフォン向けゲームだったがSwitchに移植されたバージョンをプレイしたので感想。
南極で発生する謎の電磁波調査していた隊員達から突如プレイヤーの元へ救助を求める連絡が入るという余談無しのホットスタート。
何故プレイヤーの元にチャットが届くのか、謎の電磁波はなんなのか、何故遭難したのかなど、魅力的な謎が開幕から引き込ませてくれる。
そしてプレイヤーの選択肢がチャットツールへの投稿という形で物語に影響を与えていくのが面白い。
チャットツールのUIを模しているだけあって、キャラクタの立ち絵や背景絵やスチル絵といったグラフィカルな表現はいっさいない。
かろうじてチャットツールの背景の色と、書き込みの吹き出しの色が数少ないアクセントになっている。
しかし、ケレン味はラノベ作家でゲームライターとしても実績がある阿智太郎の作家性で補われており、物足りなさは感じなかった。
キチンとこのチャットツールUIで魅せるストーリー展開に、わかりやすくキャラを立たせる端的なエピソードにと、安易な流行りに乗ってるわけじゃなく、境界領域だからこその魅力に繋がってたのが好印象。
特にキャラ立ちについては立ち絵がない、全体のボリュームは少な目というマイナス点がありつつも、バッチリ決まっていた。
読者のパートナーになる女子大生、責任感の強い隊長、太っちょの学者、独身を気にする妙齢の女性、謎多き探検家とベタな設定だけに会話だけのテキストでもしっかりとやりたいことがわかって良き。
パートナーのキャリーは良くも悪くも普通の女子大生だが、人に感化されやすく流されやすい性格なので、チャットツールへ読者が投稿した選択肢を受けてコロコロと機嫌が変わるのが可愛らしい。
南極で遭難してひとりぼっちな極限状態だが、人好きのするコミュニケーション能力高めで陽気な気質が伝わってくる良いキャラだった。
また30代前半で結婚に強い拘りを持つケイトさんには、ちょっとエッチな展開が待っており、スチル絵も立ち絵も無いからこそ、僕の頭の中ではエゲツないエッチな想像の羽ばたいた。(おしむらむら舞台が南極である点、蒸し暑いジャングルにすればよかったのに)
ストーリーとしても数時間で終わる少な目なボリュームの割には、サイエンスフィクションらしい壮大な展開が待っておりそれなりに楽しめた。
スムーズに物事が展開するパートが多く、じっくりと議論をして整理するパートがないのは僕の好みとは違っていたが、このスピード感も良い意味ではサクサク遊べて楽しい面もあった。
○ご飯
朝:玄米ブラン。昼:豆腐、エノキ、たら、ニンジンの鍋。たまごおじや。夜:唐揚げ。ブロッコリー、ほうれん草、にんじんのスープ。ナポリタン。間食:プリン。アイス。オーザック。
○調子
○人形の傷跡
公称ジャンルは“サイコホラー”なノベルゲームで、90年代後半同人ゲームの移植版を遊んだ。
連絡がつかなくなった大学生の姉を探すために上京した上条明日美が主人公。
上京したはいいものの、同じ大学の学生や事務員に聞いても姉のことは誰も知らない上に、所属している研究所はなにやら怪しい気配が漂っていて恐ろしいという導入。
開幕早々怪しい展開が続くが、本当にただ読者を怖がらせたいだけで、物語的にはあまり意味のないビックリ要素も多々あるのは好みが分かれそう。
ストーリーは二転三転かなり目まぐるしく状況が変わっていき、その時々でホラーらしい恐怖展開が繰り広げられる。
視点人物の認識そのものに恐ろしい何かが秘められている展開などは、まさにサイコホラーらしさ。
それでも上条明日美の根底にある姉を見つける意思は疑いようの無い気持ちであるのが、ホラーと感動のバランスをとろうとしている試行錯誤が見えて興味深い。
恐ろしいビックリする展開はふんだんにあって、確かにどれも怖かったのだけど、それ以外のストーリーの筋は緩急の変化がなく、ずっと急いでいる激しい展開が続く。
このキャラクタがどんな人間なのか? とそもそも興味を抱くシーンすら少な目なので、次から次へと展開する驚きの展開に終始振り回された。
途中でダレることなく一気に走り抜けているので、作風としてはちゃんと一貫していた。
ただ、日常パート的なキャラクタの好意を抱くようなエピソードがかなり少ないわりには、人間としての好意がエピソードの芯にあるため、読んでいる側からすると若干唐突に感じる展開も多数あった。
とはいえ、この辺には大落ちに繋がる重要な設定の影響もあり、移植版で追加されたザッピングシナリオで補完されているので、製作陣も重々承知していて割り切った部分なのだろう。
これはもうジャンル全体を包括したような乱暴な感想になってしまうが、段取りを省略することで唐突な驚きと恐怖を演出すること自体が、良くも悪くもなんらかの解決を求めないホラーらしい展開だった。
僕の好みとしては、キャラクタの個性を魅せる場面や、物事の段取りを立てるパートがあると嬉しかったのだけど、それらが省略されているからこそのホラーだと主張されると返す言葉が出ない。
感覚の話。
好きなポケモンは? と聞かれてピカチュウと答えずベトベターと答えたい。
好きなデジモンは? と聞かれてアグモンと答えずガードロモンと答えたい。
好きなガンダムは? と聞かれてRX78-2と答えずシルエットガンダムと答えたい。
みたいな、メジャーどころを避けて答えたいオタク素振りがあると思う。(ベトベター、ガードロモン、シルエットガンダムの是非は置いといて、メジャーじゃないと言いたいだけです)
けど、好きなたまごっちは? と聞かれても、まめっちを避けたくなる気持ちはない。まめっち好きだし。
サンリオキャラクタも、キティさんやマイメロと、てらいなき答えれる。好きだし。
けど、メダロットはメタルビートルやヘッドシザースとは答えられない。好きなのに。トラップスパイダかな、りんたろうでの出番が印象的だし。
好きな遊戯王のモンスターは? には、ブルーアイズやカオスソルジャーと言える。
不思議だな。この差はなんだろう。
好きなカービィのコピー能力は? これにカッターやソードやプラズマとは言いたく無いな。ヨーヨーかな。(いや、ヨーヨーカービィはショタっぽいからそっち方面ではメジャーなのか?)
じゃあ、好きなはてなブックマーカーは?
dasuzodasuzoさーん! 好きだよー!
(これメジャーどころだと解釈しても、そうでないと解釈しても不愉快な気持ちになるかな? ごめんね! リドルストーリー増田だから答えは読者が考えてね?!)
