名前を隠して楽しく日記。
※フィクションです
病院の待合室にて。親の検査結果を待っていると、肩を出したワンピースを来た、すらりと細い女性が入ってきた。
自分と対称的な、同年代の人。いたたまれない気持ちになり、服についた毛玉を、ちぎってはポケットに忍ばせる。
はきはきとした声で、予防検診にきたのだと語っている。その姿に、胸の奥がちりりと焼き付けられるように傷んだ。
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最近、世の中のオシャレな女性に劣等感と羞恥心を覚えてしまう。彼女らは何もしていないけれど、どうしても、馬鹿にされたような、自分の人生ってなんだろうというような虚しさが脳裏に浮かんでしまう。
私が薄暗い工場内で、意味もない雑用をしている時、彼女らは服屋に行き、カフェに行き、友達と談笑し。本人にとって意味ある人生を生きている。
その人生を選ばなかったのは自分の責任だが、隣の芝生は青く見えるというように、憧れを捨てさることが出来ない。自分の人生が受け入れがたい。分かっているのに、同じ所をぐるぐると周回するのを辞められない。
私も都会に出たかった。もっと意義ある学生時代にすれば良かった。過去のいじめをとっとと忘れてしまえばよかった。くだらない世の中への恐怖心なんて、さっさと捨ててしまえばよかった。
そんな後悔ばかりが浮かび、頭の中を埋めつくしていく。その生き方を自分で選ばなかったのだからと、本当は分かっている。また、病弱で先の長くない親を笑顔で迎えるために。その思いを打ち消す作業が始まった。
日本の街中で「チー牛」と呼ばれる特定の男性たちが姿を消していくという奇妙な現象が始まったのは、ある年の初夏だった。
チー牛は、眼鏡をかけた痩せた若者で、特にアニメやゲームが好きな層に多く見られる。
彼らが突然、街からいなくなったことに気づいたのは、同じ趣味を持つ仲間たちだった。
「最近、あの喫茶店で見かけるチー牛の連中が減ってないか?」と、一人の男性が友人に話しかけた。
友人も同じように感じていた。「ああ、そういえば。最近、彼らの姿をほとんど見かけないな。」
その頃、もう一つ奇妙な現象が日本全土で起きていた。牛肉の価格が急激に下がり始めたのだ。
肉屋やスーパーの棚には、豊富な牛肉が並び、しかもそれが驚くほど安価だった。
一般市民は喜んだが、食肉業界の専門家たちは首をかしげた。「どうしてこんなに安くできるんだ?」
チー牛たちが消えた理由を突き止めようと、数人の若者が調査を始めた。
彼らは消えた友人や知り合いの足取りを追い、やがてとある廃工場にたどり着いた。
彼らが工場の中に忍び込むと、そこで見たものに息をのんだ。巨大な冷凍庫の中には、無数の肉の塊が詰め込まれていた。その中には、見覚えのあるチー牛たちの顔が……。
「これが……チー牛の肉だったのか?」一人の若者が震える声で言った。
その時、背後から足音が聞こえた。振り返ると、食肉処理業者の一団が不敵な笑みを浮かべて立っていた。「見つかってしまった以上、君たちも同じ運命をたどることになる。」
若者たちは必死に逃げ出したが、その後も次々と行方不明になる者が出始めた。そして、牛肉の価格はますます下がり続け、日本の食卓を賑わせるようになった。
しかし、一部の人々はその安価な牛肉を口にするたびに、消えたチー牛たちのことを思い出し、恐怖に震えるのだった。彼らの運命を知る者は、少しずつ増えていったが、真実を公にすることは誰もできなかった。
こうして、日本からチー牛たちが完全に姿を消し、同時に牛肉の価格が史上最安値を記録するという怪奇現象は、長い間人々の記憶に残り続けるのであった。
周りを敵だと思ってんのかな
それはただのバカなのでは
お前に話す意味ある?
チー牛も消えればいいのにね