「ときめきメモリアル2」を含む日記 RSS

はてなキーワード: ときめきメモリアル2とは

2021-03-31

VTuberの“BL同人誌朗読”、BL以外の同人誌だったら「炎上」しなかった

BL同人誌の内容をVTuberであるさくらみこさんと宝鐘マリンさんが配信内で「朗読」したとして「炎上」した件ですが、当初から腐女子界隈とVTuber界隈の抗争の様相を呈しており、一方を装った愉快犯が現れたり、誤情報拡散されたりと、見るに堪えない状況です。

そこで、BLVTuber両方が好きで、腐女子界隈とVTuber界隈いずれにもつながりのある私が、できるだけ客観的彼女たちの「炎上」の経緯を整理しようと思いました。

以下では、この「炎上」の背景にある腐女子界隈の不文律としての「掟」や、一次情報であるVTuberの元配信について言及しつつ、実態を伝えられたらと思います

また、そのうえで、百合VTuber本人などBL以外の同人誌であれば「炎上」しなかったという考えの根拠説明します。

やや長めですが、3日前の「作戦会議」の配信から経緯を把握している方も、後半部分には目を留めていただけると幸いです。

BL同人誌までの経緯

元となった配信は、3月28日(日)13時から10時間以上にわたって行われた、『ときめきメモリアル2』というギャルゲーの実況配信です。

この日は前日同様、オフコラボで、さくらみこさんと宝鐘マリンさんは同じ一室にいて、ゲームを実況したり、サプライズプレゼントを贈ったりしていました。話題となったBL同人誌も、サプライズプレゼントとして贈られたものでした。

配信内でのサプライズやドッキリは、突発的なものではなく、事前にリスナーとともに作戦が練られたものでした。

この日の3日前にはみこさんが、2日前にはマリンさんが、それぞれ土日のオフコラボへの「作戦会議」と称した配信をしています

これらの配信は、オフコラボ相手へのサプライズ案をリスナーに募る内容でした。そして、みこさんの「作戦会議」のなかで、リスナーからBL同人誌冷蔵庫に入れてプレゼントする」というサプライズ提案されたのでした。

なぜ「BL同人誌」なのかというと、マリンさんがBL好きであることを以前から公言していたためです。

この件においてBL同人誌は、あくまサプライズプレゼントの一つとして、みこさんがマリンさんのために用意したものでした。

同人誌朗読スパチャを稼いだ」という意見拡散されていますが、配信の主目的あくまギャルゲー実況にありました。

BL同人誌が登場したのは、そのなかでの「サプライズプレゼント」のゆえであり、配信内で同人誌自体あくまで脇役でした。(ギャルゲー実況配信10時間以上ありましたが、BL同人誌への言及は数分間で、それも「スパチャを稼ぐ」ためではありませんでした)

VTuberによるBL同人誌の「朗読

さて、「BL同人誌冷蔵庫に入れてサプライズプレゼントする」という作戦は、みこさんのマリンさんへの、冷蔵庫飲み物を取ってきてという言葉から開始されます

そうして、マリンさんは冷蔵庫なかにBL本を発見することとなり、その遠回しすぎるシュールな渡し方に爆笑しながら部屋に戻ってきます

Twitterなどでは、BL同人誌の内容を嘲笑しているとの意見もありますが、あくまサプライズプレゼントとしてのBL本の「奇抜な渡し方」に対しての笑いでした。

続く笑いも、内容そのものに対してではなく、作品タイトルや2つの台詞の奇抜さに対してのものです。

陽キャオタク創作嘲笑した」という構図に見立て意見Twitter上にありましたが、両名とも二次元好きで、そもそもこの配信自体ギャルゲー実況です。

では、二人は、このBL同人誌の内容をどのように「朗読」したのでしょうか。

この後、VTuber二人は作品タイトルと2つの台詞言及します。

作品タイトルは、躊躇いながらもマリンさんが部分的に伏せつつ発音し、続いて裏表紙にある「シャトルの発射まで時間がある」という台詞をみこさんが低い声で発音、そして「中に出せよ」という台詞強気受けによる命令形であることに着目しつつマリンさんが発音します。

作品タイトルは、ガン●ムの登場人物名前を奇抜にもじったもので、それが二人の笑いを誘います。二人はBL本の「奇抜な渡し方」の時点からほぼ休みなく笑っており、ツボが浅くなっている状態です。