○ご飯
朝:お椀で食べるチキンラーメン。昼:カロリーメイト。玄米ブラン。夜:人参と大根のスープ。目玉焼き。ナポリタン。間食:チョコ。プリングルス。
○調子
○和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE
抽象化されたドット絵で謎解きの雰囲気を演出する短編ミステリアドベンチャーゲーム。
スマートフォンで展開していたエピソード3作に加えて新作エピソードを追加した移植版を遊んだ。
昭和の世界観なレトロな雰囲気を演出するためだけでなく、この作品独自の演出やストーリー展開のためにもドット絵の表現が生かされているのが面白かった。
タバコの煙が醸し出す昭和の空気感に、キャラクタの顔がわからない程度のドットなど、なるほどこの作品はこのビジュアルじゃないと成り立たないなと腑に落ちるのが心地よかった。
システム面はオーソドックスな探偵もののADVらしく、人への聞き込み、証拠品や現場の調査を繰り返してキーワードを集めていき、それらから正しい選択肢として選んでいくお馴染みのそれ。
かなりサクサク進み、とんとん拍子に証拠品証言が集まっていくので、いっさいだれずに捜査を進めることができた。
ほとんどミスリードや捜査が空振りする展開がないため、悪く言うと遊びがないとも捉えれるが、僕は無駄なく綺麗にまとまっていると感じた。
とはいえ文量のボリュームは少な目なので、ある程度は、そういうものとして前提を飲み込まないといけない部分もあった。
それが欠点ではなく、物語に良い意味で余白を残していたからだと思う。
表情がわからないほどに荒いドット絵ながら演技の表現が入るため、そこに見入るような熱があったのが余白を感じれた理由の一つ。
そして何より、今作最大の魅力である捜査終了後のサプライズ要素。
4作品全てでこのサプライズ展開が徹底しているのはお見事だった。
短編だからこそ“お約束”として触れないと思っている部分に容赦なく触れていく、どんでん返し系の構図は驚かされた。
流石に3作目や4作目になると身構えるので、ネタ自体は予測できたものの、魅せ方の工夫が効いていて面白かった。
どのエピソードも良かったけど、あえて一番を選ぶと、2作目の「隠し神の森」。
狭い村の人間関係を調査するパートが楽しいし、恒例のサプライズ展開もそこをズラすかあ、と感服した。
あと孫がいる年齢の男女が老いて尚お盛んな描写がエッチなんだけど、ビジュアル面がドット絵なのでイヤラしくないのも抑え目な表現がいい味。
勿論他のエピソードも面白く、1作目ながらシリーズの魅力が詰まっている自己紹介的な「処刑人の楔」、虚構と真実の境目で迷う主人公を俯瞰する楽しみがある変格っぽさもある「影法師の足」、オーソドックスな館物ながらシリーズを通して遊んだ後のご褒美的な側面も嬉しい「指切館の殺人」と、どれも楽しかった。
どのエピソードも、短編ながら捜査の楽しみと、謎解きからのサプライズ展開と、文量という意味ではなく、体験という意味でのボリュームはしっかりあるので、プレイ時間(4時間ほど)の割には満足度は高い。
ただ、謎解き部分はかなり真っ直ぐな構成であり、謎らしい謎が少ないところは、少し僕の好みではなかった。
道中の捜査の楽しみも、勘所は抑えられているとはいえ、流石にボリューム的に遊びの文章が少ないのも惜しかった。
windows 98/95時代のゲームである。
簡単に言うとTGL社のファーランドシリーズに似ていると聞く。私は比べたことはない。
このゲームの凄いところは、魔法に該当するアーツというもののグラフィックである。
当時のゲーム、それもシミュレーションRPGのグラフィックとしてはかなり凄いと思う。
有限会社バロックはマイナーな会社だがよくこれだけ作ったと思う。もしかして外注だろうか?それにしたってどこに外注したのかと思うし。
また音楽も凄い。
シミュレーションRPGだが編成というか戦闘に参加する人数の選択はなし。
編成する楽しみが無いと思うか、シンプルで良いと思うかは人それぞれだろう。
ゲームの終盤は全体攻撃アーツを連打するゲームになってしまうと聞いたことがあるが、
このエレメンタルアーツ、韓国ではファイナルタクティクスという題名で出ているそうだ。
このファイナルタクティクス2は日本でいうとエレメンタルアーツ2というべきだろうか、しかし日本でエレメンタルアーツ2は発売していない。
ファイナルタクティクス2は韓国で独自に発売した作品のようだ。
エレメンタルアーツは成人向けで出して欲しかったという意見も見かけたが私はそれには反対である。
一般レーティングで良かったと思うし、出来るならパソコンではなくてコンシューマで、例えばプレイステーションやセガサターンなどで発売して欲しかったと思う。
当時のプレイステーションなどではやはりこのグラフィックが出せないだろうか。
バロックはすでに法人が無くなっているようでPS5やNSへの移植も望めない。
残念な限りだがこのゲームを他の人にも知って欲しい。
解説動画に遵法意識があるのかってのは別にして、ゆっくりとかで有名な立ち絵素材はそういった解説動画を大前提に作られておりAviutilなどでも扱いやすく、さらに権利関係も緩い
オリキャラの立ち絵は結構あるし、今はvoicepeakなどのようなほぼ人の声といっていいクオリティの音声が出せるため、差別化をしたい人はそういうのを使ってる
ただしオリキャラはむしろゲームとかで使うことを想定しておりPSDで配っていることは少なく、また動画配信でのアバターとして利用することが嫌う風潮がある
また、そもそも声とキャラクタの印象が合致していることも多いので完全オリキャラだと解説動画なのか単なるVtuberなのかわかりづらい
例えばずんだもんや琴葉茜であればすぐに「これは解説だな」と分かってもらえるけど、西洋甲冑の女だとよほどの知名度と力量がないと初見には何の動画かわかってもらえない
そのためみんな同じようなキャラが多くなる
○ご飯
朝:りんご。昼:カロリーメイト。夜:温泉たまご。ナポリタン。ニンジンスープ。リンゴ。間食:柿の種。チョコ。
○調子
○ マヨナカ・ガラン
キリスト教徒の橘はもるるは、過去に迫害されてきた隠れきりしたんが集まる大臼村の歴史や伝承を編纂して欲しいと頼まれる。
隠れきりしたんとして正道ではない信仰が育った村を調べていく内に、村の秘密にも迫っていくオカルトホラーノベルゲーム。
3Dキャラクタの人形劇と字幕を読む形式でノベルというよりは、アニメの方が近い読感かもしれない。
この辺はノベルゲームもまたゲームでありボタンを押して反応が返ってくる文章送りの気持ちよさがあり、本作はキャラクタの演技が入るためそのテンポが異なっているみたいなジャンルを包括した感想もあるんだけど、あんまりマヨナカ・ガランの話じゃないのでやめておく。
3Dキャラクタが常にステンドグラスが透けている独特な表現については、文章で説明するのが難しいので実際に動画を見てもらいたい。(スクリーンショットだとよくわからないと思う)
最初は村の調査のため、村人たちとのほのぼのとした交流シーンが中心になる。
昔話を通じて歴史を考察したり、キリスト教との向き合い方を考察したりなど、優しい雰囲気で進んでいく。
村人たちも名前や固有のグラフックのないモブなものの、独特なキャラ立ちがされており、印象的なシーンがいくつもある。
この辺は名前有りのキャラが5人ほどしかいないため、予算面の問題もあるのだろうけど、このゲーム独自の個性としてむしろ良い意味で楽しめた。
独自の進化を遂げた正道とは言い難いこの村の宗教への向き合い方に否定的で、村の外で大勢の人に信仰されている正道なキリスト教への憧れがあるキャラだ。
彼のこのギャップがとんでもないことになっていくのだけれど、辛いお話だった。
公称ジャンルにホラーが入っている通り、中盤からは雰囲気がガラッと変化し、恐ろしいストーリーが始まる。
この切り替わりの瞬間はかなりゾクゾクさせられて、一気に作品の中にのめり込まされた。
序盤に村人たちとの交流に文量を割いていたのがここから一気に意味が変わってきて、ギャップが本当に怖かった。
そして、生きるとは、死とはなどの、壮大なテーマが展開していく。
正道なキリスト教と、隠れキリシタンとして違った進化を遂げた大臼村の教義との対立も描かれていて、難しい部分もあった。
作中オリジナルのそれは文量が割かれているのだけど、本来のキリスト教の教義についてはあっさり目なので、僕自身に知識の無いので少し置いてきぼりになってしまったのが惜しかった。
3時間と少しのボリュームなので、ホラー展開が始まってからはサクサクと話が進んでいくのも、思想への理解が追いつかない原因だったかも。
大臼村独自の宗教観から来る絶望的な展開は読み応えがあったので、ホラーとしての割り切りもあったのだろう。(説明しすぎてしまうと怖くないからかな?)
後半からは村の神父でありながら、独自の宗教観を否定して正道なキリスト教に殉じようとする岡田黒洲の出番が増えていく。
彼のこのギャップをキチンと理解できたわけではないのはモドカシかったが、最後の最後、オーラスは彼の目線からこの世界に対する慟哭で物語は終わる。
○ご飯
朝:ナポリタン。昼:アルフォート。夜:ナポリタン。温泉たまご。モヤシとニンジンと椎茸のスープ。間食:チョコ。アルフォート。
○調子
和風伝記百合ゲームアカイイトと世界観を同じくするアドベンチャーゲーム。
剣道部の夏合宿でとある田舎にやってきた小山内梢子が、砂浜に漂流していた記憶喪失の少女と出会うことから始まる。
序盤は学生の主人公たちの楽しい交流シーンが丁寧に描写される。
衒学趣味がたっぷりボリュームあるのは賛否両論がありそうだけど、僕はそこは楽しかった。
僕が苦手な歴史のエピソードも丁寧に説明してくれるし、衒学趣向あるあるな語源の話も嫌いじゃない。
食事のシーンですら味の描写はそこそこにメニューにまつわる歴史や宗教の話を延々と喋るのは徹底してて好き。
しかし、その序盤を終えて個々のヒロインのルートの入ると途端にクオリティが落ちる。
まず文章の量が全く足りていない。
ヒロインと主人公の恋愛パート、和風伝記として序盤に前振りしていたバトルパート、記憶喪失の少女やその田舎の風習にまつわる謎解きパートなど、全てがあっさりさくさくまるで粗筋を読んでいるかのように進んでいく。
そのくせ、衒学趣味自体の一貫性はあるので、バトルパートで敵と向き合ってるときにすら語源や歴史の話をしだしてそこはしっかり文量が確保されていたのは笑ってしまった。
スチル絵の整合性を合わせるために無理やりなストーリー展開が多発するのもよくなかった。
また個別のヒロインルートが始まってからも、日常的な遊びのエピソードが唐突に挟まるせいで、遊んでる場合じゃないだろ感がキツかった。
そのせいで攻略可能なヒロインよりも、日常パートの非攻略ヒロインの方が思い入れが強い。
とはいえ、別にそれらのキャラも雑談のシーンがあるだけで好きにはなれなかった。
結局、僕が好きになれたキャラクタが残念ながら一人もいなかった。
攻略ヒロイン5人のルートを終えると読めるグランドエンディングも、ツギハギ感が強く楽しめたところが無かった。
システム的にも選択肢とフラグの立ち方の因果関係が飲み込めず、やたらと多いバッドエンドに納得がいかず不快だった。
またやたらと複雑な分岐に制作者も振り回されてる感があり、選択肢で開示される設定を整理しきれていない感があった。
前作のアカイイトがめちゃくちゃ面白かったのでハードルが上がりすぎていて、ちょっと期待度のコントロールを間違えたのかも。
ずいぶん腐してしまったが、序盤の共通ルートのワクワク感は楽しかったし、歴史に学がある人なら僕が気付けなかった隠喩や伏線に唸るシーンがあるのかもしれない。
(最後、唐突に右腕が伸びるやつは多分何かの歴史的文脈があるんだろうなあ、僕は知らないからなんか伸びた! って思っただけだけど)
○ご飯
朝:袋ラーメン。昼:ナポリタン。夜:天かす梅干しウドン。ベーコンエッグ。間食:ハッピーターン。パイの実。
○調子
○ LOOPERS -ルーパーズ-
・はじめに
綾辻以来の天才(シンホンカクコノカタノテンサイ)竜騎士07と、Keyのコンビが送るキネティックノベル。
位置情報を利用したリアルな宝探しゲームが大好きなタイラが延々と8月1日繰り返す時間の渦現象に巻き込まれ、同じくループする時間に囚われたルーパーズを自称する面々との交流を描いた、宝探しを題材にした短編ノベルゲーム。
短いボリュームながらギッシリ中身が詰まっためちゃくちゃ面白い作品だった。
カラッとした明るい雰囲気で、ハイテンポにエピソードが展開していくんだけど、作品の中核を成してる宝探しの醍醐味をヒロインが理解していく過程は丁寧に文量も多めなので、緩急のバランスもバッチリ決まってた。
彼の前向きで一貫した明るい性格と、宝探しの魅力をプレゼンするくだりが、今作の魅力の大半を占めている。
個性的な主人公と一言で分類することが勿体無いぐらい、とても良いキャラクタだった。
開幕最初のエピソードで、いきなり宝探しで初対面の女の子の心を鷲掴みにするところから始まり、徹頭徹尾宝探しは楽しいと主張し続ける。
勿論ただ口で伝えるだけではなく、言葉を尽くして、行動して、とにかく宝探しの楽しさを伝え続けてくれる。
嫌味なところがいっさいない、根明な性格なんだけど、それすらも実は宝探しが根底にあると来たら、一貫されてて、宝探しは楽しいという大前提を受け入れるしかない。
一事が万事、全て宝探しに繋がるのは流石に度が過ぎていたような気がするものの、遊んでいる最中は本当にそんな気がしてくる奇妙な説得力があった。
彼の明るさと宝探しゲームの楽しそうさから伝わってくる、繰り返しの時間だって楽しいじゃんな価値観は独特な味わいだった。
そんなタイラのカップリング相手になる、年下で感情の起伏が少ないタイプの女の子ミア。
明太子が好きでそればかり食べているというらしさや、感情表現が苦手だったのに徐々に笑顔になるシーンが増える可愛らしさなど、物語のヒロインをしている。
特に彼女の見所は、タイラの魅力を引き立てるかのように、宝探しの魅力へ素直にドンドンとハマっていくのがストーリーの主軸になっている箇所だ。
宝探し初心者がハマっていく過程が丁寧に描写されていて、なるほどこれは楽しい遊びだなと、彼女の目線だからこそ理解できていく。
宝探しは楽しいを腑に落とさないと今作のストーリーに感情移入が出来ないので、彼女の素直さはある意味ではストーリーをスムーズに進める都合、ある意味では宝探しがそれだけシンプルに楽しいことを伝える指標のようにもなっていて、文量の少なさを逆手に取った良い設定だと感じた。
おバカでレオナのことが大好きなヒルダと、頭が良くてヒルダのことが大好きなレオナの、女子高生同士の関係も凄く良かった。
おバカなレオナは思う込みが強くすぐヒルダの瑣末な嘘に騙されては、怒って頭突きをかますやりとりがお馴染みで、お互いがお互いに構ってちゃんなのがとても良い。
二人の関係値によって奇跡が起こる部分は開発会社らしさも感じる泣ける展開になっていて、展開と文章をボイス、スチル絵、BGMが彩る正にど直球なアドベンチャーゲームの魅力あるシーンだった。
・ルーパーズの面々の掘り下げは物足りない
タイラとミア、ヒルダとレオナの2組のカップル以外にも、ルーパーズというチーム名で同じくループに巻き込まれた幾人かのキャラが登場するが、彼らに関してはボリューム不足を感じた。
それぞれお当番エピソードがあるのに、3人セットで一気に消化したり、省略されている部分が多くて物足りなかった。
趣旨は伝わるし、彼らが力を合わせるときに取ってつけたような悪印象があるわけではないので、このゲームが好きだからこそもっと遊びたかった。
・宝探しとは?
タイラの語る宝探しとはの答えを書き下すことは過剰なネタバレになると思うのでしないが、このくだりがとても良かった。
本格ミステリにおける、パズラーやフェアプレイの精神などにも通じるところがある、良い意味で抽象化された”ゲーム的な“解答が本作には用意されていてすごく好印象だった。
時間がループしなかったことになるからこそ、悪く言えば他人事、良く言えば客観的に遊べることを肯定する価値観がしっくりきたのだろうか。
この辺りは、ライターの竜騎士07さんの過去作品(やインタビューや後書きなど)も踏まえた感想もいくつか思い浮かぶので、もう少し遊んだらそういう点でまとめてみたい。
・おわりに
タイラの魅力的なファーストインプレッションそのままに、一気に走り抜ける爽快な作品だった。
ちょっとボリューム不足は否めないものの、とても楽しくて大好きなゲームだ。
見知ったループものの楽しい側面と、宝探しという言葉は知っているけど楽しさの中身を知らないものとが合わさることで、とにかく楽しいことがいっぱい詰まっていた。
[U] 『ガチャピン』/Gachapin (L.Green 'R')
=== Num:441 Lev:29 Rar:2 Spd:+10 Hp:990 Ac:90 Exp:500
彼は通常地下 29 階で出現し、素早く動いている。
この自然界の邪悪なるモンスターを倒すことは 1 レベルのキャラクタにとって 約4833.33 ポイントの経験となる。
彼は悲鳴で助けを求めることがある。
彼はカオス(165)や放射性廃棄物(330)のブレスを吐くことがある、なおかつ的確に魔法を使うことができ、
悪臭雲(12d2)、魔力吸収(29+d29)、目くらまし、混乱、減速、暗闇、記憶消去、ヒドラ召喚の呪文を唱えることがある(確率:1/3)。
彼は水を渡ることができる。
彼は毒とカオスの耐性を持っている。
彼は混乱しないし、眠らされないし、テレポートされない。
○ご飯
朝:松屋のソーセージエッグ定食。昼:カラムーチョ。たけのこの里。夜:ベーコン、にんじん、エノキ、玉ねぎのコンソメスープ。だし納豆豆腐。目玉焼き。バナナヨーグルト。間食:アイス。
○調子
○ FatalTwelve
・はじめに
突然のテロに巻き込まれて死んでしまった女子高生の獅子舞凛火は、同日同時刻に死んだ12名の内たった一人だけが死の運命を覆すことができる「女神の選定」に巻き込まれる。
そのルールは、週に一回日曜日に氏名、死因、未練の三つ指名することができ、指名されそれが当たっていると脱落し一時的に覆されていた死の運命が遡ってしまう、そしてたった一人になるまで12週繰り返すというもの。
勝者が一人だけのデスゲームものという味わいもあるにはあるものの、主題は不意の死に巻き込まれてしまった主人公の獅子舞凛火がどうそれと向き合うのか、そして同じく「女神の選定」に巻き込まれた友人の未島海晴との関係値はどう変化していくのかにあると感じた。
毎週日曜日に他のプレイヤーから氏名、死因、未練を当てられたら死んでしまう極限状態ながら、主人公の獅子舞凛火の通学、祖母の経営する喫茶店の手伝い、友人達との遊び、テスト勉強などの日常描写がたっぷりある。
先手必勝で他のプレイヤーの情報を調べた方が絶対有利なんだけど、かなりまったりしている。
もちろん物語が進行していくにつれそうも言ってられなくなる展開もあるにはあるものの、学校に通うことは最後までやめない。
特定の人数を明記した登場人物に、明示されるゲームじみたルールながら死を強制する恐怖と、デスゲームっぽい導入ではあるものの、知略を張り巡らす緊張感のある展開はかなり控えめ。
勿論それが良い悪いではなく、この作品の目指すところはそのような極限状態であっても、日常を過ごすことの尊さを書こうとしているのは明白だったので、これはこれで楽しめた。
特に喫茶店の描写、コーヒーを飲んだり軽食を食べるシーンが多くあるのも好み。
この辺のスチル絵に差分が多めなのもやろうとしている趣旨がそこにあることの証左だろうか。
日常描写だけで話を引っ張っている訳ではなく、そこに花を添えるのが獅子舞凛火、未島海晴、日辻直未の女性だけで構成された三角関係だ。
主人公の獅子舞凛火はぶっきらぼうながら根は優しく、一つ年下の後輩でドジっ子メガネの日辻直未が失敗するとフォローしてくれる。
そんな二人の微笑ましい関係を不機嫌そうに眺めるのが、長髪ロングで清楚系ながら僕っ子の未島海晴。
海晴は明らかに凛火のことが好きなのに、鈍感な凛火は気付いておらず、海晴より直未を優先する姿に、関係が拗れていく。
この三角関係描写にはかなり文量がさかれており、主に海晴と凛火の二人の視点から恋愛模様が楽しめる。
特に「女神の選定」に巻き込まれながらも、最初から覚悟がガン決まりの海晴のストーリーは面白かった。
はっきりと恋愛の話であると断言されているのも好印象で、かつそれに対して強い否定的な意見を言う人がいないのもノンストレスで楽しめて良かった。
そんな三角関係を陰ながら支えている小熊真央が風格ある良い役で、僕は彼女が一番好きなキャラだ。
鈍感な凛火に気づきを与え、海晴のメンタルをフォローし、直未の真意を探ると縦横無尽の大活躍。
「女神の選定」とは一才関係ないにも関わらず登場頻度とその重要度合いが高く、優れた人間性を魅せる場面が多々あった。
特に海晴のメンタルが限界なことを察知しつつも、ベッタリと距離感を詰めるのではなく、あえて距離を置きつつも、いつでも電話に出られるように臨戦体制を取り続ける様は今作屈指の名場面だった。
異常な生死をかけたゲームだけじゃなく、彼女が日常を送りながらギリギリのラインで友人達の関係値のバランスを取るのに一生懸命なシーンがあるのも、このゲームの主題がどこにあるのかを示唆する一端だった。
メインキャラ達以外にも「女神の選定」の参加者はおり、彼ら彼女らも視点人物になりそれなりの出番がある。
とはいえ「女神の選定」と関係ない恋の鞘当てに一生懸命な女子高生達をさっさと片付けられない時点で、ガチ勢と呼んでいいのかは怪しいかもしれない。
そんな面々の中でも僕が気に入ったのは以下の2名。
まずはイタリアの元マフィアながら、ヘタレで序盤から負けが続くも男を魅せるシーンもあるフェデリーコ。
コナをかけていた海晴が女性同性愛者であることを知ると、それならそれの遊び方が提案できたのにと遊び人らしい最後の言葉を残すシーンは、ヘタレな女好きキャラとしての一貫性があって、良くない行いをし続けてきた彼らしさがあった。
もう一人は、ジャーナリストで正義のためにしか行動しないと誓っているスケールさん。
まあこういう生死がかかったゲームをやってる中で正義とか言い出す奴がどんなやつかは想像しやすいんだけど、ちゃんとその想像通りのキャラ。
大言壮語が過ぎる上に自身の死が迫ると表れる人間らしさが、物語を彩ってくれた。
このゲームのらしいところは、生死がかかったルールを設定しておきながら、もう生死について腹を括っているキャラが何人もいることだろう。
覆された死の運命をただの幸運、ロスタイムと捉えて、他人を蹴落とすことよりも人生をエンジョイする時間に使う面々も何人かいた。
家族のいない孤独な老人牛塚さんと持病による死が延期になっただけで直近の死は変えられないソーニャについては、その意識が強かった。
だからといって面白くないわけではなく、彼らの生き様が他の面々に影響を与えたり、日常を過ごすことの尊さを再認識させてくれたりと、物語としての役割がちゃんとあるのが面白かった。
・おわりに
生死がかかったルールのあるゲームに巻き込まれた極限状態と、女性三人による恋の駆け引きとが同列、あるいは後者の方が重要に扱われている構成の妙が面白かった。
この極限状態だからこそ恋愛の様相が変わってくると、それぞれのエピソードのリンクはしっかりしているので、通して遊ぶと違和感は薄い。
デスゲームに巻き込まれていないにも関わらず、めちゃくちゃ頑張った小熊真央さんにはキャラクタ全員感謝を示すべき。
小熊真央さん本人の幸せについては一切触れられていないので、是非とも彼女が恋人を見つけるなり、何か趣味で良いことが起きるなりの、ハッピーな後日談を見たい。
○ご飯
朝:コーンフレーク。昼:ナポリタン。夜:豆腐、えのき、ベーコン、にんじん、オクラ、玉ねぎの鍋。たまごやき。間食:チョコ。
○調子
・はじめに
ケムコとウォーターフェニックスのコンビが送る文明が崩壊した世界で何故か稼働し続けるVRMMORPG「アーキタイプ・アーカディア」を巡る、熱く燃える熱血ノベルゲーム。
作中人物達が遊ぶ「アーキタイプ・アーカディア」はゲームの設定が作り込まれていて、それを遊ぶ様がまず楽しい。
そしてそんなゲームを遊ぶ日常がいつの間にか世界の命運を巡る壮大な物語に広がるんだけど、あくまで個人の良いところもあれば悪いところもある生き様の格好良さで魅せる展開が多めの沸るシナリオが面白かった。
主人公のルスト、その妹クリスティンの二人っきりの旅から始まる物語が数多くの人を巻き込んでいきどんどん話が広がっていくのも群衆劇っぽくて好み。
メインキャラ、サブキャラ問わず、どのキャラも重要な役割があるを序盤から繰り返しやってくれるので、回想シーンやサブキャラの掘り下げが繰り返されるパートもダレずに楽しめた。
VRMMORPG「アーキタイプ・アーカディア」内の出来事が物語の大半を占めているが、このゲームがよく考えられている。
ゲームにログインすると、今までの人生で印象に残っている記憶のカードが4枚入ったアルバムもらえる。
アルバムからカードを取り出して呪文を唱えると、その記憶を媒体としたアバターが召喚されるので、アバター同士で戦うPvP。
アバターは人それぞれで、ごっこ遊びの記憶から剣や銃や石といった直接攻撃系もいれば、愛し愛されの記憶から回復系、単純な乗り物の移動系、辛い出来事を耐え忍んだ防御系、複雑な事情が能力からも伝わる状態異常系などなど、記憶の出来事とゲームっぽさとが融合している。
他にも色々とルールはあるのだけど、記憶と共に戦うから、戦闘を通じて対戦相手の過去も理解していくストーリーと密着したシステムになっている。
そのため、ゲームの中のバトルがそのままキャラクタの掘り下げになっていて、バトル描写が退屈しない。
お歌で戦うアバターだから元アイドルなのかな? 縄のアバターで縛る子はSM好きか? など敵の記憶を予想しながら楽しく遊べた。
全員分の掘り下げがあるわけじゃないのが残念なところだが、主人公が持つ4枚の記憶カードについてはじっくりたっぷりストーリーが楽しめる。
他人と記憶カード交換することもできて、そうするとその能力だけでなく記憶そのものも受け取ることになるので、主人公だけでなく他のキャラクタ達の掘り下げも多い。
物語が進むと色々なシステムによってそれだけじゃない手段でも記憶カードの中の記憶を辿るストーリーが楽しめる。
・翔太が可愛すぎる
そんなカードのやり取りで記憶の一端が描かれるメインキャラの中でも一際惹かれたのが翔太。
見た目と表向きの態度は可愛い思いやりのある女の子で記憶カードでは回復を使える優しい子なんだけど、VRMMORPGのキャラメイクシステムを使って女性を演じている22歳の青年男性。
ネットゲーム用語でいう「姫プレイ」のような遊び方をしており、取り巻きを作り閉じた人間関係の中で悪循環を回している中々に攻めた設定だ。
他人に依存し自立できない幼さがある癖に、すぐ調子に乗り増長する愚かさが愛らしい。
男であることがバレるのを怖がっているが、性自認が女性というわけではなく、あくまで他人から都合よく愛されたいがために異性装している打算あるキャラ。
とまあ嫌な視点ばかり書いてきたが、そんな人間の愚かさをある意味肯定的に、ある意味否定的に描く、人間は人間であるだけで尊いそんな弱くて愚かだけど強くて可愛いキャラだった。
主人公やその他の男性キャラとそういう雰囲気になる展開こそないものの、22歳男性が自立できずに大人の男の人に依存して甘えた態度を取るのはエッチだった。
攻略対象として専用ルートも用意されており、男性キャラながらゲーム内の見た目が女性なのでヒロイン的なポジションとも言える。
なお「ぷぷぷー騙されてやんのー。残念! 男でしたー。おじさん男相手にエロいことしようと思ってたのウケるんですけどー」な二次創作がPixivに投稿されていると予想したが一切されておらず涙した。
記憶カードの掘り下げこそないものの、他のサブキャラ達も魅力がいっぱい。
特に防衛隊の隊長リゲルさんは出番こそ控え目ながら、相手をカメラで撮影すると閉じ込める状態異常系のアバターと、竣敏な動きで攻撃する猫の攻撃系アバターと、バイクの移動系アバターの三種類を同時に使いこなす屈指の強キャラだ。
アバターの同時併用は二つでも高等技術扱いなので三つでかつそれぞれの役割が被っていないのは強キャラの風格があった。
防衛隊なので物語の都合上どうしても負けシーンは多いが、彼ほどの実力者が負けることに毎回きちんと理由があるし、それが主人公の乗り越えるべき大きな壁になるので、主人公の師匠キャラっぽさもあるリゲルさんは美味しいキャラだった。
他にも映画大好きなキャンディさん、翔太の取り巻きながら男を魅せる集落の代表、最後の最後で良いところを持っていく奇妙な倫理観のローズ、肉体を使った「癒し」が得意なカーラのお母さんなどが印象的なキャラだった。
メインキャラだけでなく彼らサブキャラたちの想いも乗った熱い展開が幾つもあるので、サブキャラの書き込みが上長に感じず楽しめた。
先に翔太という例外と魅力的なサブキャラ達の感想を書いてしまったが、この作品のメインは記憶カードをぶつけ合って戦う思想の殴り合いだ。
VRMMORPG「アーキタイプ・アーカディア」のシステムを利用した作戦や工夫のシーンも沢山ある。
この作戦を立てるシーンは楽しく、実際に何か3Dのキャラを動かしたりステータスが変動する要素は一つも無いのに、このゲームを実際に攻略しているような気分になるのが面白い。
しかし、毎回色々、本当に色々あって、最終的には主人公ルイスが妹のクリスティンと遊んだ記憶カードと、章毎のメインキャラ達の思想のぶつかり合いが主題となる。
最強を目指して奪い取った様々な記憶カードに成り切り演じるリア、自身の犯した罪の意識から自死の願望が強いオリーブ、恋人が再起不能になったことから世界を憎むアレグロなど、様々な理由の「楽しい」以外の感情や記憶と対峙する。
これらを主人公のルイスはどのように破るのか、どの章でもここが見どころになってくる。
この思想バトル通じて得た仲間たちの輪がどんどん広がっていくのも良かった。
特にアレグロは表紙に映っているだけあって超重要キャラで対立が一度や二度じゃないのが、物語に深みが生まれていた。
主人公と表裏の関係にあるエピソードなんかもあり、名実共にもう1人の主人公だった。
彼らのエピソードはどれも単純な否定で終わらず、考え続けていくことで、作中でも後々には意見が変わることもあるのが、単純じゃ無さが伝わる難しい話だった。
良い/悪い、正義/悪のように一言で分類できないグラデーションのある多様な意見のぶつかり合いは読み応えがあった。
自己言及型のメタミステリのような物言いになるが、このゲームの主題を要約するとこれに尽きる「ゲームは楽しい」だ。
ゲームは楽しい、シンプルな主張だが、多種多様な様々な状況においてもこの主張は繰り返される。
「悲しい時ほど遊ぶ」作中で何度も引用されるクリスティンの台詞。
どのような意図なのかを細かに解体する必要もなく、遊んでいるプレイヤー自身もまたゲームは楽しいから遊んでいるのだから、この主張には納得しかない。
そんなメタ的な構造の話では終わらず、作中ではきちんと噛み砕いて説明してくれ、ゲームは殺し合いと違って次があること、次があるからこそ工夫をしたくなること、工夫するから技術が進歩すること、終わったら勝っても負けても楽しいこと、誰かと時間を共有することの楽しさなどなど、ゲームの魅力をこれでもかと手を変え品を変えアピールしてくれる。
間違っても何度でもやり直せるように取り返しのつかないことだけはしない、そして自分も相手も許す、ゲームを肯定することがいつの間にか人間を肯定することになっているテーマ性の広がりが最高に決まっていた。
・さいごに
主人公の妹クリスティンが興したギルドで使われていた仲間の中だけで通じる内輪ネタ「ラスモス・ゾティーラ・トゥーラッカ」の意味がオーラスもオーラスで明らかになるんだけど、これこそが正にゲームだった。
ゲーム遊ぶことを肯定するどころか、ゲーム的でないものを否定するような強いメッセージ性のある強烈な作品でありつつも、そのような良い意味で脱力する展開で、緊張がすごく解けてスタッフロールに迎えた。
ゲームは楽しい、そんな当たり前の感情を丁寧に解体して色々な部位で楽しませてれた。
僕もテキストが主体のアドベンチャーゲームを一人で遊ぶのではなく、ステータスやゲーム的技術が求められる人と人との交流がある類のゲームを遊びたくなった。
○ご飯
朝:なし。昼:カラムーチョ。夜:手羽元、白菜、人参、大根、舞茸、ネギの鍋。たまごネギおじや。リンゴ。間食:チョコ。
○調子
○SeaBed
・はじめに
田舎から上京しデザイン事務所を立ち上げたサチとタカコ、二人の日常と休日を丁寧な文体で淡々と描く公称ジャンルは百合要素を含むミステリーなノベルゲーム。
まずミステリという言葉には多様な意味があり、パズラーや本格だけを指す言葉ではなく、衒学趣味だの狂人の解放治療だのをアンチミステリーだと喜んで受け入れた当時の評論家たちが悪いのであって、そのようなものをミステリと呼称することの是非は呼称する側にはないのだ、と言った面倒臭いミステリオタクの言い分はこの一文だけで終わりにして、以後の感想でもミステリ部分への言及は抑えることにする。(なお虚無の幻想描写だけ否定しないのは流水によって解体済みだからなんだよなあ(何が何やら))
そんなわけで公称ジャンルはさておいて、百合作品女性同士の恋愛ものとして僕は楽しんだ。
様々な時系列が入り混じりながらお話が進んでいき、未就学児時代、小中高、社会人、現在と長い時を過ごす二人の女性のエピソードの回想がたっぷり遊べる。
エピソードと書いたものの、所謂起承転結のような物語的な起伏はかなり薄いものもある。
食べたご飯、気持ちのいい温泉、美しい風景、自然の中で感じるニオイや音などなどの、ただそこにあるものの描写、それとそれを二人で楽しむことのかけがえのなさが淡々と描かれる。
良い意味で二人は仲良しなのだ以上の物語のスジが無いエピソードが多い上に、キャラクタの内面の描写もお互いのことが好きなこと以外は控え目。
おそらく文学的な言葉でなにか括ることが出来るのだろうけど、僕の語彙には無いので情景の描写にたっぷりと尺がつかわれているということを伝えたかった。(自然派が自然の描写、森とか山の描写を書く意味でないことぐらいは僕も流石に知っている)
伏線が云々と評価することも出来るのだろうが、これらの美しい文章をありのままに楽しむだけでも十分面白い作品だと思う。
勿論、それだけのゲームではなく、あくまで回想シーンはそのような作風になっていると感じた。
明るくていつも元気で突飛な行動をするが結果をちゃんと出すタカコのカップル。
恋愛に関するフィクションって付き合うまでのドキドキがキモなものが多いけど、今作ではその辺はかなり控えめ。
二人はもうすでに付き合っているところから物語が始まり、回想シーンの大半も付き合って以降のものになる。
そのため、駆け引き無しキス有りセックス有りで、ひたすらにラブラブなシーンばかり。
全年齢向けゲームではあるものの、かなり直接的な表現も多くイチャイチャ度合いをたっぷり楽しめる。
性欲強めなタカコに渋々付き合うサチなパッケージと見せかけて、サチも普通にノリノリなシーンもあったりとシチュエーション豊富。
恋の鞘当て的なシーンもなくもないが、基本的には二人の関係値は最初から最後まで揺るがない。
一番揺らぐのがタカコが性欲ベースで他の女性に手を出そうとするシーンで、それがかなり「らしさ」に思えてしまうのは好きが別れそうだ。
冷静で落ち着いているサチが視点人物のパートでは、最初のうちは一歩引いた客観的な描写のように思う。
事実その通りなシーンもあるのだけれど、ストーリーが進んでいくにつれサチへの理解が進むとなかなかそう単純な話ではないことがわかる。
文体が落ち着いている上に、サチが「怒った」とか「悲しんだ」のような感情を表現しないため気づきにくいだけで、めちゃくちゃ感情補正をかけて客観的に見ている風を装っているように読める。
これは作中でも主観を完全に排除できないことへの言及がされているため、間違いなく自覚的な演出なのだろう。
なかなかに凝った趣向で、読み進めていくにつれファーストインプレッションからずいぶん離れたところにいるサチを見るのが楽しかった。
・タカコの前向きさに救われる
そんな複雑なサチに対して、タカコは最初から最後までほとんどブレない。
公式の粗筋の範疇だけでも彼女にはずいぶんと辛いことが起こるのだけど、それでも前向きの色々なことをしてくれる。
パーティや旅行などのイベントごとが好きなので、彼女が様々な話の起点になるのが特に良い。
サチを引っ張るタカコという繰り返される構図に慣れ親しめば慣れ親しむほどに、SeaBedにハマっていける。
そんな魅力的なサチとタカコについて語ってきたが、彼女達二人っきり以外のシーンだと同僚を交えた職場での会話劇も楽しかった。
大人の女性ながらぬいぐるみ大好きな文と、真面目でちゃらけない犬飼の二人がタカコに振り回され、それをサチがツッコミして締めるのは、他者が混ざることでよりタカコとサチの分かち難さが伝わってくる楽しいシーンだ。
先に述べた食事シーンの豊富な文量はここでも活かされていて、オヤツを巡るいくつかのシーケンスなやり取りが面白かった。
どれも序盤に集中していて後半になるにつれて出番が激減するのは残念なところ。
中盤以降はかなり出番が多く活躍するんだけど、なんといってもサチを誘惑シーンの頭の良さと淫猥さが凄かった。
まず、客観視が得意なサチを納得させるためにペラペラと理屈を捲し立てる。
サチに上手く言い訳を与えつつ自分の欲求を飲ませようとするのが頭良くて賢さを感じた。
その上で、まあ普通にエッチな格好もするという二段構えさが、頭イイ淫猥だ。
中盤ということもあり、サチとタカコの関係値、分かち難さを嫌というほど体験した後にも関わらず、ワンチャンいけるかもかもかな? と思わず七重さん側を応援してしまった。
そんなかなり策を練ったであろう誘惑シーンだが、サチとタカコの関係はブレない。
誘惑しているセリフの量と、断るときのセリフの量の差がえげつなくて、全然笑うシーンじゃないのにクスっときてしまった。
・生と向き合うことで死と向き合える重たいシナリオ
明るくて楽しい見所ばかり書いたが、それだけのゲームではない。
悲しい、落ち込む重たいシナリオの部分もたくさんある。
それが生と向き合うことで死と向き合える重たいシナリオだ。
ここでいう生と向き合うは、考えることを辞めないことのような意味で、思考し理解することを解いていると僕は感じた。
ただその重さも、サチの独特な客観視の妙と、それでも頑張るタカコの朗らかな様が、そんなざっくりした一言ではまとめきれない多様なグラデーションのある感情になる。
読む人によってかなり受け取り方に違いがありそうで、全編ずっと悲しい話じゃんと思う人もいそうだし、同じぐらいと思う人も、いや楽しいの方が多いという人もいるかもしれない。
僕はミステリやコメディにようなエンタメを求めてゲームを遊んでいるところがあるので、明るい楽しいところばかり感想を書いてしまったかもしれない。
(何しろ公式粗筋にいる3人の主人公内2人の感想は書いても、最後の1人については触れてすらいないからね)
・おわりに
女性同士のイチャイチャラブラブの先に重苦しい生きるとは、死とはを問うシナリオが待っていた。
かなり好みが分かれそうだけど、僕は公称ジャンルの是非以外についてはかなり好きな作品だ。
テーマ的な部分以外だと美味しい食事に舌鼓を打つシーンが多いのも好きな理由。
ニンテンドースイッチのゲーム50本遊んで感想書いたのでまとめ(23〜47)
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第十弾。
シーズン1最終作ということで、今までの縦筋として伏線が貼られていた過去の事件、永劫会事件がついに描かれる。
今までの癸生川シリーズ全部盛りな贅沢な作品で、ミステリらしい意外な展開、文書の書き方で読者を騙すもの、マルチサイトの構成の妙、小説として情緒的な染みる文章と、良かったところが沢山ある。
シリーズを通じての伏線が回収される展開も多いため、必ず全作遊んでからここに辿り着きたい。
人によってはこの作品をシリーズで一番に据える人がいそうな、ゲームとしての完成度は抜群だった。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第六弾。
マルチサイトシステムを導入していて、伊綱さんと、生王の視点を行き来しながら事件を追う。
構造自体に仕掛けがある系の作品になっていて、ミステリやってる感がかなり強い。
人によってはこの作品をシリーズで一番に据える人がいそうな、トリックの魅せ方としての完成度は抜群だった。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第四弾。
もちろん、ミステリらしい意外な展開や、文章での表現を利用したトリックなどもあってそちらも楽しめる。
人によってはこの作品をシリーズで一番に据える人がいそうな、物語としての完成度は抜群だった。
株式会社オレンジのロマンティックミステリの第二弾で、女性主人公が事件を捜査して解決しながら男性キャラといい感じになっていくストーリー。
普通の女子大生が突然マフィアのボスになるという突飛な開幕ながら、割と丁寧で良い意味で地味な捜査と解決をしていく。
とはいえマフィアのボスらしく、違法行為をしてでも事件の手がかりを集めるところなんかは今作独自の魅力があり、このシリーズは女性主人公の成長も魅力なんだけど、今作ではマフィアのボスらしくなっていくという本当にその方向で成長していいのか? と困惑しながら遊ぶことになる。
そして本当にマフィアのボスらしくなっていくのが本当に面白くて、好きなところだ。
あのルートレターのシリーズ的には続編に当たる角川ミステリシリーズの第二弾。
奇作、怪作としか言いようがない前作とは違い、しっかりと地に足が着いた丁寧な良作だった。
主人公の八雲マックスが映像作家としての矜持を持つプロに徹する人間性なのも好印象で、熱苦しいものの痛快な好男子で好きなキャラだった。
またもう一人の主人公新人女優のリホも駄洒落に拾い食いと評されるひょうきんなキャラで、主人公がどちらも魅力的な作品だった。
株式会社オレンジのロマンティックミステリの第一弾で、女性主人公が事件を捜査して解決しながら男性キャラといい感じになっていくストーリー。
主人公は他人の死を夢で予知できる能力を持っているが、メイドという立場なのでそれをありのまま報告しても信じてもらえないので、色々と工夫して殺人事件を阻止するという展開。
この夢で見た予知の死を覆すという展開が短編連作的に続くのだけど、どれも同じ人、攻略対象で主人として支えている男性キャラの死を予知するため、何してもこの人死ぬじゃん、とシリアスな笑いを感じてしまったのは不謹慎だから反省したい。
貴族と平民という立場の差のエピソードなどは興味深く、伝えたいことの取捨選択がしっかりしてて短いボリュームながらしっかりまとまっている好きな作品。
ニンテンドーとコーエーテクモがバディを組んで送る超贅沢なアドベンチャーゲーム。
タイトルの通り二人組の関係性がかなり重要なキーワードになってくるが、あくまでバディなので男女問わず楽しめる王道なストーリー。
舞台となるミカグラ島に住む市井の人々にもサブエピソードがいっぱいあって、モブキャラが活躍する展開が大好きな自分としてはそちらの方向も嬉しかった。
ヒーローを目指す主人公のルークに延々とずっと辛い展開が続くので、遊ぶ手が止まりかけるほどだったのだけど、バディのアーロンがそれを引っ張り上げる展開が熱くて沸る燃えるゲームだった。
女の子は万華鏡、といえば何をやっても良いと思ってるゲロカスな美少女デスゲームもの。
ふわふわした可愛い4人の美少女が、罵倒有り暴言有り暴力有り可愛げ無しのデスゲームに巻き込まれながら、剥き出しの人間性を露出していく。
そんな残酷なデスゲームの間に、いかにもな可愛い萌えな過去の日常パートが挟まり、この落差の凄まじさが独自の味わいになっている。
罵倒シーンの声優さんの熱演も見所で特に茜屋日海夏さん演じる五条風華の暴言は下品すぎて、日常パートでの可愛さとの差が凄かった。
ダンジョンRPGの老舗エクスペリエンスが送るホラーアドベンチャーで、怪異の噂をDRPGのような探索パートで調べてから、RPGのボス戦のような怪異との対決パートに挑む構成で、テキストが主体のアドベンチャーゲームらしくない画面構成になっている。
とはいえ、要するにで言うと、事件の手がかりを見つける捜査パートと、容疑者を追い詰める尋問パートみたいなもので、怪異と言いながらも探索パートで手に入れた情報からフェアに対決パートの選択肢を推理可能なように作られている。
RPGっぽいパラメーターの表現はフレバーに過ぎず、テキストをしっかり読むことが大切なので、そういうゲームが苦手でも問題なく遊べた。
印人と呼ばれる仲間を連れて探索するのが特徴で、中年男性ながらかなり露骨にツンデレキャラで萌える真下悟さんが僕はお気に入りだ
○普通
三つしか記憶を保持できない主人公が自身の恋人をなぜナイフで刺したのかを巡るサスペンスなコマンド選択式ADV。
時系列が未来から過去へ進んでいくため行き来する渋谷の街のモブキャラ達にも物語があり、当時の雰囲気を感じられる。
フラグを記憶出来るにも三つだけという設定をシステムに落とし込んでいるのが見どころ。
ただし、この試みが成功しているのかは若干疑問が残り面倒なだけだったかもしれない。
編集者で美女としての自覚が強い木戸いづみが担当作家の鏡月正宗からの無茶振りで事件を捜査することになるコマンド選択式ADV。
物語としての起伏は少なく、ミステリというよりはクイズの趣きが強い。
美女を自称するいづみの強引な聞き込みパートが面白く、話がテンポよく進む。
携帯電話のゲームからの移植だが背景絵のクオリティが高くあの当時に遊んでいたらまた違う感想があったかもしれない。
うらぶれた探偵の狗神エイジとお嬢様刑事の鷲宮ヒナのバディもの。
舞台の池袋に住む市井の人々の協力を得ながら様々な事件を解決しつつ、エイジの相棒でありヒナの兄が死んだ真相も追う縦筋の物語もある。
協力者の面々がかなり優秀な人が多く、主役の二人よりも探偵として優秀なのでは? と思ってしまう良い意味でのテンポの良さが楽しい。
システム面では、よくわからないミニゲームや、頻繁に挟まる話に区切りがついているわけでもない暗転など、運営型スマートフォンゲームの移植故のシステム的にしっくりこないところがあった。
少女同士の恋愛を描きつつ、幾つかの日常の謎を解決する公称ジャンルは百合ミステリ。
ただ、ミステリ部分は少女同士の恋愛を際立たせるための背景のようなもので、あっさりと進んでいく。
その分、恋愛に関する描写はかなり多めでかつ濃厚なもので、恋と友情の差を自覚しつつ、はっきりと恋愛的な意味で好きになっていく過程が描かれていた。
それだけに短編連作で4つしかエピソードがないのは、良い意味で物足りなかった。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第九弾。
白鷺に紅の羽の裏を描く、と言っても時系列や人間関係のそれではなくて、モチーフ的なというか、表現が難しいやつだ。
癸生川シリーズを通しての、探偵は何のために事件を解決するのかを端的に示した短編になっている。
テーマ性の塊みたいな剥き出しの作品なので好き嫌いは別れそうだけど、僕はかなり好きな方だ。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第八弾、元々はDS版の移植である。
久々にスピンオフ短編やマルチサイトではなく、いつメン達のいつもの構図。
ただ、ボリュームが多いのにいつもの構図をやるせいで、伊綱さんの推理がひっくり返るのが、少しもったいなさを感じてしまった。
あくまであのいつもの構図は短編や中編だから決まるもので、長編にはあまり向いていなかったかもしれない。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第五弾。
ちょっと今まではとは毛色が違い、いつものレギュラーメンバの出番も控え目で雰囲気もホラー寄り。
とはいえ、我らが名探偵癸生川凌介が出てくるシーンは格好良く決まっている。
彼をなぜかホッとすると評するのは、なるほどな意見で、なかなか自己分析が出来ているセリフだと思った。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第七弾。
今作はちょっと箸休め的なスピンオフな短編で、正直ちょっと読みどころはあまりない。
犬可愛い可愛いゲームと一言で終わっても良いぐらい犬は可愛い。
とはいえ、これだけ遊ばないのも勿体無いので通して遊べば良いと思うな。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第三弾。
三作目ともなると、いつメンのいつもの構図でいつものやつと簡単に評したくなっちゃうね。
とはいえ、シリーズを通しての縦筋なんかもで出して、探偵・癸生川凌介事件譚として好きになれる要素が増えていくキッカケも多い。
今作は割と聞き込みや証拠品集めからの推理が多く、今までの突飛な発想の飛躍が求められるものじゃないのも特徴的かつ、以降はこれが主になっていく。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第二弾。
前作の流れは踏襲しつつも、本格ミステリさながらの大胆なトリックが映える面白い作品だった。
とはいえこの類の方向性はしっくりこなかったのか、これ以降はもう少し社会派だったり、テーマ性だったり、文章の書き方で読者に対して何かを隠蔽する類の方向性になっていく。
物理トリックの類はゲームだと映えるんだけど、携帯電話の容量の少なさを考えると難しかったんだろうなあ。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第一弾。
名探偵癸生川凌介、その助手白鷺洲伊綱、彼らの事件をゲームにしている生王正生、いつもの面々のデビュー作。
伊綱さんと生王が捜査をしてそれらしき答えに辿り着くも、癸生川がどんでん返すいつもの構図は初見だと結構驚く。
携帯電話という限られた容量の中でしっかりとミステリをやろうとする気概が素晴らしい、
めちゃくちゃ豊富なスチル絵に軽快なBGM、そしてカートゥーン調のアニメーションでハイスピードに物語が展開していくSFもの。
テキストを読むことが主体のゲームって落ち着いた作品が多く、議論をしたり腰を据えてお話を聞いたりが多いんだけど、この作品はとにかく主人公たちが走る! 動く! 飛ぶ! と終始忙しなく動いてばかりで色々な物語が手早く展開していく。
テーマソングの飢餓と宝玉はオープニングテーマでありながら、作品の全てを包括するような歌詞になっていて、クリア後に聞くとまた違った感想になる曲で大好き。
ただ、このスピード感故に細かい部分の整合性や説明がカットされているのは好みが分かれそうかな。
とにかく全体を通じて奇妙な作品で、十数年ぶりに高校時代の文通相手との手紙を発見して、彼女に会いたくなりその地元島根に向かう。
こんな如何にもな青春振り返り系エモストーリーの導入だが、全くこんなストーリーではなく、罵倒、悪口、恫喝を繰り返す反社会的な主人公に振り回される恐ろしいお話。
ストーリーもリアリティラインがルートによって様々すぎて、突飛な展開が続くかと思いきや、現実的な着地を見せたりと、唯一無二な奇妙すぎる作品だった。
インディーゲーム開発者の女性二人の関係性を淡いドット絵の演技で描くナラティブアドベンチャー。
全てを文章で語らず、キャラクタの演技で語るストーリーが見所でかなり細かい演技が丁寧に表現されている。
また、途中で挿入されるゲームボーイライクなパズルゲームが、レベルデザインでなにかを暗喩しており、キャラクタがなにを感じたのかを、台詞や演技だけでなく、このパズルゲームでも表現しているのが今作独自の特徴的な部分。
なかなかハードで現実的な部分が多く、少し心に余裕がある時に遊んだ方が楽しめそうだ。
修学旅行で水中を走る列車に乗り込んだ学生たちの中で起こる殺人事件のお話。
スペインのインディーメーカーの作品だが日本のサブカルが大好きな人たちが作っているようで、そういうのが好きな人向けの小ネタがたんまり入っている。
とはいえ、ジェンダーや政治的な正しさを規定とした問題提起が挟まるなど、日本ではあまり見られないストーリーもあり独自の良さがあった。
殺人事件にまつわる解法も、トリックやロジックなどのあれこれではなく、人間関係の妙に重きが置かれているのも、ある種のらしさなのだろうか。
奇妙なホテルの一室で目覚めた男性がいきなり殺人事件の容疑者と報道されるニュースを見るところが始まるホットスタートな実写ゲーム。
短編ほどのボリュームながら、ゲームシステムを利用した演出や、繰り返しループする世界での面白コメディや、シリアスな男女の恋愛など色々な要素がみっちり詰まってる。
特にヒロインのサチムラアカネは、敵なのか味方なのか、頼れる強キャラなのか守るべき弱い子なのかが目まぐるしく変わる上に、扇状的なシーンも多く、演じている栗山千明さんの魅力が盛りだくさん。