2024-05-04

近頃女権拡張論者と云ったようなものがむやみに狼藉をするように新聞などに見えていますが、あれはまあ例外です。

例外にしては数が多過ぎると云われればそれまでですが、どうも例外と見るよりほかに仕方がないようです。

嫁に行かれないとか、職業が見つからないとか、または昔しか養成された、女を尊敬するという気風につけ込むのか、何しろあれは英国人の平生の態度ではないようです。

名画を破る、監獄断食して獄丁を困らせる、議会のベンチへ身体を縛りつけておいて、わざわざ騒々しく叫び立てる。

これは意外の現象ですが、ことによると女は何をしても男の方で遠慮するから構わないという意味でやっているのかも分りません。

しかしまあどういう理由にしても変則らしい気がします。

一般英国気質というものは、今お話しした通り義務観念を離れない程度において自由を愛しているようです。

私の個人主義 夏目漱石

https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/772_33100.html

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