シャトルの発射まで時間がある」という台詞は、ガン●ムをある程度知っている人ならばわかりますが、印象に残る強烈なものなので、二人は笑います

BL同人誌の「朗読」の一部始終は、以上の通りです。

当然のことながら、作品タイトルと2つの台詞を発することが「朗読」に該当するかどうか、VTuber界隈から意見が上がります

それに対して、腐女子界隈では、元配信を視聴していないこともあり、事実とは異なる「朗読」という伝聞やそこから憶測拡散され、「炎上」が拡大していきます

当初、BL同人誌の「朗読」は(二次創作物であっても)著作権問題だとして批判されていました。

しかし、実際には「朗読」ではなく、著作権上も問題ないことが切り抜きなどからかめられ、法的な問題でないと明らかになります

そうして腐女子界隈の一部でも「朗読」でない点を認める意見が現れるようになるのですが、それでも否定意見はやみません。

朗読」ではないとしても、腐女子界隈の基準では問題があるということです。

以下では、腐女子界隈に特有規範について触れていくのですが、その前に「朗読」という認識形成過程確認しましょう。

いったい、なぜ、「朗読」したとして「炎上」したのでしょうか。

朗読」という言葉とともに拡散、「炎上

作品タイトル部分的に伏せられていたとはいえ配信内容から作品特定され、エゴサを経た作者さんがTwitterにて言及することになります

ツイートの内容は、「私の本朗読してスパチャ貰われてる」という報告に、「ぶいちゅばって何でこんなに人気なの……??」とVTuber自体への批判を含んだものでした。

朗読」という単語は、おそらくエゴサから引用したのでしょう。作者さんも「~っぽい」と表現を用いていたので、元配信確認したわけではなかったようです。

しか結果的に、この投稿は、腐女子界隈とVTuber界隈で急速に拡散され、腐女子界隈では次々と「朗読」が話題になり議論が紛糾する一方で、VTuber界隈では「朗読」は拡大解釈だという意見が上がります。また、「何でこんなに人気なの……??」という表現からVTuberのものを貶められたという認識が広がります

いずれの界隈にも感情的意見を書き込む層はいもので、決して一部とは言いがたい数の人々のあいだで、誹謗中傷の投げ合いにまで発展します。

作者さんは、まとめサイトへの対策などからTwitterアカウントに鍵をかけ、これが双方にさらなる邪推を生んだりもします。

作者さんのbioを見ると「早急に事態収束するよう祈ります」「訴訟しません」「キレてません」と記載されているのですが、争いは作者さんを置き去りにしてエスカレートしていきます

それから朗読」という言葉腐女子界隈の広範で用いられ、「min_retweets:500 朗読」とTwitter検索すると確かめられるように、「朗読」についていくつもの投稿拡散されていきます

伝聞が伝聞を呼び、人々の感情を逆なでし、「朗読配信という憶測ばかりが、噂の伝言ゲームのように一人歩きしていったのです。

それに対して、VTuber界隈では「朗読」というデマ拡散されているとして一次情報(元配信)の確認を求めます。ですがこの時点ですでに元配信は削除されていたので、一部の人々は切り抜き動画を視聴することになりますTwitter上でも切り抜きが投稿され、拡散されました)。

しかし切り抜き動画もまた文脈が省略されているために、あらぬ誤解を生み出すことになりました。

切り抜きを観ると、「朗読」の誤解は解けますしかし「BL同人誌が晒されて嘲笑された」ように受け取れることから、そのような認識腐女子界隈に広がっていきます

実際には、先述したように、VTuber二名作品嘲笑したわけではありませんでした。

このように、「朗読」による「炎上」は、もともと「朗読」だとして著作権的な問題とされていたのが、作者さんを置き去りにして、「晒されて嘲笑された」問題にすり替わっていきます

そうして、「朗読ではないとしても、読み上げたことが問題」「逆カプ表記をしたのが許せない」「影から引きずり出して明るみに出したのが許せない」という主張がなされるのです。

腐女子界隈特有規範が背景にある

朗読ではないとしても、読み上げたことが問題」とは言いますが、VTuber界隈をはじめとして、腐女子界隈以外では、作品タイトルや一部の台詞を読み上げたところで批判対象にはならない傾向があります

例えば、Twitter上で自分の入手した同人誌写真を、「戦利品ゲット!」という気分で投稿したとしても、問題視されることはありません。

しかし、腐女子界隈では、これは大問題です。にわかには理解しがたいかもしれませんが、作品を公の場に明るみにするのは事実上の禁忌とされる傾向があるのです。

同人誌写真のみならず、作品タイトルも、作品内容も、直接的な言及は控えられています

ですから配信内などでBL同人誌を取り上げるのは、以ての外ということになるのです。

こうした傾向は、女性オタク文化のなかでも特に腐女子界隈に顕著で、百合作品異性愛作品の界隈ではあまり見られません。

腐女子界隈はさまざまな事情から村社会化しているがゆえに、ほかにも数多くの特殊な掟があります。「逆カプ表記」もそうした禁忌の一つです。

件の配信内でも、BL同人誌について、あまりBLに詳しくないみこさんが「逆カプ」だと勘違いし、マリンさんが訂正する場面があり、Twitterでは「朗読」と併せて「逆カプ表記」が批判されていました。

結局のところ、BL同人誌サプライズプレゼントとしたみこさんとマリンさんは、このような腐女子界隈での規範に従っていないととらえられたがゆえに、作者さんを置き去りにして「炎上」につながったのでした。

