純朴で優しそうな、見た感じ20歳前後の少年がパチンコ(リゼロ)を打っていた。
強い演出が来るたびにスマホを構えて動画を撮っているので、きっと初心者だろう。
しばらくして当たって、3000発を取ったが駆け抜けしそうになった。
残り5回転で3000発が当たって、少年は胸に手を当てて鼓動を抑えるほどびっくりしていた。
その気持ちよさはきっと、これから一生、少なくともあと数年はパチンコにハマらせるのに十分な刺激だろう。
20代前半の時間をそれに使えば、あとは暗闇に向かって進むだけだ。
外れても当たるまでやる、当たっても外れるまでやる。そのサイクルで得た金はそのサイクルでしか使わないだろう。
ただ失った時間は戻ってこない。けど、20歳そこそこの人間にとって、大金はたいて欲しいものなんてそんなにない。
親に恩返しをする幸せ、
やりたいことを見つけて、それを通して多くの人を助ける幸せ、
この趣味とは言えない行為を続ける限り、自分は知らず知らずのうちに多くの幸せを失うことになる。
それでもこの世界はゲームじゃないから、クリア目標はないし、あるべきものもないべきものもない。
自分らしい、まぁこんなもんでしょ、これでいいでしょ、などいくらでも言える。
いくらでも落ちることができる。
この世界にゲームやアニメは溢れていて、やり直しが効いたり、強制的にハッピーエンドになったり、
主人公である自分が最終的に誰よりも優れた存在になるような物語がたくさんある。
今からでもいい。というか、今しかない。みんな平等に今からしかできない。
自分の全てを受け入れて、認めて、自分が幸せになるために行動していく。
がんばれ自分