ですが、そうは言っても、法的には問題のないことに対してまで、法律をさし置いて界隈独自規範によって判断するのは、あまりに強権的ではないでしょうか。

他の界隈にまで独自規範を遵守させようとする姿勢は、自国の法を他国内部にまで適用させようとするも同然の姿勢ではないでしょうか。

百合界隈であれ、異性愛作品の界隈であれ、またVTuber界隈であれ、配信内で同じ出来事があったとしても、批判は集中しなかったでしょう。また、BL同人誌でも、海外の界隈であれば同じく批判されることはなかったでしょう(海外の界隈では「逆カプ表記」が許されているなど、界隈としての特殊性はあまり見られません)。

以上より、本件は、腐女子界隈の特殊規範存在を前提に成立した「炎上」として理解できます

VTuber界隈の文化的感覚BL同人誌を取り上げたことこそが問題として「炎上」につながったのです。

この出来事は、VTuber界隈と腐女子界隈の文化性の相違による、ディスコミュニケーションだったと言えそうです。

(ところで、本筋から離れるので深入りはしませんが、「逆カプ」がだめということになっているのは、そもそもBL文化男性表象を用いた異性愛表現からです。BLは、男性同性愛者の作り手が極端に希少であることからも明らかなように、実際には男性表象を用いて異性愛を語り直す表現なのです。受け攻めは女性男性対応し、だからこそ受けの発言行為も表情も女性的に描かれているのです。

ですからこの場合、受け攻めの反転である「逆カプ」は、男女の反転同然であり、そのような意味合いにおいて「地雷」だとして非難されるのです。

しかし、いくら地雷」だとしても現在BL自体異性愛ジェンダーロールを同性愛に持ち込む点で、「強制的異性愛」一歩手前でLGBTQ的にグレーな行為ですし、また感情基準禁忌定義することは感情で法を定めるような危うさを含んでいます。あらかじめ論理性を劣位に退け、情動性を優位に配するのですから

「逆カプ」について、「地雷」だから言及禁忌とする規範は、盲目的に「好き」だけを肯定し「嫌い」を徹底して排斥する、同一性称揚かつ多様性全否定である点も見逃せません。

この点については、腐女子界隈の内部から批判もあるのですが、全体として賛成多数となっており画一的で抑圧的な趨勢は変わっておりません)

おわりに

VTuberさくらみこさんと宝鐘マリンさんが配信内でBL同人誌を「朗読」したとして「炎上」したこの一件は、そもそも朗読」という伝聞が拡散され、感情的憶測を次々に引き起こしたという、事実に基づかない「炎上」でした。

事実に基づいた批判であれば、VTuber界隈からの反発もこれほどまでに大きくならず、腐女子界隈とVTuber界隈による衝突の様相を呈することもなかったでしょう。

「min_retweets:500 朗読」などでTwitter検索すると、一次情報を知らずに噂に便乗した投稿が何件も拡散されています事実確認もせず、濡れ衣を着せることも躊躇わず、伝聞をもとに憶測から感情を爆発させられればそれで納得できてしまうのだろう――との印象を、VTuber界隈に広げることになっています

さらに、切り抜きなどを経て「朗読」という誤解が解かれたかと思いきや、被害者意識の先行か、「晒されて嘲笑された」と悪意的に読解し、またも事実とは異なる憶測で「炎上」を加速させていきます

そのうえ、作品への言及自体腐女子界隈独自規範に反しているとして、非難するようになります

しかし、界隈のルールを、界隈の外側にまで求めるのは、自国の法を他国にまで適用しようとするも同然の行為で、あまりに強権的です。他の界隈ではありえません。

それに、無知からとった行動が、たまたま界隈の規範に反するものだったとしても、悪意的にばかりとらえるべきではないでしょう。

この件でVTuber本人は、BL同人誌プレゼントとして用意し、サプライズのために冷蔵庫に入れ、そうした渡し方や作品タイトル台詞の奇抜さによって笑いを引き起こしたのでした。

そこに悪意は見られませんでした。

しかし、にもかかわらずTwitterを中心に、「朗読」という伝聞から悪意的に解釈され、事実とは異なる感情的憶測拡散され、切り抜きからも悪意的に誤読され、誹謗中傷を投げられるという被害を、VTuber本人が強いられることになったのです。

このような構図では、Googleアナティクスの仕様から台湾言及しただけでVTuber本人が大陸ネットユーザーから攻撃を受けた、昨年9月の一件と重ねてしまます(詳細は、「ホロライブ 台湾」などで検索してみてください)。

前々から気になっていたことですが、腐女子界隈は、この件に限らず、伝聞や憶測で悪意的に解釈するのではなく、事実に基づいて慎重に意見することが必要です。

事実とは異なる憶測や誤解で非難すれば、それは単なる誹謗中傷となり「ネットリンチ」につながります

続き:https://anond.hatelabo.jp/20210331233146

 
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん